2021年4月13日
ALPS処理水の海洋放出決定について(談話)
立憲民主党
代表 枝野幸男
政府は、東京電力福島第一原子力発電所の敷地内に貯まり続けるトリチウムなどを含むALPS処理水の海洋放出を4月13日に決定した。生命と環境の安全に最大限配慮した復興を目指す我が党として、断じて容認することはできない。
新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、国民の皆様や地元福島県民への説明の場、また意見を広く聴く機会が十分に設けられなかったことに加え、ALPS処理水について、福島県内のみならず周辺地域の漁協や農協をはじめとする団体等からも海洋放出反対の意見が出され、多くの市町村議会などからも海洋放出に反対、あるいは丁寧な意見聴取や風評対策を求める決議や意見書が可決されていた。
また、経済産業省に寄せられた4,011件のパブリックコメントのうち、海洋放出によるALPS処理水の安全性への懸念を示す意見が約2,700件にも上るなど、国民の理解が十分に進んでいるとは到底言えない状況にあることが明らかとなった。
そのような状況の下、国民の理解も全く得られず、風評被害対策も具体的に示すことなく、また、当面は地上保管を継続し福島のみに負担を強いることのない処分方法の検討を求めていた我が党の提案も真剣に検討しないまま決定された今回の決定は、誠に遺憾である。このまま海洋放出すれば、福島のみならず、日本の漁業全体に壊滅的な打撃を与えることは必至で、本格操業に向けて、これまで必死に積み上げてきた漁業者の努力が処理水の海洋放出により水泡に帰すことは確実であり、関係者からすれば「築城10年、落城1日」の思いである。
今回の海洋放出決定により、漁業関係者はもとより、福島県民をはじめ多くの国民が更なる不信感を募らせている。政府が直ちに取り組むべきことは、被害を受ける漁業関係者をはじめとする全ての国民の意見を真摯に受け止め、海洋放出について再検討を含めた対応を早急に図るべきである。