泉健太代表記者会見

2023年2月10日(金)10時30分~11時22分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/uNs-djZiwJU


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○北海道視察について

【代表】
 おはようございます。
 きょうは雪がかなり降っていますので、全国的にも注意が必要な状況ですが、私はきょう午後からこの週末にかけて北海道に行く予定をしています。
 いわゆる子育て支援施設の視察ですとか、当然ながら統一地方選挙に向けた自治体議員などへの支援、また、意見交換等々をしてくるというふうに考えています。
 また、今、この景気の、大変物価上昇が厳しい折ですので、さまざまなところから意見を伺ってきたいと思っています。
 当然、北海道知事選挙も対決の構図というものになってきていますので、そういったところもさまざま話をしてまいりたいと思います。

○トルコ・シリア地震 党や国会の支援活動について

【代表】
 そして、トルコ・シリアの地震です。これは本当に大変な規模になっています。死者数ももう1万人を超えるということで、甚大な被害で、さまざま世界各国からも支援が行われているようです。
 その意味では、日本も今さまざまに政府も取組はしていて、災害救助隊の派遣などはされていますが、民間でも募金も始まっています。そういった動きをさらに応援していくために、立憲民主党としても募金活動をさせていただくということを決めました。私も近々、都内のどこかで募金活動をしたいと考えておりますし、また、全国でも立憲民主党の仲間たちでできる限りの募金活動をしていきたいと思います。
 また、きのう国対委員長には話もしまして、国会における取組ということで、国会議員たちも歳費の一部から、このトルコ・シリアに対する支援金、募金というものをすべきではないかという話をしております。党はもちろんのこと、安住国対委員長とも話をして、各党・会派にも呼びかけて、日本の国会としてもそういう姿勢を示してもよいのではないかという話も今しているところであります。

○LGBTQの人権を守る法整備について要望書を受領

【代表】
 そして、きょうは朝9時から、今来てもらっている荒井議員にも段取りをしていただいて、LGBTの今の法案についての問題に、現場の皆さんから、当事者の皆さんからご意見をいただいて、要望書を受け取りました。
 改めてですが、立憲民主党は差別解消法(案)、これをつくっておりますし、訴えておりますので、理解増進法では足りないという姿勢であります。その理解増進法で、しかも自民党はその理解増進法(案)にすらまだ党内合意が取れていないということですから、2周遅れ、3周遅れということだと思いますし、きょうの当事者の皆さんとの会合でも言ったのですが、官邸の中がこのような問題のある意識感覚でこれまで来ていたということが恐ろしいことであるし、それをもしかすると荒井秘書官だけではない、官邸の中に同じような意見が広がってしまっているのではないかと、その疑念を感じさせるような発言でありましたので、岸田総理はもっと明確に明快に態度を示さねばならないと思っています。
 また、そして国際関係ということにおいても、G7の主要国の中で日本だけがこういった制度ができていないということで、改めて、同性婚、その制度を実現していくという国会にしなければならないと思っております。
 この点についても、引き続き立憲民主党は、この同性婚の法制度化、そして差別解消法の実現に向かって取組をしていきたいと思います。

○物価高 価格転嫁の取組について

【代表】
 そして、きのう院内で価格転嫁を進めていくという集会も開かれまして、これは労働組合が開いたところなのですが、やはり私も代表質問で取り上げましたが、まだまだ我が国、この物価上昇ということの中で価格転嫁ができていない企業が数多くあって、特に下請け、個人事業主、建設業者などなど、業界によってもばらつきがあるようですが、価格転嫁ができていないということで、経済産業省ですとか中小企業庁における価格転嫁の「価格交渉促進月間」というものがあって、これをもっと拡充すべきだということを提言させていただきましたが、きのうも集会ではこの価格転嫁がまだまだ実現できていないということでした。
 改めて立憲民主党としても、いわゆる資材価格、そして燃料価格だけではなく、労務費分、賃上げ分も含めた価格転嫁ですね、これを社会全体で実現するような、その取組の強化を求めていきたいと思っております。

○日銀総裁人事について

【代表】
 また、日銀総裁(人事案)が来週14日に提示があるという報道も聞こえてきています。
 改めてですが、もういい加減アベノミクスから卒業せねばならない。しかし、アベノミクスの背負ってしまった負債というかツケは大きいものですから、一気呵成に大転換をすることはできない。当然ながら市場との対話、為替や株の安定ということを前提に少しずつ卒業していかなければいけないわけですが、日銀総裁にはそのような姿勢を持って、この日銀の職務に、金融政策に当たってもらいたいと思っていますので、我が党としてもその中で判断をしていきたいと思います。

○「防衛版ふるさと納税」自民党内の議論について

【代表】
 あと、ちょっと驚いていて、まだ真偽不明というか、自民党内で話し合っていることなのでどうなるかわかりませんが、防衛財源で国民から寄附を募るというような話も出ているようです。ふるさと納税、「防衛版ふるさと納税」と。
 これは確かに、いわゆるふるさと納税をして、例えば駐屯地のある自治体がそのピンバッジを返礼品で渡すとか、そういうことというのはこれまでも行われてきているものはあって、全てが否定されるものではありませんが、やり過ぎると変な話になってくるのではないかと思います。
 一つは、しっかりと防衛費というのは必要なものを政府として確保すべき話であって、国民の寄附に頼るものであってはならないということが、まず一つ。
 そして、実は戦前もいろいろな、ある意味国民に協力を求め、寄附といっても同調圧力が強くなるような取組というのはさまざまあって、例えば国民みんなからの寄附で飛行機を作る献納機というものをかつて日本はやっていた、取組があったわけですね。それに報国号とか、国に報いる報国号という名前をつけたりして、そういうことをやっていたこともあったし、国防献金なるものもあった。そういうものが隣組などで集められてきたという歴史を考えると、一つ間違うと恐ろしい変な話になってしまう。
 今の時代そんなことはないというふうに信じるとしても、冒頭話をしたように、まず、やはり寄附で防衛費を賄うだとか自衛隊の処遇改善を行うだとか、そういう考え方ということを当然ながら安定財源と見てはいけないわけですから、これを今の防衛費の議論の中で行っている自民党というのはピントがずれているということは言わざるを得ないと思っております。

○五輪・パラ汚職について

【代表】
 オリンピックの汚職については、きのうも発言しましたが、やはりこの公共事業価格というか、その資材価格ですとか、さまざま上がっている中で、ある意味、国事業としてのオリンピックですとか、あるいは万博みたいなものが、組織委員会というものの中で行っていくに当たって、かなりひずみが生じるような状況があって、そして、目先の業者に談合で一定のものを示さねばどこも応じてくれないという状況になっているとしたら、やはりこのビジネスモデルというかあり方をもう一度見直す時が来ていると思います。
 当然ながら大阪万博においても札幌オリンピックについても、これはもう既に決まっているものと、そして、これからもしかしたら取り組んでいくものというふうになるわけですが、極めて慎重に、この談合等々が起こらないような仕組みというものを前提にして運営されねばならないと思っておりますので、そういった点から我々は監視をしてまいりたいと思います。


■質疑

○LGBTQの人権を守る法整備について(1)

【時事通信・木田記者】
 何点か伺いたい。まず、冒頭発言であったLGBTの理解増進法に関して、自民党内で「差別は許されない」という文言を修正しようという動きがある。改めて、この修正を容認できるかどうかお聞きしたい。

【代表】
 いや、当事者の皆さんは、差別禁止法、差別解消法をつくってくださいと言っていたのですね。ずっと当事者の皆さんは。それは現に差別を受けてきているからなのです。
 それは、例えば行政に対しては、当然ながら、婚姻届を出そうと思っても出せない、受けつけてもらえない。あるいは、2人で家を借りようと思っても借りることができないとか、事実上差別を受けている。あるいは、きょうも言われましたが、例えば企業に面接をしに行って、いわゆる履歴書に書いている性別と実際の姿格好が違っていたら、途端にというか早々に面接を打ち切られて、どうぞお帰りくださいというふうに言われたとか、いろいろな差別を現に受けているわけです。
 だからこそ差別解消法を実現してほしいという声があって、だけれども自民党側が全くそれに応じないので、ある意味泣く泣く妥協と譲歩を重ねて理解増進法というところまで降りてきて、そして、各党の法案担当者の中で何とか合意にたどり着いたというのが理解増進法になります。それを、各党は了承しています、自民党だけが了承していないわけです。法案担当者は了としたけれども自民党内が了承していない。そして、(その理由が)そこに「差別」という言葉が入っているからだとしたら、やはり先ほど言ったように相当認識が遅れている。これは世界からも遅れているし、日本の国内においても、2周、3周遅れの人権意識だということですね。
 だからこそ、我々は差別解消法であらなければならないというふうに思っておりますので、ここは自民党にはぜひ、我々として差別について、「差別は許されない」ということをこの理解増進法の中では書いていますが、その差別について禁止して罰則を設けるということを書いているわけではないので、そこはぜひ理念としてもこの「差別は許されない」ということは自民党にのんでもらいたいというふうに思っています。

【時事通信・木田記者】
 確認だが、自民党が言っている「差別は許されない」の部分の文言修正は受け入れられないというスタンスでよろしいか。

【代表】
 それはまあそうですよね。いや、それはむしろ自民党が今の法案はせめて受け入れてくださいということですよ。自民党の修正は受け入れられないなんていうのは次元が余りに違う話過ぎて、今更何を言っているんですかという話ですよ。我々に彼らの何かを受け入れる、さらに後退する内容を受け入れるという考え方を聞くよりも、まず自民党にむしろ聞いていただきたいと。その思いです。

○野党間での予備選挙案について

【時事通信・木田記者】
 別件だが、日本維新の会の松井一郎顧問が5日の党大会で、国政選挙に関して、与党対野党という構図もつくらないといけない、予備選が全選挙区で行われるなら堂々と受けて勝てばいいと述べた。国政選挙での予備選に関して、立憲民主党のお考えをお聞きしたい。

【代表】
 まずは、予備選というのは、当時、維新の中から出てきた話であって、なるほど、松井顧問は、この予備選ということは何かしら手段というか考え方としてはあり得るのだなということは認識いたしました。それを今後維新の中でどういうふうに具現化をしていくつもりがあるのかどうか、そこは様子を見ていきたいと思います。
 立憲民主党としても、与党と野党が対決をしていく構図ということで、一つの考え方としてはあるのだろうなと思います。現時点ではまだそこまでですね。

○憲法審査会について(1)

【時事通信・木田記者】
 衆議院の憲法審査会に関して、維新の藤田幹事長が8日の記者会見で、立憲民主党が仮に審議を拒否すれば政策合意は全てご破算にしたほうがいいと述べた。馬場代表も、立憲民主党が今週の憲法審査会の開催に応じなかったことに関して、サボり癖が出ていると批判している。維新幹部からこういった声が出ていることへの受け止めと、立憲民主党として衆議院憲法審査会にどう対応するのか、お聞きしたい。

【代表】
 やはり自民党って、政権与党で、数も多くて、それは一筋縄ではいかない人たちなのです。いかない勢力なのですよ。だけれども、維新ですとかは、やはりどうしてもすぐ自民党の誘いに乗ってしまうという感じがします。
 もっと、やはり政権与党から譲歩を引き出す。これは例えば昨年の旧統一教会の被害者救済法でもそうでした。早々にその交渉の場から「はい、ここで妥結」というふうに降りてしまうのか、それとも、さらにもう一段与党と交渉するのかで、獲得できるものというのもやはり変わってくるわけですよね。そういった重みとか慎重さというものが大事で、すぐこの与党の誘いに乗ってしまうと、これではやはり野党としては戦えないということだと思います。
 ですから、馬場さんは「重馬場」であってもらいたいと思いますね。これは競馬の話ですが、うちは京都競馬場というのがあるのですが、与党にとって走りやすい状態をつくるのか、与党にとってどういう重みをつくるのかということで言うと、「良馬場」ではただ単に与党が走りやすいだけですから、やはり馬場さんは「重馬場」であってもらいたいと。そんなふうに思っています。

○北海道知事選について

【時事通信・木田記者】
 冒頭発言でもあったが、北海道に関して、4月に知事選があり、元立憲民主党衆議院議員の池田真紀さんが出馬を表明しているが、どう戦うか、意気込みをお聞きしたい。

【代表】
 これは、まず北海道連から池田真紀さんに要請をして、池田真紀さんが受諾したという状況です。池田真紀さんは我が党の北海道第5区総支部長ということで国会・国政への復帰を目指していたさなかでの今回の要請ということで、池田さんも熟慮を重ねた上で、それこそ先日亡くなられた横路さんからも背中を押されたというお話がありましたが、そういう中で決断をされたということですので、現時点ではその段階です。
 ただ、私も週末は北海道に行きますので、やはり北海道各地、人口減少がかなり激しいという話も伺っていますし、コロナ禍から立ち直っていくために北海道に改めてどのような政策が必要なのかということをよく話をして、また、共に訴えていきたいと思います。
 私自身が北海道出身なので、先日も私の母校の中学校の先生に聞きましたら、生徒数が私がいた頃の5分の1になっていて、本当に驚いて、野球部はもう単独ではできなくなってしまって、吹奏楽も1桁になってしまったなんていう話を聞いて、我々がいた頃は1000人を超える学校でしたが。本当にこの北海道の人口減少、これは私の地元だけではなく各地で深刻になっていますので、改めて、この北の大地がどう自立して、中央に依存せずに自立の気質を持って、誇りを持った北海道の経済の立て直しができるかどうか。そういったことについても池田さんと共に考えていきたいと思います。

○LGBTQの人権を守る法整備について(2)

【東京新聞・大野記者】
 やや細かい質問で恐縮だが、時事通信のLGBT理解増進法の質問に関連して確認させていただきたい。現時点の法案の「差別は許されないものである」という表現について、自民党内では、「差別はあってはならないものである」に直せばいいとか、「差別」という言葉の前に「不当な」をつければいいなどの意見が出ている。こうした修正にも応じられないというスタンスでよろしいか。

【代表】
 応じられる応じられないというのは一義的には言えません。なぜなら、中身がわかっていないからです。しかも仮定の話に、いちいちつき合ってはいられません。
 自民党内でちゃんと手続をして、そして各党協議に乗せてくるもの。それを見て真摯に我々としては対応していくことになりますが、基本的には、ここまで妥協に妥協を重ねて、当事者たちも苦しい思いと悲しい思いをしながら、ようやく今の原案、理解増進法になっている話であって、これでも満足はそもそもしていないということですよ。にもかかわらず、そこからさらにこの法律の趣旨を弱めようとするという動き、それは許せるわけがありません。許せるわけありませんが、それは自民党が党として手続をして、そして各党協議の場に持ってきたものがあれば、それは当然話は聞かなければならないと思っています。

【NHK・高橋記者】
 LGBT法案に関して。理解増進法案があり、立憲民主党としては差別解消法案を実現したいということだが、具体的に理解増進法案と差別解消法案の違いや、当事者にとって、また社会にとって、どのような効果が現れるものなのか。なぜ差別解消法でないといけないのか伺いたい。

【代表】
 現に差別があるという認識に立つかどうかというのは、とても大きいことだと思うのですね。それが法律の表題になるかならないかというのも同時にやはり大きな違いになってくると思います。
 理解増進というのは、結局のところ、差別がいけないことだということが直接的にはなかなかわからないですよね。でも、やはり差別されれば傷つく方がいるということは明確だし、そして、差別されれば不利益を被る方々がおられる、これも明確な今の世の中の実態なんですよ。それをやはり正しく理解していただくために、差別解消法であるということの意味合いは非常に大きいと私は思います。
 理解増進であれば、それは文言の中に、目的・理念の中に「差別は許されない」というふうに入っていたとしても、それは本来、当事者たちの苦しみですとか今の生活実態を踏まえれば、やはりその希望にかなうものではないと私は思っています。もっと直接的に、現在の世の中に明確な差別があるということは広く世に伝わらなければいけないことだと考えています。

○新型コロナ対策 マスク着用の緩和について(1)

【NHK・高橋記者】
 別件だが、マスクの話で、政府は3月上旬にもマスク着用緩和を屋内・屋外共にというふうにする方針だが、これについての受け止めをお願いしたい。

【代表】
 やはり、医療の関係者、そして介護施設を初め、皆さんもそうだと思いますが、ある一定の環境においてはできればマスクを皆してもらいたいという場所は確かに残されていると思いますので、全てが自由ということになってしまうと、そういった意味で社会活動が停滞してしまう可能性もむしろあって、人が外に出にくくなるとか、中にはそういう方もあると思いますから、やはりある程度マスクをすべき場所というところは、推奨というのは今後もしていったほうがよいと私は思います。
 もちろん元々しているしていないで警察が連行するということでは直接的にはないわけですので、ある程度徐々に緩和をしていかれるものではあると思いますが、とはいえ、感染状況というのは十分に踏まえて考える必要があると思います。

○LGBTQの人権を守る法整備について(3)

【朝日新聞・笹川記者】
 LGBT理解増進法の関連でお尋ねしたい。超党派の議連はG7までの法律の成立を目指すという方針を確認しているが、代表としてもこのG7までの成立というのは必要とお考えか。

【代表】
 はい、そうです。私も超党派議連の一員なものですから、役員でもありますので、当然のことです。

【朝日新聞・笹川記者】
 きょう繰り返し解消法も必要であるということをおっしゃっているが、この理解増進法が成立した場合に、差別解消法の成立は引き続き求めていくことになるか。

【代表】
 目指します。はい。

【朝日新聞・笹川記者】
 先に理解増進法ができた場合に、そのことで差別解消法が必要という機運がしぼむという懸念はないか。

【代表】
 あります。十分にあります。
 ですから、我々も理解増進法でよいとは思っていないということです。ある意味、理解増進法というのは国会の産物ですよ。当事者の産物ではない。私はそう思います。ですから、国会議員がまずそのことを認識しなければいけないということです。理解増進法をつくってくださいという声が当事者から出てきたわけではないということ、そこを国会議員たちがわかっていますかと、これが問われていると思います。

○自公国幹事長会談について(1)

【朝日新聞・笹川記者】
 最後に一点、別件で。きのう国民民主党が自民・公明両党との幹事長会談を開き、賃上げや子育て支援について実務者の協議体を設置するということで合意した。この国民民主党の動きについて代表はどういうふうにご覧になっているか。

【代表】
 いや、特段気にしていないです。気にしていません。

○共産党の改革を求める書籍の出版について

【産経新聞・大橋記者】
 毎度同じ質問をして恐縮だが、共産党の党首公選制を訴えた方が除名になった。他党のことで恐縮だが、どのようにご覧になっているか。

【代表】
 ご本は私もその方から直接献本をいただきました。以前に別な会合で、国会内で、別にそれは立憲民主の会合ではなくてですよ、お会いしたことがあって、それでたぶん本を届けてくださったのかなと思っています。私はまだ半分ぐらいまでしか読めていないのですが。
 各党それぞれ組織・機構の考え方があるのでしょうけれども、民主集中制という、ある意味、他党が採用していない制度というか仕組みを整えている党ですので、我々とはやはり文化が違うのだなというふうにも感じます。ですから、共産党という組織の中で民主的と言われるルールというものと、我々が一般的に世の中で考える対外的な関係ですとか外の社会との向き合い方、こういうものにはやはり違いがあるんだなと。そう感じています。

○LGBTQの人権を守る法整備について(4)

【読売新聞・岩本記者】
 LGBTの関連で伺いたい。公明党の北川副代表は9日の記者会見で、同性婚について、現行憲法下でも法制化は可能だという見解を示した。一方で自民党は、LGBT、先ほどおっしゃったように法制化には消極的な姿勢だが、こういった状況をどうお考えかということと、公明党にこういったことで協力を呼びかける可能性はあるか。

【代表】
 はい、あると思います。我々もその認識です。憲法改正がなければできないということではないと考えておりますので、当然あらゆる同じ意見を持つ方々とは連携をしなければならないと思っています。

○予算審議について

【読売新聞・岩本記者】
 別件だが、新年度予算案の審議について伺いたい。過去には政府・与党側の不祥事などで野党側が審議拒否をするケースも多かったが、審議拒否を行うことの是非についてどうお考えかということと、新年度予算案の審議では審議拒否はされていないが、例えば維新との共闘、そういった関係もあるのか。

【代表】
 確かに、この言葉を皆さんもどうつくるかというところで、どこでどう審議拒否という言葉が生まれたのかと考えると、私も何かいい言葉が浮かべばいいなと思うのですが、本来まず、国会における審議というのは本来は通常は与野党合意で行われるものだということですね。そして、その前提に立って、合意が取れていないのに委員会がセットされた場合に、それを拒否することを審議拒否だと言うのならば、じゃあそれは拒否した側が全部悪いのですかということをマスコミは考えねばならない。
 ただ審議拒否という部分だけを切り出すと、拒否したほうが悪いというふうになりがちな話ですよね。でも、皆さんもそうだと思いますが、誰かから一方的に食事に誘われ、うんとも言っていないのに日程をセットされて、そして、来なかったからお前が悪いと言われたら、皆さんはどう思いますかという話を、ぜひ皆さんも頭の中で考えていただきたいと思うのですね。誰しもそうだと思いますよ。
 いやいや、こっちはその日程はおかしいと思っているけれども、それはちょっとルールとして民主主義を逸脱しているんじゃないの、民主主義の手続からすると慎重さを欠いているんじゃないのということを全部放置して、全部捨てて、ただ日程をセットした側の考え方に立って、それをイエスかノーかを迫る。そして、拒否したら悪いと。そもそもその考えがもしかして中立ではないのではないかというふうに皆さんには思っていただきたいと思います。
 合意した日程に出て行かなかったら、これはドタキャンだし、サボりかもしれないと思いますよ。それはキャンセルしたほうが悪いという話になるわけですが、いや、そもそも合意していないでしょうと。
 しかも、その野党の側も変な遅延行為を行っていることなんてないわけです。やはり確認したい問題、これは看過できないという問題があったときに、これはやはり別日程を取って議論すべきだ、より集中審議をすべきだという要望を出す。あるいは、この人を呼んで質疑をすべきだと。これは国会における慎重審議で必要だと思うものについて要求をするわけです。その要求を蹴られているわけですね。じゃあそれも審議拒否と呼んでいただきたい。与党の側の審議拒否、こういうふうに呼んでもらいたいと思います。
 そして、そういう中で、やはり時に慎重審議が求められるのに、たったかたったかと、とにかく何月何日までに予算を成立させねばならないから日程をただ無理やり進めさせていただきますとなったら、これはやはり民主主義としては危ういということで、我々は抗議の姿勢を示すことはあります。それはやはり早く国会を正常化させるべきだと、テーブルに着いてお互い話し合うべきだと言っているからですね。そういう辺りをぜひ理解をしていただきたいと思っています。
 当然ながら、決まったことというか、与野党合意をしたことを急にドタキャンしているものではないんだということですので、そういったことで与党の側にも我々はもっと丁寧な対応、そして与党の側はやはり、これまでも自民党の中では「国会は野党のもの」という言葉が語られてきたわけですから、そういうものを大事にして、国会では多くの政府・与党と違う意見をどれだけ聞き、そして披瀝をして、政府の考え方について多様な声があるということを示すかと。そして、できるだけ取り入れるかということが問われているんだと。これを理解していただきたいと思います。

○自公国幹事長会談について(2)

【日本経済新聞・大澤記者】
 国民民主党について伺いたい。昨日3党協議が開かれ、その後、自民党の茂木幹事長が記者団に、昨年の国民民主党の本予算への対応も踏まえて、来年度の本予算についても前向きに検討してもらいたいというようなことを述べている。先ほど維新には「重馬場」であってもらいたいとおっしゃったが、国民民主党には、共に戦う野党として、予算への対応、どういうような対応を期待されるか。

【代表】
 やはり自民党は非常に手練手管、政略に長けている、懐柔策にも長けている政党なので、簡単に乗ってしまおうと思えば乗れてしまうんですよね。ですから、やはり重々注意をして、政策実現と、自民党と戦う姿勢というものについて、より深く慎重に考えて行動するということが野党には求められていると思います。

【日本経済新聞・大澤記者】
 きのうの協議の中では、野党6党でも合意している児童手当の所得制限の撤廃も含まれる見通しだと思うが、そこを与党と協議する理由を、榛葉幹事長は実現性が高いのは与党だからというご説明だが、その部分についてはどういうふうにご覧になっているか。

【代表】
 これは実は政府はもう決めていると私は思っていて、実は今からどうこう協議をして与党側が動くとか動かないという話ではないと思っています。もう政府サイドからも所得制限撤廃は、もうある意味最低レベルの話として、当然いずれかの政府の政策の発表のものの中に含まれるものだというふうに考えていますので、どこか個別の政党が交渉したから得られたとかというのはないというふうに思いますし、それをやるとしたら、まさに懐柔策の一環でしょうね。そういう見せ方をするということで野党の切り崩しを図る自民党の手段だと思うので、やはりそこに乗るか乗らないか。もう既に所得制限撤廃は勝負がついている話だと私は思っています。

○衆院千葉5区補選について

【日本経済新聞・大澤記者】
 もう一点、別件で。先週の記者会見で代表が言及された千葉5区補欠選挙の予備選挙について、維新の馬場代表が先週の党大会で、泉代表にその気はないときっぱり申し上げたとおっしゃっていたが、今後補欠選挙をどう戦っていきたいか伺いたい。

【代表】
 まず、予備選の話は、先ほどそのほかの、松井さんの発言というのがあるようなので、まさに馬場さんの意見と松井さんの意見、まだ党内にもいろいろあるんだろうなと、そういう認識をしています。
 そして、まず私たちとしては、当然ながら、矢崎堅太郎さんが今、千葉5区で活動を展開していますので、そこに全力を投入していく。
 やはり、結局のところ、この防衛増税をする政党。そして、LGBTに理解のない政党。エネルギー政策を転換して、将来も結局原子力からは脱却できない政党。新しい再生可能エネルギーに踏み込めない政党。そういうところの政権を助けてしまうのか、それとも、その政権とちゃんと対決をして選択肢を国民・有権者に提示するのか。立憲民主党はやはり国民の皆さんに明確に明快に選択肢を提示していきたい。与党に変な妥協はせずに、戦う政党としてやっていきたいと思います。

○LGBTQの人権を守る法整備について(5)

【共同通信・久納記者】
 LGBTについて伺いたい。けさ当事者の皆さんとの意見交換があったが、法整備への切実な声があったと思う。クローズの部分も含めて、印象に残ったことというか、どう受け止められたかということと、差別解消を目指すというのは承知しているが、入口としての理解増進法への期待というか、認めるのかというか、どう臨むかというところのお考えをお願いしたい。

【代表】
 まず、クローズの部分も含めてというところで言うと、お一人お一人のやはり苦しい胸の内とか、まさに当事者の声というものを聞かせていただきました。詳しくは申しませんが、一人ひとり、やはり生活の中で、仕事の中で、学校生活の中で、過去の思い出の中で、いっぱい。明るく行動していますし、本当に荒井秘書官の発言でどれだけ傷や恐怖感を負ったかと思うわけですが、それでも明るく、何とか法律をつくりたい、その思いで前向きに活動している皆さんという印象を本当に強く受けて、だからこそ、その思いに応えていきたいと。
 G7までにという話も、その後もさまざま話をしまして、世界各国からもどんどん日本の政府中枢の考え方に対する違和感、これが声が上がっていますよということを教えてもいただきました。
 その理解増進法というのは、確かに与野党でもう泣く泣く合意はしていますが、本当にもう入口の入口なのです。入口に入って終わりということは絶対あり得ない話なので、あくまでやはり出口まで、法制度をつくるというところまで、最大限我々としては応援・連携をしていきたいと思います。

○憲法審査会について(2)

【共同通信・久納記者】
 もう一点が、衆院憲法審について伺いたい。今週の幹事懇を立民は欠席されたが、予算審議中ということだったが、幹事懇というか、委員会ではないので出席した上で考えを述べるということもあろうかと思うが、改めて欠席の判断の理由と今後の対応について伺いたい。

【代表】
 国会はやはりいろいろな意味で各委員会の重みだとかつくり上げてきたものがあって、予算委員会というのは、よく言われるように、全大臣がそろうけれども必ずしも全大臣が答弁しないこともあるわけです。それはなぜかといえば、やはり政府全体が、国会で最も重たい委員会の議論を全大臣が聞くべきという重みの中で予算委員会が開かれているからなのですね。ですから、予算委員会の裏で同時進行的に基本的には委員会を開かないということを、財務金融は別ですね、いろいろと税法ですとかありますから、それは予算と一体のものとしてやるわけですが、これまでの予算委員会というものに対して、与党・野党を問わず、ここが国政のまさに中心の議論の場だという位置づけを持って予算委員会を運営してきているので、そういう先人の積み重ねの中で国会を見ていくと、だからこそ本来は他のさまざまな委員会ですとか審査会というものは、災害があれば別ですが、基本的には開かないということになっているわけですね。
 そこで幹事懇云々ということは、いろいろな開き方だとかいろいろな個別の会合の持ち方というのはあるにもかかわらず、あえて形式的に無理矢理に、私的なさまざまな打合わせをできるにもかかわらず、わざと水位を上げて欠席・出席を迫ってくるというやり方をしたというのは、これはやり過ぎな姿勢ではないかと思います。
 ですから、立憲民主党として憲法審の中で議論していくというのはこれまでも言ってきているし、これまで先人が積み重ねてきた国会のルール、予算委員会をまず中心に行うということの中で憲法審ですとか幹事懇の開き方というものもできてきているので、それをわざわざひっくり返す理由はなぜなのか、何なのかと。では、その例外は憲法審だけの話なのか。では、ほかはどうするのか。そういうことについても、それは国民の皆さんからすれば、「面倒くさい、やってしまえ」かもしれない人もいるでしょうけれども、でも、その「面倒くさい、やってしまえ」の繰り返しでは、もう野党としては、全部、与党の圧倒(的)多数の中で審議なく物事が進んでしまうという可能性になって結びついていきますので、そこはやはり程度問題としても我々としては今回のこの幹事懇の開き方はおかしいと。そう考えています。

【共同通信・久納記者】
 昨年の国会では出席したりもしていたと思うが。

【代表】
 緊急時ということで、与野党合意があったからですね。合意があると合意がないというのは、やはり違うということです。
 合意がない状況で審議拒否だとか欠席だと言うのは、それは先ほど言ったレストラン、食事の会合の例えのとおりだと思いますよね。勝手にセットして、来ないほうが悪いと。それを言われちゃおしめえよと思います。

○「税制」「環境エネルギーPT」等について

【フリーランス・小山記者】
 1番目は、防衛費の寄附を募るというお話が先ほどあったが、予算委員会の審議でもどなたかおっしゃっていたと思うが、1億円以上の年収の方への課税の曲線が少し下がると。こちらを累進課税にしましょうということは泉代表も長くおっしゃっていると思うが、今回の国会でもこの辺は声を大きくしていかれるか。そういうお考えはあるか。

【代表】
 はい、あります。

【フリーランス・小山記者】
 二つ目。1月31日、ちょっと前だが、NATO事務総長のストルテンベルグさんが来日したときに、岸田さんの表情がこれまでになく和らいだというか、ほっとしたというような表情だったかと思う。防衛費2%を達成することで、事務総長が日本に来てくれて、これは要はロシアへのにらみという意味でNATOの協力をすごく期待しているのかなと、私はその表情を見てそこまで思ってしまったが、代表はどう思われたか。

【代表】
 2%にしたからNATOの事務総長が来たとは私は思わないですけれども。日本とNATOの連携というのは、そんな2%にしなければ来ないなんていう脆弱なものではあってはならないと思いますので、防衛費に関係なく、当然、日日の防衛交流のためにも連携はしていかなければいけないと思っていますので、その一環で訪日をしていただいたと。
 ですから、常に我が国の防衛のために他国の情勢というのは見ていかなければいけませんが、単純にどこどこ脅威論ということでさまざまな対抗軸をつくっていくという考え方は、あまりこう公にどんどん示していくものではないと思っていますので、防衛戦略としてはさまざまな当然考え方を持ちながら、しかし、対外的に国民の皆様に、どこと対抗するために我々はこういう関係を強化したとか、そういうことはあまり大きく言うものではないと思います。

【フリーランス・小山記者】
 3番目だが、立憲民主党の環境エネルギータウンミーティングが再開されたということで、ちょっと興味を持って行ってきた。横浜で資料をいただき、環境エネルギー将来世代委員会という企画の話が最後にちょっとあり、まだ党内で煮詰まってないようなお話ではあったが、こちらは泉代表の「ビジョン22」から発生した考え方なのか。

【代表】
 「ビジョン22」の以前からということで、実は「ビジョン22」にも反映されていると言ってもいいのですが、未来世代法という法律が北欧の国でつくられていて、やはり数十年後、先の社会の姿を想像しながら今の法律をつくりましょうという考え方ですね。そういうことについて、非常に今の環境エネルギーPTは関心を持って政策をつくってくれているということで、この流れになっています。

【フリーランス・小山記者】
 将来世代ということは、若い方が委員になられて、国会や行政と接続されるというイメージか。

【代表】
 いや、議員だけの話ではなく、社会全体の未来の姿を。ですから、今、子どもたちは例えば乳児であれば声を上げられないわけですよね。でも、声を上げられないけれども、その子どもたちの将来の社会はやはり我々がつくらなければいけないわけですから、そこを想像しながら今の法律をつくりましょうと。そういう考え方の、この未来世代法というのがあって、この考え方を立憲民主党の政策の中に盛り込んで環境エネルギー政策もつくっていこうというふうにしているということです。

○「防衛力整備に関する議論」「トルコ・シリア地震」について

【フリーランス・西中記者】
 先週の記者会見で泉代表は、馬毛島の基地建設に反対してきた立憲民主党鹿児島県連の方にヒアリングした岡田幹事長に会って報告を受けたと思う。その報告はどのような内容だったのかということと、その報告を受けて、南西諸島や沖縄で進んでいる軍事拠点化に関して政府・与党とどのように国会で対峙していくお考えかという点をお聞きしたい。

【代表】
 報告は形式的なものというか、事実関係の報告ということでありました。
 そして、どう対峙していくかというのは、この防衛政策の、国家安全保障戦略から始まって、さまざまに今議論が行われますので、その中で我々としては扱うべきものは扱っていきたいと思います。

【フリーランス・西中記者】
 もう一点だが、トルコの地震に関して。大きな被害を受けたガジアンテップという町がある。その町はクルド人が非常にたくさん住んでいるが、日本に住んでいる、特に埼玉県を中心に2000人近いクルド人が住んでいるが、その大半がこのガジアンテップと周辺の町や村から日本に来ている。

【代表】
 埼玉の、どちら。

【フリーランス・西中記者】
 埼玉の蕨とか川口とか南部のほうです。非常に大きな被害を受けているが、彼ら自身が何とか支援したいということで、募金活動を立ち上げたりの活動を始めている。一方で、在日クルド人自身が難民認定もほとんどされず、非常に苦しい生活で、仮放免という状態がずっと続いている。立憲民主党として実際にクルド人たちに会って、被害の状況や、在日クルド人が置かれている非常に厳しい状況などについて、話を聞くというようなことは考えられるか。

【代表】
 考えられると思います。まだ具体的なものは何かあるわけではありませんが、今のお話を伺っていて、考えられるとは思います。

○新型コロナ対策 マスク着用の緩和について(2)

【NHK・高橋記者】
 またマスクの話で恐縮だが、つい先ほど岸田総理は、ことしの卒業式はマスクを着用しないことを基本とする方針を表明した。国歌斉唱や合唱のときを除いてということで。

【代表】
 今、合唱、国歌斉唱とか校歌斉唱もやっていないところも結構ありますよね。黙唱みたいなふうにしているところもあったりしますので、どこまでかはわかりませんが。基本的には、ただ、もちろん呼吸というのは人間常にしてはいますが、どこまで、広い体育館というところで、しゃべらない、話をしないという場であればということではないかなと思いますけれども。ですから、それこそ皆がわいわい騒ぐ場と、全く話さない場でも、大きく違うのではないかと思います。

【NHK・高橋記者】
 卒業式でマスクをしないでくださいとは言っていないが、マスクを着用しない方針を明らかにしたことへの受け止めを伺いたい。

【代表】
 卒業式で、基本とする、ですよね。ですから、いずれにせよ強制がどちらかで生じるものではないということを一つの基本としてでしょうから、中にはしたいという方もあれば、それはマスクをするということになるのでしょうし、外したいという方で、外にそんなにどんどんどんどんマスクなしで話しかけるとかということが普通はないわけですから、許される環境であるならばと。あとは、それが体育館なのか教室なのか、じゃあ窓を開けるか開けないのかとか、換気の話はやはりいろいろ出てきますが。それは、ですから、地方にもよったりするのかなとも思いますよね。窓を開けられる地域もあれば、雪の中の地域もあるかもしれませんので、あとは地域それぞれで対応ということかなと思います。