泉健太代表記者会見

2023年6月30日(金)10時30分~11時23分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/TVsHmnsIjmc


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○豪雨災害への備えについて

【代表】
 おはようございます。先週はちょうど沖縄の「慰霊の日」でしたので、記者会見を行いませんでしたので、2週間ぶりの記者会見となります。
 まず、あしたから7月ということで、豪雨災害がやはり気になってきているという状況で、各地も大雨ですので、我々も各自治体と共に注意を、住民への注意喚起、また、災害予防などに努めていきたいと思っています。

○マイナカード問題 閉会中審査に向けて

【代表】
 そして、まず、マイナンバーカードのことです。
 これはもう国民の皆さんも大変関心が高くなっていて、立憲民主党のまず基本的なスタンスというのは、当時、民主党政権でマイナンバー制度、カードではなく制度、これを進めていくと導入をしたわけですが、これはもう当たり前に必要なものであって、社会保障、そして給付、その意味でマイナンバー制度をどう活用するか、いかに円滑に活用していくかということは、これはあるべきことです。
 一方で、カードについては、任意というところから始まって、持つ持たないは国民の自由と。利便性を感じる方は、あるいはセキュリティの面などでも自分で管理できるという方については取得をしていく、そして自分自身の利便性を高めていくというものであったものが、ある意味、自民党政権によってかなり無理やりな普及策が続いてきたのではないかと。マイナポイントもそうですよね、2兆円もお金をばらまいて、とにかくカードの登録をさせる。役所では大変な行列ができて、そして、申請はしたけれども取りに来ないという方々も大量に生まれているという状況です。
 やはり無理やり普及をかなり焦ってやったものだから、データの処理も追いつかず、さまざまにトラブルが起こっているということで、これはもう河野大臣もおそらく相当、今、あっぷあっぷ、混乱している状態にあるのかなと思うのですが、間違ってというか、民主党政権のせいにしてしまいましたみたいな話なのかなと思っています。
 今必要なのは、10年以上前の政権に責任転嫁をする話では全然なく、当たり前ですが、その後10年間で、制度を運用し、マイナンバーカードを無理やり普及させて、普及策を急ぎ過ぎた自民党政権がいかにこのデータトラブルを挽回するかというところが問われているので、今度、7月5日にいわゆる国会の閉会中審査、これを立憲民主党から求めて、それが実現するということになりました。
 ここの意味合いというのは、国民目線から立憲民主党として課題を、ある意味、政府の側に届けたいと思っています。政府の側も、その課題整理をうまく生かして、トラブルの解決に取り組んでいただきたいと思っているので、立憲民主党からは、野党としてできることは限られるわけですが、この閉会中審査を実現するということそのものが、今の政府の抱えているトラブルの改善・整理につながっていくものの一つの手段だと考えていますし、我が党の質問者が質問していくことについても、国民との信頼関係、国民の不安感の解消、これはやはり政府がデータを管理する上においてはとても重要な観点ですので、こうした取組を立憲民主党として行うことによって、政府が信頼される政府になるために一歩でも早く近づけるようにということの後押しをしていきたいと思っているところです。
 この7月5日の閉会中審査に向けても、やはり情報がきちんと国民の側に提供される(ように)、今、政府が何をどこまでやろうとしているのか、そこにまた二重三重のトラブル、無理が生じないのかということも含めて、我々としては政府の情報をもらわなければいけないと思っているので、きょうも午後2時からマイナ保険証に関するヒアリングを行いたいと思っています。
 政府も、従来の保険証を初診のときには当面持参してくださいという話にどうもなっているようで、これはある種、国民の声を聞いて、あるいは立憲民主党の声を聞いて、一歩前進だと思っています。これだけ国民が不安を感じているからこそ、政府も、では従来の保険証も持参してくださいという状況になっているのであれば、まさに今、立憲民主党が言っているように、当面はこの紙の保険証というか従来の保険証を残せる選択肢をきちんと国民に提供する。これが大事だと思っています。
 決して河野大臣の責任逃れのような、責任転嫁のようなことで政府が強がることが大切なのではなく、今必要なのは具体的に国民の不安に向き合うこと。そして、国民の安心を提供すること。これが政府の大事な役割だと思いますので、従来の保険証も持参することというならば、従来の保険証は当面残すと。選択できるようにしていくということが私は大事だと思っていますので、来年秋の(従来型)保険証の廃止、これは一旦立ち止まるべき。廃止を最低でも先送りすべきだと考えているところです。

○「子ども・若者応援政党」立憲民主党の取組について

【代表】
 そして、立憲民主党として、今週は結構、週内で、若者政策についてさまざま前進がありました。
 まず、立憲民主党の党内に「未来世代委員会」を発足させたということで、立憲民主党の党の政策に、政治家だけが集まって議論するのではなく、若い人たちからの意見を取り入れるということをスタートいたしました。
 そして、その翌日には、今度は学校改革・教育改革という文脈で日本若者協議会から話を聞き、学校における子どもの意見表明権の確保。そして、自分たちで学校の環境を改善できる仕組みづくり。また、これは今後党の中で検討していきますが、内申書の廃止とか、さまざまな提言をいただいています。
 子どもの自殺率が各国に比べて高く、自己肯定感が低いとなってしまっている我が国であるし、自己評価や自己肯定感(の低さ)だけではなく、まさに卒業後に大きな借金を背負わされて、そして、さらには非正規雇用になりかねないという環境の今の若い世代ですので、立憲民主党は、私も今国会が始まるその冒頭から「立憲民主党は子ども・若者応援政党です」ということを宣言して、「子ども・若者応援本部」もつくってやってきていますので、この取組をさらに強化していきたいと思います。
 ちょうど今、若い女性の方が元交際相手に殺されるという事件も起きました。何回か警察に連絡や相談や通報があったけれども防げなかったというのは、これまでもこういう事件が度々起きてきたわけですが、つき合っていた当初からどうも暴言や暴力的なものがあったのではないかということも情報として流れてきています。いわゆるデートDVということですとか、子どもたちの間における暴力というものも、私たち立憲民主党はやはり取り組まなければいけないと思っていますので、全国で、今、立憲民主党としてもさまざまに、各自治体においても給食費の無償化だとか、具体的な子ども・若者支援ということは議会でも取り組んでいますが、加えて、この子どもたちのさまざまな生活の中でのトラブルをいかに防止していくか。児童虐待防止への取組、これも全国で立憲民主党としても取組をしていきたいし、そして、今お話ししたような暴力やデートDVのようなことを根絶していく、その啓発などにも取組を進めていきたいと思います。
 国会が閉会しても、各地で、自殺者を減らす取組も含めて、子どもの命と将来を守る、その取組は立憲民主党としてぜひやってまいりたいと思います。私も閉会中、幾つかのさまざまな視察なども行いながら、そういった取組を応援していきたいと思っております。


■質疑

○マイナカード問題について

【共同通信・鈴木記者】
 冒頭のお話にあったマイナンバーカードについて伺いたい。先ほど代表は国民目線の課題を政府に届けたいとおっしゃっていたが、先ほどのマイナ保険証の問題もあるが、今回の閉会中審査でどういった問題をつまびらかにし、政府に方針転換や改善などを迫っていくお考えか、改めてお願いしたい。

【代表】
 幾つかあるわけですね。
 まず、国民の皆様が今不安に感じている保険証の取扱いの問題です。これは先ほど話もしましたが、立憲民主党としては当面この現行の保険証を残すべきということは、もう明確に政府に対しても申入れをしているし、政府はそうあるべきだと考えているし、政府も現行の健康保険証も初診時には持参してくださいというところまでを、おそらく当初はそんなことを政府は想定していなかったわけですが、これだけの、もう他人の医療データが入っているかもしれない、自分の医療データが別な人のところに入っているかもしれないという状況でありますから、不安を感じるのは当然のことで、しかも、役所内でのチェックだけではもしかするとそれは判明されないものもあるかもしれないということもあると思いますから、この健康保険証の取扱いが一つの論点です。
 あるいは、介護施設などで、これまでであれば、健康保険証だけであれば施設の職員が預かったりして取扱いをしてきたということがあったけれども、一方で、マイナンバーカードそのものの中に健康保険証が入ってしまうと、他の情報も含めた大事なカードを例えば介護施設で他の方にお渡ししてしまうことがよいのかどうか。そういうことは当然問われるし、では、本人の意思がなかなか明確に示せない方などもマイナンバーカードを持つことになるわけですから、その中に入っている情報を活用する際に、パスワードなどが出てくる。しかし、そのパスワードの情報というのをどれだけ他人に教えてよいものか悪いものか。こういうことも当然ありますから、一つはやはりこの健康保険証の話となると思います。
 もう一つは、他の情報とのひもづけの誤りだとかを含め、政府の認識を問わねばならない、特に河野大臣の認識を問わねばならないと思っています。愚痴が思わず出たものなのかと思いますが、改めて、きちんとした正常な認識で、このトラブルの早期解決に当たれるのかというところ。そこは我々としてもやはり問わなければならないと思っております。
 そして、実際に厚生労働省などから実際の医療現場に、例えば10割負担、保険証がなくてとかさまざまな点で10割負担を求めるようなケースがあっても、それは求めないようにだとか、個別にいろいろな周知がなされているということですが、こういった周知も国民の皆さんには届いていない方もたくさんいると思いますから、そういった点などを問うていきたいと思っています。

○安倍元首相の一周忌を迎えるに当たって

【毎日新聞・中村記者】
 来週、安倍晋三元首相の一周忌を迎えると思う。安倍晋三元首相が亡くなった後、この1年で日本の政治にどのような変化があったと考えるか。また、その変化に対して立憲民主党として政府・与党と対峙する際に変えた部分などあれば教えていただきたい。

【代表】
 まず、安倍元総理が凶弾に倒れて、一周忌ということになる。本当にこの1年、早かったなというふうにも思いますし、私も昨年は増上寺に参列させていただきましたので、ことしも可能であるならば参列も考えさせていただきたいというか、行かせていただくことにしたいなというふうに思っているところです。
 やはり最長の在任期間があった安倍元総理ですから、いろいろな意味で大きな足跡をこの日本の政治に残した人物だと思います。アベノミクス、これも当然ですよね。そして、あの事件の後に、より発覚というか明らかになったわけですが、旧統一教会との関係。これが政策面でもある意味自民党の政策の一つの潮流になっていたのではないかということを考えても、やはり安倍元総理の存在というのは、経済政策においても、その他の政策においても、自民党に大きな影響を与えてきたと思います。
 私たちも、アベノミクスについては、立憲民主党としては、トリクルダウンは起きなかった、格差は広がった、そのように考えていますし、いまだに国民の生活は回復していないという状況にあると思っています。
 そして、旧統一教会の流れを受けた保守的な考え方、古い家族観というもので、今、日本の多くの方々の活力がそがれてしまっているというふうにも思いますし、中には、性教育なども含めて、むしろ子どもの性被害を守り切れていないという問題もあろうと思っていますので、そういったものについてはやはり改善をしていかなければいけないと思っています。
 ある意味、岸田総理が安倍政権・菅政権とは違う路線のように発足をして、国民の中にも、「安倍政権や菅政権を否定する、それが岸田政権だ」のようになって、何となくソフトなイメージが岸田政権には当初あったわけですが、「1億円の壁」を全く解消できていないということも含めて、岸田政権もいまだにアベノミクスからの脱却はできていないというところですから、立憲民主党としては引き続き、その政策・主張というものを変えず、やはり国民目線、生活目線、そして新たな時代の流れをしっかり受け止めた真っ当な政治、真っ当な改革ができるように取り組んでいきたいと思います。

○「防衛財源確保法」「賃費学生制度」について

【フリーランス・宮崎記者】
 防衛財源確保法に関して伺いたい。さきの国会は、1月から防衛増税反対で野党は一致ということで、国対委員長の昭和の国対文学も功を奏してか、最後の最後まで防衛増税反対に関しては野党の足並みがそろった。参議院本会議、最後、政治家女子48党が賛成に回ったようだが、それ以外は全部反対で、ほぼ5カ月間一致した。最後の最後、成立に関して若干やや甘くなったような気もするが、あくまでも成立した法律に関して。あの法律はこれから5年間ないし10年間、防衛費を増やさなければいけないと法律に書いてある。それでいながら、令和5年度、今年度の3兆円ちょっとの確保の仕方だけ書いてある。そういった法律という認識で合っていると思うが、ということは、今後毎年3兆円くらいずつ財源と言われるものを確保していかなければいけないという宿題が自公政権のほうにかかった法律で、今後、岸田総理にとっては3兆円の宿題ということが結構厳しくなるのではないかと思う。また、現在あくまでも3兆円増税ありきだというふうな主張もマスコミの一部などに入ってくるようになったが、必ずしも増税でなければいけないということは法律の中にはないかと思う。この法律、今後毎年3兆円、自公政権がどのように臨んでいくべきだとお考えか。

【代表】
 この3兆円の、今言っていただいた背負ったものについては、その荷を軽くしていただきたいと思います。この3兆円は、政権だけではなく、まさに国民の大事な税金ですので、国民が背負わされた3兆円でもあると思っていて、この3兆円を何に使うかが政治に問われているのだと思います。
 私たち立憲民主党でいえば、それは防衛費、防衛力の整備だけではなく、少子化対策や教育の無償化、こういうものにもっとシフトしなければならない。それが国家のバランスとして、予算のバランスとして正しいと思っています。
 この5年で43兆円という防衛費の急増。今まで5%だった防衛費が10%くらいになっていくわけですよね、予算の中での比率が。これはかなり自衛隊の中での運用上も大変なことが起きるのではないかと、運用が追いつかないのではないかというふうにも思いますし、そして、それは二重三重に四重に何だって多いほうがいいという考え方を持つ防衛政策の方もあるかもしれませんが、それは果たして適切な防衛予算のつくり方と言えるのかということもあると思います。そもそも我が国は必要最小限という考え方の防衛力を整備するということですから。
 NATOでも2014年から10年間かけて防衛費GDP2%というものに近づけていこうとしていて、そのNATOの域内でも、それを達成できない、10年使っても達成できない国はたくさんあるわけです。それくらいに国家予算というのは、やはりきちんと順序立てて徐々にやっていくものですよね、防衛力の整備というのは。一方で、やはり日本はかなり急激に過ぎるところが一つ問題ではないかと思っています。
 私たちとすれば、そこは岸田政権、この防衛財源の確保法というものをつくりましたが、そのときにも指摘しましたが、決算剰余金の上げ方、また、予備費の考え方が、防衛費ロンダリングになってしまうのではないかと、財源ロンダリングになるのではないかと、このことも指摘をしたわけですね。あらかじめ大きい予備費を組んでおいて、余りましたと言って防衛費に回す。あらかじめ何か基金を積んでおいて、余りましたからと言って決算剰余金として扱って防衛費に回すでは、これはロンダリングですから、そういうことにしてはいけないということもあろうと思います。
 そして、今、税収増ですよね。この(新型)コロナが明けて、また、日本の各企業が頑張って、税収が増えているというときに、改めてですが、防衛増税をする必要があるのか。これはもう問われて当然だと思います。よく景気に左右されるからという話がありますが、ある程度増収というのはこれは見込めますし、もちろん急な経済の要因があればそこは難しいところはあるかもしれませんが、私は、今、実質賃金が下がり続けているという中で国民の皆さんに増税を強いるということについては、やはりその増税には反対ということは今国会が終わった後も言い続けていきます。

【フリーランス・宮崎記者】
 もう一問お願いしたい。また自衛隊の話だが全く別の話で、経済的徴兵制に関して伺いたい。来年の通常国会に自衛隊法改正案が、いろいろなものがどうやら出てくるようで、既に報道されている。今週、日経新聞しかまだ報道されていないが、現在自衛隊が一般の大学の理工系学部の学生40人程度に月5万円ちょっと出している奨学金があるが、これを大幅に拡充し、文系も含めて文系・理系の大学1年生からもっとまとまった金額をもっと多くの人に給付するという制度をつくり、令和6年度から早速予算をつけるのではないかといったことが日経新聞で報道された。その他の新聞にはまだ出ていないが、事実ならば早ければ8月の概算要求に防衛省が入ってくる、そのくらいの話になる。この経済的徴兵制に関しては8年前の平和安全法制でも問題になり、日本学生支援機構の経団連専務理事出身の委員が辞任するという話に8年前はなっていた。いよいよ具体的な形になるような気もするが、私もそんなあおろうとは思わないが、率直に今回のこの動きに関していかがお考えか。

【代表】
 これはアメリカでも経済的徴兵制というのは指摘をされていて、ちょっと違う文脈で、やはり経済環境が厳しい所得層の若者に声をかけて軍に入らないかということが事実上起きているという話はあって、日本でもそれは全くないわけではないし、例えば、当然ながら防衛大学(校)に行くにしても、今おっしゃっていただいたような研究をする学生に対しても、自衛隊員を確保するためだとか、いろいろな形で防衛人材を確保するためのある種の優遇制度というのはあるので、確かにこれが全部悪いというわけではないのです。
 ただ、改めてですが、今回この5年で43兆円というふうに、防衛力をものすごく急増、防衛費を急増させていくときに、人員について、どこまでそれに整合した人員の計画が組めていて、それが現実的なものなのかということは、まだまだ実は国会の中でも検証ができていないのではないかと思うのです。
 私よく言いますが、イージス・アショアが河野大臣によって(計画)廃止になりましたと。そして、元々イージス・アショアは、船に乗る乗組員が少ない中で、海上自衛隊の負担を軽減するために陸上イージスを整えようという発想からスタートしたのだけれども、結局、陸上では反対が大きい、そして防衛省が断念をしという中で、また海上に戻ってしまっているわけですね。スーパーイージスという形になっている。そうしたときに、そのイージス艦、スーパーイージスが2隻増え、さらには通常のイージス艦もさらに2隻増やすという構想を、今、防衛省側が出している。これだけで乗組員が全体で1000人必要なのですね。では、そもそも今も船の乗組員が海上自衛隊は足りていないという中で、どうやってその1000人をさらに増やしていくのですかということについても具体的に何か説明はされてはいないということで、少子化もどんどん進んでいく、そして自衛隊員も減っていく。もちろん、できる限り省力化ですとか省人化というものを図っていくのでしょうけれども、防衛省・自衛隊が、かなりこの人員の募集について無理をし始めているのではないかということもあると思います。
 これも、そもそもは防衛力のこの5年で43兆円という急増に伴って、さまざまなその意味での知恵が政府側から出てきているのではないかと思いますので、改めて、一つ一つが妥当なものかどうかということを立憲民主党としてはチェックしていきたいと思います。

【フリーランス・宮崎記者】
 装備面や人員面からのお答えありがとうございました。大学1年生にも広げるということで、18歳どころか17歳の選択を強いられる人もいるかもしれない。その件に関してはいかがお考えか。

【代表】
 そうですね。立憲民主党が大学教育の無償化や奨学金の給付型を言っているのは、奨学金って、やはり基本的にはその学生の夢をかなえる、将来のなりたいものを実現させていくためのものであってほしいと思っています。それが元々なりたいということであれば大いに結構なのかもしれませんが、お金の面からそれを選択せざるを得ないという環境が生まれていくとすれば、それは若い世代なり子育てをしている世帯に対する経済的支援というのをしなければいけない話なのかなと思います。
 他の奨学金制度などに比べて突出したものになってしまえば、やはりそこは別な意味が出てきてしまうのではないかと思いますので、そういったところからチェックをしていきたいと思います。

○離党届の扱いについて

【朝日新聞・木佐貫記者】
 離党届を出した徳永久志さんについて伺いたい。離党届を出され、岡田幹事長は受理はしたが対応中ということだが、比例復活当選された方ということもあり、その方が離党届を出されたことについて、代表はまずどのように受け止められたかお答えください。

【代表】
 これはやはり議席は返上していただかなければいけないと思います。個人でいただいた票もあるというふうにおっしゃっているとは聞いていますが、しかし、選挙制度で、個人でいただいた票があるけれども、小選挙区では勝てず、近畿の比例の1議席を与えられて議会活動をしてきていますので、これはやはり返上すべきと考えます。
 そして、党としては来週の火曜日の常任幹事会で対応を決めるということになっています。岡田幹事長は既に、党の常任幹事であったことや滋賀県連の代表であったこと、今回の離党の明確な理由という意味ではなかなかよく理解しがたいということを、岡田幹事長は話合いの中からそういう印象を受けたということでありますから、それを踏まえて党として判断していきます。

【朝日新聞・木佐貫記者】
 関連で。松原仁さんと徳永久志さんということで、離党届を出された方がこの時期に続いたということだが、この点については代表はどのようにお感じか。

【代表】
 理由が大きく異なっているので、連動性があるものではないのですが、やはり私は立憲民主党は魅力のある政党であると思いますし、これをもっと伝えていかなければいけないと思っていますし、私は、離れないほうがよかったのではないかと思います。そういう政党に、またさらにしていきたいと思いますね。離れたことが失敗だったなというふうに思っていただくくらいの党の活動にしていかなければいけないと思います。

○国葬実施ルール化の議論について

【北海道新聞・今井記者】
 先ほど安倍元総理に関する質問が出たが、その関連で、国葬実施のルールづくりについて伺いたい。昨年末に国葬に関する論点整理が出てから本格的な議論というのは進んでいないと思うが、安倍総理の国葬をめぐってはさまざま実施の是非をめぐって議論もあったかと思う。代表はこの国葬実施のルールづくりについての現在の議論の現状をどのようにご覧になっているか。

【代表】
 それ以降行われていないということで、曖昧にやはりされかねないですよね。
 私は当時からお話ししていたのは、誰の国葬に賛成・反対ではなく、時の政権が、むしろその亡くなられた元総理ではなく時の政権が、政権の例えば浮揚のために、あるいは政治的影響力を増そうとするために、政治的意図で国葬を決められてしまうことの問題点ですよね。これを言い続けてきていたので、それはそれぞれの元総理に、国家に対する貢献、検証すべきことというのはそれぞれある場合に、そこに政治的意図が入り込むことは好ましくないと思っていますので、私は対応は一律であってよいのではないかということを言い続けてきたわけです。それはこれからもそういった考え方を持っています。

○戦没者の遺骨収集事業について

【沖縄タイムス・嘉良記者】
 代表が沖縄に行かれた23日と同じ日に、立憲民主党の米山議員がツイッター上で、遺骨収集に大きな予算を割くのは反対というツイートを引用した上で、亡くなった人より今を生きる人を優先すべきだという趣旨の投稿をされていた。遺骨収集事業に疑問を投げかけるような内容とも受け取れるが、こうした米山氏の見解と、遺骨収集事業に対する代表としての考え方を伺いたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 ご存じの方はご存じだと思うのですが、私はもう国会議員になる前から遺骨収集に取り組んできているので、国会議員になってからもそれは続けています。極めて大事な、国家の責任としての遺骨収集であるし、これは完遂しなければいけないと思います。
 そして、一方で、私が関わるまでの間、戦後六十数年、70年近く、この取組は行われてきていたわけですが、やはり一旦戦争が起きれば、かくも、戦後処理という言われ方はしますが、これだけ長い間、ご遺族の方を悲しめ、苦しめてき続けているんだということを常に胸に置きながら、ご遺骨を、私の場合はフィリピンやニューギニアや硫黄島などで(収集を)行ってきた。仲間たちは、シベリアですとか、まさに沖縄ですとか、太平洋の各島々で遺骨収集を今も行っています。これはぜひやはり国家として完遂をしなければいけないと思っています。
 一方で、遺骨収集事業そのものの予算の使われ方というのは、これまで何度か指摘はされてきたことがあります。DNA鑑定のあり方ですとか、あるいは、派遣された、その行った相手国の中で、さまざまな手当ての払われ方とかいうことで、何度かその予算について問題視をされたことがありますので、国民の皆様はまさに、ご遺族の方々も含めて、納得のいく予算の使われ方ということは大事ではないか。そういうきちんとした、予算に対する、予算執行に対する倫理感というものも持ちながら、着実に行われていくべきことだと思います。

○「通常国会振り返り」「災害対策」について

【フリーランス・小山記者】
 前回の幹事長会見のときに、立候補者の公募を締め切りましたと。衆議院議員選挙のですか。締め切っていらっしゃるのか。

【代表】
 そう言っていましたか。

【フリーランス・小山記者】
 何かそうおっしゃっていたような。数がもう十分に足りているみたいなご様子だったが。

【代表】
 ちょっと、すみません。

【フリーランス・小山記者】
 それはちょっと何かの間違いか。

【司会(事務局)】
 事実関係を確認します。

【フリーランス・小山記者】
 それを聞いて、結構応募の感じがいいのかなという印象を受けたが。今国会の各議員の国会討論が人気を博したのであれば、いい変化があったのかなというふうに感じたが、全体的に今回の国会で立憲民主党の健闘ぶりというのをどのように評価されていらっしゃるか。

【代表】
 ありがとうございます。
 実に数多くの法案を提出もしたし、ですから、反対するしないということだけではなく、常にと言ってもいいくらいに、対案をまず出してきたということ。
 そして、前も言ったかもしれませんが、法案の今国会の対応ということでいうと、是々々非という対応になったという報告もさせていただきました。政府提出法案については、4分の3において賛成、4分の1には反対。まさにこの反対をした4分の1というのが立憲民主党の政府の監視力であって、国民の立場に立ったり、生活の立場に立ったり、人権の立場に立った中で法案を審査したときには、それら法案は納得できない、反対であるということで、立憲民主党自身の考え方も対案として示した上で反対するという対応をしました。
 そのほか、天下りの問題などでも立憲民主党として課題を明らかにして、役所のOBを通じた民間企業の役職の獲得みたいなものが行われていたのではないかということで、それを防止する策も提案させていただきました。
 そういった意味では、予算委員会や代表質問を初め、繰り返しですが、国民の生活のため、そして人権のため、そういったことで我が党がさまざまな質問の場で活躍をさせていただくことができたのではないかと思います。

【フリーランス・小山記者】
 泉代表になられてから変わった部分というのを何か伺いたいが、例えば若い方が元気なというか威勢のいい討議をできるようになったような印象とか、そういったものはあるか。

【代表】
 ありがとうございます。
 皆さんにもそう感じていただければと思うのですが、僕も一つ一つが前の体制とこれを変えた、あれを変えたということではないのですが、当然ながら優秀な人材、若い人材がたくさんいますので、どんどん表舞台に立ってもらいたいという思いでやってきています。

【フリーランス・小山記者】
 小川政調会長のときだが、政調の分野で、教育の分野みたいのを泉代表になってから増やされたとか、そういった部分があったが、その成果も今回出たのではないか。給特法とか。

【代表】
 そうですね。先ほどもお話ししたように、「子ども・若者応援政党」ということを改めて明確に訴えているので、そういった形での、子育て支援、教育、若者支援の政策はかなり厚みを持って出させてもらっています。

【フリーランス・小山記者】
 次に、夏に向けて災害が多くなる時期になるが、自民党の対応がいつも遅かったり、国民から批判が上がることが多かったと思うが、野党側から何か起きたときに政府のほうに速やかで適切な対応を促していくというような働きは、立憲民主党を初め、できるというふうに思われるか。私どもとしては期待しているが。

【代表】
 はい、できると思います。
 冒頭もお話ししましたが、災害がこれから増えていくシーズンで、全国、立憲民主党も1000人以上の自治体議員もいますから、できるだけ、この災害の予防。また、いざというときの訓練ですとか、啓発、救助の訓練などもやはり行っていくことが必要だと思っています。
 特に、政府が避難の基準を変えてからは、自分の命は自分で守るというキャッチフレーズというか、そのフレーズを政府はよく各地で言っているのですね。ただ、それは守れる人と守れない人がいるので、特に高齢者の方々や障がいを持った方々がどなたの力によって避難ができるのかということは常日頃から考えておかねばならないことですので、そういうことを立憲民主党の全国組織を通じて地域の方々に共有をして、誰もが避難できる環境をつくっていきたいと考えます。

【フリーランス・小山記者】
 以前、「ビジネスインサイダー」というネットニュースのほうで、通告してあるものだが、アメリカで太陽光発電の町ということでバブコックランチというところがあり、ここではハリケーンのときに水を低地に逃がすような仕組みを最初から取っていて、何か環境もよくてというようなニュースが出ていたので、一応お送りしておいたが、こちらはご存じか。

【代表】
 いえ。

【フリーランス・小山記者】
 日本でもこういうものを目指したいみたいな、災害に強い町を目指したいみたいなのはあるか。

【代表】
 日本もかなり災害に強い町づくりは進めてきていると思っていて、やはり災害が多い国なので、ですから、随分と私は日本は日本なりに進めてきているなと思っています。
 アメリカの災害、ヨーロッパの災害、日本の災害、これが質が違うということもあるでしょうし、海外のいい事例というのは当然できるだけ取り込みはしながら、参考にはしながらですが、たぶん、その敷地面積の広さだとか町づくりの仕方みたいなものが前提が結構違っているので、日本の場合は本当に狭いところや結構高低差のあるところでも住宅が密集していたりするところがありますから、やはりこの国の地形ですとか気候条件に合った対策というのが一番大事かなと思います。

【フリーランス・小山記者】
 有名なところというのはあるか。日本でそういった治水の関係とかで。

【代表】
 治水は全国各地ですし、治水が仮に有名であっても、そこは災害が起きたから有名であったりすることでもあるし、これから全く起こらないということでもないのが災害ですから、いろいろな取組はしていると思います。

○エネルギー政策について

【フリーランス・宮崎記者】
 GX、グリーントランスフォーメーション、原発60年超ルールの法案も成立したが、こちらに関しては、逆に言えば野党が考え方が全然違って荒立たなかったような気もするが、立憲民主党と国民民主党とで、原発がある県の立憲と国民は、とてもではないが基本は一緒にできないのではないかと思うが、いかがか。

【代表】
 できるできないは、できると考えればたぶんできるし、できないと考えればできないということだと思います。共通しているところはあるでしょうし、あえて違っているところというのもたぶん今出てきているのではないかと思うので、そこはどちらをデフォルメするかみたいな話だと思います。
 というのは、立憲民主党も将来的に原子力に依存しない世の中をつくるということを目指していますが、かといって、今の安定供給は大事だと考えているし、そして、再生可能エネルギーを導入したり、省エネ・蓄電などに取り組むにしても、バックアップ電源としては当面必要なものは必要という考え方の政党ですから、かなり現実路線の政党なのですね。それを他の政党が受け入れられるのか、(受け入れ)られないのか。受け入れられないとしたら、なぜなのか。それが問われることだと思いますので、そこは私は十分立憲民主党の今進めているエネルギー政策というのは現実的なエネルギー政策だと思っています。

○次期衆院総選挙に向けた取組について

【毎日新聞・中村記者】
 選挙における野党間の連携について伺いたい。25日の群馬県でのぶら下がりで、立憲民主党として野党の議席を最大化するに当たって、野党間の連携について、地域ごとの事情を踏まえて柔軟に考えているとおっしゃったと報道がある。このご発言に関連して、共産党に限って伺うが、次期衆院選に向けて地域ごとに例えば候補者の擁立についての調整をすることは、党としては容認するということも検討されているということでよろしいか。

【代表】
 共産党が。

【毎日新聞・中村記者】
 共産党との候補者擁立の調整を地域ごとに行うことを、党として容認することは検討されているということでよろしいか。

【代表】
 それは、共産党との候補者調整というのは、党対党みたいな話ですか。

【毎日新聞・中村記者】
 いや、地域ごとに。

【代表】
 いや、だから、地域ごとの党対党という話でしょうか。

【毎日新聞・中村記者】
 県連。そうですね。

【代表】
 これまでも立憲民主党としては一貫して、まず国民民主党とさまざまな協議ということをしてきたという経緯があります。
 そして、共産党さんだけではなく各政党ごとに、たぶん共闘と呼んだり連携と呼んだりするのはあると思うのだけれども、それぞれの政党でまたその対象とする政党がばらばらだったりするわけですよね。共産党さんが、では、国民民主党を中に含めて考えているのか含めて考えていないのかというところでいうと、最近は口ぶり的にはというか伝わってくるのでは国民民主党が入っていないというような話にも聞こえてくる。そうすると枠組みの考え方がそもそも違うのではないかというところがありますから、枠組みの考え方が違うとなると、お互いの共通の言葉で実際何を語れるのかというところは、私はまだ語れる状況ではないのかなというふうに思います。
 群馬でもお話ししましたが、解散が少し延びました。そういう環境でいえば、いろいろな意味で態勢をもう一回再構築するということは野党第1党としてはやはり考えねばならないと思っていて、自民党の今の政治にまず対抗するつもりが各政党どれくらいあるのかということについて再確認をしなければいけないと思っているし、では、自民党と対抗するとなったときに、場合によって選挙区調整というものを行うということの意思が各党あるのかないのか。これもやはり改めて確認をしていきたいと考えています。
 その意味で、立憲民主党としては、各県の事情を踏まえて柔軟に考えていきたいと思っていますので、これまでの候補者調整というものについては、いわゆる平場で党と党で何か皆さんに一つ一つを見せる形でやってきたというのはこれまでもなかったことですので、従来のさまざまな選挙を戦うに当たっての例えば幾つかの政策の共有だとかということはその前提で必要なのかなと思いますから、これまででいえば、「市民連合」が政策を幾つか掲げ、そこに賛同する政党が幾つか名前を連ねるという中で、その調整というものを行ってきたケースもあります。これは政党と政党のというよりも違う形のものになりますが、そういうものは十分あり得ると考えています。

【毎日新聞・中村記者】
 では、今後各党が、野党共闘という言葉や候補者調整という言葉が何を指しているのか、どういう枠組みであれば協力できるのかということを話し合っていくというか。

【代表】
 そこは十分あり得ることですね。

【毎日新聞・中村記者】
 そういう窓口を設けて相談していくということか。

【代表】
 窓口が特別に設けられることではないと思いますが、さまざまな形でのやりとりはしていくことになろうと思います。
 もちろん相手さんが応じるかどうかというのはあるのですけれどもね。相手側が応じるかどうか、そこはまた相手の判断はあると思います。
 こちらとしては、やはりそういうような取組をしていかなければいけないなと考えています。

○議員の国会活動について

【フリーランス・堀田記者】
 この前からお願いしていたが、小沢さんに対しての結果というのは出たか。国対を通じてお願いしたが。国対のほうに言ってくれということなので。

【代表】
 なので、それはやはり国対に言っていただいた以上は国対から答えを聞いていただくのがいいかと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 国対からといっても、要するに国対委員長の会見なんかない。泉さんのほうに連絡は来ていないか。

【代表】
 国対で対応を聞いていただくことかと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 では、これから聞いてよろしいか、安住淳さんに。

【代表】
 はい。

【フリーランス・堀田記者】
 それについて、泉さんはどう思っているか。

【代表】
 それは国対に聞いていただくといいと思います。

【フリーランス・堀田記者】
 泉さんはどう思っていますかということを、今、質問している。

【代表】
 これは我々、党として国対に対応をさせていますので。

【フリーランス・堀田記者】
 とにかく、この前聞いてから時間がたっているから、もしも出ていなかったら、とても勤勉ではない、怠慢だというような考えでよろしいか。

【代表】
 それは、よろしいかどうかは、そちらのお考えかなと思いますが。