衆院災害対策特別委員会で6月1日、小宮山泰子議員は(1)被災地、避難所での性暴力被害(2)感震ブレーカーの普及(3)被災地の電源確保(4)防災情報放送(5)仮設住宅用地の確保――について質問しました。

 冒頭、小宮山議員は、「地震が各地で頻発し、いつ起きてもおかしくない大規模災害への備えを進めるべき」と強調しました。

(1)被災地、避難所での性暴力被害について

 被災地、避難所での性暴力被害について、過去の質疑において、防災担当大臣が数字上、被害 は生じていないかのように述べたことについて、小宮山議員は「凶悪犯の件数の内数としてカウントされるため、被災地、避難 所での性暴力被害としての件数で把握はされないということも原因となっている。把握していないという ことは、痴漢、のぞき、不同意性交など、性暴力への認識の低さ、社会的弱者をつくり続けてきた日本の政治の 貧困の表れ」と述べました。

  谷国務大臣は、小宮山議員の指摘を「大変大事なこと」と述べ、政府として、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」を踏まえ、昨年4月に避難所運営ガイドラインを改定し、女性用の更衣室や休養スペースなどを設置することや、女性専用のトイレを安心して使用できる場所に設置するなどを追記、周知を図っている等の政府の取り組みを説明しました。

 小宮山委員は、「実際に性被害があり、警察が調べて、加害者も認め、被害も認定された。しかし、家に帰れないので同じ避難所に戻したり、地域住民が多く集まる所で面倒を起こさないでほしいと地域の顔役の方が、被害者が泣き寝入りをせざるを得ない状況に追い込んだりという現実がある」と指摘し、安心して子供も大人もしっかりと避難所にいられる環境づくり、実態についてはNPO等の団体の調査を参考にすること、現在国会で審議中の性犯罪刑事法改正に即した形での検討を更に進めること等を政府に求めました。

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(2)感震ブレーカーの普及

 小宮山議員は、地震の揺れを感知して電源が切れる感震ブレーカーに関して阪神・淡路大震災の際、特定された火災原因のうち、実に約6割が通電火災と言われている指摘し、感震ブレーカーの現状の普及状況について問いました。 

 谷国務大臣は「感震ブレーカーにつきましては、大規模地震発生時に電気による火災の発生を抑える上で大きな効果がある」と認識を示し、地震などに著しく危険な密集市街地での設置率は、2019年時点で約22%。全国 では、2022年時点で約5.2%と説明しました。

 小宮山議員は、「感震ブレーカーがしっかりと設置されることで、通電火災が抑えられ、発災後、様々な形の復旧復興に早期につながると確信している。国としても積極的に支援、補助すべき」とさらなる取り組みを政府に求めました。

(3)被災時の電源確保

 被害時の電源確保について、小宮山議員は地域防災拠点となる公民館や自治会館などで蓄電設備の整備などの取り組みについて、自治会、町内会などにできるだけ経済負担をかけずに進めていくべき」だとし、国の支援策について質問しました。

 政府は「自治会館等における発電設備の整備について、当該施設が市町村の公共施設で指定避難場所に指定されていれば、緊急防災・減災事業債の活用が可能」等答弁しました。

 小宮山議員は個人所有等の自治会館の扱いについて質問したところ「国としても検討することになるやもしれない」と答えました。

 小宮山議員は、指定避難所だけでは対応できないことも想定できるとし、 「一番やはり情報収集したり集まりやすいのは自治会館」と指摘し、「是非検討の俎上にのせてほしい」と政府に求めました。

(4)防災情報放送

 小宮山議員は「豪雨時に、自治体の使う防災無線、放送が聞き取れなくなる、音がかき消されてしまうので、各家にある、地域防災情報を伝達する方法として、コミュニティーFM、ラジオ放送の活用ができないのか」政府に問いました。

 総務省は「被災地の地方公共団体自らが免許人となって臨時かつ一時的に臨時災害放送局を開設できる制度があるとし、全国11か所の地方総合通信局等にアンテナや送信機等の設備を配備し、地方公共団体からの要請に応じて無償で貸付けをしている」と答えました。

(5)仮設住宅用地の確保

  小宮山議員は、災害救助法では大規模災害発生時に全壊、半壊などにより居住、使用できなくなった被災者への住まいの提供のため、応急仮設住宅が建設、設置されることになっていることについて「首都直下地震のような都市部での被災の場合には、適当な用地が見つからず仮設住宅の建設が進まない」懸念を指摘し、土地の確保の必要性を訴えました。

 政府は「土地の確保は重要な課題であると認識」「候補地リストの事前作成や、民有地の活用に向けた関係団体との協定の締結、土地の有効活用のため多層階建ての応急仮設住宅の検討などを進めていく必要性」に言及しました。

 小宮山委員は「これまでの大規模災害のときにも仮設住宅をしようにもその土地がなかなか見つからないということもよくあった。地方自治体も今、予算がないという中で、現実的には準備ができない」と指摘し、「防災、減災の備えをすることによって、日本社会の危機を回避につなげる。大臣の決断、そして実行力が注視されること。政治の要、災害対策を更に積極的に進めてほしい」と訴えました。