枝野幸男代表記者会見

2021年9月13日(月)10時30分~11時02分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/PlDAioCongs


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「#政権取ってこれをやる」第2段 多様性を認め合い「差別のない社会」へ

【代表】
 週明けの朝からお集まりいただいて、ありがとうございます。
 先日、「#政権取ってこれをやる」のバージョン1として、初閣議で、逆に言えば一日で決められること、実行に着手できることについて発表させていただきました。きょうは、そのバージョン2として、自民党では実現しなかった「多様性を認め合い『差別のない社会』へ」というくくりで発表させていただきたいと思っています。先日は政権をお預かりできれば閣議だけで実行できることを申し上げましたが、逆にきょうは、多様性や、差別、人権という、本当に基本的な重要なテーマでありながら長年にわたって自民党が多数を持っている状況の中では実現してこなかった、だからこそ政権をお預かりしても簡単なことではありませんが、国民の皆さん、そして他党の皆さんなどにもご協力をいただいて必ず実現するんだという強い意思で進めていきたいという項目であります。
 「多様性を認め合い『差別のない社会』へ」ということで、一つ目に、私自身のライフワークでもあります選択的夫婦別姓を早期に実現いたします。私が初当選したときに個人的な三つの公約の一つが選択的夫婦別姓でありました。10年ぐらいで実現できるだろうと思っておりましたが、もう間もなく30年になろうとしています。自民党の中で時々前向きの声が聞こえますが、どうも政権を中枢で握ると腰砕けになってしまう。やはり政権をかえなければ実現できないと強く感じているところであります。
 二つ目は、LGBT平等法の制定、同性婚を可能とする法制度の実現を目指してまいります。本来であれば、多様性ということが一つのキーワードであるオリンピック・パラリンピックの前にこうした制度の整備は国際社会から強く求められていたものでありました。残念ながら、これも自民党内の強い抵抗によって、我々も100点ではないにしても一定前進するLGBT平等に向けた法制度の整備に協力をするということまで打ち出しておりましたが、それすら実現ができませんでした。これは自民党政権ではできないと判断せざるを得ません。
 三つ目は、DV対策や性暴力被害者支援など、困難を抱える女性への支援を充実させます。家父長制的と言うべきでしょうか、残念ながら、家庭内における暴力、あるいは性暴力による被害、こうしたものに対する支援というものは国際社会の水準から大きく遅れていると言わざるを得ません。しっかりと大胆な一歩を踏み出し加速させていかなければならないと思っております。いわゆる刑法の性犯罪に関することについてはまた別途ご説明する機会があろうかと思っております。
 4番目として、インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置いたしたいと思います。インターネット上の誹謗中傷は、ご承知のとおり、そのことで命をみずから絶つという本当に耐え難い案件まで出ております。迅速な対応が求められています。そして、差別に対応するための国内人権機関については、国連から、国際社会から日本が求められてもう30年になろうとしております。裁判に訴えないと救済が受けられないというのは、残念ながら多くの被害(者)を泣き寝入りさせているという現実につながっていると思います。より容易に、被害を受けた皆さんがそれを申し出ることのできる、それに対して迅速に対応できる国内人権機関、当然独立性の高い機関を設置したいと考えております。
 5番目は、入国管理・難民認定制度を改善・透明化するとともに、入国管理制度を抜本的に見直し、多文化共生の取り組みを進めてまいります。これについては先日(お示ししたように)、ウィシュマさんの関連する動画、そして資料を公開する、これは閣議決定で即時できます。そして実行していきます。しかしながら、入国管理や難民認定が国際社会の水準から大きく遅れているどころか、大変恥ずかしい状況であると。もちろん、そのことによって人権が侵害され命を失っている方もいらっしゃるという人権の問題として許しがたいと同時に、我が国が価値観を共有する国々と国際社会の中で連携していく、そのときに人権というのは大きな柱のはずでありますが、外国から日本に来られた方に対する人権問題が世界の水準から圧倒的に遅れているという状況では説得力がありません。この問題は人権の問題であると同時に外交の問題でもあると思っております。ウィシュマさんのような事件が起こらないような入国管理・在留管理の体制を、そして国際社会で恥ずかしくない難民認定制度をつくり上げてまいりたいと思っております。
 きょうこうして第2弾として発表させていただきましたが、今後順次、いずれ全体を取りまとめて、おそらく16ページになると思いますが、いわゆる政権政策をまとめて発表する前に、こうした形で一定の基準のもとにテーマを設定して、テーマごとに選挙で訴える政権政策を発表してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。


■質疑

○「#政権取ってこれをやる」第2段について(1)

【NHK・佐久間記者】
 今回「自民党では実現しなかった」というようなご紹介もあったが、今の総裁選の状況をにらんで、自民党の候補の中には伝統的価値と称するものを守りたいという候補もいらっしゃる。この点、違いが明確なのかなと思うが、自民党総裁選とどう違いがあるのか改めて端的にご説明いただきたい。

【代表】
 総裁選挙は他党のコップの中のことですので、直接コメントする立場にはないと思っています。
 例えば選択的夫婦別姓については、自民党のかなり幹部を経験されているような方でも、「これは賛成なんだ」「推進するんだ」とこの間おっしゃってきた方、私も少なからず存じ上げています。あるいは、LGBTの差別に関する法律をオリ・パラの前につくろうということで努力された自民党の議員も存じ上げています。しかしながら、やはり党内に大変強硬な反対論が大方を占めているという状況では、どなたが総裁であろうと自民党ではできない。やはり政権をかえなければできないことだということで、今回第2弾として発表させていただきました。

【NHK・佐久間記者】
 高市候補は選択的夫婦別姓には否定的な立場だ。一方、河野さんは、この前テレビ番組出演の中で、ワクチンは私だからできたと自画自賛している。総裁選の候補が揃ってきて、それぞれの主張がどのような主張かだんだんわかってきてはいるが、誰が総理になったらどのように変わるのかというのは代表はどのように受けとめていらっしゃるか。

【代表】
 繰り返しになりますが、他党の表紙をどうするのかという内部の、自民党員という、今、100万人は超えていらっしゃるのでしょうか、それにしても有権者のごくごくごく一部の方の間での内輪のことでありますので、それは他党がどういう内部的な判断をされるのか私が申し上げることではないと思っています。
 ただ、今のお話の中で、ワクチン担当大臣は、(政府の)大臣であります。例えば集団接種のためのワクチンが当初言われていた数量が入らないということをゴールデンウィーク前にわかっていながら、これが7月ぐらいまで公表もせず、しかも現場で影響を受けた、結果的に自治体が大きな影響を受けたわけでありますが、そうした皆さんにさえ伝えなかった。これで胸を張るという感覚は私には理解できません。

【「フランス10」・及川記者】
 多様性のある社会というのは自分とは異なる価値観であふれている社会ということなので、不愉快な思いをすることがあるのは大前提であり、不愉快さは多様性を維持するためのコストとして受け入れるしかないと私は考えているが、枝野代表はどうか。

【代表】
 どういう切り口から説明するかということだと思いますが、多様性が認められずに特定の属性や意見その他をお持ちの一部の方が差別される、自分らしさを発揮できないという状況は、人ごとではないということを社会の中で共有したいと思います。例えば先日パラリンピックがありましたが、パラリンピックで活躍された選手の中には、生まれたときからハンデを抱えていらっしゃる方も頑張っていらっしゃったし、一方で、途中で病気や事故で、例えばそれまでスポーツの世界でむしろオリンピックを目指すような活動をされた方が事故や病気でハンデを負うというような方もいらっしゃいました。このように、我々はいつ何事かによって常に少数者になり得る、というよりも私たち一人ひとりは常に何かの側面では少数者であると。したがって、そこを差別したり、少数であることが理由で差別を受ける社会というのは、誰にとっても不幸な社会であると。私はそのことを多くの皆さんに訴えていきたいと思っています。

【「フランス10」・及川記者】
 次に、多様性ということだが、古くは2000年代初めにオランダでピム・フォルタインという、同姓愛者で、極右とそのときは言われていた方が、オランダは多様性のある社会だからこそイスラムとは和解できず排除するというロジックをとった。私が2005年11月に当時国民戦線のジャン=マリー・ル・ペン党首にインタビューしたときも、アルジェリア、チュニジア、フランスにはそれぞれの多様性があり、だから移民を入れてごちゃごちゃの社会にしてしまうと多様性を排除してしまう、もし自分が神戸に行くとしたらそこは中東の海を見に行くためではないと、こういうロジックで、いわゆる差異主義の立場に立ちながら多様性を理由に移民を排除する主張を展開した。多様性と言う場合、そういう多様性をもとに移民排除という意見も出てくるが、枝野さんはどうお考えか。

【代表】
 多様性というのは、国籍であるとか、あるいは信じている宗教であるとか、そうしたことについても、そのことをもって差別されることはない、あるいは不利益を受けることはないというのが多様性を認めるということだと思っていますし、それを否定してしまったら多様性を認めるということにはならない。
 念のため申し上げれば、例えば入国管理などの問題は、多様性をしっかり認め合うということに加えて、実際日本に入国された方が日本の国内で適正に適切に対応ができるかどうかという他の要素も入ってきますが、少なくとも国籍や宗教などを理由にして区別・差別をされることはあってはならないと思っています。

【「フランス10」・及川記者】
 一般論として伺うが、新自由主義からの脱却を掲げる方がいらっしゃる。その方は消費税減税に否定的であり、プライマリーバランス黒字化を堅持するというのであれば、それは新自由主義からの脱却と言えるか。

【代表】
 私はできるだけ気をつけて、ちょっとうっかり違うときもあったかもしれませんが、できるだけ、新自由主義的な流れをずっとこの30年近くやってきた、という言い方をしているつもりです。経済学の上で新自由主義をどう定義するかというのはまさに専門家の世界だと思っていますが、競争や自己責任、そして特に供給サイドの効率を高めるということが経済を成長させ、そしてそれがトリクルダウンにつながっていくんだという、大きな構造を、私はこれまで新自由主義的な、早くは中曽根総理の時代から、当時は一定の合理性があったと私は思っていますが、特に小泉さん以降は完全に行き過ぎと時代に合わなくなっている、そのことは変えなければならないと、こういうふうに申し上げています。

【毎日新聞・宮原記者】
 先ほど代表はきょうの発表内容について、自民党では実現しなかったことということで発表されたが、「#政権取ってこれをやる」の2段目として今回の「多様性を認め合い『差別のない社会』へ」を取り上げた理由としてはどういったことか。優先順位が高いとか、そういう理由なのか。そこの理由を伺いたい。

【代表】
 先日は、政権をとったら直ちに、まさに初閣議でできるという、超々短期でできることをお示ししました。逆にこちらは議会の理解を得て法制定などをしていかないとできないことであるし、自民党がこれまで断固としてやろうとしてこなかったことを考えると大変困難が大きいという意味では、若干中長期的に進めていかなければいけないということで、実現に向けたどれぐらいのスパンで、期間で物を考えられるのかと。もちろん選択的夫婦別姓などはもう30年近く待っていらっしゃる方がいるので一日も早くと思っていますが、そういう困難をちゃんとわかっているんだということも含めてしっかりとお示しするという意味で、その困難さという観点で、即日できることと、逆に議会の理解を得るために相当努力が必要なことということで、2番目にこれを持ってきました。

【共同通信・小野塚記者】
 今回の中身について伺いたい。4番目の「差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置」とあるが、現状法務局でも同様な対応はされているかと思うが、この国内人権機関に被害を訴えた場合に具体的にどういったことをしてくれるというイメージでつくられるのか。

【代表】
 まず、現状は、例えばこの入管のウィシュマさんの案件など、入国管理局における人権侵害というのが大変大きな問題になっているという状況です。それから、私は日本の警察も検察も、昭和の時代はともかく、人権を守りながら捜査をしなければならないと大部分の方は頑張っていただいているとは思いますが、その捜査手法であるとか冤罪の可能性などということで、これまた法務省の所管している検察の問題を抱えているということで、法務省に人権救済機関を置いていること自体がそもそもおかしい。これでは人権を救済する機関に足り得ないと思っています。
 したがって、独立性の高い機関をつくって、そこの勧告等は、裁判と同じような効力を持たせることはもちろん裁判ではないからできませんが、その分、簡易・迅速な手続で一定の実効性を持つ、こういう機関にしたい。例えば民放の皆さん、BPOというのは民間の機関でありますが、しかし、やはりそこでの勧告が出れば普通地上波等を流していらっしゃる放送局はそれに従われると思います。同じように、特に政府関係機関を初めとして、そこで結論が出たら基本それに従うんだというような信頼性のある機関をつくらなければいけないと思っています。

【「FACTA」・宮嶋記者】
 この1から5の提案、この差別の実態の本質というのは、日本は女性の社会参加・政治参加が遅れているのが本質だと考えられる。国会であれ労働組合であれ幹部の3割が女性になったら世の中変わるというのが定説でもある。立憲民主党は野党なのだが、大きな枠組みでクオータ制とか、女性について、もちろんここには多様性という言葉があるが、この五つの提案とほぼ表裏一体だと思うが、そこについてのお考えを。立憲には女性でなかなか魅力的な議員も多いと思うが、その辺を伺いたい。

【代表】
 先ほど、切り口ごとに何回かに分けてこうした発表をしていくと申し上げました。政治ですので、政治状況全体が大きく変わり得るので、必ずということは申し上げられませんが、現状では女性という観点でまたこういった形の発表をしようと思っておりますので、楽しみにお待ちください。

【TBS・山本記者】
 自民党にはできないこととして今回発表されたということだが、立憲民主党ならなぜこれはできるのかというところを、簡単にというか端的に教えていただきたい。

【代表】
 私たちはこれ、こういう形でくくるというのは大衆討議しておりませんが、いずれも党として党議決定している中身でありますし、法案なども出してきているものも少なからず含まれております。そうした意味で、党を挙げてこれは推進できる。これが、一部の人はやる気、そのそぶりを見せても、結局党として決定できない自民党との決定的な違いだと思っています。

【朝日新聞・横山記者】
 朝日新聞の世論調査で、政党支持率で立憲民主党は5%ということで、支持率低迷の受けとめと、今回の発表も含め、支持を広げるためにどのように訴えていきたいか、発信していきたいか伺いたい。

【代表】
 いつも申し上げているとおり、個別の世論調査についてはコメントいたしません。私どもは私どもで、もっとサンプルの多い、緻密な調査を選挙区ごとにやっております。菅さんが総裁選挙に出ないという状況を受けて再度進めておりますので、私たちはそれに基づいて判断をしてまいります。
 政治は時間の関数ですので、もう有権者の皆さんも、メディアの皆さんも「もう総選挙だ」という、一部の方々は有権者もそういうモードになっておりますので、野党の何を考えているんだろうということを聞いていただけるし、メディアの皆さんも公平性の観点から報道していただけるという状況になっておりますので、まさに時間の関数として、ギアを上げて、今、発信の回数も仕方も強めているということであります。

【東京新聞・我那覇記者】
 確認と質問だが、先ほど毎日新聞の、優先順位が高いから今回のことをお示しになったのかということに対して、時間をかけて醸成していく必要があるという趣旨のお答えだったと思うが、これは御党としてやはり優先順位が高いからだとお考えになって今回第2弾として優先的に示されたのかということの確認が一つと、今後第何弾までお考えになっていらっしゃるのか。第何弾という形ではなくとも、テーマとして、先ほど女性というお話もあったが、例えばこういうことを考えているということがあれば教えていただきたい。

【代表】
 2番目の発表だから1番目のほうがより重要度が高いと思っているんだとか、3番や4番や5番目だと優先度が低いんだという誤解をされるといけないなと思っております。我々としてはもちろん、我々のこの合流してからの1年間だけでも積み重ねてきた政策は40ページぐらいに、毎回インデックスで、かなり細かい字を書くぐらいのことがあります。その中から、選挙のときには16ページでそれなりにビジュアルで読んでいただきやすいようにまとめていく。それはやはりまず最重点のものであると。そこに入っていくものを重要度の順番からではなく違う観点から順次発表していくということでありますので、重視しているからだというのは間違いありませんし、でも発表の順番が重要度の順ではないということは繰り返し申し上げたいと思っています。
 今、政治状況が、特に菅総理が総裁選挙に出ないという状況になってから非常に流動的になっています。時間の進行から何が起こってくるのかということを含めて。また、有権者の意識も、私はこの週末に街頭に出て、私が予想し期待していた以上に、「今、自民党は内輪の争いをしているけれども、野党は何考えているんだ」ということで、かなり関心を持っていただけているなと。これは想像以上、期待以上でありました。そういったものを見極めて発信していかなければならないので、もちろんここからかなりの複数、1とか2ではない数の発信ができるための準備はしていますが、ここで幾つくらいやりますとお約束できる性格ではないのはご理解をいただければ。できるだけ発表するに当たっては前日、今回も前日にこの会見のセットはお伝えしましたが、少なくとも前日、できれば前々日ぐらいにはお伝えできればなというふうにしてやっていきたいと思っています。

○衆院総選挙について(1)

【東京新聞・我那覇記者】
 先日、野党の共通政策に署名した後に、共産党の志位委員長が、近く政権協力について党首会談も必要になってくるだろうという趣旨のことをおっしゃったが、時期とか今後の見通しについて代表としてはどうお考えになっていらっしゃるか。

【代表】
 志位さんのご発言やご意向は十分承知しています。でも、相手のあることですし、お互いの違いを認め合って進めていきませんとうまくいきませんので、実際にそういう場面がつくれることになったら皆さんにご説明いたします。

○「#政権取ってこれをやる」第2段について(2)

【フリーランス・畠山記者】
 きょう出された3番目、「DV対策や性暴力被害者支援など、困難を抱える女性への支援を充実」だが、少し代表的にこういうことを考えているという具体的なことがあったら教えていただきたい。

【代表】
 現状もDV被害者の皆さんの相談あるいは駆け込み先はつくられていますが、残念ながらほとんどの皆さんがご存じない。自分や近くの人に相談、あるいは相談もしにくいということで、そこから逃れられない方が山ほどいるというのは、現場のさまざまな声を聞く中で我々は十分承知しています。DVについて言えば、それをNPOなどが非常に財政的に厳しい中で支えていただいているという部分などもあります。
 やはり、いざというときに気軽に相談ができる。そして、例えばDVについて言えば、そこから逃げ出せる。逃げ出してちゃんと生活が成り立つ。性暴力被害についても、特に近い人たちから受けた性暴力被害などについては、やはり場を移さないと守れません。そのための場が、今、日本では圧倒的に不十分で、桁数で二つどころか三つぐらい足りないのではないかと思います。ここを、もちろん一気に理想どおりの数はできませんが、急速にふやしていきたいと思っています。

【フリーランス・畠山記者】
 DV被害者の投票する権利ということで伺いたいが、例えばDVの被害を受けていらっしゃる方は、今まで住んでいたところから避難されていて、選挙で投票したいというときに前住んでいた自治体に足を運ぶのが非常に精神的に困難だということもある。今回、都議選のときから、新型コロナの感染者に関しては郵便投票等の特例が認められるようになったが、DV被害者の投票する権利を保障するための方策みたいなものは何か考えていらっしゃるか。

【代表】
 DV被害者の方で、特に法律上の婚姻関係が残っている場合には、例えば去年10万円の特別定額給付金の支給のところでも大変な問題が生じたことはご承知のとおりであります。したがって、加害者に知られたくない、知られたら大変なことになるという状況の中で、国民として当然行使できる権利を行使できないというのは、選挙権だけにとどまらず、さまざまなところにあります。それを解消する制度改正、特に経済的支援のようなものについては世帯単位から個人単位に変えていくと明確な方針を決めています。選挙権については、投票の秘密とか選挙の公平ということとの調整が要りますので、今、私が必ずやりますとは申し上げられませんが、問題があることは十分把握していますので、選挙の公正や投票の秘密などと矛盾しない形でどういう形ができるのか、政権をとれば速やかに総務省に検討させたいと思っています。

○衆院総選挙について(2)

【フリーランス・畠山記者】
 きのう枝野さんはユーチューブで対談されたときに、自民党総裁選は準決勝だと、総選挙が決勝戦だとおっしゃっていたが、立憲民主党は準決勝をしないでいきなり決勝戦で大丈夫でしょうか。

【代表】
 去年の9月に準決勝を終わっております。