岡田克也幹事長記者会見

2023年6月6日(火)15時38分~16時07分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/yBoxFZ5F8Vg


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○第77回常任幹事会を開催

【幹事長】
 それでは、私から、まず常任幹事会の報告をしたいと思います。
 まず、「未来世代委員会」の設置についてということで、私から報告をいたしました。これは「未来世代委員会」設置についての法案を、今、党の中で検討しているところであります。これは、未来世代、つまり若い世代が、今の問題についてしっかりと未来の世代の視点で議論して提言をする、そういう組織をつくるべきだということで法案の検討を行っているところですが、それと並行して現実に党の中に「未来世代委員会」を設置するというものであります。青年局の下につくることにいたしましたが、テーマとしては、気候危機、気候変動の問題を主として取り上げるということであります。そういった問題について、現に活動しているNGOの皆さん、NPOの皆さんに集っていただいて、そういう未来世代の視点で気候危機問題についての提言をいただこうというものであります。我が党は気候危機問題についてはかなり議論を重ねてきて、しっかりとした考えを持っておりますが、それをさらに若い世代の視点で、その先を行く議論をしてもらおうということでございます。
 それから、ハラスメント対策指針の改正ということで、これも私から協議をお願いし、そして承認をいただいたところであります。「ハラスメント対策指針 改正のポイント」というところで書いておきましたが、現実にハラスメント(対策)委員会で検討しなければいけない事案が幾つか出てくる中で、実際にやってみるといろいろ従来の規定では足らざるところがあるということで、今、ハラスメント対策委員会の委員長は金子恵美さんですが、金子恵美委員長の下で対策委員会の皆様がご議論いただき、私も入って議論する中で、幾つかの改正を行うことにしたものであります。
 対象範囲の拡大ということですが、従来は党籍を有する議員または候補者が対象だったわけですが、それ以外にもハラスメントの対象になる、例えば地方の県連の常任幹事会のメンバーとかですね、これは議員ばかりではないわけです。そういう人が行った行為についてもハラスメントに当たることがあるかもしれないということで、やや範囲を拡大したということでございます。
 それから、当然のことですが議員等に対する研修の実施とか、それから、ハラスメント委員会にかかる前に事前に前広に相談できる窓口があったほうがいいということで、これはジェンダー(平等推進)本部にその窓口を設置しようと考えておりますが、前広にそこに相談してもらって、どうしても解決ができない問題はハラスメント委員会に訴えてもらうと。そういう2段階にすることで、早めに相談することで解決できる問題もあるのではないかということで、そういう窓口を置くことにいたしました。もちろん、その窓口を飛ばしてハラスメント委員会に直ちに訴えるということも可能でございます。
 それから、業務内容の明確化ということで、これは当然のことなのですが、人権侵害があったと委員会が認定した場合には、ハラスメントの解消、申立人の救済、被申立人への対応、再発防止策等、必要な措置について幹事長に勧告を行わなければならないということを明記いたしました。あわせて、虚偽、誹謗中傷、無秩序な申立て等、ハラスメント救済の目的に明らかに合致しない申立てに対してはハラスメント委員会は取り上げないことができるという旨の規定も整備したところであります。
 4番目、審議経過の非開示の明確化ということで、当然、訴えがあれば非公開を前提にして申立人や被申立人あるいは第三者の意見を聞いたり情報提供を求めたりするわけですが、そういう審議経過からすると審議終了後も具体的内容については開示しないということを明確にいたしました。それから、適正な審議手続を確保するために、申立人に対しても審議中においてその内容を外部に開示しないよう委員会から要請することができるということにいたしました。つまり、委員会にかかって、そこで審議している、あるいは調査している最中に、どんどん対外的に一方的に発信をされるということになると、公正な審議が妨げられるという場合も考えられます。そういう場合には委員会の判断で外部に開示しないように求めることができると、要請することができるということにしたものであります。
 最後に、審議結果の扱いでありますが、委員会は幹事長に対し審議結果の報告、取るべき措置の勧告を行うこととし、幹事長は勧告に基づき決定した措置について常任幹事会に報告をするというものであります。党の倫理規定に反するようなことがあれば、その手続に従って、常任幹事会に具体的な措置の内容について諮るということも当然含まれております。
 以上がハラスメント対策指針ということで、よりハラスメントに対する救済規定が整備されたというふうに考えております。
 最後に、衆議院の候補者3名を今回ご承認いただきました。一人は、岩手2区、中村さんであります。長らく県連で事務局長や副会長をお務めいただきました。これは財務大臣のところの選挙区になります。それから、高木さん。元衆議院議員、埼玉15区であります。それから、富山県1区、山さん。前回参議院に出られた方であります。この3名を新たに総支部長(公認候補予定者)にするということが認められました。
 常任幹事会は以上であります。

○少子化問題「合計特殊出生率1.26」について

【幹事長】
 それ以外で、法務大臣の問責決議案については、先ほど代表がご挨拶で述べられましたので、私から重ねて申し上げることは特にございません。
 先週の金曜日に、厚労省が昨年の合計特殊出生率が1.26であると発表しました。一時期、底を打ったというふうに、2005年、底を打ったというふうに思われていたわけですが、また2016年から逆転し、以降低下が続いているということであります。安倍さんは、安倍政権は新3本の矢ということを言われて、その中で出生率1.8の回復ということを挙げられたわけですが、現実は全くそうはなっていないということで、これも失われた10年。もっと早く、民主党が政権時代に唱えた政策をしっかり引き継いで、そして充実させていれば、こういうことにならなかったのだろうと、非常に残念に思うところであります。

○少子化対策の財源問題について

【幹事長】
 それから、少子化対策の財源問題については、この場で私、繰り返し申し上げております。結局、歳出改革で財源を捻出するということになったわけでありますが、具体的な中身ははっきりしない。年金にしろ、医療にしろ、介護にしろ、もちろんさまざまな改革は必要ということですが、それで3兆円とか3.5兆円を出すということは、これはちょっと、なかなか、具体化するのは非常に大きな困難を伴うわけで、もしできるというならば具体案を示してもらいたいと思います。それを示さずに12月に先送りするということは、結局、最終的には、つなぎ国債と言いながら赤字国債で3年間やることになるのではないかと。それは次の世代に対して負担を先送りするだけということになって、何のための少子化対策かということになるのだと思います。
 まさしく、もし近々解散をするとすると、「増税隠し解散」というふうに言われても仕方がないのだろうと思っております。これは防衛費に関する増税の話もそうですし、それから、GX債を発行する、その裏づけとなる財源も具体的にはまだ何も決まっていないということですから、数年後に大増税のラッシュが来るということになるのだろうと思います。それを隠すために早く解散するというのは、まさしく国民に対する背信ではないかと思っております。別に解散が嫌で言っているのではなく、きちんと、解散するなら説明をして解散したらどうですかということを申し上げているところであります。


■質疑

○マイナ保険証めぐる一連のトラブルについて

【NHK・岩田記者】
 マイナンバーカードの普及に伴い、今、数々の問題が起きていることについて伺いたい。他人の名義が他のカードのところに行くなど、かなり問題が発生している中で、きょう岸田総理が関係閣僚に指示を出した。総理の対応について、十分かどうかということと、これについて幹事長はどのようにお考えか。

【幹事長】
 ちょっと立ち止まって、しっかり対応を考えたほうがいいと思います。何か具体的問題が出てきたからその穴埋めを次々にしているという状況で、それで解決できるとはなかなか思えないということだと思います。
 そもそも、保険証をマイナンバーカードに一本化するというのは、私は、厚労省サイドから出てきた話ではなく河野大臣の発案だったというふうに思うのですが、何のためにそうするのかという説明がないのですね。マイナンバーカードを行き渡らせるために一本化したというふうにも思えるのですが、そもそもそういう必要があったのかということも含めて、つまり、何でもかんでもマイナンバーカードに詰め込んでしまうということは、それだけリスクも高まるわけですね。それを盗まれたとき、なくしたとき、あるいは、それが何らかの形で情報が漏洩するようなことになったとき。したがって、マイナンバーカードに何をその情報を集積するのか、どういう役割を果たさせるのかという議論がないままに、しゃにむに進んできたことの、その結果が現時点ではないかと思います。

【NHK・岩田記者】
 今の混乱の収束に向けては、どういった対応が求められるというふうにお考えか。

【幹事長】
 そもそも健康保険(証)と一本化することの是非も含めて、きちっと検証して説明すべきだと思います。
 それから、ほかのことについても、マイナンバーカードに全て集積してしまうということが本当に必要かどうかということを、もう一度整理し直すべきだと思います。

○LGBTQの人権を守るための法整備について

【読売新聞・中山記者】
 LGBT理解増進法案について伺いたい。今週審議入りという話もあり、きょう自民党の梶山幹事長代行は与党案を今の会期中に成立を目指すという考えも記者会見で示されているが、改めて理解増進法案についてのご所見。また、今、三つの案が出ている状態だが、この3案について、修正協議の可能性も含めて、現時点でのご所見を改めて伺いたい。

【幹事長】
 この国会で見送るのではなく法律を成立させるという、そういう方向性が出たことは評価したいと率直に思います。
 ただ、問題は、どういう形でそれを協議し、お互いに折り合いをつけていくのかということが見えません。単に形だけの審議をして、与党案で押し切るとか、そういうことはあってはならないことで、しっかりと、3案出ていますが、3案を並べて、各党で代表者を出して協議するとか、委員会の中で十分時間をかけるとか、そういうことを行うべきだと思います。

【読売新聞・中山記者】
 委員会とは別に、いわゆる修正協議というものがあってもしかるべきだというお考えか。

【幹事長】
 具体的なことはこれからですから、私がどれがいいとか悪いとか言うつもりはありませんが、しっかりと国民が議論の中身がわかる形で議論が行われる必要があると思います。

○M&Aに関する新指針案について

【フリーランス・小山記者】
 ちょっと法律名まではっきりわからないが、きのう安藤裕さんという元自民党の方のユーチューブチャンネルで案内されていたが、恐怖のM&A改革進行中というタイトルになっており、中小企業が外国資本にM&Aで買収されるのを断ることができない法律を経済産業省がつくっているところなのか、何か大変なニュースだと思ったが、岡田幹事長がこちらをご存じかどうかということと、コメントを何かいただければと思う。

【幹事長】
 すみません、ちょっと私、存じ上げないのです。中身が全くわかりませんのでコメントは控えたほうがいいかなというふうに思います。
 ただ、M&Aであっても、それは両者の合意があって初めて、契約ですから、成立するもので、それがないまま一方的にということはちょっと考えにくいとは思います。

○「未来世代委員会」の設置について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 国会に「未来世代委員会」という、これは臨調みたいなものか、それをつくる前段で党内にそれをやるというが、それは泉さんがなられたときに、持続可能なというので、ずっとやっていたと思うが、なぜ今それがそういう話になるのか。そこに書いてあるところにまずほぼ出尽くしているような話だと思うが、それは泉ビジョンの延長ということか。

【幹事長】
 そう考えていただいて結構だと思います。

○次期衆院総選挙に向けた取組について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 先ほど、もちろん解散・総選挙ということを含め、今の擁立状況だが、きょうの岩手の女性の候補はなかなかいい感じの方かと思うが、今どんな形で、その150を超えていくような勢いなのか伺いたい。

【幹事長】
 それぞれ、これはどこかのメディアが党本部が勝手に県連を飛び越して決めたような表現がありましたが、それは明らかに間違い、当然県連が決定をして上げてきて党本部として決めるという手続です。ただし、各県連には積極的に擁立するようにお願いをして、コミュニケーションを取りながら進めているということです。
 これからも各県連から上がってきますが、やはりそれなりに手続きが要るのですね。県連の中でも必要になります。ということで、この国会の会期末も近づいておりますので、なるべく前倒しでできるようにしたいと考えております。

【共同通信・久納記者】
 先ほど「増税隠し解散」というお話もあったが、国民にとって批判の多い点について説明責任を果たさずに押し通そうとする今の政権に対する評価、また、解散するに当たって重ねてになるが求めたいことがあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 岸田政権は、例えば、そもそもスタートは、総理に選ばれてから国会を本会議しかやらなかったのですね。予算委員会でしっかりと総理としてやりたいことを述べた上で解散すべきだという私たちの要請に対して、本会議だけで解散してしまいました。国民はほとんど何を判断したらいいのかわからなかった状態だったと思います。
 それから、去年の12月にエネルギー政策の大転換と防衛3文書を、防衛3文書は閣議決定して、そのままワシントンに行ってバイデン大統領に1月にそれを説明したということですし、エネルギーの大転換も一方的に発表されました。結局、国会でしっかり議論しないまま、どんどん進めていくというやり方です。
 今回はもっと罪が重いと思うのですね。将来のその負担について何も話さずに、そして、今、こういうことができますよというメニューだけ示している、そういう状態です。やはり民主主義というのは、国民に対してしっかり説明して、その上で判断を求めるということですので、いい話だけして実際の負担の話は隠してやるというのはこそくだし、私は、ひきょうだと思いますし、そういうやり方を国民が認めるとはとても思えません。それで選挙をやるというならば堂々と受けて立ちたいと思います。

○少子化対策の財源問題について

【共同通信・久納記者】
 もう一点、少子化対策について伺いたい。将来世代への負担の先送りというご指摘があったが、先日の木更津でのタウンミーティングでも、メニュー自体は一定程度評価するというお話があった。このメニューも含めて、負担のあり方については立憲民主党としてはどういうお考えなのか伺いたい。

【幹事長】
 全体の規模が、3.5兆円なのか、もう少し小ぶりなのか、あるいは3.5兆円以上なのかという、そういう議論も必要だと思っております。党の中でですね。
 ただ、かなり重なり合うのですね、我々が民主党政権のときに言ってきたことと。配置基準の見直しとか、児童手当の積み増しとか、18歳までとかですね。ですから、具体的な議論をしたいと思いますが、そんなに大きく分かれているわけではない。
 ただし、決定的に欠けていると思うのは、そういった子育て世代に対する支援の前に、結婚することを、あるいは子どもを持つことを諦めている人たちに対する対策です。特に男性の非正規(雇用)の働き方をしている人の未婚率の高さ。それは小泉政権で派遣の働き方を、小泉政権、そして安倍政権で拡大してきたことと無縁ではありません。そういうことも含めた総合的な対策が必要だと思います。
 財源ですが、私たちはかねてから申し上げていますように、やはり防衛費を増やすことは理解できると。でも、本当に倍必要なのかということを申し上げているわけです。倍にするというのは相当なことですから、それで4兆とか5兆とかという、そこまで5年後に増やす必要があるのかというところで、その防衛費の部分を一部分を持ってきて子ども政策に回すと。それから、かねて主張しております所得税の、例えば有価証券取引税についての税率の問題とか、あるいは累進化の問題とか、そういうところから財源を持ってくるというようなことを中心に、我々はきちっと考え方を示して、もし選挙になればですよ、堂々と戦いたいと思っているところです。

○入管法改正案 法務大臣問責決議案の提出について

【NHK・岩田記者】
 追加で伺いたい。入管法をめぐり法務大臣の問責決議案を出したことは、理由については代表が述べていたが、これを出すことによって、衆議院で財確法のときに大臣不信任案を出したように、与野党の対決姿勢が今かなり強まっている中で、この今後の終盤の国会をどういうふうに戦っていきたいというか、追及ポイントをどのようにはっきりとしていきたいかということを教えていただきたい。

【幹事長】
 追及というよりも、本当にこの法案、この国会でやるんですかと。新しい問題が次々に出てきていて、そして、多くの納得しない人たちがあれだけ声を上げている中で、国に帰されれば殺されるかもしれないと、ああいう悲痛な叫びもありますよね。そういう中で、前回とほとんど変わらぬ法案を出して、そのまま成立させるということが、本当に国会のやるべきことなのかということを私たちは申し上げているわけで、議論するために、できる手段を尽くして、もう少ししっかりした議論ができるように、次の国会に先送りすることが必要だというふうに政府・与党が判断するように我々の手を尽くしているというのが現状だと思います。

○経済政策について

【「FACTA」・宮嶋記者】
 経済財政通である岡田さんに伺いたいが、きょうびの日経平均が30年ぶりくらいの高騰で、これをどうご覧になっているか。この結果として税収がかなり上振れすれば、防衛費のその辺もどうなるかとか、これがどこまでどう見るというのはわからないが、立憲民主党はこの先の、現状を含めて、経済政策を含めて、どんなふうにお考えになっていて、全体のこのトレンドを利用するというか、円安で日本の産業をどうするとか、そういうお考えというのは今後、立憲の中では逆にどういう議論になっているのか伺いたい。

【幹事長】
 私は政策について議論に全面的に参加しているわけではありませんので、私個人の意見になるかと思いますが、今の現状、例えば株がどんどん上がっている。そして、円安。それが持続可能かどうかというと、私には必ずしもそうは思われないわけです。全く逆の状況になる、そういう可能性だってあるということだと思います。
 実体経済がよくなって、その結果として株が上がったり、あるいは為替がということならばわかりますが、事実はそうではないわけですから、そういう意味で、今の状況、一時的な状況を前提にして議論を立てるというのは、私は適切ではないと思っています。
 根本は、やはり日本の経済が強くなる。そして、賃金が上がって、いい循環が確立するということだと思います。そこは岸田さんとあまり考え方は変わらないのかもしれませんが、安倍さん以降、アベノミクスもそうですが、結局そういう本筋のところではないところで経済が肥大化して、実質的には弱くなってしまっているというのが現状ではないかと思います。