衆院予算委員会で10月27日、立憲民主党から石川香織、長妻昭、西村智奈美、後藤祐一、おおつき紅葉、米山隆一ら6人の衆院議員が質疑に立ち、国民生活を直撃する物価高等について政府の姿勢をただしました。
■長妻議員「物価を上回る賃上げ」が今の日本には一番重要
岸田総理は「経済、経済」と連呼するだけで、自民党の世耕参院幹事長が「何をやろうとしているのか全く伝わらない」と発言したことに触れ、「自民党内に伝わらなければ国民に伝わるはずがない」「抽象的すぎる」と批判しました。
そして、長妻議員は、「今一番日本で大切な経済対策は物価を上回る賃上げ、賃上げ、賃上げ」と訴え、そのために(1)労働生産性の向上(2)適切な分配――を挙げました。
(1)労働生産性を上げるために、職業訓練、リスキリング、リカレント教育への公金支出が圧倒的に足りない、「人への投資」が重要だと述べました。さらに官民のデジタル化の遅れが労働生産性の向上を妨げていると指摘し、無理のないデジタル化を進めることが重要だと述べました。
(2)適切な分配の不足に関連して、自社株買いの規制について、過去に岸田総理が「確かに新しい資本主義を実現するためにも重要。ガイドラインなど検討を示唆」したことに触れ、進捗状況を尋ねました。岸田総理は直接答えませんでしたが、長妻議員が役所に確認したところ「一切検討していない」ことが分かりました。
長妻議員は「各国で新しい資本主義は進んでいる。日本だけが古いまま。こういうところを注力してもらわないと困る」と述べました。
■西村議員「旧統一教会と自民党議員との関係を追及」
西村議員は旧統一教会問題に関して(1)財産保全(2)同宗教法人と閣僚の関わり(3)名称変更問題――等について政府の見解をただしました。旧統一教会名称変更問題では、18年間止まっていた名称変更が2015年に行われたことについて、「大変大きな方針転換。大臣に官僚が忖度したなら大問題」と旧統一教会と当時の政権との関係について改めて問題視しました。
西村議員の質疑終了後、委員会を傍聴していた被害者の、中野容子さん、もるすこさん、橋田達夫さんらは、「閣僚の答弁はとても後ろ向きだと感じた」「被害者を救済するための財産保全のための法律を早く成立させてほしい」「自民党の議員事務所に旧統一教会から届いたFAXの内容と、与党PTの出す内容をしっかりと見定めなくてはならない」など、それぞれ感想を述べました。
■おおつき議員「子どもを守ることのできる日本版DBSを」
おおつき議員は、「子どもを性加害から守る」ために、立憲民主党が提出した(1)児童虐待防止法改正案の早期成立(2)日本版DBSの導入をあげました。(2)については、性加害を防止するには対象事業者と性犯罪歴の範囲を広げることが重要と指摘し、芸能事務所等も含まれるか政府に問いました。加藤大臣は「検討を進めていく」とだけ答えました。
質問質疑を傍聴していたジェニーズ性加害問題当事者の会の平本淳也代表と石丸志門副代表は終了後記者団の取材に応じ、「本会議から中2日での予算委員会を傍聴させてもらったが、紅葉議員の強いメッセージに対し致し方なく総理がギリギリの線で答弁されていた印象。核心の部分で、私たち被害者と会う、会わない、対話をする、しないというところで確たる言質が取れなかったのは少し残念ではあるが、大きな一歩とはならずとも、大きな半歩と言えるのではないか、少しずつでも前進したかと思っている」(平本代表)、「20分という(質疑)時間がすごく短く感じた。まず岸田総理がジャニーズの(性加害)問題を認識しているということは、収穫だったと思う。ただ、当事者、被害者と会う、会わないというところや、日本版DBS法案に、芸能界を含め子どもを扱うあらゆる企業を取り入れるところまで踏み込むことができなかったことは非常に残念に思う」(石丸副代表)とそれぞれコメントしました。
米山議員は、大阪万博の経費増額分の負担に関連して、万博に対する政府の対応を「あまりにもずさん」と問題視しました。
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