政務調査会長 長妻 昭
政府は本日2日、総合経済対策を閣議決定した。
対策の規模は、所得税・住民税の定額減税を含めて、17兆円台前半と見込まれている。コロナ禍・物価高騰の下で策定されてきた過去数年の経済対策に比べれば、幾分か規模は縮小したものの、GDPギャップが解消に向かいつつある中で、このような大規模な財政出動を実施することは、更なる物価高騰を助長し、国民生活を一層圧迫することになりかねない。今必要なのは、バラマキではなく、真に支援を必要とする家計・事業者への直接的・重点的支援である。
内容面での焦点は、岸田総理が突如として掲げた所得税・住民税減税だ。しかし、政府自身が認めるように、この減税が始まるのは来年6月であり、経済対策としての即効性を欠く。「支援はスピード」だ。国民生活はまさに今逼迫しているのであり、法改正や煩雑な対応が求められる「税」よりも、我々が主張する「インフレ手当」のように、速やかに実施することが可能な「給付」の方が優れていることは明らかである。岸田総理は、「防衛増税」をはじめとする「増税」のイメージを払拭、あるいは隠蔽したいがために、あえて「減税」に執着しているようにしか見えず、国民からはその姿勢を見透かされている。
岸田総理が重点を置く少子化対策と賃上げ政策についても、不十分さが目立つ。 児童手当の拡充については、前倒しを決定したものの、実施は来年の12月からというから呆れる。我々は、まさにこの10月分から、所得制限を撤廃し、高校生までの全ての子どもに、1人あたり1万5,000円の児童手当を支給すべきだと考える。
賃上げ政策も、その手段は結局、この間十分な効果を発揮できなかった賃上げ促進税制の強化などに留まり、実効性を欠く。我々が主張するように、リカレント教育・リスキリング投資など「人への投資」を抜本拡充することで労働生産性を高めるとともに、正規・非正規間の賃金格差是正に緊急に取り組むなど、王道の政策を実施すべきだ。
財政に対する無責任さも目に余る。驚いたのは、岸田総理が「還元する」と言っていた「税収増」とは、過去2年間の所得税・住民税の増収を指していたということだ。当然、これらの「税収増」は、既に政府自らが過去の補正予算の財源などとして使い果たしており、もはや存在しない。結局、岸田総理の発言はレトリックに過ぎず、実際には財源の多くを赤字国債の発行に頼らざるを得ない状況だ。我々は責任政党として、緊急経済対策の財源を明示している。岸田総理は、国民を欺く発言を改めるとともに、我が国財政が置かれた厳しい状況を直視すべきである。
立憲民主党は、引き続き、先般策定した「物価高を克服するための緊急経済対策」を基に、より良い経済対策の実現を政府に求めていく。