政府が、東京都、京都府、大阪府、兵庫県の4都府県への緊急事態宣言と、愛媛県(松山市が対象)に「まん延防止等重点措置」の適用、すでに「重点措置」が適用されている宮城県と沖縄県に11日まで期限を延長する方針を決定したことを受け、枝野幸男代表が記者会見を開きました。

 枝野代表はまず、今回の緊急事態宣言に至ったことについて「明らかに菅政権を中心に、大阪府や東京都などの政治的な責任によるものである」と厳しく指摘。過去の緊急事態宣言発令ではなんとか乗り越えてきた、医療従事者や介護従事者、営業自粛を求められた事業者、職を失って困窮する方など、多くの方も3度目は耐えられないだろうと、2度目の宣言解除の時に「リバウンドがすぐに生じる、時期尚早である」と明確に反対したことを振り返り、「特に、一刻も早い解除を求めた大阪府知事の責任は重い」「最終的には国が判断しており、政府の責任は重い」と批判しました。

 また、同日開かれた衆参両院の議院運営委員会で、西村担当大臣が「流行は繰り返す」「どこの国も流行を繰り返している」と発言したことについて、ニュージーランドとオーストラリアの間で人の行き来が自由化されたことを例にあげ、「ZeroCovid(zeroコロナ)」が実現している国はあり、「現実に目をつぶり、感染を繰り返すのは仕方がないと、感染封じ込めを放棄している姿勢で、3度目の緊急事態宣言が発出されていることは看過できない」「政治としての責任放棄。西村大臣は『私たちには感染を封じ込める力がないし、意思もない』ことを明確にした」と指摘しました。

 今回の緊急事態宣言に際し、(1)新しい変異株の流入を防ぐため厳しく入国規制・水際対策をすべき(2)多くの皆さんが宣言に従えるよう、これが最後だという希望と可能性と意思を示すべき(3)営業停止による補償、例えば飲食業界については、飲食店だけでなく食材を扱う企業、おしぼり業者など関連事業者も含め対応すべき――だと政府に求めました。

 さらに、5月11日までという期限について「あまりにも政治的配慮に過ぎる」と語り、「政府の決定した日程に基づき、飲食店等の影響を受ける事業者は、事業計画や仕入計画等さまざまなに検討することになる。初めから延長が避けられない状況のものを、短くしておくことは、多くの皆さんに混乱を与えるだけ」と指摘。また「IOCバッハ会長の来日までに緊急事態を解除しておかなければならないなどという、邪(よこしま)な原因ではないと信じたい」と述べました。
 あわせて、今の大阪の医療崩壊の状況や、東京での感染症の拡大状況が、多くの国民に協力をいただいても、2、3週間先に顕著に感染者数が減る状況になるとは到底思えないと指摘。宣言の期間が短いことに疑問を呈しました。

 そして、「本来であれば、内閣総辞職を求めたいところでありますが、この緊急時に選挙をやるわけにはいきませんし、総選挙やるわけにもいきません。かといって総理に変われと今言っても変わるわけではないでしょうから、せめてわれわれの提案を真摯に受け止め、少なくとも封じ込めるんだという意思、意欲を明確に示していただきたい」と訴えました。

 記者からの、緊急事態宣言下で内閣総辞職は難しいなか、誰に政治責任を問うのかとの質問に対しては、「一番誠実な態度は『この今の第4波が一定程度落ち着いた段階で総辞職をする』と今から表明していただくこと」だと語り、個別の大臣の問題ではなく構造が間違っていると指摘。「内閣全体を統括し、省庁の垣根を越えて、総力をあげさせる体制を内閣の中で作り上げられていないことが問題。、それは安倍前総理の時代からそうであり、その構造自体を変えなければ、おそらく同じことの繰り返しだ」と述べました。

 ワクチン接種が完了する目処も計画も発言していない菅総理に対しての所感を求められると、「実際に今一番混乱をもたらしているのは、自治体の皆さんに対して。自治体のオペレーションに非常に困難をきたしている。そして医療従事者の皆さんに大変なご負担をおかけをしている。これに対する解決策がなんら示されていない。また、こうした皆さんにお掛けする負担を小さくするためにも、目標や見通しをより早く出していただかなければならないにもかかわらず、それが全く示せていないのは大きなひとつの問題点」だと語りました。
 また、「ワクチン2回接種したからといって、完全に感染しないわけではないことは政府を認めてる。ワクチンだけに頼り、いずれワクチンが来れば大丈夫だと政府がミスリードしている側面があると思っている」「イギリスはワクチン接種の効果もあったかもしれないが、それ以上に大規模で徹底した検査に踏み切ったことにより、感染者を早期発見し、そのことで感染者が大幅に減っているというのが客観的な状況だ」「ワクチンだけに頼った姿勢自体が問題」と指摘しました。

 非常事態宣言の発令など、国民に対して説明する場である衆参両院の議院運営委員会で菅総理自らが答弁しないことに対しての姿勢や、どういった説明をすべきかという質問については、「COVID-19の感染症危機は、おそらく1945年に日米・日中戦争が終わって以降、東日本大震災と原発事故に並ぶ、もっともわが国にとっての大きな危機であると受け止めている。その危機意識や、それに対する当事者意識というものが希薄だとしか私には思えない。ご本人のキャラクターでそれが表に出ないタイプなのかと最初は好意的に見ようと思ったが、この国のリーダーとして、100年に一度規模の国家危機を乗り切らなければいけないという責任感や意識が全く感じられない。そのことを大変残念に思っている」と語り、議院運営委員会の場では、「わずか3週間で緊急事態宣言を再度出さなければならなかった、見通しのや判断を間違えたことに対してのお詫びをすることから始めなければ、多くの国民の皆さん、特に当事者の皆さんは聞く耳を持ってないのではないか」との旨について語りました。