岡田克也幹事長記者会見

2023年2月14日(火)15時39分~16時06分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/pBqLMNGzICc


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第68回常任幹事会を開催

【幹事長】
 私からは、まず、常任幹事会の報告であります。お手元に資料があると思います。
 まず、倫理委員会のほうから、さきの常任幹事会で決定いたしました今井瑠々氏に対する除籍処分について、事後的に検討いただきまして、処分は妥当であるというご提案をいただきました。理由については資料に述べられたとおりであります。倫理委員会としても今井氏に意見聴取の連絡をいたしましたが、全く音信不通といいますか、期限内に回答はなかったということで、ご本人の確認はできなかったということであります。倫理規則4条2項4号に規定する除籍処分に値すると判断したということであります。
 それから、倫理委員に女性が、先般決めたのですが、菊田真紀子さんだけでしたので、早稲田ゆきさんにも倫理委員を今後お願いすることといたしました。
 それから、ハラスメント対策委員会につきまして、今までは吉田忠智委員長、山岡委員、それから弁護士の喜田村委員ということでしたが、やはり女性が訴えをされることが多いということで、委員に金子恵美さんと参議院の村田さんを追加したところであります。
 19日の立憲民主党の定期大会であります。14時から開催するということは既にお伝えしているとおりであります。その前、13時からハラスメント研修というものを参加者全員を対象に行うことにしておりますが、定期大会につきましては伴野実行委員長を中心に、今、詳細をご議論いただいております。ここに書かれたように、来賓は、このコロナの下で、お一人ということにしたいと思っております。芳野連合会長にご挨拶をいただく予定であります。補欠選挙、地方統一選挙に向けて結束を固める、そういった会になればというふうに思っております。なお、それに関連するさまざまな委員会などは、きょうも16時から財政小委員会が開かれますが、両院議員総会とかそういったものは大会までに順次行われることになっております。
 あとは、北海道知事選に関しまして、無所属ということで出られる池田真紀さんの推薦を決めました。
 その他、資料にあるとおりであります。
 以上が常任幹事会のご報告であります。

○「原発運転60年超」政府内の議論の進め方について

【幹事長】
 それ以外で私から2点申し上げたいと思います。地震の話や日銀の人事の話はもう代表が先ほど述べられましたので、私からは申し上げることは特にございません。もしご質問があればというふうに思っています。
 その2点ですが、一つは、原子力規制委員会の、きのう採決が割れた、反対が1名出たと、4対1になったということに関してであります。
 非常にそもそもおかしいのは、原子力規制委員会が原子炉等規制法の改正案について採決をしたということでありますが、そこで書かれている、60年超の運転を可能とするという新しいルール。これを既に10日に閣議決定で決めてしまっているわけであります。閣議決定されれば、幾ら独立性の高い原子力規制委員会といえども、それに違う決定というのは考えられないわけでありまして、本来であればやはり順序は逆。原子力規制委員会で承認した上で、その上で、GX、グリーントランスフォーメーションに向けた基本方針の閣議決定というものがあるべきだったと思います。
 ここまで閣議決定を自由自在に操る岸田内閣。政府の中でも議論が、普通は閣議決定というのは閣内きちっと統一されて、その上で閣議にかけられるわけでありますから、それがなされないまま閣議決定をしたということは極めて問題だというふうに思っております。

○「年収の壁」をめぐる議論について

【幹事長】
 それから、もう一点は、今、いわゆる壁の話、103万円の壁、130万円の壁、その他、議論がされております。
 これは非常に重要な話だというふうに思いますが、一つは、先般経済同友会の皆さんと意見交換をしたときに私は申し上げたのですが、政府がやらなければいけない壁と、それから、配偶者手当とか家族手当といった、政府とは関係のない、経済界あるいは労使でつくっている壁という問題があります。103万円とか130万円という、その数字をそのまま使って所得制限を入れて配偶者手当が出たり家族手当が出るという仕組みであります。そこは、もちろん厚生労働省も従来から言ってはいるし、予算委員会でも総理も若干答弁はされたのですが、まさしく経済界あるいは労使でしっかり協議をしていただきたい点であります。
 幾ら政府が壁を取り除くとか言っても、これはもう労使の合意で、あるいは経営側の判断で、できている壁であります。従業員と経営者側の合意なり、あるいは経営者の判断で、配偶者(の年収)が103万円を超えたら配偶者手当は出さない、あるいは130万円を超えたら配偶者手当を出さないということですが、これは当事者である企業とその従業員の合意で、そことは関係のない配偶者の働き方を制限してしまっているという問題ですので、私はそういう観点からやはりしっかり見直しを議論してもらいたいと思っております。
 政府がやるべき、あるいは我々がやるべきことは、控除の話でありますが、これもしっかり壁にならないような議論を行うとともに、そもそも、例えば配偶者控除というものがどういう役割を果たしているのかということについても、そこまで深掘りした議論を我々もしなければならないし、政府でも行わなければならないと思います。
 覚えておられる方がいらっしゃるかもしれませんが、我々が民主党政権になる前のマニフェストで配偶者控除の廃止を実は訴えたわけですね。年少扶養控除と配偶者控除、双方を廃止して、それを財源にして子ども手当を大きく増やすということをマニフェストで訴えました。ただ、実際に政権を取って検討したところ、やはり配偶者控除を廃止することはそうそう急には結論が出ないということになって、年少扶養控除の廃止だけを決め、それで子ども手当の財源に充てたという経緯があります。
 簡単な問題ではないというふうには思います。しかし、しっかり議論すべきテーマであるということも事実で、中長期的視点から、そういった控除制度のあり方についても議論を尽くしていきたいと思います。私はどちらかの方向性を持って言ったわけではなく、ニュートラルに申し上げているわけですが、ただ、検討すべき対象だということは申し上げておきたいと思います。


■質疑

○子ども・子育て政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 まず、所得制限、児童手当のことに関して伺いたい。所得制限に関しては、茂木幹事長の発言があって、一旦何か私も9割方決まったような気になっていたが、世論調査では5割、6割の人が制限の撤廃に反対だということだ。茂木幹事長の発言も受けて失われた10年間プロジェクトなんていうのも立ち上がっているかと思うが、この児童手当の所得制限の撤廃といったことに関しては、政府・与党から言質は取れているというお考えか。

【幹事長】
 まず、失われた10年プロジェクト(失われた10年政策検証プロジェクトチーム)というのは、この所得制限の撤廃(の議論)を契機につくられたものではありません。むしろ、私も予算委員会で申し上げましたように、子ども対策と、社会全体で子育てを支援するという、そういう考え方に立つべきところを、やはり家族が中心だという、そういう論理で徹底的に当時の民主党政権を攻撃した。結果として、所得制限もそうなのですが、全体としての子ども政策に大きな遅れが出た。そういうところで失われた10年という議論をしているのであって、所得制限の話だけを取り上げたものではありません。
 私も総理に聞きましたが、総理は(茂木)幹事長の意見を、一つの意見というふうに言われました。ですから、政府の中では方向性はまだ出ていないのだというふうに思います。
 私がこの間の流れを見ていてちょっと気になるのは、所得制限の話だけが、ちょっといろいろな議論の中でかなりウエート大きく取り上げられてしまっているなというふうに思います。私たちが主張しているのは、児童手当そのものの額を増やすこと。児童扶養手当を充実すること。あわせて所得制限の話を言っているので、その所得制限の話だけすると、そこに集中してしまうというのは、ちょっと本質を見失ってしまう、そういう可能性もありますので、注意しながら議論していかなければいけないと思っています。

【フリーランス・宮崎記者】
 後半にかけて、法案ということで言えば、安全保障は法案があり、エネルギーも冒頭発言あったが法案があるが、子ども政策は実は今国会で法案の審議はあまり予定されていない。NCのほうでは児童手当法の改正案に関して杉尾さんのチームで議論するようだが、その児童手当法の審議なんていうのも、健康保険法改正案を政府は提出しているが、後半に向けて、政府には児童手当を法律でも議論してほしいというふうにお考えか。

【幹事長】
 私たちとしては、児童手当だけではなくて、全体の子ども政策についての基本的な考え方はまとまっておりますので、政府が早くまとめることを待っているという状況だと思います。そして、しっかりとした議論をしていきたいと思います。
 あわせて、岸田さんの話を聞いておりますと、担当大臣に3月いっぱいまでにメニューをまとめることを指示したということなので、ちょっとうがち過ぎかもしれませんが、統一地方選挙向けに大風呂敷を広げて、そして選挙が終わったらそれをまた縮めていくということになってしまうのではないかということを非常に心配しているところです。

○日銀総裁人事案について(1)

【共同通信・恩田記者】
 冒頭に少し言及があったが、日銀総裁の人事について、これまでの植田さんの言動とか、政策、主張、いろいろあると思うが、今後どういったポイントで審査していくか。その点、幹事長のお考えはどうか。

【幹事長】
 これは国対中心にやっておりますので、私の考えは、あまり個人の考えは言わないほうがいいと思いますが、少なくとも必要なことは、やはりこのアベノミクスの下で行われてきた超金融緩和政策についての検証、そして反省ですね。今後それをどういう形でどういうタイミングで正常化していくのかと。そういうことについて、候補者たる植田氏がどういう考え方を持っているかということをしっかりと確認していく必要があると思います。

○大阪府知事選・市長選について

【共同通信・恩田記者】
 もう一点、別件で。大阪府知事選・市長選について、構図がかなり固まり始め、維新対反維新という構図になりそうだ。立憲民主党としての今後の対応と、どちらの候補を推薦するか、今の時点での幹事長のお考えをお聞きしたい。

【幹事長】
 候補者は、知事選・市長選いずれも「アップデートおおさか」という、政治団体だと思いますが、そこを中心に活動されるということで、政党が前面に出るような選挙ではないというふうに理解しております。我々は、もしそういうお考えであれば、それに沿ったように対応したいというふうに思います。

【共同通信・恩田記者】
 それは積極的に推薦するというよりも、自主的な支援ということになるということか。

【幹事長】
 推薦を求められているのかどうか。今のところそういう話はありません。

○日銀総裁人事案について(2)

【NHK・岩田記者】
 日銀総裁人事の関連で伺いたい。これまで行われてきた10年の大規模金融緩和の今後の対応について、新体制を基に、どういうふうなことを期待していくか、幹事長のお考えをお願いしたい。

【幹事長】
 持続可能なものではありませんので、しかも、さまざまな弊害も出てきていますので、正常化していかなければいけないのだというふうに思います。ただ、そのタイミングといいますか、スピード感といいますか、そういうものは細心の注意を持ってしないと、非常に難しい局面にもあるのだというふうに思います。

○「原発運転60年超」政府内の議論の進め方について

【NHK・岩田記者】
 別件で、冒頭に触れていたが、原子力規制委員会の、政府の方針を受けて、委員の中にはその運転期間の延長は安全性を高める変更ではないという指摘や、法案審議のスケジュールに迫られて審議を急いだのではないかという指摘もあったが、これに対してどのようにお考えか。

【幹事長】
 その前に、私が申し上げたように、閣議決定が先に来たというのは非常におかしいことだと思うのですね。規制委員会といえども政府の組織ですから、本来であれば、全てが合意して、その上で閣議決定されるべきが、(規制委員会の)採決が後回しになってしまったというのは、非常におかしな、あるいは強引なやり方だというふうに思います。そういうことをしているから事後的にこういったことが起こってしまうのだというふうに思います。
 よく、私の質問に対しても、100回を超える議論を重ねてきたとか、総理がお答えになったのですね。GX実行会議の前に。その100回というのは、おそらくエネルギー調査会でのさまざまな分科会における議論だというふうに思いますが、エネルギー調査会は経済産業大臣の附属機関なのですね。そこで幾ら原発推進・積極活用の委員の皆さんが100回、1000回議論したとしても、それは政府全体の意思決定とはまた別の話。GX実行会議ではほとんど、リスクを前提にとかそういったことを言いながら、実際のリスクについての議論というのは全くなされていませんから。私は、非常に懸念の残る、そういう進め方だというふうに思います。

○ハラスメント対策について

【神奈川新聞・三木記者】
 立憲民主党の神奈川県連がきのう、県連所属の県会議員に対して離党勧告の処分を決めた。これは党本部が昨年12月に、同僚の女性議員に対するこの県議の言動について、ハラスメントとされてもやむを得ないという認定をし、それを受けて県連が党員資格停止6カ月、統一地方選での公認辞退勧告、この処分をしていた。今回新たに、追加の処分として、党本部がハラスメント認定をしているこの議員への離党勧告を県連が行ったことに対して、幹事長の受け止めを教えていただきたい。

【幹事長】
 これは県連の判断ですので、特に本部として、あるいは幹事長として、コメントすることはありません。県連の判断が尊重されるということです。
 それから、私が下した県連に対する指示ですね。それはそのときの県連の処分措置で終わっているので、今回のことはその後の新たなことに対しての県連としての判断だというふうに思います。
 それ以上、私が特に立ち至って申し上げることはございません。

【神奈川新聞・三木記者】
 もう一点。この県議に対して党本部は公認取消しなどを行う考えはあるか。

【幹事長】
 (本日の常任幹事会で)浦道さんについては公認を党としても取り消したということです。

○北海道知事選について

【北海道新聞・木村記者】
 先ほども言及されたが、北海道知事選に関して、元衆議院議員の池田真紀さんの推薦をきょう決定されている。自民党系の現職は支持率も非常に高いが、池田さんにはどのような点を期待して現職候補に対峙されるお考えか。また、支持などではなく推薦とした理由を教えていただきたい。関連して、幹事長として北海道の課題をどのように捉えているのか、お考えがあればお願いしたい。

【幹事長】
 まず、支持という判断は党としてはございません、そういう判断自身が。公認か推薦ということです。その下で推薦ということにさせていただきました。
 池田真紀さん、非常にパワーのある人で、演説にも力が、人の心を打つものがありますので、全力で戦い抜いていただきたいと思っています。

【北海道新聞・木村記者】
 北海道の現状の課題として、もし何か幹事長のお考えがあればお願いしたい。

【幹事長】
 現状の課題というのは、何についての課題。

【北海道新聞・木村記者】
 地域の課題というか。

【幹事長】
 それはいろいろありますが、この知事選に関して私があまり言わないほうがいいと思います。池田真紀さんがどういう主張をされるかと、それを見極めた上で、私たちとしてはそれをしっかりと後押ししていきたいと思っています。

○「安倍晋三回顧録」について

【フリーランス・安積記者】
 先日、安倍総理の回顧本が出た。幹事長はこの回顧本をお読みになったか。もしお読みになったら、これまで国会で当時の安倍総理と結構やり合われたことがあったが、どういうご感想をお持ちか。

【幹事長】
 読みました。たまたま飛行機で四国まで往復する時間がありましたので、その時間を中心に読みましたが、率直に言って、一国のリーダーとして、さまざまな苦しみとか葛藤の中で物事を決めていくというのが、私も与党のときもそうでしたし、野党の代表も務めた経験もありますが、それがリーダーだと思うのですね。何か非常に、そういうことが感じられない。自らやってきたことが正しかったということを述べられる。もちろん一部に反省を述べられた部分はありますが、それも非常に限定的ですよね。たしか森友のところで若干反省を述べられたと思いますが、ほとんどそういうものはない。そういうものなので、ちょっと私はやや驚いたということです。
 10年間をあれだけの非常に限られた中で述べようとすれば言い切るような言い方になるのかもしれませんが、それにしても、後世の人が「ああ、こういうところは、こういうふうに悩んで、考えて、こういう判断をしたんだな」ということがわかるような本が後世に残すことが求められているというふうに私は思っておりますので、政治家本としてはですね、ほとんどそういうのは感じられなかったというのは残念な気がいたします。
 ただ、率直に割と言っておられるところもあって、民主党の評判を悪くしようとして一生懸命努力したこととか、ああ、そうだったんだなというふうに思いました。
 トランプ大統領について言及しているところ、例えば武力行使については非常に慎重であるとかいう件があります。あれはやはり、ちょっと早過ぎるのではないかと。次の大統領選挙を控えた人との、プライベートというか、1対1でのやり取りを基に書かれているところは、もちろんご本人がいつあの本を出そうとしていたかというのはわかりませんので、安倍さん自身の責任ということではないと思いますが、トランプさんから見たらどういうふうに受け取られるのかなと。そんな感じがいたしました。
 私の名前は1か所しか出てまいりません。小沢さん、鳩山さんと並んで、元自民党だったというところしか出てこないので、もうちょっとあちこちに出てくるかなと思ったのですが、そこは期待外れでした。