参院予算委員会で10月19日、岸田総理と全ての閣僚が出席する総括質疑が行われました。「立憲民主・社民」の2番手として質問に立った辻元清美議員は、(1)国葬(2)旧統一教会問題――について取り上げ、政府の見解をただしました。

 辻元議員はまず、安倍総理の銃撃事件から6日後に岸田総理が国葬の実施を表明したことに、この間に誰とどんな相談をしたのかと質問。岸田総理は、「国葬を行うにあたっての根拠、手続き上の問題等を政府として確認し、内閣法制局とも相談した上で、政府として行うことを決定し、そして明らかにした」と答えましたが、与党・公明党には相談する一方、衆参両院議長にも相談することなく、吉田元総理の国葬後実施されなかった歴史的な経緯も十分踏まえずに決定したことを問題視しました。

 「時の内閣が責任を持って判断をすべき事柄」だと強弁する岸田総理に対し辻元議員は、具体的な検討の経緯を紹介し、「自民党の歴代の先輩方は偉かったと思う。国葬、国の儀式は皇族、天皇の大喪の礼だけ。内閣官房長会主催の公式制度連絡調査会議で『皇室以外、一般人に対する国葬を行う基準等は相当大きな政治問題になる恐れがある』と住み分けてきた。それでいいではないか。戦後、憲法の下どうしてきたかはある意味慣習かもしれないが、それを踏襲すべきだと思う。今どき政治家の国葬を復活させる必要はないと思う」と述べました。

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 旧統一教会問題をめぐっては、岸田総理は「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との関係を絶つよう自民党所属国会議員求めていますが、辻元議員は、自民党が半世紀以上も前から、統一教会と同じく文鮮明氏が立ち上げた「国際勝教連合」と密接な関係があることや、安倍元総理が旧統一教会の関連団体「UPF」の大会で「朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴総裁をはじめ、皆様に敬意を表します」などのメッセージを寄せていることなどを取り上げ、「政治との癒着についても調査する責任がある」「ここで膿を出し切る覚悟はあるか」などと迫りました。岸田総理は「何よりも未来に向けて関係を絶つことが必要」だと強調し、安倍元総理の調査については否定的な考えを明示。辻元議員は「被害者救済と言いながら矛盾していないか。被害者のためにも、安倍元総理の調査をした方がいい」と求めました。

 辻元議員はまた、永岡文科大臣に、宗教法人法に規定されている質問権の行使による調査を指示したことを受け、旧統一教会による被害状況を最もよく把握している全国霊感商法対策弁護士連絡会のメンバーを委員に入れるべきだと主張。政権の命運がかかっているとして、政府全体で合同チームを作るべきと求めると、岸田総理は「政府全体として総力を挙げて質問内容を練り上げていく。専門家の意見もくみ上げていくことは重要だと認識している。できるだけ幅広く意見を吸収していきたい」と応じました。

 辻元議員は「被害者のことをわがことにするのが岸田総理の使命。どうしても他人事のように聞こえる。政治家は当事者から話を聞かないと魂が入らない。被害者と弁護士会、早急に会ってほしい。他人事総理に見える。決断してほしい」などと求めましたが、岸田総理は「どのような人から話を聞くか判断していきたい」「どのような形で聞くか精査したい」などと述べるのみで、明言しませんでした。

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 辻元議員は、文科省は信教の布教方法の違法性や、被告統一教会の使用者責任が認められる事例もあると旧統一教会に対する問題を認識し、何回も改善を求めてきたと指摘。にもかかわらず、なぜ名称変更が認められたのか、認めたのは下村文部科学大臣、第2次安倍政権であり、辻元議員は「これは汚点になる」「けじめをつけないと真の解決にはならない」と問題視し、あらためて徹底調査を求めました。

 辻元議員は最後に、「統一教会側は誰がどんな接点を持ってきたか全部知っている。ある意味自民党の弱みを握っていると言われかねない。だから手が緩むのではないかと心配している。だからといって解散命令の請求の手を緩めないようにしていただきたい」とけん制。岸田総理は、「疑いを浴びることがないようしっかり対応していきたい」と答えました。