衆院本会議で4月4日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」(防衛3文書)について岸田総理が報告をしました。その後、立憲民主・無所属を代表して篠原豪議員が質疑に立ちました。
防衛3文書は、昨年末に政府が閣議決定した、敵の弾道ミサイル等の攻撃に対処するために相手国の基地等を直接攻撃する反撃能力の保有を認める、平和憲法に基づく戦後の極めて抑制的な安全保障政策を大きく転換させるものです。篠原議員は(1)反撃能力の保有(2)GDP比2%ありきの防衛費増額の問題――等について、岸田総理に見解をただしました。
篠原議員は、安倍内閣が「存立危機事態」を自衛権の発動を許容する事態とし、当時、中東・ホルムズ海峡での戦時の機雷除去を例示したことに触れ、「存立危機事態」について「他国領土内にミサイルを撃ち込むことまでは、想定していなかったものと想像する」と述べました。しかし、岸田内閣においては「存立危機事態」に他国領土内にミサイルを打ち込むことができると主張していることから、「わが国に向かってくるミサイルの発射阻止ではないわけですから、何を理由に、また、何を標的として攻撃するのかを明らかにしてください」と問いました。岸田総理は、「事態認定後の反撃能力の運用については、実際に発生した状況に即して武力行使の3要件に基づき、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐために、他に手段がなくやむを得ない必要最小限度の措置としていかなる措置を取るかという観点から、個別具体的に判断する」等の答弁にとどめました。
篠原議員は、岸田総理が「防衛力の抜本的強化」は、内容、予算、財源をセットで決めると言いながら、昨年5月、バイデン米大統領に対し、防衛力の抜本的強化とその裏付けとなる防衛費の大幅な増額を約束し、その直後に決められた夏の参議院選公約に、防衛予算をGDP比2%以上とすることを念頭に、5年以内に防衛力を抜本的に強化すると明記したことを取り上げました。その後、岸田総理が、安全保障関連経費を加えた防衛費を2027年度にGDP比2%に増額するよう関係閣僚に指示し、財務省が35兆円を妥当としたという予算を43兆円の予算に誘導したとして、「これらは、GDP比2%ありき以外の何ものでもない」と述べ、岸田総理の見解を求めました。岸田総理は、海上保安能力やPKOに関する経費のほか、研究開発、公共インフラ整備など、総合的な防衛体制を強化するための経費を積み上げたと述べました。こうした積み上げの結果として、2027年度において防衛力の抜本的強化とそれを補完する取り組みと合わせて予算水準がGDP比2%に達するように措置したとして、「GDP比2%ありきというご指摘はあたらない」と反論しました。
2023年4月4日 「安保関連3文書」に対する本会議質疑 篠原豪議員.pdf