枝野幸男代表記者会見

2021年7月29日(木)13時00分~13時46分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/CieME7uIY4o


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○新型コロナ感染急拡大について

【代表】
 私から冒頭2点申し上げたいと思います。
 まず、COVID-19についてです。
 東京における新規感染者が3000人を超え、全国にも感染が広がって1日9000人を超え、いずれも過去最多となっております。さらなる拡大がとまる兆候は見られません。私たちが心配をしていた状況が現実のものになっていると言わざるを得ません。また、アスリートを含めたオリンピック関係者の感染も連日のように伝えられており、この点でも事前の政府の説明が全く実態を伴っていなかったことが明らかになっております。
 そんな中、東京オリンピックではアスリートの皆さんやそれを支える皆さんが、厳しく難しい状況の中でも最善を尽くして競技に臨んでおられます。困難な中でも感染拡大を防ぎつつ何とか競技を円滑に遂行しようと努力しておられる現場のスタッフやボランティアの皆さんを含めて、心から敬意を表したいと思います。政治がどう判断しどう準備すべきであったかという問題と、アスリートの皆さんなどとは、直接関係ありません。長年の努力の成果が自信を持って発揮できるよう、テレビの前で応援をしておりますし、日本選手の活躍を喜んでおります。
 これに対して政府は、事態を根拠なく楽観的に受けとめるのではなく、まさに深刻に受けとめ、緊急事態に対する危機管理として、より強い緊張感を持ち、国内における感染拡大の抑制や医療体制の確保、そしてオリンピック関係者の感染防止に当たることを強く求めます。
 特に、オリンピックが開催されている一方で、人流の抑制など国民の皆さんにより一層のご協力をお願いし、かつ、それにご理解をいただくには、総理や例えば東京都知事などが積極的に前面に出て事態を率直に語り真摯に自分の言葉でお願いをすることが不可欠であります。総理には、自由な質問が制約されることがないよう十分な時間を確保した記者会見を行うことはもとより、一日も早く臨時国会を召集して、国会の正式な場で直接かつ十分な説明と国民の皆さんに対するお願いをなさることを強く求めたいと思います。
 また、繰り返し提案してきているとおり、飲食店などを中心に、業種や地域を問わない事業支援として、持続化給付金をバージョンアップして再給付し、協力できる状況を急ぎ整えるべきであることを重ねて強く求めたいと思います。
 総理は、国民の命と健康が守れないということであればオリンピックはやらないと言ってきました。その中での現在の状況です。それだけに、政府そして菅総理には、国民の命と健康を守る責任から逃れることなく真正面から向き合うことを強く求めてまいります。

○ジェンダー平等推進とガバナンスに関する抜本的改革案を整理

【代表】
 2点目、本多前衆議院議員について申し上げます。
 既にご承知のとおり、27日の朝、本人から離党届が提出されました。党員資格停止1年という倫理委員会に諮問していた処分よりも重い判断をされたことを受けとめ、党としての処分は行わず離党届を受理しました。その後、ご本人の判断で衆議院議員を辞職されました。
 ジェンダー平等の推進に期待していただいてきた皆さん、特に党ワーキングチームでお話を伺った島岡先生、そして性犯罪被害者の皆さんに、党を代表して改めておわびを申し上げます。また、前回選挙で立憲民主党に投票いただいた皆さんを初め全ての国民の皆さんにおわびをいたします。
 今回の事態と経緯を反省し、その教訓を踏まえて、4点の抜本的改革案を整理しました。この後、執行役員会などの了解を得て、精力的に進めてまいりたいと思います。
 第一に、党全体として、性犯罪の実態や、その背景にある日本社会が抱えるジェンダー差別の本質について、十分な認識の共有がなされていなかったことを反省し、私自身が先頭に立って抜本的に変えてまいりたいと思います。特に、性交同意に関する自由意志などの規定や実態を含む現在の性犯罪に関する法体系など、日本社会が抱えるジェンダー差別の本質について、女子差別撤廃条約や、国連女性差別撤廃委員会による日本政府に対する累次の勧告などを踏まえた認識の共有を進めてまいります。具体的には、女子差別撤廃条約や政府への勧告についての研修を、最終的には都道府県連まで含めて順次進めるなど、改革プログラムをつくり実施過程を公表してまいります。
 第二に、そもそもの背景として、今回のワーキングチームでの議論も含め、議論や意思決定の場に圧倒的に女性が少ないという実態が存在します。私自身を含め、党内のみならず政治の世界に男性が、とりわけ、ある程度年齢のいった男性が圧倒的に多いという現実がある中で、ジェンダー平等を掲げながら、足元の党内でどのようにそのことを実現していくのか、積極的な姿勢が足りなかったことを真摯に反省しなければなりません。個々のジェンダーにかかわらず、私たちは全国民の代表として、さまざまな立場の人の視点に立って日々活動しています。私自身も選択的夫婦別姓の実現に向けた活動などジェンダー平等の推進に一定の役割を果たしてきたとの自負があります。しかし、ジェンダー平等のためには、可能な限り社会と同じ性別構成や年齢構成を目指していく必要があります。ポジティブアクションの採用を含め、各級選挙における候補者選定や党本部事務局スタッフまで含めてジェンダー平等の実践を図ってまいります。この努力を進めることによって、できるだけ早く、政策決定過程に当たり前に女性の視点が入っている状況をつくっていきます。この秋の総選挙を経て、その次の総選挙までには確実にこの状況をつくっていくため、精力的な取り組みで、候補者、議員、そして党職員も含めて、女性比率を2030年には最低でも3割を超えるよう、具体的に目標を定めて実践してまいります。さらに、政権を担当した際には、現政権が断念した、指導的地位の女性割合3割達成を現実的に達成するロードマップをひいて、これを強力に推進することをお約束いたします。
 第三に、以上2点について党を挙げて精力的に推進するため、規約に基づく党の常設機関であるジェンダー平等推進本部の本部長を私自身が務めることといたします。規約上は幹事長や政務調査会長に対する提言機関のような位置づけになっていますが、私自身が本部長を務めることで、より強力かつ直接的にジェンダー平等の視点を党運営や政策立案に反映させてまいります。特に政務調査会におけるジェンダー差別に関連する会議体の設置に当たっては、ジェンダー平等推進本部との共管として、政策決定過程にジェンダー平等推進の視点が重視される体制を担保したいと思います。
 第四に、今回の問題の発端が、政務調査会に設けられたワーキングチームにおける議論での発言であったことから、情報管理のあり方と自由闊達な議論の担保など、ガバナンスのあり方が問題となりました。まず、党内において自由闊達に議論がなされるべきであることは当然としても、それが党の公式の会議の場における国会議員としての公的な立場に基づく発言である以上、責任を伴うことも当然であると考えています。何より私たちは、政府・与党に対して、意思決定過程の議事録作成とその情報公開を求めてきています。発言された政策内容自体の是非・賛否そのものによって党としての処分対象になるようなことは当然あり得ませんが、その議論の過程における党内会議での発言は、外部に公開され得ること、そして、その表現のあり方によっては社会的・政治的に強い批判を受け得ることについて再度認識を深めるよう党内で徹底してまいります。一方で、非公開の前提でなされた内容が外部に伝えられた経緯について疑義が示され、また、詳細かつ正確な発言内容の確定に困難をきたしたことは、ガバナンスの問題として速やかに改善しなければならないと思っています。一般的な公開の有無、問題が指摘された場合に備えた正確な記録とその管理、必要な場合の公開基準などについて、政務調査会を中心に、立憲民主党が準備を進めている情報公開法などの改正案で政府に求めている基準をもとに、速やかにガイドラインをつくるよう指示してまいります。同時に、党員の倫理の確保に関して、倫理規則第3条及び第5条3項に規定する調査について、事実関係の確定に困難をきたす場合に備えた第三者的調査体制の整備など、より迅速かつ公平な手続を担保するための改善策を私自身がトップとして整理をしてまいりたいと思っております。
 重ねて今回の事態についておわびを申し上げますとともに、以上の改善策を出発点として、ジェンダー平等の推進を掲げるにふさわしい党内の認識共有と党のあり方そのもののジェンダー平等化に向けた積極的な取り組みを推進し、失われた信頼の回復に全力を挙げることをお約束申し上げます。


■質疑

○「感染拡大防止対策」「五輪」「ジェンダー平等推進」について

【NHK・佐久間記者】
 3点伺いたい。「緊急事態宣言」が繰り返し出されているが、出されるたびに実効性がなくなっているように思われる。立憲民主党として、「緊急事態宣言」などに対して何が実効性を持たせるために必要であるのか、今の政府に欠けている点を中心に伺いたい。
 2点目。オリンピックについて代表は常々、命と暮らしが守れないのであれば五輪は延期・中止すべきという趣旨のことをおっしゃっていたが、感染者数が過去最大になるなど、現状どのように思われているか。中止すべきなのか、またはどのような選択肢があり得るのか伺いたい。
 3点目、政権実現の際には女性の指導的地位の実現をというご発言があったが、これは公約に盛り込んでいきたいというお考えなのかということ、これはいわゆる「202030」のことなのか。30%を目指すという趣旨のことなのか伺いたい。

【代表】
 まず1点目でございますが、少なくとも二つの点が決定的に欠けていると思っております。
 まず一つは、政府あるいは総理自身の国民に対する説明と説得が全く足りていません。政府みずからが非常に楽観的な見通しを今なお繰り返しているという状況であります。政府が楽観的な見通しを示しているのですから国民の皆さんが楽観的な方向に流れるのは当たり前のことでありますし、多くの皆さんが既に1年半、もちろん事業者の皆さんは実質的に大きな影響を受けているだけでなく、他の一般の皆さんもさまざまなことを我慢を重ねていただいているという状況の中で、それでもご協力をいただくためには、総理から真摯なメッセージが発信されない限りなかなか効果は出ないというのはある意味当然のことであり、効果が出ていないのは効果が出るような努力を政府がしていない、メッセージ発信をしていないということがまず非常に大きいと思っております。
 2点目に、特に飲食店などの事業者の皆さん、補償もないまま1年半。これでは、協力に協力を重ねてきたけれども、いよいよ倒産・廃業ということに迫られているという方をたくさんつくっている。先ほど冒頭にも申し上げましたとおり、協力できる状況をつくる、その政府の責任。私たちは一貫して、補償とセットということを申し上げてきました。その具体策としても持続化給付金をバージョンアップして再給付するという具体的な提案をしております。  少なくともこの2点がないと国民の皆さんにご理解をいただくことはできないし、政府に対してはこの2点を強く求めてまいりたいと思っております。
 オリンピックについてですが、もう我々が危惧したとおりの状況になっており、大変残念な状況の中でのオリンピックになっております。一方で、そんな中にもかかわらず、アスリートの皆さんには、本当にその困難を乗り越えるべく競技に邁進されている姿には頭が下がる思いであります。
 現状日程が半分近くまで進み、世界各国から既にアスリートの皆さんなど多くの外国の方が来日し日本の国内で活動されてしまっております。こうした状況と、もう一つは、この間、内閣の内部ですら統一的で迅速かつ適切な対応が今の政府にはできておりません。この段階で、この状況でオリンピックを中止や中断をすれば、かえって想像のつかない大きな混乱を招くということも強く危惧をしているところであります。
 私たちは、政権を担うべき政党として、あるべき論と同時に現実というものを冷静に見極めなければならないと思っております。まずは、アスリートの皆さんには、目の前の競技に集中をして全力を出していただきたいと思います。そして、政府、特に総理は、総理自身が国民の命と健康が守れないということであればオリンピックはやらないと言ってきたわけであります。その中でのこうした状況であるということを重く受けとめて、国民の命と健康を守るという責任から逃げることなく真正面から向き合って対応することを強く求めてまいりたいと思っております。
 3点目でございますが、ご指摘いただいたとおり、2030、30%実現という政府が事実上断念している目標達成に向けて、政権を2029年にとったらどうするのかみたいなことは聞かないでいただきたいと思いますが、この秋の総選挙で政権をとれば、ここから10年弱の間でありますが、現実的に達成するロードマップをひいて強力に推進するということは、どの紙にどう書くかという話は別として、ここで申し上げているので我が党としては明確な公約であります。

○次期総選挙について(1)

【読売新聞・田村記者】
 次期衆院選に向けた候補者調整のことで伺いたい。現状で立憲民主・国民民主・社民・共産の主要野党4党で候補者一本化というかすみ分けされている選挙区が200近くに上る。前回17年の衆院選は、直前の混乱で、候補者が一本化された選挙区は100にも満たなかったが、今ここまで一本化が進んだ現状をどう評価されているのか伺いたいのと、毎度聞いているが、残る候補者が重複する選挙区でどの程度一本化を目指していきたいか、お考えを改めて伺いたい。

【代表】
 従来から私は、衆議院選挙は参議院選挙と違って全ての選挙区で自公の候補者と対抗する候補者を一本化することはできないし、そのことは目標としないということを申し上げてきました。まさに一本化によって小選挙区をとり得る50から100ということを繰り返し申し上げてきているとおりでございます。そうした意味では数的には目標を大きく超えているということも言えますが、一方で、数の問題ではなくて、本当に競るところでしっかりと野党各党の連携ができるのかどうかということになってまいりますので、これは選挙の状況を踏まえながら、そして各党のご意向あるわけで、我々がこうしたいというだけではできないわけですから、見極めていくということに尽きると思っております。

【読売新聞・田村記者】
 もう一点、国民民主党との選挙協力で伺いたい。全国で、例えば長崎1区や茨城5区など、国民と共産党で候補者がバッティングしている選挙区が10区ほどあるが、そういった選挙区では先日の連合との政策協定や国民との覚書を踏まえて国民の陣営を応援するということになるのか。というのも、先日の都議選で立憲の一部の方が共産党陣営を支援されたということで、国民の中から、衆院選でも国民ではなくて共産のほうを応援するのではないかみたいな意見が出ているらしいが、代表としての考えをお聞きしたい。

【代表】
 連合の皆さんと政策協定の中で明確にお約束をしております。このお約束を守っていただくことは、少なくとも自治体議員も含めた議員や、もちろん公認候補者は、当然そのお約束を守って活動していただくということになります。

○全国戦没者追悼式について

【フリーランス・宮崎記者】
 8月15日に例年開かれている全国戦没者追悼式に関して伺いたい。おととい総理が厚労省社会援護局長とかなり長時間話したようだ。昨年は半分オンラインという形になったが、ことしは各県1人ずつ遺族代表ということで、青森県や秋田県などは既に1人も送らない方向になっているようだ。
 8月15日に関して、そもそも8月15日を終戦の日とする根拠は特段我が国の法律の中になく、ポツダム宣言を受諾するという昭和天皇陛下の国内発表があったのが8月15日の正午で、8月14日をポツダム宣言受託の日とする考え方もあれば、ソビエトなどは9月2日のミズーリ号での降伏文書調印を終戦の日とし、そもそもヒトラーが自殺したのは4月、沖縄の終戦は6月、イギリスなどは1945年の7月にもう解散・総選挙をやっていて、韓国は8月15日が光復節、インドネシア独立の祝日は8月17日。8月15日にそもそも法的根拠がない、鈴木内閣の決定だけだといったところで、遺族年金といったことも含めた何らかの政治的思惑があったのではないかと言われている。
 ことしの8月15日、現在、天皇皇后両陛下と閣僚は日本武道館に集まる前提で準備が進んでいるかと思うが、今後も8月15日の戦没者追悼式が、ウィズコロナで日本だけのグローバリゼーションとかも見直されつつあるが、やるべきなのか。あくまでもことしの8月15日は、オンラインという形になるかもしれないが、両陛下そして閣僚が日本武道館に集まる形がよいとお考えかどうか伺いたい。

【代表】
 まず、法的にはいろいろな見方があるというのも確かかもしれませんが、少なくとももう75年以上にわたって、8月15日をもって少なくとも国内的には日中・日米戦争が終結したということが共有されているわけですし、それは他の選択というか法的な根拠のとり方もありますが、鈴木内閣において終戦の詔勅が陛下の名で出されているのも8月15日で間違いありませんので、私は少なくともこのことを社会的な前提として8月15日を我が国が戦争をやめて再出発をした日とするということに何の問題もないと思っております。
 そして、この手の式典をどれぐらい長きにわたって続けるのかということについては、いろいろな議論があると思います。これは党の見解ではなくて私の見解としてお聞きいただきたいと思いますが、二度と戦争はしないというのが、あのとき、特に当時現役であった先輩世代の皆さんの強い思いであり、それが今に引き継がれています。したがって、次に戦争をしないという約束が守られている限り、ずっと続けていけることが、まさにその二度と戦争はしないという誓いが守られていることそのものの証だと思います。8月15日を続けられる状況をつくっていくということが必要だと思っております。
 その中で、ことしどうするのかということについては、(新型)コロナの感染状況、特に参列される方はどうしても高齢者が非常に多いという中において、ワクチンは一方で高齢者では進んでいるとは言えますが、そこはことしについてどうするのかということは、それこそ本来であれば感染状況などについての状況を一番把握している政府において責任を持って判断をいただきたいと思っています。

○横浜市長選について

【産経新聞・田中記者】
 来月、横浜市長選が行われるが、菅総理は横浜の地元タウン誌で、全力で応援するときょう書いていた。立憲民主党はこの横浜市長選をどう位置づけ、国政あるいは衆議院選挙にどういう影響を与えるものだとお考えか。

【代表】
 いつも申し上げておりますとおり、国政に与える影響で自治体の政治や選挙を考えるということ自体が、地域主権という考え方に矛盾をすると私は思っております。
 菅総理は、自民党の総裁であると同時に横浜選出の国会議員でいらっしゃいますので、私も、この前4選をしましたが、12年前のさいたま市長選挙のときはまさに総力を挙げてさいたま市民として選挙を戦って現職を破って勝たせていただきましたが、その立場でおっしゃったことなのか自民党総裁の立場でおっしゃっていることなのかはきちっと整理しなければいけないだろうと思います。
 私が立憲民主党の代表であり横浜市民でない立場から申し上げるのは、神奈川県連が責任と自信を持って、いい候補を擁立していただいた。そして神奈川県連からは党本部として最大限のバックアップをしてほしいという要請が来ておりますので、それに応えていきたいと思っています。

【産経新聞・田中記者】
 神奈川県連最高顧問の立場でおっしゃったのかもしれないが、江田憲司代表代行は、五輪終了後にコロナ対応も含めて政権への審判が下る選挙になると以前おっしゃっていたが、そういう認識か。

【代表】
 その言葉を、神奈川県連の当事者である江田代表代行がおっしゃるのと、横浜市民でも神奈川県民でもない私が申し上げるのは意味が違ってくると思います。

○本多議員の離党・辞職について(1)

【フリーランス・堀田記者】
 本多さんの問題で、7月12日の月曜日に枝野代表が本多さんと、どこかでお会いしたか知りませんが、離党を促したと。それに対して本多さんはそれをキャンセルしたと言ったが、促したのは確かか。

【代表】
 本多(前)議員がご自身でお話しになっていますので、私から申し上げても問題ないと思いますので申し上げますが、12日の夜、直接お目にかかって、本多議員のためにも、そして党のためにも、みずから離党されたほうがよろしいのではないかと強く促したことは間違いありません。それに対して本多議員は応じていただけなかったという経緯があったことは間違いありません。

【フリーランス・堀田記者】
 枝野さんと本多さんのつき合いはとても長い。政策秘書を9年間やっていたと思ったら、本多さんはこの前の会見で10年間だと言っていた。この政策秘書をやっていたときに、東北大学法学部出身の枝野さんと、北海道大学法学部出身の本多さんで、あのような、12月に札幌地裁で画期的な判決があったわけだが、そういったことをお話ししたことはあるか。石田さんの例だが。

【代表】
 私は、今回の党としての手続について、党の代表として責任と関与しておりますが、そのことについて私が一方的にお話しすべきでないと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 一般的に、離党を促したという点だが、この問題が始まってからとても時間がたっていると思うが、その点をどのように枝野さんは考えていらっしゃるか。

【代表】
 これは先ほど冒頭発言でも申し上げましたとおり、今回の点、何点も反省することがございますが、事実関係の確定に困難をきたす場合の、倫理規則などに基づく調査のあり方ということについて、十分な体制を整備していなかったということは大変反省すべきことだと思っております。例えば幹事長は党を守らなければならないし、ある意味では個々の議員を守らなければならない、一方で問題があれば倫理委員会に処分を申し出る担当でもあるということで、非常に複数の側面・立場を持って調査に当たらなければならないというのが現行規定上の手続になっていて、なおかつ事実関係の確定に困難をきたす場合において、じゃあどこで誰がどういうふうにやれば公平で迅速にできるのかということは、今回大変大きな課題として突きつけられたと思っておりますので、この体制は迅速に改めたいと思っています。

○ジェンダー平等推進の取り組みについて(2)

【共同通信・小野塚記者】
 確認だが、先ほど発言のあった2030年の女性比率について、これは国政なり地方選挙での女性候補者の比率や党職員の女性の割合を3割にするという理解でよろしいか。

【代表】
 できれば、これから具体的に2030年に向けたロードマップを党内的にもつくっていかなければならないと思っておりますが、目標としては、候補者にとどまらず、実際に各級自治体議員、個々の自治体ごとに3割というのは相当地域の事情が違いますから難しいと思いますが、自治体議員団全体として3割、それから国会議員全体として3割というところを、少なくとも目標としたいと思っています。

○次期総選挙について(2)

【共同通信・小野塚記者】
 先日の全国幹事長会議での説明について2点確認したい。政権構想について代表はお話しされたということで、何を旗印に今後政権をとるとお考えなのか、連合などからも政権構想を示してという声があると思うが、今後の示し方についてどのようにお考えかということがまず一点。
 この幹事長会議では、平野選対委員長や代表から、比例単独も含めて衆院定数の過半数は党単独で擁立するという表明があったという説明があった。これまでは国民や社民や無所属と合わせての過半数が目標だったかと記憶しているが、目標を変えたことについては、何らか今回の選挙での政権奪取の本気度を示したとか、どういった意味合いを持たれたのか。

【代表】
 1点目ですが、最終的にどういう形でどのタイミングで出すのかというのは、実はご承知のとおりCOVID-19の状況が、例えば、今、最短で準備をしている10月3日投票になるのか、それとも最長あり得る11月28日になるのか、その間の感染状況によって、その一番ある意味で国民の皆さんがご関心の部分は変動があり得ると思っています。ですので、従来16ページとか24ページとかの冊子になった部分が、かつてマニフェストと呼ばれたりしたああいうものに何がどう書かれるのかということは、そうしたものを見極めながらやっていかなければならないと思っている一方で、さまざま地域での活動を強化していく上でも、そのプレ段階のものは、できれば8月中ぐらいには何らかの形でお示ししたいということで準備は進めております。
 一方で、政権構想そのものは、私的なもので恐縮ですが、私の文春新書や、それから累次の所信表明演説・施政方針演説に対する代表質問、そして過日の菅内閣不信任決議案に対する提案理由説明などのところで、かなり具体的かつ総論的にお示しさせていただいていると思っております。
 後者についてでございますが、一つは、やはり単独で過半数以上の候補者を立てるというのは最大野党の本来あるべき姿であると従来から思っておりましたが、現実の実現可能性というものを見極めた上でないと目標を掲げるのもこれまた無責任だと。平野選対委員長を中心に頑張っていただいて、場合によっては小選挙区だけでも233を可能かもしれない、少なくとも比例単独の候補者を含めれば実現可能性も見えてきた中で、やはり政権を目指す政党として、なおかつそのこと自体が他党との連携にご迷惑をかけるようなことはないと思いますので、目標をバージョンアップしたということであります。

○ジェンダー平等推進の取り組みについて(3)

【朝日新聞・三輪記者】
 先ほどのジェンダー改革の関係で、念のための確認だが、そうすると次の衆議院選挙の女性候補者比率に関しても3割が目標か。現段階だと16%だと思うが。

【代表】
 さすがに次の総選挙の既に長年活動してきている候補者を差しかえるなんていうことはとてもできません。したがって、次の秋の総選挙のその次の総選挙で、2030年3割、最低3割ということに向けてですので、ちょっと短期的なところの目標よりもまず長期的な目標を明確にして、そこへのロードマップという形が一番現実的であり、真面目で正直な姿勢だと思っていますので、次の総選挙で幾つかということよりも、まずは「203030」というところ、しかもそれはポジティブアクションを含めて候補者だけでなく当選者を3割にするという、かなり高い目標だと思いますが、そこに向けて、次の参議院選挙、そして次の次の衆議院選挙、そこからそこに向けた大きな一歩を踏み出す。こういうことです。

○本多議員の離党・辞職について(2)

【毎日新聞・田所記者】
 本多さんの議員辞職後の関連の話だが、前回の衆院選比例北海道ブロックで旧立憲民主党の次点候補だった山崎麻耶さんが、本人が辞退しなければ数カ月間の任期で繰り上げ当選されると思うが、国民民主党の公認候補予定者になっているということで、ひょっとしたら国民民主党の党籍を持っているかもしれないと思うが、その方が国民民主党会派に入ることになった場合に、立憲民主党として例えば立憲民主党の会派に加わってほしいと呼びかけるとか、山崎さんに対して何らかの期待する対応があるかという点と、受けとめを教えていただきたい。

【代表】
 ご承知のとおり公職選挙法の規定によって山崎麻耶さんが繰り上げ当選をする資格を持っているし、それについて、例えば現在の立憲民主党を含めて、それに異議を申し立てたりとか、そういう権能は法律上ありません。したがって、ご本人がそれを容認されれば繰り上げ当選されるということであります。その際、どの政党にどう属するのかということ等について、あるいはその繰り上げ当選を受け入れられるのかどうか含めて、ご本人の判断だと思っています。

【毎日新聞・田所記者】
 特に立憲民主党として本人にこうしてほしいと期待するというところはないということか。

【代表】
 こちらから何か申し上げるつもりはありません。

○経済対策・経済政策について

【フリーランス・安積記者】
 前年度の予算30兆円を消化せずに繰り越しという報道があった。かなりの対策をやると言いながら結局は30兆円、本来だったら昨年途中に国民の手に届けなければいけないようなお金が消化されずにとまっていた。これは途中の作業が滞っていたということもあるが、こういった現状についてどういうふうにお考えか。
 それと、IMFが最近発表したことによると、日本の成長率は2.8%で、アメリカの7%、EU諸国や発展途上国と比べてもかなり低い状況になっている。コロナの対策が影響しているかもしれない、コロナの影響があるかもしれないが、ますます日本が相対的に沈んでいくような状態になってきているのではないかと思うが、そのあたりの受けとめも伺いたい。

【代表】
 まず1点目については、まさにご指摘のとおりで、実際に国民の皆さんに届いていない。特にコロナ関連で、支援をしようとする事業者の皆さんや、生活困窮者の皆さん、あるいは医療・介護施設などに届いていないという実態は、深刻に受けとめなければならない。政府は真摯な反省が求められると思っておりますが、若干あえて申し上げると、ぜひ報道の皆さんも、例えば経済対策何兆円規模とか何十兆円規模とか、どうしても目先の数字に踊らされて、それを大きく取り上げて、「こんな大きな希望があるんだ。じゃあ前に進むかな」と国民が期待をする。どうも今の政権は意図的にそれを狙っている。中身が伴っていなくても水増しの数字をばんと打ち上げれば国民はそれに騙されるだろうという、非常に国民・有権者に対して失礼千万な姿勢を意図的にやっていると私は思っておりますので、ぜひ報道機関の皆さんはそうした国民を愚弄するような政府の手法に乗らないでいただきたいと強くお願いを申し上げたいと思います。
 後者についてでございますが、私は、日本の成長力という問題よりも、やはりこの間、日本のバブル崩壊以降の長期低迷の主要因がどこであるのかということが顕著に出ていると思っています。コロナはワクチン接種が順調に進んで感染が抑えられるという見通しの中で、世界的には経済はむしろこの間の反動で成長するだろうという見方が出るのは当然だろうと思っています。日本もこの間の状況を見てきても、外需については、それに対応して一定の成長が期待できる状況だと思っています。ただ、この間一貫してそうであったように、日本の成長力の足を引っ張っているのは内需です。国内消費です。そして、これが日本の場合、このコロナの影響が先進国の中では圧倒的に遅れていると見られているということですので、やはり他の先進国と比べて非常に低い見通しになるというのは一種当然のことであると。したがって、私どもがこれまた一貫して申し上げているとおり、内需主導、つまり内需が拡大するように、一つには格差を是正して消費できる所得をしっかりと国民の皆さん、中間層から低所得者の皆さんに再分配すること。そしてもう一つは、将来不安を小さくすること。これが何よりもの経済対策だということが改めて裏づけられていると思っています。

【フリーランス・安積記者】
 先ほどの最初のところで、やはり協力金がなかなか届いていないということで中小企業などがかなり負担を強いられていると思う。日本の活力、経済を支えてきたのは戦後一貫して中小企業であるが、今の政権は中小企業いじめみたいな感じの、いわば自然淘汰において中小企業を少なくしてもっと洗練されたスリム化とか効率性を追求するような政策もとっているということについてはどういうふうにお考えか。これが日本の基礎体力、経済の基礎体力を損なっているような感じを私は受けているが。

【代表】
 全く同感です。何というのでしょう、目先の見栄えということでは、大企業が伸びたらそれは全国的に大きな直接的な単独での波及効果はあるわけですが、雇用者数から考えても事業所の数から考えても、やはり中小・小規模企業が安定的な発展をしていかない限りは日本の経済は成り立たないということは私自身も一貫した姿勢であります。
 実際に経済産業大臣を務めさせていただいたときに、どうしてもあのとき原発のことばかりが注目されたのですが、「“ちいさな企業”未来会議」というのを立ち上げて、中小企業庁でも把握し切れていない、そして商工会議所・商工会でも把握し切れていない、全国の小規模企業の声を直接大臣含めて伺うという活動を経済産業省で始めさせました。実はこれはその後も細々と続いていると承知をしています。私どもが政権をとらせていただいたら、これをもう経済産業省単位ではなくて政府を挙げて、小さな企業を支援するための政府全体のプロジェクトにしていきたいと思っています。

○本多議員の離党・辞職について(3)

【フリーランス・堀田記者】
 本多さんの問題に戻るが、常任幹事会の皆様へという、西村智奈美さんと津村啓介さんの連名の抗議文のようなものは枝野さんはごらんになったか。

【代表】
 そういったものが党内外で配布されていたという事実は承知をしておりますが、読んだかどうかを含めて、私の立場では申し上げるべきでないと思っています。

【フリーランス・堀田記者】
 これからまだ西村さんに取材しなければいけないのだが、そのような紙を出すということで、立憲民主党が始まったときに青山雅幸さんのセクハラの問題があったが、これを解決すべきははっきり言って福山幹事長なのだが、なぜか担当が西村智奈美さんと大河原雅子さんに任され、静岡から地元の女性議員が来てということで対処したが、坂上さん(事務局職員)もずっといらっしゃったが、西村さんはなぜ私がやらなければいけないのかということで終わった後にちょっと涙ぐんでいた。実際、一般的なこういったものは幹事長がしてしかるべきだ。今回の本多さんの問題も、初めに福山会長が撤回したからいいんじゃないかということからいろいろと迷走に次ぐ迷走があったと思うが、福山幹事長の責任というものは枝野さんはどのように感じているか。

【代表】
 青山議員の問題についての詳細は私は承知しておりませんが、今回の本多議員の問題についての一連の問題の全ての責任は私にございます。