野田佳彦最高顧問は6月5日、今夏の参院選挙で栃木県選挙区から立候補予定のいたくら京さんとともに宇都宮市内で開かれた栃木1区集会に参加し、「歯を食いしばっている企業で働く人たちの経済のことを考えるのが今度の参院選挙の重要な争点」だと訴えました。
いたくらさんは、保険会社勤務の後、結婚を機に専業主婦になるも、一念発起して税理士資格を取得。2005年に税理士事務所を開業し、相続や資産運用に詳しい税理士として、シニアのクライアントを多く抱え、年間100人以上の相談を受けてきました。
いたくらさんは、「女性が子育てをしながら仕事をするのは想像を越える大変なことが多々ある。子どもも、仕事も、家庭も、全部欲しいという私は欲張りで、だから大変なのかと思っていたけれど、今は違うと思うようになった。働くことと家庭を大事にすることの両立が苦しいのが今の日本の問題だと思っている」と述べ、経済面や、両立が大変だからという理由で子どもを産むことをあきらめることのない環境をつくりたいと表明しました。
税理士として、税金や社会保険料を払えず、利息を払いながら分割して払ったり、銀行口座を凍結される人と向き合う中、自分たちが払う税金は果たして自分たちの役に立っているのか、方向性を間違えているのではないかと思うようになったとも述べ、税金の使われ方を正していく必要があると指摘。この30年間、少子高齢化が進み、賃金が上がらない中で保険料は2倍に上がっていることにも触れ、「今の子どもたちが私の年齢(55歳)になる頃には、この社会保険料はいくら負担しなくてはいけなくなるのだろうか。こんな日本を子どもたちに渡すのは本当にしのびない。子どもは日本の宝。大企業優遇になっている税金の使い方を正し、この栃木から子どもを安心して生める、安心して年を取れる国づくりをしていきたい」と力を込めました。
「政治が、国が私たちの方を向いて、私たちのために機能するためには、二大政党制、強い野党が必要だ」とも主張。参院選挙で自民党が大勝すると、政治や人口減少もこのままでいいということになると懸念を示し、参院が本来の、チェック機能をしっかり果たす政治を取り戻すために全身全霊で戦っていくと決意を述べました。
集会のあいさつで、参院選挙の争点として「外交」と「経済」を挙げた野田最高顧問。外交については、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、自身の総理時代の2度の首脳会談を振り返り、「人を試すのが彼の癖だ」とプーチン大統領を評しました。その上で、2014年にロシアがクリミアを併合した時には「やったふり」とも言える経済制裁措置を取る一方、平和条約交渉に向けた経済協力費としてこの6年間で200億円を投入、北方領土問題も何一つ進まない中で2022年度予算でも新規事業予算約21億円が盛り込まれていると問題視。安倍元総理とプーチン大統領は27回の首脳会談、岸田元外務大臣とラブロフ外相とは14回の会談をしているとして、「プーチン大統領を増長させた責任を厳しく問うべきだ」と述べました。
経済については、「何よりも心配なのは物価高」だと述べ、物価高対策のための補正予算を組んだ政府と、円安を容認するような中央銀行とで方向性が違う中で国民のための物価高対策ができるのかと疑問視。日銀の黒田総裁が「基本計は、円安は日本経済にとってプラス」と発言したことを取り上げ、「輸出業者にとってはプラスでも、輸入業者にとってはマイナスであるなど、立場によって為替は違ってくる。どっちかに偏ったことを総裁が言うべきではない。ましてや、自分の国の通貨が弱くなっていくことを喜んでいる中央銀行の総裁は、その任にあらず」と断じました。
「歯を食いしばっている企業で働く人たちの経済のことを考えるのが今度の参院選挙の重要な争点。税制の専門家であると同時に、お客さんは中小零細企業。その人たちの声を聞いて仕事をしている。(板倉さんは)今まさに即戦力として必要な人材だ」と訴えました。