2024年度当初予算の基本的質疑3日目となる2月7日午前、衆院予算委員会で西村智奈美、後藤祐一、奥野総一郎の各議員が質疑に立ちました。

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■西村智奈美議員

 西村議員は、盛山文部科学大臣が2021年の衆院選挙で旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関係団体から選挙応援を受けていたとされる問題を中心に質問。教団の解散命令を請求し、今後裁判で教団と対峙することが想定される文科省のトップとして職務を続けるべきではないとして、岸田総理に対し盛山大臣の更迭を求めました。

 西村議員はまず、衆院選挙公示前の21年10月、教団友好団体が開いた集会に出席していたかどうかをあらためて確認。6日の質疑で「全く覚えていない」と答弁していた盛山大臣は「写真を見て薄々思い出してきた」と述べました。新たに「政策協定」にあたる推薦確認書に署名していたとの証言が報じられたことには、盛山大臣は「サインをしていたのかもしれないがよく覚えていない」と答弁。西村議員は、通常、団体から推薦を受けるにあたって政策協定書に署名をする際は、その内容を確認した上で、当選したらその後の任期中はそこに書かれていた政策の実現のために努力をすることが前提になると指摘。「社会的には今でも政策協定書の内容有効だと思う」「内容をよく確認もせずに署名をすることはあり得ない。大臣以前に政治家として人として適格性に欠く」と断じました。

 西村議員はまた、盛山大臣が選挙応援を受けていた事実を自民党の調査においても隠して大臣に就いたことを問題視。盛山大臣は「(2021年10月の集会は)実質的に選挙戦に入っていた時期で日報をつける余裕がなく、私も忘れていて確認できなかった」「記憶になかった。今回の報道があるまで全く認識していなかった。今回追加の報告はするつもり」と無責任な答弁に終始しました。

 西村議員は「旧統一教会の解散命令請求とがっぷり四つに組む大臣の立場に居続けることは裁判などに悪影響が出てくると思う。そういった懸念をなくすためにも、盛山大臣は記憶がなかったかもしれないが、こういったことがあったという事実をもって更迭をすべきではないか」と迫りました。しかし、岸田総理は「過去の関係にかかわらず現在は当該団体との関係を一切有していない。このことを前提として任命を行った」と、これを拒否。西村議員は「政策協定書にサインをした、利害関係者でもある大臣が解散請求の政府側の責任者だなんてどこの世界の笑い話か」とあらためて罷免を求めるとともに、盛山大臣には、自民党の調査にすら回答していなかったことへの謝罪と、今自分が関わることは適切でないという判断のもとでの辞任を求めました。

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※被害者保護の観点から、もるすこさん、中野容子さんについては顔出し不可(モザイクのかかった写真・映像も不可)としています。いずれも仮名です。
 旧統一教会の被害者である橋田達夫さん、もるすこ(仮名)さん、中野容子(仮名)さんが、立憲民主党旧統一教会被害対策本部に出席し、盛山文部科学大臣が旧統一教会から推薦状をもらっていた件についてスピーチをしました。その後、衆院予算委員会で西村議員が盛山大臣の罷免について質疑をした後、国会内で記者団からの取材に応じました。

 旧統一教会元2世でYouTubeでの発信をしているもるすこさんは、盛山大臣が旧統一教会の選挙支援を受けていたという報道がされ、予算委員会で質疑を聞いた感想として、「盛山大臣のままでは、旧統一教会と戦っていくことはできないと感じている」と話しました。

 母親が被害にあっていたという中野さんは、盛山大臣に対する旧統一教会の選挙支援が手厚かったと報道されているにもかかわらず、大臣は記憶にないと答弁を続けていることに「西村議員がおっしゃったように政治家として人として不適格と考えている」と述べました。

 橋田さんは、「自民党というのは、被害者のことを本当に分かっていない。被害者のことが本当に分かっていたら、彼は5000件の(文科省が裁判所に提出した証拠資料にある被害者の)陳述書を全て読んでいたと思う」と述べ、「自分たちが悪いことをしてしまった、前に進もうという意思は見えません」と話しました。

 3人とも盛山大臣は大臣職を辞任すべきだと述べ、もるすこさんは「自民党から選ぶ必要はない。国会議員でなくてもいい。本当に統一教会と戦える人を据えるべきだ」と述べました。

※被害者保護の観点から、もるすこさん、中野容子さんについては顔出し不可(モザイクのかかった写真・映像も不可)としています。いずれも仮名です。

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■後藤祐一議員

 後藤議員は、自民党の裏金問題についてただしました。

 萩生田議員の政治資金収支報告書の訂正が、支出の目的、金額、年月日などすべてが不明と記載されていることについて、後藤議員は、「すべてが不明という訂正は認められるのか」と問いました。

 松本総務大臣は、過去に災害時等に領収書を滅失したケースがあったこと、末尾に「判明次第訂正記載する」との宣誓書が付されていると説明しました。

 後藤議員は、災害とは異なり、今回のケースで認めてしまったら「何でもありではないか」と批判しました。

 後藤議員は、政治資金修正報告書の訂正と税との関係について「訂正前は個人の所得としていたが、訂正後は、収支報告書に記載して非課税になるのか。形だけ収支報告書に載せれば免税になるのか。税法上の判断は別か」とただしました。

 国税庁は「それが政治団体に帰属するのか個人に帰属するか、事実関係に即して個別に判断する。判断にあたって、報告書のみならず管理の状況、支出がどうなっているか総合的に判断する」と答えました。

 後藤議員は、事前に総理に対して関係議員に詳細を確認し予算委員会の場で説明するように求めていましたが、答弁が得られなかったことから、萩生田議員、高木議員、西村議員、二階議員など自民党の裏金に関する政治倫理審査会の開催を求めました。


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■奥野総一郎議員

 奥野議員は(1)政治とカネ(2)異次元の少子化対策の負担(3)防衛増税(4)北方領土(5)憲法問題――等について質問しました。

政治とカネ

 奥野議員は、派閥の収支報告書不記載の問題について岸田総理を追及しました。岸田総理が「税務当局が調べればいい」等とした答弁に対し、「あまりに他人事」と批判しました。また、後藤議員の質問では事前通告にもかかわらず、ほぼ「ゼロ回答」であることにも、「自民党の刷新本部の本部長なのだから、解明するべき」「第三者委員会を入れて追及するべき」と迫りました。岸田総理は「検察等において法的な責任を判断する。国税の納税の必要性に応じて判断する」とここでも繰り返し、第三者委員会の設置については、「外部の弁護士や専門家にも関与してもらいながら聞き取りを行い、第三者にまとめてもらう対応を進める」と答えました。奥野議員は「第三者委員会らしきもの」が提出する報告書の公表の時期について総理に問いましたが、総理は「できるだけ急ぐようにお願いしている」と答弁するにとどまりました。

防衛増税

 奥野議員は政府が予定する防衛増税について質問しました。防衛増税を行うことは2024年度の与党税制改正大綱で決定しているが、実施時期が決定してないとし、岸田総理に「今年中に決定するのか」「27年度以降はこれ以上、税を上げないということを約束してほしい」と求めました。岸田総理は、「一昨年末の閣議決定の枠組みをもとに実施時期を判断する」と答え、27年度以降の増税の有無に関しては明言を避けました。

 奥野議員は、「国民に負担をお願いする立場の政府や政治家が、『お金』の説明責任を果たしていくのが筋。自民党総裁として解明してほしい」と総理にあらためて求めました。

北方領土

 奥野議員は、北方領土問題についても言及。本日2月7日が「北方領土の日」として、午後に開催される「北方領土返還要求全国大会」に今年も出席予定の岸田総理に、昨年の大会後で「北方墓参」を望む元町民らの声に、岸田総理が「ゼロ回答」だとした北海道新聞の記事に触れ、「不法占拠が続く北方領土を取り戻すと内外にはっきりと言ってもらいたい。4島への元島民の墓参もロシアに強く働きかけてもらいたい」と、総理に求めました。総理は、「北方領土はわが国が主権を有する島々でありわが国の固有の領土。政府としてこの立場は変わらない。政府として4島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する方針を堅持する」と答弁しました。

憲法問題

 最後に、憲法の改正案に前向きな4党による憲法改正発議について、「(『政治とカネ』の解明がないかぎり)難しいと思う」と指摘しました。