枝野幸男代表記者会見

2021年4月28日(水)14時00分~14時47分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/CaM9owvhCII


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○衆参補選・再選挙の勝利を受けて

【代表】
 改めて、ぶら下がり等ではコメントいたしておりますが、25日の三つの国政選挙、いずれも勝利をすることができました。党員・サポーター・パートナーズ、そしてさまざまな皆さんが立場や党派を超えて応援をいただきました。この場をかりて改めて御礼を申し上げたいと思います。
 既にぶら下がりでコメントしておりますのであまり繰り返しませんが、いよいよ国民の皆さんの今の政治の現状に対する不信、不安、いら立ち、怒りというものを我々がきちっと受けとめることができるということを示していけるように、我々としての責任がより重くなったという意識をしっかりと持って、特に感染症対策、さらには我が国の将来像を明確に示していきたいと思っております。

○『枝野ビジョン 支え合う日本』出版について

【代表】
 個人の立場で出しますのでここで申し上げていいのかどうかわかりませんが、5月20日付で文春新書から『枝野ビジョン 支え合う日本』という題で、まさにこれから目指していく我が国の社会像について本をまとめましたので出版をさせていただきます。
 既にネット書店では先行予約販売が始まっているようでございます。実際に5月20日に近づきましたら、またこれは別途会見をさせていただこうと思っております。

○新型コロナ「ワクチン接種計画」「五輪用の医療体制確保問題」について

【代表】
 感染症について、きょうの午前中もワクチンについてのヒアリングをやっていただきましたが、7月末に高齢者の接種を終わらせるということについては何の根拠もない、あるいは裏づけもないものだということが改めて確認をされたと受けとめているところであります。一方で、多くの国民の皆さんは、7月までに自分は少なくとも受けられるんだと高齢者の当事者の皆さんは受けとめていらっしゃると思います。政府が無理やり、各自治体の事情も考えずに、今、指示をおろしているようでございますが、このことによって自治体に大変な混乱を招く状況になっているのではないかと強く危惧していますし、また、これまでの接種に向けての準備状況あるいは各自治体などの計画を考えると、前倒しをしても7月末までに打ち終わるということは到底困難ではないかと思っております。どうしても7月末までにできるんだというのであれば、かなり具体的な根拠を示していただかなければならないと思っているところでございます。
 もう一点、オリンピックに関連して、(組織委員会が)500名の看護師さんの派遣を要請する、それから30の病院についてオリンピック用に対応してほしいという要請をするということが伝えられております。こうした要請に、本当に今の東京の感染状況、医療の逼迫状況、対応することができるのか。ましてやこの30の病院というのは、例えば選手村等でパンデミック、あるいはそこまでいかなくても多くの感染者が出た場合に備えて、日本人で命の危機の状況にある方を差し置いて空けておくということの意味なのか。そういったことを明確に示していただかなければならないと思っています。少なくとも今のような医療逼迫体制の状況を前提にするならば、新たに、それ自体が不可能に近い困難だと思いますが、オリンピックによって入国される方に対する対応措置を、それこそJOC、オリンピック委員会がきちっと準備をする必要がある。既に感染症対策で非常に困難な状況にある東京都にそれを求めて、仮にも東京都がそれに応じるということで都民の命と健康が害されるようなことになってはいけないと強く申し上げておきたいと思っています。
 感染症について、もう一点だけ。日曜日に突然、ワクチンの大規模接種センターを設置するようにと。自衛隊の皆さんに最大限の協力をいただいてということ自体は、それは前向きな話として受けとめたいと思いますが、詳細がよくわかりません。会場の密を避けられるのか。実際に医師や看護師が自衛隊だけで本当に足りているのか。足りていないとすれば本当に確保できるのか。既にたぶん東京では各市区町村ができる方については最大限確保していると思われるのですが、その中で確保ができるのか。それから東京都知事が東京に来ないでくれと言っているのを、(都内設置会場の接種対象想定を)1都3県と言っているようでございますが、本当に房総半島の一番南から、あるいは埼玉の秩父から人を移動させる、しかも高齢者を移動させるという計画を立てておられるのか。そして、各自治体が既に進めている計画に混乱をもたらさないのかということを大変危惧いたします。これも具体的な裏づけある詳細を早期に示していただかなければならないと思っています。
 あえて申し上げれば、国が行うべきことは、必要なワクチンを確実に間違いなくこの日にどれぐらい届くということを各自治体にできるだけ早くお示しをする。このことこそがまず国がやらなければならない状況であって、国が直接乗り出すというのだったら、むしろ検査の拡大に乗り出していただく。今、ワクチンの接種、既に自治体で進んでいるわけですから、それから医療機関の確保なども自治体はあるわけですから、むしろ大規模に検査をやっていただく。既に何台もの機械を並べて1日12万(件)、1カ所で自動検査するというようなことを民間企業が進めていただいているようでありますので、そういったものなども活用して、国が特に感染が急速に広がって医療が崩壊状態にある大阪・東京などでやるべきではないかと思っております。


■質疑

○金融政策・財政政策について

【「フランス10」・及川記者】
 昨日、日銀の黒田総裁が金融緩和を継続することを発言したが、異次元の金融緩和から8年たっても目標の物価上昇率2%まで至らない。枝野さんはこれはなぜだと思うのかということが一点。
 もう一点が、コロナ禍でどの程度の予算規模で個別補償とかをしていくのか。例えばヨーロッパだったらプライマリーバランスのGDP比など財政規律を凍結してしまっているが、どの程度の規模の予算で日本は臨むべきか伺いたい。

【代表】
 まず第1点目ですが、それこそ5月20日に本を買っていただけると詳細に書いてありますが、金融緩和の意味というのは、潜在的需要が存在していることが前提です。潜在的に需要があるところにお金を調達しやすくなれば、それはその潜在的にある需要が掘り起こされて消費につながっていく。それが経済を活性化させ、結果的に物価の上昇につながっていくということになるわけですが、そもそも潜在的需要が存在していない。潜在的需要そのものを生み出すことを政府がやらなければならないのに、潜在的需要が存在していることを前提に金融緩和とか財政出動だけをやっているから、いつになっても効果があらわれないということだと思います。
 なぜ潜在的需要が存在していないのかといえば、少子高齢社会・人口減少社会があり、一方で昭和の時代に一旦経済大国として物の豊かさが行き渡っている中で、求められて必要としている需要に応じるべきものは実は供給されていない。安心できる老後の医療や介護サービスとか、安心できる子育てサービスという、今、必要・需要があることが提供されてないことが一つ。
 もう一つは、需要側に、消費者側に、そもそも潜在的購買力が存在していない。金を借りても返す当てがないのに金は借りられません。したがって、低所得で、格差が拡大をして、将来の見通しがない、不安定な雇用、これでは金を借りてでも消費をしようという潜在的な需要は顕在化されない。したがって、消費がそうですから、投資のほうもそうなるのは当然のことということです。
 したがって、実は金融緩和は必要条件かもしれないけれども十分条件では全くないというのが昭和との違いであるということです。
 予算規模については、あえて数字は申し上げません。今必要なことは、財政規律に一時的には目をつぶってでも必要な財政出動はするべきであると。現状、当初予算は決定的に足りないと思っています。

○新型コロナ(1)ワクチン大規模接種会場の設置について

【フリーランス・宮崎記者】
 防衛省・自衛隊によるワクチン大規模接種に関して。防衛費は国の予算で唯一全て国費で、地方自治体は募集業務なども含めて国の予算という形で、普段から地方自治体との連携というのは募集業務の人がちょっと挨拶に回っている程度だと思う。個人情報に関しては18歳の人の名簿の提供を受けたり受けていなかったりということで2、3年前ぐらいに問題になった。後期高齢者である私の母親に、地元の地方自治体の北区からクーポン券が来たが、問診票・予診票が2枚入っており、その質問の二つ目が、住民票のある市町村とクーポン券に記載されている市町村は同じですかと。一つ目に、新型コロナワクチンの接種を受けるのは何回目ですかという項目があって、地方自治体もまた国に振り回されるんじゃないかという懸念が初めからあって印刷したのかなという気がする。そういう地方自治体との情報共有をもともとしていない防衛省・自衛隊が大手町などでやるということによって考え得る混乱と、考えようによっては、地方自治体のワクチンは集団接種ではなく個人クリニックでもやるところがあり、日本医師会としてはある程度そういったところにワクチンをやれるようにしたいという意識があるのだろうと私は前から勘ぐっているが、そういったところで官邸がどこまで医師会とコミュニケーションをとれているのか。また、単純に防衛省・自衛隊が情報共有ができるのかどうか、いかがお考えか。

【代表】
 実務的に今のご指摘のような問題でできるのかということ以前の問題として、ワクチンをどうするかという話は、少なくとも半年以上前から、ワクチンがいつ入ってくるかは別として、もうずっと大きなポイントだったし、それがどれくらいの効果を上げるかは今後の問題としてもみんなが期待していたわけですから、何で始まってからこんなことが突然出てくるのかという、そこからそもそも危機管理能力がないことを既に明確に示しているのだと私は思っています。もし突然出てくるにしても、こういうオペレーションでやるから自治体にはもう混乱させませんというようなことが整理された上で発表されなければいけないのに、全く白紙の状態で、ただ1万人を1カ所に集めてどーんとやるということを言っているというのは、何と言うのでしょう、本当に打ち上げ花火政治で、それは平時は通用したかもしれないけれども、この間、アベノマスクに始まって、とにかくこういうやり方だから現場を疲弊させ混乱させ効果が上がらないんだという象徴だと僕は思っています。

【共同通信・玉井記者】
 今の話とも重なるが、そもそもとして、半年前の議論だったかもしれないが、党としては、集団の大規模接種ということに対する評価というか考え方をお聞きしたい。

【代表】
 いや、これは大規模接種がいいとか悪いとかではなくて、やり方を決めてきちっとそのオペレーションを組むということであれば、それは国によっても大規模接種をしているところもあれば個別のクリニックを使っているところもあるようですから、それはどういうオペレーションを組むのかという組み方の問題なので、一律にどっちがいいという話ではない。ただ、自治体単位でやっていくということを一度決めながら、突然ある部分だけ国が直接やると、途中から入ってくるという、こういう朝令暮改が問題だと思っています。

【共同通信・玉井記者】
 改めて、既にワクチン接種の現場は走り出しているわけで、現場の声も吸い上げて聞いていらっしゃると思うので、政府にどのような対応を求めたいと思っていらっしゃるか。

【代表】
 とにかく決めるときには自治体の意見を聞けと。この自治体にお願いをしている案件については、勝手に国で結論をまずぼーんと打ち上げるのではなくて、自治体の意見を聞いた上で国としての方針を出せと。初めから自治体の意見を聞く気がないのだったら、国が直接やれと。こういうことだと私は思います。

○次期衆院総選挙について(1)

【北海道新聞・袖山記者】
 3点伺いたい。次期衆院選に向けて、女性候補の最新の擁立状況と目標があれば教えていただきたい。2点目は、女性候補を擁立する意義、男性議員ばかりになっていることの弊害。そして最後だが、自民党との差別化、次期衆院選で争点の一つとなり得るかどうか伺いたい。

【代表】
 1点目は、今207人公認候補が決まっていると思いますが、その中で女性33人、16.4%と承知をしています。何とか30%を目標にしています。状況を考えるとなかなか厳しいと思っていますが、せめて20%にたどり着かないだろうかということで、最後まで頑張りたいと思っています。
 男性議員ばかりとなっていることの弊害というのは、全国民の代表なので、世の中の半分が女性なのですから国会議員の半分も女性であるのがむしろ普通のことであって、そうでない今の不自然な状況はできるだけ早く解消したほうがいいと思っています。
 自民党と比べれば、たぶん候補者の数・比率も圧倒的に多いのではないかと思っていますが、選挙の焦点となるかどうかは、焦点は有権者が選ぶことなので、こちらがこれが争点だと言って争点になるものではないと思っています。

○新型コロナ(2)「東京五輪・パラ」「政治の責任」について

【フリーランス・横田記者】
 菅総理が、五輪開催の決定権はIOCが持っていて、もう開くしかないという五輪ありき論に対するご意見・反論をお聞きしたい。安心安全な大会の開催が困難な場合、日本側から中止を申し入れて認めてもらうことが無理なのか。それでもIOCが開くと言い張れば契約を破棄することもあり得るのではないか。あるいは、破棄できなかった場合に感染爆発で損害・被害が出た場合の賠償をあらかじめ盛り込むとか、いろいろな対応の仕方があると思うが、枝野代表のお考えを伺いたい。

【代表】
 オリンピックを開くのか開かないのか自体はIOCなのかもしれませんが、オリンピックを開くためには我が国の政府の国家主権である入国管理について例外をつくらない限り実施は不可能だと思います。そして入国管理については、オリンピックも考慮すべき一つの事情だとは思いますが、しかしながら、今何よりもというか政府にとって最大の役割は国民の命と健康を守ることだと思っていますので、政府はオリンピックについても、国民の命と健康を守る上で必要なときにはオリンピックに配慮した入国規制の緩和はしないという判断をするのが政府としての責任だと思っているし、それから、仮に入ってこられても我が国としては選手などについても健康・命の保証をどこまでできるのかということをきちっと示すのが政府の役割だと。それはIOCに対しても、各国のオリンピック委員会に対しても、もちろん国民に対しても、国民の命と健康、そして来られる選手・コーチ・役員などに対する命と健康を守れる保証があるのかということを政府が示す。それが示せなければ結局実施ができないというのは当然だと思います。

【フリーランス・横田記者】
 広島の再選挙で台湾・ニュージーランド・オーストラリアの例を挙げられ、とにかく入国制限を厳しくしている国がコロナゼロに成功しているとおっしゃっていたが、それと同じような対応を今後とって、それで開催できない場合はもうやむを得ないという理解でよろしいか。

【代表】
 まず、台湾・ニュージーランド・オーストラリアは一般的な制度として厳しい入国制限をすることによって、いわゆる「Zero COVID」(ゼロCOVID)を事実上実現している。これを我が国として採用するべきであると。その採用した上で、国内での感染状況や医療供給体制を見ながら、オリンピックについてどの程度の緩和ができるのかを判断すべきであり、今のようにそもそもきちっとした水際対策がない中でどうするかというのは、そもそも前提が違っていると思っています。
 だから、絶対に常にニュージーランドのような厳しい入国規制をオリンピックのために一切緩めてはいけないという立場には立っていません。ただし、まず一般的にはそれをやることが前提であって、それで感染を大幅に抑え込んで、医療の余力を取り戻して、その上でどの程度緩和できるのかということが初めて課題になるのだと私は思っています。

【フリーランス・横田記者】
 最後に、第4波の感染爆発を招いた責任をとって第4波がおさまった段階で菅総理は辞任すべきだとおっしゃっているが、同じように菅政権と足並みを揃えて「緊急事態宣言」を早期解除した吉村知事についても同じ時期にやめるべきだとお考えか。

【代表】
 私、やめるべきだという表現の仕方ではなかったのではないかと思います。

【フリーランス・横田記者】
 辞任ものだという言い方をしていた。

【代表】
 第4波がおさまったら辞任するというのが誠意ある対応ではないですか、という言い方だったと思います。
 どうすべきかということについては、特に地方自治体の首長については、そこの住民ではない私が申し上げる立場ではないので。どうすべきであるかということについては。でも、誠意ある対応ということでは、総理についても東京・大阪の知事についても共通だと思っています。

【フリーランス・横田記者】
 その発言に対して吉村知事が民放のテレビ番組で、そういうことを言うんだったら府知事選で対決しましょうよと、2年間知事を続けた後に知事選で白黒つけましょうという趣旨の発言をしたが、これに対する反論と、そのテレビ番組に枝野代表は出演していなかったので直接対話をしたいと吉村知事はおっしゃっているが、そういう申し入れ、ご予定はあるか。

【代表】
 コメントに値しません。

○参院広島再選挙の結果について

【中国新聞・桑原記者】
 冒頭にもあったが、週末にあった選挙の中でも参院広島再選挙について伺いたい。今回、政治と金の問題への不満などが宮口さんの勝利につながったのではないかと見られている。選挙戦で歳費法の改正を検討したいという話も出たが、今後、選挙が終わって具体的に党としてどのような形で有権者の期待に応えていきたいか。どういう思いがあるか。

【代表】
 三つの選挙、補選(と再選挙)を勝たせていただいたのは、政治と金、それから感染症対策を初めとする現状の政治に対する、最初に申し上げた不安や不満やいら立ちやお怒りだと思っています。それに対してトータルとしてどう最大野党として応えていくのかということなので、個別のことについては当然上がってこられた宮口さんがこの間選挙で訴え、有権者にこういう反応を受けていたといった体感も含めて、しっかりと政調でやってくれると思っています。

○憲法と感染症対策をめぐる議論について

【日本経済新聞・依田記者】
 憲法記念日が近いので憲法について一つ伺いたい。憲法に緊急事態条項を盛り込むべきという考えが前からあるわけだが、このたび新型コロナの感染拡大を受けて、そうした感染症対策の観点からも緊急事態条項が必要だという議論があり、野党の一部でも検討に前向きな姿勢を示すところがあるが、枝野代表は感染症対策といった観点からの緊急事態条項の必要性についてどうお考えか。

【代表】
 感染症対策のために必要な私権制限は、現行憲法でも必要なものは全てできます。憲法上の制約はありません。ですから、憲法上の論点にしている方は憲法がわかってないということだと思います。

○次期衆院総選挙について(2)

【読売新聞・田村記者】
 次期衆院選の小選挙区の協力態勢についてきのうから協議がスタートしたが、比例選について現状で目標得票数があるかと、比例において国民や社民党と連携するお考えはあるのか。例えば、極端な例かもしれないが統一名簿方式とか、そういった可能性はあるのかどうか伺いたい。

【代表】
 私は(民主党・民進党の)幹事長時代から、選挙のときの目標を少なくとも執行部が外で申し上げることはすべきではないと。党の執行部としては、いずれの皆さんにもある意味では人生をかけて選挙に立っていただくわけですから、全員当選を目指す以外のことを言ってはいけないという私は立場ですので、何人の候補者になるかわかりませんが全員当選を目指します。
 それから、統一名簿方式という制度は存在しません。公職選挙法上、衆議院でも参議院でも統一名簿方式と言われているのは新党をつくるということです。立憲民主党は立憲民主党として総選挙も次の参議院選挙も臨みますので、新しい党で違う党の方との名簿、我が党に入っていただければ別ですが、そういうことは制度上あり得ませんので。

○「各党との党首会談」「著書の出版」について

【読売新聞・田村記者】
 きのう共産党の志位委員長と会談されたが、歴史的に共産党と対立関係にあるというか、あまり仲がよくない連合からは、志位さんと党首会談したことに対して反発する声も予想されるが、連合の皆さんにどう理解を求めていくのか。
 別件になるが、冒頭にあった著書の話で、後日また別途会見されるということだが、現状でどんな内容で、どんな思いで執筆されたのか伺いたい。

【代表】
 連合の神津会長との会談にしても、きのうの二つの党首会談、この後の福島さんとの党首会談も含めて、もちろんそこで一致したことも含めてできるだけ何を話したかはご説明を外に向かってもすべきだと思っていますが、そこでしたやりとりを相手の了解もなく勝手に説明をするとお互いの不信感が高まるだけです。おとといの神津会長との会談で、お互いにこれは外に説明しようねといって、あうんの呼吸を含めて、一致していることについては全て既にお話をしています。
 それから本ですが、タイトルのとおり『枝野ビジョン』、中身は『支え合う日本』と。昨年5月に政権構想私案を発表させていただきましたし、それからこの間、その以降だけにとどまらず、あえて申し上げるとこの10年ぐらい私の地元でのオープンミーティングに毎回来ていただいている方にとっては「またその話か」という話にたぶんなりますねという、私が目指している社会像について、かなり詳細に書かせていただいたと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 きょう午前中に国民民主党の玉木代表が、安保政策に対する違いなどを理由として、共産党が入る形の政権であれば私は入りませんと発言したが、それについての受けとめと、玉木代表はいずれかの段階で共産党が政権に入るのかどうか枝野代表に示していただかないと政策の調整も選挙協力もできないと発言されたが、改めてになるが玉木代表の要請に対してどういうふうに答えていくか伺いたい。

【代表】
 先ほどの読売さんの神津会長についてのお話と全く同じ答えです。

○入管収容中のスリランカ人女性死亡問題について

【朝日新聞・吉川記者】
 名古屋の入管施設に収容されていたスリランカ人女性が体調不良を訴え、医師も仮放免を勧める報告をしていたのに、入管施設から許可が出ないまま亡くなった件が問題になっているが、この一連についての受けとめと、今後政府にどういった対応を求めたいか。入管法改正案についての考えも含めてお聞きしたい。

【代表】
 既に明らかになっている経緯だけでも人権侵害に該当する、また適切な行政執行という点でも問題であるというおそれが相当濃厚であると思っています。そもそもが情報公開に応じないという姿勢、あるいは遺族の方に寄り添っていないという姿勢、これは抜本的に変えていただかないと、入管法を変えるとか変えない以前の問題として法務大臣の責任含めてのむしろ大きな政治問題だと思っています。

○国民投票法改正案について

【西日本新聞・川口記者】
 国民投票法改正案について伺いたい。現在憲法審査会の現場に一任されているということなので、その動きについては代表お話しづらいこともあるかもしれないが、一般的に、今、自民党側が採決を求めている国民投票法改正案についてのお考えをお聞きしたい。代表は従来から審査会へのご自身の参考人招致を求めていらっしゃるが、これはいつ行うべきとお考えかということと、仮にこの自民党側が求めている改正案が成立した場合に、次はもう憲法の本体、いわゆる本体論に入るということになるのか、それとも改めてそれまでに何かしら議論すべきことがあるとお考えかについて伺いたい。

【代表】
 現在の国民投票法制定の際には、我々は当時野党でしたが、与野党から法案が出て、たしか併合修正をしたと思います。最終的には折り合わずに採決そのものでは反対をしたと思いますが、併合修正にまで我々応じて、そういう意味では共同してつくってきたと思っています。当時、いわゆるCM等の規制について盛り込んでいないのは、民放連が参考人で来られて、そこで総量規制を含めた自主規制を行うということを明確に答弁された。そのことを前提に、自主規制をきちっとやっていただけるのだから法律上の規制は要らないねということで今の法律はできています。それが、民放連の姿勢が180度変わりました。したがって、現在の法律、CM規制のところは明らかに欠陥法であるし、法の前提が覆っている法律であるということははっきりしていますので、この部分を改めない限り、欠陥法律は執行不能だと思っています。
 それについての経緯は、当時の提案者、立法当事者で、今、国会でやっているのは船田先生と私ぐらいだと思いますので、私だけでは不公平でしょうから船田先生と私を参考人に呼んでいただいて、あのときの立法経緯からすれば現行法は欠陥法でありその部分が改正されなければ執行不能であるということをきちっと説明させていただきたいし、当然のことながら、そういった欠陥の国民投票法を前提に本体の、つまりレールも敷かれていないのにどういう電車を走らせるかということは議論をしても意味がないと思っています。

【西日本新聞・川口記者】
 6日にも採決と言われているが、その採決の前に代表が参考人として立たなければ成り立たないのか、それとも採決した後でも再改正ということで次の議論のときに代表が参考人として入ればいいのか。

【代表】
 まずは、今、足元の問題はそれこそ現場と国対でいろいろやっていますので、私はまだ報告を受けておりませんし、それについてどういう順番とか何とかという問題ではない。ただ、私がそれと離れて明確に申し上げられるのは、現在のCM等の規制について改正がないままでは欠陥法ですから、これに基づく国民投票の実行は不可能であると、違憲・違法であると、このことは明確に申し上げたいと思っています。

【西日本新聞・川口記者】
 その根本が改められない限りは、並行審議であっても本体論の審議に入ることはできないと。

【代表】
 それは意味がないではないですか。レールが敷かれてないのに、どういう列車を走らせるか議論しても。レールをちゃんとしましょうと。レールがゆがんでいて、脱線することがわかっているレールなわけですから。違憲だと思います、現行の国民投票法のCM規制がないことは。それは民放連の責任ですから。

○次期衆院総選挙について(3)

【NHK・佐久間記者】
 次期衆院選が近づいてきているが、党としての公約、マニフェストの検討状況と、どのようなコンセプトのもとでこれを打ち出していきたいのか伺いたい。

【代表】
 これ一つは、何というのでしょう、網羅的・体系的に政調会長のところで議論を進めていただいています。一定程度1度目の区切りはつけて、今、それを集約整理していると報告を受けています。
 ただ、お聞きになりたいのはたぶん目玉政策みたいな話だと思いますが、これはおそらく解散まで決められないと思います。なぜかというと、どう見てもこれはCOVID対策が次の総選挙の最大の争点であるというのは、これはどう考えてもこれから半年以内ですから間違いない。下手すると郵政選挙以来のシングルイシュー選挙になりかねないような、今、圧倒的な重要度を持っている。これについては日々状況が動いているわけですので、本当にその選挙のときにならないと、政府がそれまでにどれぐらい真っ当なことをやるのかやらないのかなどがかかわってくるので、非常にそういった意味で我々も普通の選挙とは違う組み立てが必要だという前提では動いています。

【NHK・佐久間記者】
 きのうの共産党や国民民主党との、これから選挙で協力していこうという前提として、政策の一致点を探っていこうということが大事になってくると思うが、これをどのように探っていくのか。特に例えば憲法に関する考え方だが、大きな話で、国民民主党は未来志向の憲法論議が必要だと訴えているが、憲法改正自体について立憲民主党はどのようなスタンスで臨むのか。

【代表】
 うちもそんなに違っていないと思いましたが。うちの基本政策、今、手元に持っていませんが。
 玉木代表ご自身で近いことを言っているからいいと思うのですが、国民民主党さんと我が党は、特に政策協定という話もきのう出ているのは、連合さんもうちと国民民主党さんと同じ内容の、少なくとも中身については、政策協定を結びたいというご希望をされているし、我々もそれを歓迎するし、それは国民民主党さんもそういう前提でおられるときのう理解しましたので、そこで共有をすると思っています。それはほぼ、既に私は合意をしている共通する理念がベースですねということです。

【NHK・佐久間記者】
 最後だが、共産党と国民民主党と立憲と社民と、野党各党あると思うが、原発に関する考え方、2050年カーボンニュートラルに向けて原発の活用は必要かということをお聞きしたい。原発についてはそれぞれ各党若干意見が違うように思うが、どのようにすり合わせていくか、考え方を共有していくか。違いも含めてどのように整理していくか伺いたい。

【代表】
 まず、政党が違うのだから政策の違う部分があるのは当たり前。その前提だから、どういう連携をしていくのかということをどうやってご相談をしていくのかと。我が党以外の3党もそれぞれに違いがありますので、それぞれとの間で何が一致しているか、その一致度が大きければここまでできるねと、一致度が小さければこの程度だねと、あるいは連携できないねと、そういうことになっていくわけなので、それを具体的に始めていくと。あえて申し上げれば、国民主党さんとは、国民民主党さんも我が党と連合で結んだ「共有する理念」については我々も考え方は一緒ですとおっしゃっているので、こことはほぼ共有できているのではないかという中で、もちろん部分的には違うことはあるわけですが、それを前提にしながらやっていくというのは当然のことです。

【NHK・佐久間記者】
 カーボンニュートラルについてはどのようにお考えか。原発が必要か。

【代表】
 逆に言うと、原発はやめていくと自民党もずっとこの10年言い続けて約束してきたことを、自民党が極端な方針転換をしているということをまず皆さんもしっかり報道していただきたい。自民党はなくしていくというはずだったわけです。
 それから申し上げると、既に「原発ゼロ」は事実上実現している、原発が稼働しなくても電力は足りているという中で、カーボンニュートラルを原発を動かす言いわけに使っているという姿勢は許されるものではないし、そもそも言いわけに使っているんだと。このままでは原発がなくても足りてしまうのがみんなに知れ渡ってしまうのでカーボンニュートラルを言いわけにしている、そういった姿勢は許されることではないというのが現時点で申し上げられることです。

○議員活動用のJRパスについて

【フジテレビ・大築記者】
 国民民主党の山尾志桜里さんが、週刊誌の報道で、議員に配布されるJRパスの不正利用をしていたという報道がされた。議員パスで買い物や知人男性宅に行かれていたということだが、こういった使用についてどのように思われるか。

【代表】
 なかなか、どこからが私用でどこからがまさに公務なのかというのは国会議員の場合は線引きが難しい部分があるので、そこに誤解を招かないようにという努力・配慮は必要なのだと思っています。詳細どういうところでどう使ったのか、週刊誌は見出しはよく存じ上げていますが詳細まで読んでいないので、ちょっと何ともコメントのしようがありません。

【フジテレビ・大築記者】
 代表ご自身が自分の私用で利用したことはあるか。

【代表】
 私用ということではないという自信はあります。ただ、公務で移動する途中で私用をすることはありますので、その途中で寄り道したことをどう捉えるのか。寄り道、遠回りして路線を広くしたら、それは完全私用だと思いますが。ということは皆さんでも通勤の途中の駅で降りて買い物をして、また通勤経路の電車に乗ってということがあるようなことは、それはありますが、そもそもその移動そのものが私用であるということはない、使わないということです。

○丘みどりさんのご結婚について

【フジテレビ・大築記者】
 紅白歌合戦にも出場されていた丘みどりさんが妊娠・結婚された。代表もツイッターで、歌がうまかったなどと発信していたことがあるが、もし受けとめがあれば教えていただきたい。

【代表】
 今の日本の女性で、僕としては彼女は演歌と思っていないのですが、流行歌・歌謡曲歌手としては非常に歌のうまい方で、いい歌を歌われてきているので、大変ファンですし、私のカラオケのレパートリーを新曲を出すたびに広げていただいているという大変ありがたい存在です。
 ご結婚されて妊娠されたということは大変おめでたいことで、お祝いを申し上げたいと思いますが、(先月リリースされた)「明日へのメロディ」という大変いい曲。丘さんの歌は大体いい曲が多いのですが、非常にいい曲で、たぶんこれが代表作になるのではないかと期待して、今、一生懸命カラオケを練習中、カラオケに行かないでカラオケ練習中なのですが、ちょっと話が飛ぶかもしれませんが、女性の皆さんの結婚、特に出産とキャリアの問題というのが非常にわかりやすく出てきているのではないのかなと。歌手として非常に脂が乗り切って、非常にいい曲に恵まれて、というところでの出産がキャリアロスになるんだろうなと。でも、それは彼女だけではなくて、皆さんも含めて、どうしてもそういったものがつきまとってくるということに対して、そのキャリアロスを生まないようにどう社会全体でつくっていくのかというのは、非常に有名人でわかりやすい例なのですが、たぶん多くの働く女性はどんな仕事にしても同じようなことを、せっかく脂が乗り切って「さあ、ここから仕事のほうも勝負どころ」というときにご出産ということで大変なケースを抱えていらっしゃるということを改めて感じています。それをどうやって解決していくのかという重要性を感じています。

○高浜・美浜原発の再稼働手続について

【京都新聞・国貞記者】
 先ほどちょっと原発の話が出たので関連で伺いたいが、本日関電の高浜・美浜原発、40年を超えた老朽原発が再稼働するということで福井県知事が同意を表明しているが、東日本大震災以降、老朽原発を動かすということに関しては初めてになると思う。それに関して代表はどう受けとめているか。

【代表】
 知事は認めたみたいですが、知事に限らず地元の合意といったときに、全員が合意することはあり得ませんが、本当に周辺自治体、それは立地自治体だけではなくて万が一事故が起きた場合に影響を及ぼし得ると考える周辺がみんな賛同しているのかどうかという検証が必要だと思っていますし、それから実効性のある避難計画が本当にできているのかというのは国のベースで、あるいは我々のベースからも、しっかりと検証しなければなりません。
 それから、先ほど申しましたとおり、政府・自民党も原発への依存度を可能な限り低減するというのが従来の公約だったはずなので、そういう観点から、本当にこの40年廃炉原則を覆すような稼働が必要なのかどうか。安全とともに、そうしたことについては厳しい検証が必要だと、少なくともまず国会における説明責任があると思っています。

○「各党との党首会談(2)」「消費税」について

【「フランス10」・及川記者】
 党首会談でれいわ新選組が入っていないが、今後れいわとは会談するおつもりはあるのかということが一点。
 代表は新立憲の代表になられた直後に各社のインタビューを受け消費税についてもご発言されていたが、マニフェストに消費税についてどのように盛り込むのか、あるいは『枝野ビジョン』で消費税について言及されているのか、されているとしたらどんな感じなのか伺いたい。

【代表】
 まず、きのうからの三つの党首会談は、この参議院選挙で具体的に候補者を擁立しないでいただいたことを初めとして、そういった形でお力添えをいただいた各党の皆さんにご挨拶をさせていただいているということなので、それ以外の政党とするつもりはありません。
 消費税について、『枝野ビジョン』でも触れておりますが、それは本を買ってください。

○次期衆院総選挙について(4)

【フリーランス・横田記者】
 広島再選挙のときには「市民連合」が間に入る形で立民と共産党が同じ政策協定をもとに支援したということがあるが、連合が間に入って国民と立民が同じ政策協定を結ぶのと同じように、「市民連合」が入る形で共産と立民が同じ政策協定を結んで候補者を支援するという形態はあり得るか。

【代表】
 水面下でいろいろなことが全くないということは言いませんが、全てきのうからいろいろと話をしていきましょうということですので。ただ、地域ごとにいろいろな経緯と状況があるということを踏まえていろいろ考えたり相談したりしなければいけませんねということは、国民民主党さんとの間でも共産党との間でも、そのことはお話をさせていただいています。全ては今後です。