泉健太代表は10月18日、国会内で立憲民主党の「物価高を克服するための緊急経済対策」を発表しました。

 泉代表は、「この緊急経済対策は即効性を重視し短期間で効果のある政策」と、今回の取りまとめの趣旨を述べました。

 基本的な考え方として「経済とは『経世済民』(世を経め、民を済う)であり、まさに国民の生活を第一とすべき。しかし、岸田政権の見通しは甘く、急速に進む円安、原油高により物価は高騰を続ける一方で、賃金・所得は物価高に追いつかず、家計は厳しさを増している。閉会中も政府は、次なる物価の状況を踏まえた対策を打ち出してこなかった。ようやく10月になって動き出した。この間、政府の対策は後手に回り、行われたとしても業界大手への補助金が中心で、肝心の家計は負担軽減を実感できていない」と指摘しました。

 また、政府与党との最大の違いとして、「自民党からはあらゆる国民の関心を得るための『給付』『消費税』『増収分は全部還元する』といった言葉が躍った。一方で需給ギャップを見れば、新型コロナウイルス感染が始まった直後は-9.1%あったが、直近では+0.1%。現在、政府が経済対策の根拠としていた需給ギャップは解消に向かいつつあり、『規模ありき』の財政出動は更なる物価高騰を助長しかねない」と警鐘を鳴らしました。

 さらに、「財政もただ出動すればよいのではない。増収といっても国民の税金であるから、ただ増収があったから使えばいいというものではない。将来世代のことも考えないといけない。アベノミクスから続いているが、岸田政権でも、国民の貧困率は直近の調査では、先進国の中では最悪。格差が広がっている。低所得層の対応を至急行っていかないといけない。低所得者層を中心として幅広く恩恵を届けたい」「バラマキではなく、家計・事業者に直接届く支援、子ども・子育てや実質賃金上昇を支える政策の緊急実施、エネルギー高騰に強い社会構造への転換に向けた省エネ・再エネへの大胆投資など、優先順位をつけて重点的に予算を使う。真に効果的な緊急経済対策を提言する」と立憲民主党のスタンスを説明しました。

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泉健太代表記者会見

2023年10月18日(水)15時30分~16時08分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/GIUoa8L63EI


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「物価高を克服するための緊急経済対策」発表

【代表】
 お疲れさまです。
 立憲民主党「物価高を克服するための緊急経済対策」ということで、主要な三つ、「家計への直接支援」「事業者への直接支援」「省エネ・再エネへの大胆投資」という、この三つを皆様に説明したいと思います。
 その具体的な説明の前に、皆さんにも資料が配られていると思いますが、今、この経済対策、各党注目をされています。その中で私たちの基本的な考え方というのを前文のところで表現させてもらっていますので、少し共有をしたいと思います。記者の皆さんには資料が配られていますが、これは中継もされているということなので、見ていただいている方にもわかりやすく少し説明をしたいと思います。
 我々の前文を読みたいと思います。
 「経済とは『経世済民』(世を経め、民を済う)であり、まさに国民の生活を第一とすべきである。しかし、岸田政権の見通しは甘く、急速に進む円安、原油高により物価は高騰を続ける一方で、賃金・所得は物価高に追いつかず、家計は厳しさを増している」。
 この岸田政権の見通しが甘いというのは、日銀の物価見通しなども元々は1%台ということだったのが今2.5%に修正をされているということもそうですが、経済の予想というのは大変難しいものではありますが、この数カ月間、国会が閉会して以降も、岸田政権が次なるこの物価の状況を踏まえた対策を打ち出してこなかった。7月も、8月も、9月も。ようやく10月になってということですから、これはもう後手に回ったということが明確ではないかと思っております。ということで、この厳しい状況にもかかわらず、「この間、政府の対策は後手に回り、行われたとしても業界大手への補助金が中心で、肝心の家計は負担軽減を実感できていない」。ガソリンなんかもそうですね。
 「現在、政府が経済対策の根拠としていた需給ギャップは解消に向かいつつあり、『規模ありき』の財政出動は更なる物価高騰を助長しかねない」。
 ここが大きく自民党や政権とは我々考え方が違うところでして、本当に、補正予算の話や経済対策の話が出た当初、もう自民党の側からは、あらゆる、何だかこう国民の歓心を買おうという言葉が躍ったと思います。給付だとか減税だとか、中には、自民党の中からは消費税のことの言葉まで出てくるというようなことで、そして、その増収分は全部還元するんだと、そういう言葉も特徴的だったと思います。
 しかし、一方では、需給ギャップです。これはコロナ(禍)が起きて直後くらいのときが最も厳しく、第2四半期だったと思うのですが、マイナス9.1%の需給ギャップがあった。これが今、経済がある意味動き出して、直近のGDPギャップでいえばプラス0.1まで来ているわけです。昨年なども、補正予算の議論のときには、需給ギャップが大きいから、需給ギャップが例えば何兆円分あるから、それを埋めるために経済対策をせねばならないということは、これは各党言ってきたことでありますので、需給ギャップが存在しているときには当然それを埋めようとする一定の努力というのは私はあると思っております。一方で、経済はやはりそういった意味では、今、需給ギャップは解消に向かいつつあるというのが、これはもう数字として正しい見方をしなければならないということだと思います。
 そして、「『規模ありき』の財政出動は更なる物価高騰を助長しかねない」。これはIMFの専門家も言っていますし、日本でも多くの学者も言っていますが、インフレ、物価高の状況ですよね。世界各国でも同じですが、余りに経済を刺激し過ぎると、今度は余計に物価が更に上昇してしまう。そうすると、誰が困るのか。過度な刺激策は国民が最も困る。更なる物価上昇を招くわけですから。
 そういうことで、我々はこのバランスを非常に考慮しながら、冷静で、かつ、国民の皆さんに最もよい経済対策を行わなければいけないと思っています。ですから、規模ありきではないということです。どんどんどんどん出せばいいということではないという今の局面であるということ。ここを明確に立憲民主党はお伝えしたいと思います。
 その意味で、「立憲民主党は、バラマキではなく、家計・事業者に直接届く支援、子ども・子育てや実質賃金上昇を支える政策の緊急実施、エネルギー高騰に強い社会構造への転換に向けた省エネ・再エネへの大胆投資など、真に効果的な緊急経済対策を提言する」。これが我々の基本的な考え方ということになります。
 改めて、私たちは、立憲民主党として、今のこの日本の政界、各党の動きにも一石を投じたいと思っています。当然、財政もただどんどんどんどん出動すればよいというものではありません。増収といっても、これは国民の税金でありますから、増収したものを、ただ増収があったから全部使えばいいというものでもないわけです。やはり将来世代のことも考えねばならない。ばらまきという立場には立たない。重点的に予算を使っていく。そして、この日本の国民生活を支え、未来への転換を図っていくということが必要だと考えています。
 その中でなのですが、少し長く言えばアベノミクスからずっと続いていることでもあるかもしれませんが、岸田政権においても、例えば国民の貧困率。この国民の貧困率は、今、直近の調査でいうと先進国では最悪の数字になっているという状況があります。格差が広がっているという状況にあるということですね。ですから、特にそういった低所得の方々に対する対応を、まずは至急行っていかなければいけないということ。そして、我が国の消費を支えているのはやはり一般消費者でありますので、その意味で、その低所得の方々を中心としながらも、しかし幅広く、我々はできる限り恩恵をお届けしたいと考えております。

○「1.家計への直接支援 ―暮らしを支え、経済再生」3.8兆円

【代表】
 ということで、まず最初の項目。家計への直接支援ということであります。
 3万円のインフレ手当。これはこの後にお話しする政策についても全て基本的に今後6カ月間、半年間の政策ということですので、1年であれば単純に言えば倍になるということなのですが、補正予算、半年分のということで考えて算出をしております。3万円のインフレ手当を出したいと。
 これもですね、手当ての額で競うというのはやめるべきだと考えています。改めてですが、所得の少ない方々や中間層ということで、我々の考え方としては、住民税非課税世帯だけではなく、その3倍くらいの年収の方々までを含めてということで考えておりまして、そうしますと、中間層を含む全世帯の約6割の皆さんが対象になる。要は全世帯の半分以上がこの手当ての対象になる。そういうこの給付を行っていきたいと考えております。
 そして、額で競うと切りがありません。一定の考え方でということでいうと、物価の上昇が3%というようなことで、この上昇分をしっかり補っていくという考え方で我々は、所得ですとか、その物価の上昇に伴って増えた支出分、そういったものを見合った中で計算をして3万円という数字を出させていただいております。
 その次は、トリガー条項の凍結解除。これをこの経済対策の中に盛り込ませてもらっております。先ほども話をしたように、事業者向けの補助金ということではなく、我々としてはしっかりと国民に直接届くものにしたいということで、トリガー条項の凍結解除、これによって1リットル当たり25円ガソリン税が減税されるということで皆様に恩恵が届きます。
 今ちょうど、徳島・高知、そして長崎(4区)で選挙もやっておりますが、このガソリン税についてのやはり皆さんの声は強いです。車を利用する方々が多い。車がなければ生活ができない。離島の方々も含めてですね。これはやはりぜひとも実現をして、このガソリンの負担を軽減したいと思っております。
 (3)は、「暮らしと地域応援重点交付金」の創設、そして特別交付税措置の継続(・拡充)ということで、この辺りは地方の自由度を高めて、その地域地域に合った使い道ができる交付金というものを我々重点的にやっていきたいと思っております。
 書いてありますが、灯油・重油を含めた原油価格の高騰対策。先ほどのトリガー条項というのはガソリンのみでして灯油は入らないわけですが、これから寒冷地などではやはり灯油代というのは相当気になりますから、こういったところは交付金で見ていきたいと考えております。
 そして、先ほどお話ししたように、今の自民党政権においては貧困層が世界最悪の数字になっている。これは格差社会と言われるアメリカよりも実は貧困率が悪いという状況が今の日本ですから、決して低所得者ばかり優遇するということではなく、やはり生活が苦しい方々は下支え、底支えをして、むしろそういう皆さんに元気になっていただいて消費も活性化していきたいと我々は思っております。
 その意味で、特に子育てをされている世帯は、さまざまな子どもに関する費用も、今、物価高の影響を受けておりますので、児童扶養手当基準の世帯、これは二人親の世帯も含めてですが、その世帯に子ども1人当たり5万円の給付を行いたいと考えております。これは、いわゆるひとり親家庭の支援だとかを行っている各種NPOなどからも、1日2食の生活を強いられている、学校がないときなどですね、そういう家庭がひとり親家庭では4割という数字も出てきているということで、かなり深刻な状況にあると。そういったところでも、子どもたちが3食食べられるような状況をつくっていかなくてはいけないという思いもありますので、この給付金を出してまいりたいと思っています。
 そのほか、「緊急前倒しプラン」。これは既に立憲民主党として訴えている政策を、今回のこの経済対策、補正予算の時期に、来年度から始めるということではなくぜひ前倒しをして実施したいと、このように考えています。
 例えば、児童手当の拡充です。これは実は前も記者会見でお話ししましたが、自民党政権の3人目1万5000円というのはさまざまほかの要件が課されていて、必ずしも子どもが3人いるから高校卒業まで1万5000円もらえるわけではないですよね。そこにはトリックがあるわけです。上の2人も高校生でないと、3人目が高校に行ったときに1万5000円というカウントにはならない。そんなトリックもあることも含めて、実はこの1万5000円というのはまだ不完全な状態です。私たちは、子どもの育ちを、どんな環境の子どもたちも支援するということで、この児童手当の拡充を先行実施したいと思っています。
 そして、給食費無償化の先行実施です。1年間でやると4600億円くらいですから、その半分、半年分ということで、2000億円台になろうかと思います。今、食料の自給率を高めていくということも同時に我々は考えていますから、国産はもちろんですが、いわゆる有機農作物をできる限り使っていくということも全国に取組をしていきたいと思っています。
 また、次は、奨学金返済の負担軽減になります。この奨学金返済の負担軽減というのは、例えば所得控除。大学を卒業して、就職をして、仕事をしながら返済をするわけですが、そのときの所得控除の中に奨学金の返済額を追加するということで、その本人を家計的に支援する。こういう取組をしたり、有利子奨学金。私もかつて有利子奨学金を受けて社会人になってから返済をしていましたが、その有利子奨学金の無利子化、これはぜひやっていきたいということです。そして、所得連動の返還方式の柔軟運用ということです。
 続いて、「実質賃金上昇を実現する緊急前倒しプラン」です。
 ここは我々も既に、学び直し、リスキリングの政策をつくっておりますので、そこに対する予算を拡充していきたいということ。
 そして、次に、正規・非正規や男女間の賃金格差是正。これは必ずしも予算を必要とはしませんが、やはりこの正規・非正規や男女間の賃金格差を生んでいるさまざまな現況を変えていくということで、その賃金のカウントの仕方だとか、要素採点法(得点要素法)というものですとかを、改めて変えていくということを我々は考えています。
 そして、やはり政府ができることとして、介護・障がい福祉職員、保育士等の処遇改善。これは月1万円プラスを先行実施したいと思っています。政府がやった対策は、まだまだそれでは足りないと私たちは思っているところです。

○「2.事業者への直接支援 ―雇用・生業を守り抜く」1.7兆円

【代表】
 続いて、事業者への直接支援です。
 一つは、立憲民主党は既に電力料金のエネルギー手当ということはこれまで言ってきましたが、これについては事業者のほうにもぜひエネルギー手当が必要だろうと考えております。事業者の場合は、一般家庭のように単なるいわゆる電力の契約の仕方ではなく、高圧とか特別高圧という、かなり大きな電力を使うケースもありますので、例えば特別高圧でいえば50万円くらいの支援というような大きなものになるわけですが、使用量に応じて分配をしていくということで考えております。そういったエネルギー手当の事業者分。
 そして、コロナ債務、中小企業のゼロゼロ融資だとかいろいろありますが、このコロナ債務の一定範囲内での減免。これについても立憲民主党として取り組んでまいりたいと思っております。今、さまざま、中小企業家同友会全国協議会などのアンケートでも、実際に返済が始まって資金繰りが厳しいとか延長の交渉をしたいと言っている企業は大体4分の1強存在しているということですから、そういった企業に対する支援をしていきたい。
 三つ目は、インボイスの廃止です。これも我々、明確に訴えたいと思います。個人事業主、ギグワーク、一人親方、そういった方々が今、改めて皆さんにも取材をしていただきたいと思いますが、まださまざまな事業者が迷っている段階なので、契約が今後どうなるかだとか、インボイス登録したら個人事業主の負担がどれくらいになるかとか、さまざまなことで、今、不満や不安が高まってきているという状況にあります。実質増税だというところもありますから、我々としては、このインボイス制度の廃止、これも今回盛り込ませてもらいました。
 そして、価格転嫁をより進めていきたいと思っていますので、下請けGメン、取引調査員の抜本的拡充。これは今の体制は300人体制なのですが、これだと余りに少なくて、見て回るだけでも何十年かかるんだと。もしかしたら100年かかるかもしれないくらいな人数しかそろっていません。これではやはり価格転嫁が進まないと思っておりますので、我々はこの体制を強化したい。
 そして、インバウンドの人材確保だとか、物流や地域公共交通の人材確保。また、物流については輸送費の負担軽減なども行っていきたいと思っています。
 そして、こういう産業面からの支援とともに、第一次産業の支援。これは肥料や飼料の高騰対策。また、鳥獣被害対策。そして、もうこの地球の気候危機で、農作物の高温障害、温度が高いことによる障害ですね、こういうことについての被害の調査だとか、さまざまな対策を一次産業においても取組をしていきたいと思います。

○「3.省エネ・再エネへの大胆投資 ―『危機』を『好機』に構造転換」2.1兆円

【代表】
 また、政府・与党と大きく違うのは、我々はやはり時代を新たな時代にバージョンアップさせていかなければいけない。特に環境分野ですね。石油を世界から購入するために相当国富が流出している。ですから、やはりエネルギーは我が国で発電する比率を高めていきたい。そうすれば、他国からエネルギー、化石燃料を買う必要がなくなっていく、軽減していくわけですから、立憲民主党としては、その国富の流出を防ぐという観点からも、当然ながら地球温暖化対策という観点からも、そして個々人の家庭や事業者の電力料金を下げるという観点からも、我々はこの省エネ・再エネへの大胆投資をぜひやっていきたいと思っています。
 電動車、EVですね、あるいはハイブリッドもそうですが、電動車への買替え支援。また、充電器の普及、当然です。
 そして、既存住宅の断熱化。そういったものも進めていきたい。
 そして、省エネ家電の買換え支援。こういったことも積極的にやっていきたい。
 そして、中小企業の省エネ・再エネ支援。これも加速をさせたい。
 ここには2.1兆円を用意しております。先ほどの事業者のほうは1.7兆円、家計のほうは3.8兆円ですから、合計して7.6兆円。これが、先ほど話をしたように、ばらまきではなく、規模ありきではなく、需給ギャップを踏まえて適切に重点的に行っていくという姿勢を我々は持っているということになります。
 さまざまお話をさせていただきましたが、ぜひ皆様からのさまざまなご質問を受けていきたいと思います。よろしくお願いします。


■質疑

○「物価高を克服するための緊急経済対策」について

【NHK】
 今回のこの経済対策の実現に向けて、あさってからの臨時国会でどのように政府に迫るのか。対策のポイントや政府・与党との違いとあわせて教えていただきたい。

【代表】
 わかりました。
 改めてですが、我々は、今回の経済対策は規模ありきではいけないと。そして、需給ギャップは既に解消されている状況を踏まえるということ。そして、やはり今、その需給ギャップが解消されている中にあっても手当てが必要なところにしっかりと重点的に予算を配分していくということ。そして、増収分をただ単に還元するという立場には立たないということ、要はばらまきではないということ。こういうことを重点的に考えて今回の経済対策をつくっています。
 その中でも、先ほどお話ししたように、格差が、まだまだ貧困で苦しんでいる方々がおられる。これはひとり親家庭も含めて、そういう方々への直接の給付。3万円のインフレ手当。この3万円のインフレ手当は6割の世帯をカバーするものですが、これは消費を下支えするということになろうと思います。
 そして、事業者への直接支援ということについても触れつつ、やはり我々としては特に環境市場を大きく伸ばしていきたい。そして、日本の環境、エネルギーの負担を、国民の負担も下げていきたいという思いから、特にこの部分の投資を積極的に行っていく。
 この辺りを代表質問でも訴えていきたいと思います。

【NHK】
 先ほどNCの冒頭でもあったが、政府や与党の所得税の減税をめぐる議論、経済対策の議論の推移を見て、どう感じていらっしゃるか教えていただきたい。

【代表】
 本当に言葉だけ躍って、言葉が出たり入ったり、言葉の出し入れをして、国民に動揺を与えたいのか、それとも、何を国民にしたいのかがよくわからないですね。
 自民党からはあれだけさまざまな声があったけれども、経済対策には所得減税が入らなかった。そうしたら今度は総理の側からそれをまた再度指示するかのような、また報道が出てきているわけですよね。こういうのって大体、政権側から何らかの情報が漏れ伝わってくるものですから、まさに自作自演ということなのではないですか。こんなことを野党側から言って別に新聞記事にはなりませんからね。
 その意味では、与党の側から所得減税について出したり引っ込めたり出したり引っ込めたりといって、国民の歓心を買おうとしている。特に今、選挙の投票日まであと数日ですから、何かそのためにまた言っているのではないかという、政治利用の感じさえ受けますよね。

【朝日新聞】
 今ご説明いただいた経済対策について、消費税のところを伺いたい。昨年の参院選でも公約に明記していた消費税5%であったり、ことし6月にまとめられた消費税還付法案など、消費税関連が今回の経済対策に特段盛り込まれていない理由を伺いたい。また、消費税についてのスタンスとして、5%の一律減税というところからは立憲民主党としては方針転換をして還付のほうをこれから掲げていくということでよろしいかという確認もあわせてお願いしたい。

【代表】
 ありがとうございます。
 今回の経済対策というのは、冒頭話をしたように、6カ月間のことなのですね。ですから、所得減税についても、やはりこれは即効性がない。それはもう、その仕組みをつくって実際に実行するまでで言うと6カ月かかってしまうわけだからということです。その意味では、消費税についても今回盛り込んですぐできるというものにはやはり当たらないと考えておりますので、今回のものからは除外をさせていただいています。
 ただ、我々が出した消費税還付法案というのは、富裕層にまで同じ減税をしてしまうと、家を買ったり車を買ったりする人ほど消費税減税の恩恵を多く受けてしまうということはやはり重く受け止めなければいけないと思っていて、だからこそ還付法案では、全員に還付をするのではなく、富裕層には還付はなくていいでしょうと。むしろ、やはり逆進性を解消する、消費税の負担率が高い家計の方々中心にお金を戻していくという考え方。これが立憲民主党の考え方ですので、実は今回のこの「家計への直接支援」のインフレ手当も少し考え方が似ているのです。額だとか算定の仕方は違うのですが、やはり今の経済状況でいうと所得の少ない人ほど大変な思いをしているということに対して手当てを出していこうということです。
 今後の選挙政策、前回の選挙で訴えた選挙政策というのは、今まさに党内で議論中でありまして、ここについて、まだ最終的な答えを出しているという状況にはありません。

【朝日新聞】
 では、5%のところもどうするかというところも含めて、今、議論中と。

【代表】
 議論中です。

【朝日新聞】
 即効性を重視してまとめられたということだったが、今回の経済対策の中で、他党がかなり所得税も含めて減税と打ち出している中で今回給付をかなり前面に出されているというところも、時間軸の問題で、減税をあえて表に出さずというようなお考えでよろしいか。

【代表】
 やはりばらまきとか、ばらまき合戦になってはいかんということですよね。
 実は立憲民主党のこの今回の経済対策の中でも、ガソリンのトリガーでいえば、これは減税です。ですから、立憲民主党の経済対策に減税が全くないかといえば、それはそうではない。しかし、このトリガーは他党も含めて野党各党言っていますから本当に皆で何とか実現したいということでやっていますが、それ以外に自民党から急に出てきた減税というのは、岸田総理の防衛増税や子ども予算のおそらく財源のために必要な何らかの負担増というイメージをただ変えるための、消すための消臭剤みたいな使われ方をしていて、これは不届きだし、不見識だし、不誠実だと僕らは思っているので、こういう使われ方で減税を弄ぶというのはよくないと思うし、そういう合戦になってはだめだと思います。

【時事通信】
 さきの質問と似たことになってしまうが、即効性のある給付にこだわったということをご説明いただいた。先ほど格差や貧困に苦しんでいる方に直接届けたいという話もあったが、なぜ今、即効性のある対策を直接給付で素早くやる必要があるのかという、そこの思いをもう一度お願いしたい。

【代表】
 これはもう本当に深刻な物価高ですよね。日銀すら物価の見通しを誤ったように、元々は何かことしの後半くらいからは物価は落ち着くんだというような空気が政権の中にもあったわけですよね。私はそれがある意味の経済対策の遅れにもつながったのではないかと思うくらいですが、そういう中で、スーパーも一生懸命、良心価格的な新しいブランドを立ち上げたりとか、できるだけ低価格に抑えようという努力をしている飲食店やお弁当屋さんもあるし、でも、それでもやはり物価は間違いなく確実に上がっている。ステルス値上げもそうですからね、決して単純に値札だけ見ていいということではなくて。
 その意味では、先ほど言ったように、低所得の方々ほど、層ほど、一般的な消費、日用品を購入する、あるいは食料品を購入する率は高いわけですから、そういった層の皆様方にきちんと手当てを届けなければ、これはもう暮らしそのものに関わる。先ほど言ったように、貧困の環境にある子どもが、1日2食しか食べられない子どもが当たり前に存在しているという現実を考えなければいけないと思っていますから、これはもう子どもだけてはなく年代問わずですが、やはり中低所得層に特に我々は手当てを出さなければいけないと考えています。

○参院選の一票の格差「合憲」最高裁判断について(1)

【共同通信】
 経済対策から少し話題が変わり、最高裁が先ほど、昨年の参院選の一票の格差を合憲とする判断を示した。合区の導入以降、格差が3倍で固定化している状況をどう判断するかが焦点だったかと思うが、代表の受け止めをお願いしたい。

【代表】
 これは、この格差がどれくらい拡大をしている状態なのかということと、また、人口の移動というのは必ずいつのときも起こっているので、選挙の度に格差の倍率は変動するわけですよね。その意味では、国会が、この格差の是正にどれだけの努力をしているかというところが問われる。おそらく今回の合憲の判決というのは、そういった国会の取組を一定見つめるということに判断が至ったのかなと思っております。
 ただ、立法府としては決してその合憲判決に甘えることなく、やはり制度の抜本的な見直し。やはり我々、今回の徳島・高知の選挙でもそうですが、改めて、選挙区がものすごく広いとか、県の代表者を単独で一人も出せないということの合区の問題もありますから、与野党がしっかりそういったことも踏まえながら協議をして、結論をまた出していく努力はしなければならないと思っています。

○連合会長と首相の面会について

【毎日新聞】
 けさ、連合の芳野会長が官邸で総理に面会した。補選の期間中、泉代表は長崎で連合の清水事務局長とも応援に入ったと思うが、このタイミングで総理に面会したことの受け止めをお願いしたい。

【代表】
 何か、この前やった大会のお礼に行ったということなのですね。たぶん、連合のこれまでの毎年の、わかりませんが、大会がいつあったら何日後かにお礼に行くことになっているとか、そういう話だけではないですか。
 選挙は選挙で、連合も現地で皆頑張って、やはり今の生活、物価高、賃上げが足りないということで、徳島・高知では広田一さんを応援していただいて、そして長崎では末次精一さんを応援していただいているので、我々はもう戦うのみです。最後まで勝ち切りたいと思います。

【毎日新聞】
 補選には特に影響はないとお考えか。

【代表】
 それはないのではないですか。

○参院選の一票の格差「合憲」最高裁判断について(2)

【朝日新聞】
 先ほどの一票の格差の関連で伺いたい。現時点の立憲民主党の考え方として、ここからまたこの判決を受けて参院改革協議会での本格的な話合いが始まるかと思うが、合区というものは解消されるべきだというお考えだと理解している。そのような方向性に仮に議論が進んだ場合に、どのようにこの一票の格差を解消していくべきだと現時点でお考えになっているか、その方法論のところを伺いたい。

【代表】
 ここは、与野党での協議というのは、どの政策分野でも何でもやれるというものではなく、各党が、しかも、院、衆議院・参議院それぞれ選挙制度が違いますから、参議院の院の中で、今、各党同士の信頼関係に基づいて行っておりますので、現時点で我々がお話しできることというのは先ほどお話ししたところまでで今お伝えしたいと思います。

【朝日新聞】
 18年にまとめられた参院改革協議会の報告書では、当時民進党として、参院議員は都道府県の代表者であって、一定の範囲内での一票の格差というものはやむを得ないというような考え方も示されているが、そういった党としてのスタンスも含めて現時点で何か決まったものはないということでよろしいか。

【代表】
 今の例を紹介していただくと、あくまで党が違うのでという話にやはりなってしまいますので、我が党の特に参議院の会派の仲間たち中心に党内で今議論をして、そして憲法審査会などでも時々そういう議論をしておりますので、まずはその議論の推移を私としては見ていくということになります。

○臨時国会について

【日本テレビ】
 臨時国会に向けて、党首討論を呼びかける予定はあるか。

【代表】
 はい。あります。

【日本テレビ】
 それは代表質問でもしっかりと触れていく予定か。

【代表】
 あまり代表質問の中身をそんな先行してお伝えするわけにはいかないのですが、党首討論はやはりやるべきです。