衆院予算委員会は15日、2022年度総予算に関し、公述人の意見陳述と質疑を行いました。立憲民主党から石川香織議員が質疑しました。石川議員はカーボンニュートラル、介護・保育職員の処遇改善、ヤングケアラー等について質問しました。

 石川議員は、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを「必要かつ重要な取り組み」としながらも、移行期における負の影響は最小限にとどめなければいけない、「公正な移行」が必要だと主張しました。具体的にはカーボンニュートラルを実現することで、失業してしまったり労働条件が悪化してしまうことが懸念される産業や地域にどのような対策が必要なのか、翁百合公述人(株式会社日本総合研究所理事長)と石上千博公述人(日本労働組合総連合会副事務局長)にただしました。
 翁公述人は、「新たな技術とか新たな仕事とか、そういったものにスムースに移行できるような、そういった就労政策をしっかりやっていくことがとても大事なのではないか」と投げかけました。そのうえで、「政府全体としてカーボンニュートラルに向けて、どういうシナリオで予見可能な形でどういうプロセスで進むか見えてくることもとても大事。そういった全体の話ときめの細かい就労政策と両方組み合わせてやっていくのが大事だ」と述べました。石上公述人は、教育の訓練や生活の支援、持続可能な雇用の創出や再就職のあっせんなどが必要だとする一方で、「みんなで意見を出し合って議論する場が当然必要だと思っています。労働組合を含んだ関係当事者の参加が保障される対話の場の設置をスタートさせてほしい」と求めました。

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 続いて石川議員は、政府が介護・保育職等の処遇改善をすることについて、評価できる点と課題と感じている点を石上公述人に尋ねました。石上公述人は「一歩前進と評価している。しかし3パーセント程度の改善では不十分」と述べ、「人材確保困難な分野で抜本的な賃金の改正がなければ他の産業にも影響が出ると思っているので、全ての従業員を対象とした継続的な処遇提言がおこなわれるように求める」と主張しました。

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 石川議員は、大人が行うことが想定されている家事や家族の世話を日常的に子どもが担っているヤングケアラーの問題についても質問しました。石上公述人は、「教育や就業の機会を逃すという可能性もありますので、早期発見そして支援、ニーズを把握して、社会的な孤立、生活が困窮化することのないように相談体制そして生活、就学支援などの包括的な支援提供体制の整備が必要だ」と訴えました。また年齢を重ねてもケアが継続するケースも想定して、「一律に年齢で区切ることをせずに切れ目のない包括的な支援が必要だ」との考えを示しました。石川議員は、ヤングケアラーの当事者に困っていることはないかと質問しても、家族の介護が当たり前になりすぎて「困っていない」と答えることがあり、実態が表面化しづらいことを指摘。「心身の悩みとか実態をどのように問題化していくのか、その負担をどうやって軽減化していくのか、この問題の難しさを感じた」と懸念を示しました。

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