立憲民主党は2日、性犯罪に関する勉強会を国会内で開催しました。桃山商事の清田隆之さんから「世界で進む『性的同意』の議論。俺たちは男はその意味を理解できているのか」と題する講演を聞いた後、意見交換しました。冒頭、勉強会の主催者の一人である寺田学性犯罪刑法改正に関するWT座長は、男の子を持つ親として「性的同意がどういうものであるかを子どもに教える立場にもなる。自分自身の中の性的同意についての考え方をそのまま、子どもへと伝えていっていいものか。改めて議論し認識をアップデートすることが大事だ」と発言しました。

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 清田さんは、日本の刑法で定められている「性的同意年齢」、すなわち性行為をするか否かを自ら判断できる年齢の下限を13歳と規定していることについて、例えを用いて警鐘を鳴らしました。「13歳の女子が大人の男性に迫られ、同意のないまま性交をしてしまったとしても、暴力や脅迫の存在や、最後まで激しく抵抗した事実を自ら立証できない限り、相手男性を罪に問えないことになる」と述べました。

 2017年、110年ぶりに刑法が改正(※)された際「性的同意年齢」の引き上げも議論されたが、法務省や国会での議論の末に見送られたと日本の議論の経過を報告しました。その一方、世界各国で「性的同意年齢」が引き上げられていると紹介しました。「性的同意」が人権の問題と指摘する清田さんは、「すべての人間は不可侵な存在で、自己決定権を有する。恋愛や性行為は互いの境界線を融解する性格を持つ。さらに恋愛関係にはさまざまな要素が関係してくる。支配や暴力といった人権侵害のリスクと紙一重でもある。性行為中にあっても言葉で意思や反応を逐一確認していくことが大事。はたして13歳にそういった判断が可能なのか」と疑問を呈し、「不同意性交等罪」の成立、「性的同意年齢」の引き上げの必要性を訴えました。

 出席者からは「性的同意年齢について言うと、13歳と成人が性行為に及ぶ時、前者と後者を同等に考えていいのか。前者が判断が可能な年齢に達しているのか。両者では置かれている環境も全く違う。経済的に自立していたり、自分でいろいろなことを選択できる人とそうでない立場の人とを、同等に考えることは難しいと思う」「男女の認識の違いを踏まえて、この問題に立法者としてどう表現していくか。それには自分と違う性の存在を前提として組み立てていく必要がある」などの意見がありました。勉強会には、泉健太政務調査会長、WTとともに主催した近藤和也青年局長らも出席しました。

※改正刑法の関連部分
 第176条(強制わいせつ) 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6か月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。
 第177条(強制性交等) 13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は、強制性交等の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。13歳未満の者に対し、性交等をした者も、同様とする。

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左から順に寺田WT座長、泉政調会長、清田さん、近藤青年局長