衆院本会議で11月20日、新たな経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算案が審議入り。立憲民主党・無所属を代表して鈴木財務大臣の財政演説に対する代表質問に立った鎌田さゆり議員は、(1)世界平和に対するコミットメント(2)自民党5派閥の政治団体による計4千万円分の収入不記載(3)6月の骨太の方針と補正予算案(4)岸田総理のリーダーとしての資質(5)大阪万博の費用増による国民負担の増大(6)辞任ドミノ(7)還元の原資をめぐる総理と財務大臣の認識の齟齬(8)旧統一教会の財産保全の見送り(9)悪質ホストクラブによる被害の防止(10)介護職員・保育士の処遇改善の不十分さ(11)岸田政権の子ども軽視(12)紙の健康保険証廃止問題(13)農業、鳥獣被害対策――の13項目について取り上げ、政府の見解をただしました。
■6月の骨太方針と補正予算案
6月の骨太方針では「歳出構造を平時に戻していく」と謳ったにもかかわらず、物価高対策以外の予算が圧倒的に大きい水膨れの補正予算案であると指摘。「選挙目当ての所得減税の次は、選挙目当てのバラマキ予算ではないか。『歳出構造を平時に戻していく』との方針は撤回したのか」と迫りました。
■大阪万博の費用増による国民負担の増大
2025年開催予定の大阪・関西万博については、会場建設費が当初の倍近く膨れ上がり、総額350億円の「大屋根(木造リング)」には無駄遣いとの声が高まっているにもかかわらず、費用増額を容認し国民に負担を押し付けることに、「『身を切る改革』とは真逆。国民負担を『打ち出の小槌』とでも思っているなら、大間違いだ」と批判。「今回の増額で、国民、大阪府民、大阪市民の負担は、一体いくらになるのか。見通しの甘さでさらなる国民負担はないと、この場で約束してください」と岸田総理に求めました。
これに対し岸田総理は、「さらなる増額は想定していない」と述べるにとどまりました。
■還元の原資をめぐる総理と財務大臣の認識の齟齬
所得税減税にあたり、岸田総理が過去2年間の増収分を国民に還元すると表明したことには、11月8日衆院財務金融委員会で「過去の増収分は既に使っている」と答弁した鈴木財務大臣と認識に齟齬があるのではないかと問題視。「還元の原資は既に存在せず、所得税減税のためには、新たに国債、つまり借金をしなければならない。財源があるかのように語り、国民を欺いて罪悪感はないのか」とただしましたが、岸田総理は「単年度ではなく、コロナ禍からの国の財政の全体を通してみれば、国民の皆さまからいただいた税金の一部を国民の皆様にお返ししていることになる」と強弁しました。
■悪質ホストクラブによる被害防止
悪質なホストクラブの問題に関しては、立憲民主党が来週にも国会に提出予定の、現行法を最大限活用しての被害防止のための理念法案『悪質ホストクラブ被害防止法案』を超党派で成立させるべきではないかと求めました。
■介護職員・保育士の処遇改善の不十分さ
今回の補正予算案では、介護職員・障がい福祉職員の賃金は2%程度の月額6千円アップ、保育士等は人事院勧告に伴う毎年のルーティン的な引き上げに過ぎないと批判。立憲民主党は、「介護・障がい福祉従事者処遇改善法案」および「保育士・幼稚園教諭等処遇改善法案」を提出していることにも触れ、「月額6千円で、介護人材の流出を防ぎ、必要な人材を確保できると考えるのか」「保育士の賃金をどう上げていくのか」と迫りました。
■岸田政権の子ども軽視
児童手当の拡充の実施が来年12月からになることに「『国難』とは口先ばかり。全てが遅すぎる」と指摘。立憲民主党が提案する、今すぐ高校生までの全ての子どもに、1人あたり1万5千円の児童手当の支給や、子ども1人あたり月1万円の児童扶養手当増額(「児童扶養手当増額法案」)を実施すべきだと主張しました。
鎌田議員は結びにあたって、「人は誰でも、どこに、どのような環境に生まれるか選べない。生きる命がある限り、全ての人が等しく幸福を追求する権利を全うできる日本社会となるよう私たち立憲民主党は、必ずや築いていくことを国民の皆さまに誓う」と表明しました。