衆院本会議で3月16日、「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案」について趣旨説明・質疑が行われ、立憲民主・無所属を代表して井坂信彦議員が質疑に立ちました。

 本改正案は、本格的な少子高齢化、人口減少時代を迎える中で、人口動態の変化や経済社会の変容を見据えつつ、すべての世代が公平に支え合い、持続可能な社会保障制度を構築することが重要だとして、給付と負担のバランスを確保しつつ、すべての世代が能力に応じて社会保障制度を公平に支え合う仕組みを構築するとともに、地域において質の高い医療及び介護サービスを効率的かつ効果的に提供し、社会保障制度の持続可能性を高めることを通じて、すべての世代が安心して生活することができる全世帯対応型の持続可能な社会保障制度を構築することを目的としています。

 (1)子ども・子育て支援の拡充(2)高齢者医療を全世代で公平に支え合うための高齢者医療制度の見直し(3)医療保険制度の基盤強化等(4)医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化――を軸としています。

 井坂議員は質問の冒頭、経済安全保障大臣として社会保障に関わる高市大臣による放送法の解釈変更に関する問題は見過ごせないとして、放送法の解釈と岸田総理の答弁をただしました。

 本改正案について井坂議員は、「社会保障の費用の分担割合を世代間や保険者間で調整しよう」というものだとした上で、「どんどん重くなる負担の分担方法を公平にしても、全員が等しく苦しくなるだけ」と指摘。(1)持続可能な社会保障(2)少子化対策や予防政策の財源(3)かかりつけ医(4)出産育児一時金――の観点から質問しました。

 「社会保障の持続可能性を高めることは、すべての世代にとって最重要の課題。単に全世代で負担を分かち合うだけでなく、科学的根拠に基づいた少子化対策や予防政策を全世代で実行することこそ、真に持続可能な全世代型社会保障を構築する方法である」と指摘しました。

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 自民党の少子化対策調査会長から出された「結婚出産で奨学金の返済を免除する」という案を政府が検討する可能性があるかについて岸田総理は、「党の議論の過程で出されたものであり、党として最終的にそのような意見を取りまとめたものではない」との認識を示し、「党内で意見をまとめる前の段階で、私の立場から一つひとつの案について、検討する可能性を含め評価することは控えさせていただく」と述べました。

 法改正に伴い、出産育児一時金が42万円から50万円に増額されることに関連し、井坂議員は都道府県により平均的な出産費用が大きく異なる現状と、出産費用の地域差を政策的にどう解消するかをただしました。岸田総理は、(1)平均的な標準費用をすべてまかなうよう全国一律で50万円に増額する(2)出産費用の見える化に向けた取り組みを進め、妊婦の方々が費用やサービスを踏まえて適切に医療機関を選択できる環境を整備する――などと答弁し、具体的な話はありませんでした。

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