立憲民主党は28日夜、りっけんチャンネル第3回 「真実を明らかにする―ウィシュマさんの死と入管の問題」を配信しました。
蓮舫代表代行と衆院法務委員会筆頭理事を務める階猛衆院議員が、今年3月に名古屋出入国在留管理局に収容中だったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった問題について、ウィシュマさんのご遺族と弁護士の方たちから、これまでの入管庁の不当な対応について伺いました。そして、今回の事件で発覚した入管庁による人権侵害が二度と繰り返されてはならないこと、まっとうな検証と再発防止に向けた法制度化の必要性を訴えました。
■ウィシュマさんのご遺族の訴え
国会が閉会した後の8月10日、入管庁はウィシュマさんの死に関する最終報告書を提出しましたが、ウィシュマさんのご遺族、ワヨミさんとポールニマさんは「入国管理局の方たちが、彼らの都合で作った報告書ですので、真実は明らかにはなってないと感じています」と入管庁の不誠実な対応を非難しました。
また、入管庁が2時間に編集して開示した、ウィシュマさんのビデオ映像について、「彼らに都合のいいところだけ見せられて、納得できない。彼らのミスを隠すために、ビデオが編集されていた。姉があんなひどい状況になってるのに、病院に連れて行かないで、姉は殺されたとわれわれは感じています」と悲痛な思いを打ち明けました。
そして、蓮舫代表代行が「日本政府に今一番求めること」を尋ねると、「入管の人たちがこんな状況でこんなひどいことまでやったことに対して、黙っていることはできない。ミスした方に罰則を与えてほしい。こういうことに二度とならないように、ちゃんとルールができてほしいし、亡くなった姉に正義がおこなわれてほしい」と強く訴えました。
■入管庁の問題について
ウィシュマさんを支援してきた指宿(いぶすき)昭一弁護士は「入管はウィシュマさんの命が亡くなることがわかってるのに何もしなかった」と断じ、「法務大臣と入管庁の長官は遺族に報告書の後でお詫びはしたが、入管のどの行為について、誰の責任でお詫びをし、またそれをどう改革するか、ということは全然はっきりしていない」と入管庁の不誠実な対応を強く批判しました。
階議員は「命を預かる入管の施設で、しかも四六時中、入管の職員が見ている中でウィシュマさんは亡くなっている。そういう状況で死因が分からないということはあり得ない。それこそ入管は人の命を預かる資格がないということなので、もう存在意義がないというところを認めて、それで抜本的な改革を打ち出しすべきだ」と主張しました。
駒井知会(ちえ)弁護士は「ウイシュマさんの悲劇的な死亡事件、それすらも氷山の一角だというのが、長年入管の主要施設に通い続けている指宿さんと私の共通した認識です。残念ですけれども、犠牲が出るたびに、これが最後の犠牲になるようにと努力してきましたけれども、ウイシュマさんの命をつなぐことに間に合わなかったことに本当に深い後悔というか悔しくて仕方がない気持ちです」と外国人収容者の死亡がなくならないことを明かしました。
蓮舫代表代行は「収容する権限は入管だけじゃないですか。司法審査も経ないで、第三者の意見も得ないで、入管の中だけで完結するから、上限のない無期限収容ができてしまったりとか、あるいは極めて閉鎖性で情報は公開しないでいいとか。改善しなければいけない点しかないですね」と国際人権法を重視するべきだと指摘しました。
■国会での対応について
法務委員会での情報公開のあり方について、階議員は指宿弁護士から、精神科の医師の方の診療記録に『仮放免すれば一番いいのだが』という記載があったのが、中間報告に抜けていたと聞いて、与党にビデオの開示を求め、法案がどうであれ、真相解明のためにビデオ開示はやるべきだいうことで、交渉しているが、結論が出てないといったこれまでの経緯を説明しました。
今後の対応について、階議員は「ビデオは代理人の指宿先生と駒井先生が立ち会った上で、遺族の方に見てもらう。そしてどこが問題なのかはっきりさせてもらう。私たちは制度改正に資するようにビデオを見ていく、ということを2段階でやっていくべき。真実を明らかにするためにビデオ開示、これは絶対に必要だと思う」と強く主張しました。
さらに「理事懇談会ではまずビデオを秘密会でいいから開示してもらい、それを踏まえて与野党が対政府質疑をおこなって何が問題なのかを公の場で議論する。その上で委員会としてこれからの法改正の方向性について決議をし、政府に宿題を出す。ここまでやろうじゃないかということを、理事懇の場では提案してます」と語りました。
蓮舫代表代行は「本当にこれは与野党がないと思います。人権の問題だし、国際社会においてもわが国日本は遜色がないんだと、人の権利をしっかり守るんだということを示すためにも、やっぱりこの問題、総選挙で「はい終わりでした。もうなかったことにする」ということにしてはいけないと思いますので、引き続きこれは国会において衆院でも参院でも努力をしていきたい」と意気込みを語りました。
■入管法の改正案について
党が提出した入管法の改正案について、階議員はまず入管は全件収容主義という、オーバーステイになった方は基本的に帰国するまでは入管施設に収容するという考え方に立っている点が根本的に間違っていると述べ、入管がその全件収容主義の下、必要以上に収容しているという問題があると説明しました。
収容については収容審査や期限を設け、原則として仮放免で身柄を収容しない方向での改革をやっていきたいと主張しました。
そして、大きな柱として、難民認定について、身柄を拘束する入管とは別に、難民を保護するための第三者委員会を設けて、難民を申請した方の保護を図っていくと強調しました。
階議員は「政府のやり方はまだ弥縫策(びほうさく)にとどまっていると思う。そういう弥縫策であるとか、弊害の方が大きいような提案ではなくて、私たちは入管を根本的に変えて、人権を守っていく。諸外国に恥じないような制度にしていくということで、私たちは提案している」と述べ、国会で議論して、成立に向けて進めていく考えを示しました。