2021年12月3日

米軍三沢基地所属のF16戦闘機による燃料タンクの投棄と青森空港への緊急着陸事件について

立憲民主党 安全保障部会長 篠原豪

 11月30日午後6時ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が飛行中に緊急事態に陥り、同県の岩木山近くに二つの燃料タンクを投棄した後、青森空港(青森市)に緊急着陸した。この緊急着陸の影響で青森空港の滑走路は閉鎖され、民間の航空機7便が欠航した。

 米軍は当初、非居住地域に燃料タンクを投棄したとしていたが、一つが落下したのは青森県深浦町役場近くの国道で、付近は住宅が点在し、また、国道に沿うようにJR五能線も走っているので、直撃すれば大事故につながるおそれもあった。燃料に点火しなかったのも幸いという他ない。

 米軍から防衛省に連絡が入ったのは午後9時半ごろで、防衛省東北防衛局から町に正式な連絡が来たのはその10分後で、落下から4時間近くも経っていた。

 米軍機は青森空港に着陸後、滑走路に8時間近くとどまったが、地位協定によって日本側は警察でも機体に触れられず、米軍関係者の到着や対応を待つほかなかった。タンクの残骸も米軍が回収しているので、警察による捜査も難しい。

 米軍機には日米地位協定の実施に伴う特例法で、航空法の一部の規定が除外され、米軍は事故の詳細や落下物などについて、日本側に報告する必要はない。

 日本政府は、安全が確認されるまで、F16の飛行停止を要請する方針であると報じられているが、安全管理だけでなく、原因の究明や再発防止についても、住民の納得が得られるような対応を米軍に要求すべきと考える。

 米軍三沢基地のF16戦闘機をめぐっては2018年2月、同基地を離陸直後にエンジン部分から出火する事故があり、二つの燃料タンクを、(東北地方最大の汽水湖で大和しじみの日本有数の漁獲高を誇る)小川原湖(青森県東北町)に投棄し、基地に緊急着陸し問題になった事例もあった。地位協定の改定も含め、抜本的な対策が求められる。