参院予算委員会は10日、集中審議をおこない立憲民主党から蓮舫代表代行が質問に立ち、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)対応、東京オリンピック・パラリンピックへの対応について質疑をしました。
蓮舫代行は、COVID-19の無症状者を早期に把握するために、繁華街でモニタリング調査をおこなった結果についてただしました。田村厚労大臣は「4月19日の週は約1万5千件検査をおこなっております。4月26日の週は約3万2千件おこなっておりますので、当初目指しておりました(1日あたり)約5,000件にかなり近づいてきてる」と強調しました。蓮舫代行は、「平均は1,211件しか検査していない。流行の兆しをつかむことができない数字だ。従事者の検査も必要というが、半分しか実施できていない」と指摘。田村大臣は、「高齢者施設は各党都道府県で対応して進めていて、いろいろな事情がある。スクリーニング検査の実施率は40%を求めてきたが、全国42%で何とか目標をクリアした」と成果を示しました。蓮舫代行はこれに対し「リバウンドした後に目標をクリアしてもだめです。リバウンドを防ぐのが目標でした。そのずれは是非正していただきたい。頑張っていらっしゃるのは分かるんです。現場に指示が徹底できない目詰まりがあるのであれば、それは取り除かないと。せっかくの政策執行で税金もかかっているのだから、認識を同じにしてほしい」と強く求めました。
さらに蓮舫代行は、「総理、そろそろ政府のコロナ感染症対策の方針を変えませんか」と提案。立憲民主党が「zeroコロナ戦略」を掲げていることを示し、「徹底的に検査して(感染を)封じ込めることをしませんか」と迫りました。菅総理は感染対策について、「一番の要因と言われる飲食、お酒を中心に持ち込み禁止にするという強い措置、ワクチン接種だと思っている。世界の状況を見ても、ワクチン接種を進めていくことで、大きく改善するのも事実」と答弁しました。蓮舫代行は、「ワクチン接種は否定していない。協力する、何でもやる。しかし、日本の接種率は低い。医療従事者でも2割。積極的に検査して対応する、こういう戦略に変えないか」と改めて求めました。しかし、菅総理は同様の答弁を繰り返すのみでした。
続いて蓮舫代行は、インドで報告されている変異株について対策は万全なのか質問しました。4月の入国者のうち感染が判明した人の57%がインド、パキスタン、ネパールの3国から入国したと指摘。5月の入国者については「入国者の感染者の74%がこの3国から来ている」と述べました。そのうえで、「空港で検査をすり抜けた人はいるか。その人たちを追いかけているか」と質問。田村大臣は「健康観察をやっているが、全体としてインド変異株ということはつかんでいない」と答えました。蓮舫代行は、「すり抜けた人たちを抑えきれていない恐れがある。極めて心配だ」と述べ、市中感染の恐れもあるとして「在インド邦人は全員隔離をし、徹底的に健康を守って差し上げる。合わせてインド、パキスタン、ネパールからの入国を停止してください」と求めました。
また蓮舫代行は、救急患者の搬送先が決まらない「救急搬送困難事案」のケースがどのくらいに増えているか質問しました。武田総務大臣は、「コロナ前と比較して1.8倍の高い水準になっている」と説明。この状況に蓮舫代行は「(東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の)指定病院ではオリンピック・パラリンピック選手と搬送困難事案の患者のどちらを優先するか」と菅総理に質問しました。菅総理は、「選手と一般の方が交わらないようにする。宿泊施設は競技会場に限定して、動線分離を徹底して移動を専用車両に限定して、ルールに反したら大会参加資格をはく奪する。外国人選手にこういう管理で対応したい」等と答弁。蓮舫代行は、「総理、日本国総理として答弁はたった1つ。『国民が優先される』でしょう。守るべき命は国民ではないか」と強く迫りました。
最後に蓮舫代行は、「(オリンピック・パラリンピックが)無観客なら900億円の収入がなくなる。都が払えなかった場合には国が払うことになる。この東京オリンピック・パラリンピック大会は一度立ち止まるべきだと思う。最後に総理に確認をしますが、総理は見直さないという姿勢なのは今日よくわかりましたが、開催都市である東京都の小池知事が突然中止を言い出すということはないですね」と質問しました。菅総理は「私は答える立場にありません」とだけ答弁。蓮舫代行は、「その判断をされたらIOCはさまざまな免責をされます。賠償免責その部分のお金は都が払えないと国が払うことになる。『答える立場にない』と私は思いません。先ほど国民の命を優先してほしいと言いましたけれども、オリンピックの選手も当然来られるのであれば、その健康を守るという姿勢を私たちも思っています。ぜひ見直しを考えていただきたい」と求めました。