衆院本会議で5月12日、「財務金融委員長塚田一郎君解任決議案」について、趣旨弁明を党ネクスト財務金融大臣である階猛議員が、賛成討論を財務金融委員会筆頭理事の末松義規議員が、それぞれ行いました。

 同解任決議案は、自民党の塚田一郎財務金融委員会委員長が5月10日の同委員会で「財源確保法案」について採決を強行しようとしたことから、立憲民主党と日本共産党が共同で衆院に提出したものです。

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 階議員は「防衛財源確保法案」は「欠陥法案」であるにもかかわらず、「採決ありきの運営」だったと塚田委員長を批判。その上で、本法案は「財源確保と銘打ってはいるものの、看板倒れで、中身が乏しく、持続可能性もないという意味で、明らかな欠陥法案」だと指摘し、他方で民主党政権時代に成立させた東日本大震災の「復興財源確保法」は15年間の復旧復興に必要な32.9兆円を100%カバーするため、税外収入だけでなく、増税措置、歳出削減、決算剰余金による財源確保も盛り込んだ、量的にも質的にも本法案とは格が違う、いわば「異次元の財源確保法案」だったと強調しました。

 それにも関わらず、復興特別所得税の半分程度を防衛費に流用し、期限延長することは、「納税者との約束違反」であると厳しく指摘。塚田委員長に「被災者や若者世代の意見を聴くべきだと主張しましたが、質疑終局前に地方公聴会を開催しようとはしませんでした」と批判しました。

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 賛成討論の冒頭、末松議員は、同決議案に反対討論を行った自民党議員が塚田委員長の委員会運営について(立憲民主党は)「事実誤認」との旨の発言をしたことに対し、「野党の筆頭理事としてその場に居合わせ」「委員長が質疑終局、そして採決と表しながらやってきたことは、まさしく確認している」と指摘。また、「審議を通じて、しっかりと詰めていかなければならない様々な課題が浮上してきた」として、「深く審議すべきこれらの具体的な課題を最終場面で無視して、審議打ち切りを宣言し、強行に採決をしようとしたことは無責任の謗りを免れません」と断じました。

 その上で、「財源確保法案」は「欠陥法案」であり、具体例として(1)令和10年度以降の武器購入等の後年度負担が別途16.5兆円もかかるという問題(2)防衛財源確保法案と言いながら、その内容は税外収入の確保に限られ、法律による財源確保が一部に限られている(3)本法案で確保する税外収入の多くが、本法案がなくとも、一般財源として来年度に繰り入れ可能なものである(4)決算剰余金関係について算定根拠の妥当性が説明できていない(5)「国債には頼らない」と岸田政権が大見えを切ったことがウソであったこと(6)政府が今後5年間で3兆円強を捻出するという歳出削減や1兆円強の税制措置も、法律で担保もされていない――の6項目を挙げました。

 最後に、政府が「防衛増税」として、復興特別所得税の防衛費への流用を掲げ、課税期間を延長すると発表したことについて、「未だ復興の途上にある被災地の方々の心情を著しく傷つけ蹂躙するもの」と強調。与党が「本法案採決後に被災地に対して委員派遣を行なう」という「地方公聴会もどき」の開催提案をしたことについても、「被災地の方々に寄り添った姿勢とは、まったく似て非なるもの」と断じ、賛成討論を終えました。