岡田克也幹事長は3月5日、国会内で会見を行い、先週衆院で行われた政治倫理審査会、昨日行われた参院予算委員会における自民党の裏金議員について発言しました。

 先週行われた衆院の政倫審の質疑について、岡田幹事長は、西村康稔議員が言及した「現金でキックバックをやるのをやめる」との安倍元総理の提案に関連して、「振込にできない理由があった」「違法性の認識を持って、幹部が集まって話し合ったのではないか」と指摘しました。

 昨日の参院予算委員会で蓮舫議員が指摘した、茂木自民党幹事長、新藤経産大臣が、領収書を公開する必要がある国会議員の関係政治団体から、公開の必要が緩い「その他の政治団体」に、多額の資金を移して「裏金化」しているのではないかとの疑惑について、岡田幹事長は「未だにこんなことをやっているのか」「閣僚、党の幹部をやっている資格があるのか」と批判しました。

 石橋議員がとりあげた「参院選挙の時には参院議員は全額キックバックを受けていた」件について、岸田総理は「把握できない」ではなく「きちんと確認すべき」「横領、詐欺の可能性もでてくる」と述べ、「残された課題だ」と指摘しました。


岡田克也幹事長記者会見

2024年3月5日(火)15時00分~15時23分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/hDRGF8kpQRc


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○国会審議(1) 政治と金の問題について

【幹事長】
 まず、常幹はございませんでしたので、その報告はありません。
 今、参議院で予算委員会をやっております。私も全部フォローできているわけではないのですが、昨日は、辻元議員、蓮舫議員、石橋議員など、鋭いやり取りがあったと思います。
 衆議院のほうで政倫審もあったわけですが、そこで私、聞いていて疑問に思ったのは、最初はキックバックをやめるという話が安倍さんの下で話し合われたということだったのですが、たしか西村さんだったと思いますが、キックバックを現金でやり取りすることをやめると。不透明だと安倍さんが言ったと。こういう話で、ちょっと中身が変わったわけですね。
 だけど、いずれにしろキックバックを、現金でやり取りすることもあまり望ましいことではありませんが、それは違法なことではないわけなので、別にそれがまずいと、あまりよろしくないということであれば振り込みすればいいだけのことで、その振り込みができない理由があったから話し合われたということしか考えられないわけですね。やはり違法性の認識を少なくとも安倍さんは持っていて、そのことについて幹部が集まって安倍さんも含めて議論したと。つまり、届出がしていない、そういったお金のやり取りがなされているので、それを何とかしなければいけないと。
 予算委員会の審議で私も申し上げましたが、何とかするためには手段は二つしかなく、一つはきちっと届出をするということです。しかし、そのときには、前年まではそういうことがないので、そこの整合性を突かれると、その年はきちっと届出をしていいわけですが、その前年まではどうだったんだという、そういう指摘を受けるリスクがある。したがって、キックバックそのものをなくしてしまうしか道はなく、そういう意味で象徴的にキックバックをなくすという議論が行われたのですが、目指すのは、この違法なキックバックを、これをどうやってクリアするかという問題が議論されたということだと思います。それ以外はきちんと整合性ある議論はできないはずだと思っております。
 参議院の予算委員会では、蓮舫さんが、茂木さん、新藤さんの(政治資金移動)問題を取り上げました。いまだに本当にこんなことをやっているのかという感じはいたします。透明性を増すということで、(国会議員関係政治団体は)領収書は全て1円以上のものを全て保存する義務があって、そして、記載もきちんとしなければいけないということになっているわけです。それを事実上形骸化する抜け道のような形で行われていたということになると、そういう人たちが閣僚だったり党の幹部をやっている資格があるのかと、そういうふうに思います。そういう党がやっているヒアリングその他も極めていい加減なものに思えてきてしまうわけであります。
 それから、石橋さんが、参議院選挙の年には当該参議院議員は(販売した派閥パーティー券収入の)全額還流、キックバックを認めていたという、そういう話が従来からあるわけです。それについて総理に問うたところ、総理は、把握できていないと、こういう答えだったわけです。把握できていないのではなく、きちんと確認すべきだと思います。もしそういうことになると、横領とか詐欺とか、そういう可能性も出てくる話であります。
 そういったところが課題として残されたのかなと思っております。

○国会審議(2) 少子化対策財源「支援金」について

【幹事長】
 それから、たまたまきょう音喜多さんのやり取りを見ていまして、少子化対策の「支援金」の話が出ていました。
 法案には書いてあることなのですが、これは政令で率を決めるということになっています。結局、将来的に拡大していけば、私は消費税的な役割を果たすことになるのではないかと思っていますが、それが政令でどんどん増やすことが可能と。保険料ですから、そういうことになりかねない。非常に問題の多い、これはいい加減に「大丈夫だろう」などと思っていると、とんでもないことになりかねない、そういう話ではないかと思います。
 全ての(公的)医療保険の対象者ということで、結局、国がそれを代弁してやるということなので、そういう意味では、負担を受ける人たちがそれに対して文句を言うすべがない。審議会の意見を聞くことにはなっていまして、その審議会のメンバーにそういう関係者を入れるという説明を受けましたが、それは審議会でしか過ぎないので、結局、国が勝手に制度設計して負担を増やしていくということになりかねない。そういう話だろうと思っております。


■質疑

○裏金問題について(1)

【NHK】
 政倫審について伺いたい。参議院だが、きょう参議院で立憲と自民党の代表が会談し、議員の出席の意向を確認するとともに、具体的な日程は今後調整することで合意したと聞いている。これについての受け止め、参議院の政倫審がどうあるべきか、お考えを教えていただきたい。

【幹事長】
 ぜひ、手を挙げた人は全員呼ぶという原則を確認してもらいたいですね。
 衆議院の場合も、どうもそうでなかったよう、党のほうでブロックしていた可能性が高いということが後からわかりました。
 手を挙げた人は全員きちんと出てきて話すと。本来そういうものですから、これは。党でブロックすることがないようにしてもらいたいと思います。

【NHK】
 参議院も公開・非公開など方法があると思うが、どうあるべきとか、お考えはあるか。

【幹事長】
 それはもう公開以外の選択肢はないと思いますが。

【NHK】
 一方で、衆議院だが、今少し触れられたが、下村さんが意向を示していると報道にあった。また、ほかにも手を挙げている人がいるということだ。ただ、一方で、申出はまだない状態だが、こういう姿勢についてはどうお考えか。

【幹事長】
 ぜひ、自分の疑念を晴らしたいという方は、全員出ていただいたらどうかと思います。  下村さんはキーパーソンの一人です。記者会見でも、(2022年)8月の会合で問題を合法化するためにこういうことがあるというふうに言った人がいるというような発言もされていて、もうその時点で違法性を認識していたか前提にしていたような議論を展開されていますので、そのことの確認もぜひしたいと考えております。

○衆議院解散をめぐる発言について

【NHK】
 別件でもう一問お願いしたい。衆議院の解散について、岸田総理大臣はきのう、全く考えていないと述べた。きょうは公明党の山口代表も、政治不信に陥っている状況で、信頼回復のトレンドに戻さない限りは解散すべきではないという発言もしたと聞いている。解散についての考え方とか、準備はされていると思うが、お願いしたい。

【幹事長】
 連立パートナーである山口さんが言えばそれなりの抑制力はあるかもしれませんが、野党が何を言ったって関係ないですから。総理がやりたいと思えばいつでもできるので、あまり議論する(意味が)実質的にないと思います。いつあっても準備できるようにはしておかなければならないと思います。
 ただし、これだけ国民の皆さんが疑念を持って、政倫審の受け答えで更に疑念が深まっている中で、このまま解散ということになれば、それは国民から厳しい批判を浴びることになると思います。

○自民・茂木氏らの政治資金移動について

【読売新聞】
 幹事長も冒頭で触れていたが、参議院の予算委員会で蓮舫議員が、茂木幹事長だったり閣僚の政治団体間の資金の移動について追及されていた。これは党として今後どういった方針で更に追及を進めていくつもりなのか、現状お考えがあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 一部のメディアが報じましたので、そういう問題があることは認識しておりましたが、衆議院では攻めの段階だったので、あまり弾が散らないほうがいいと考えて、いわば温存してきました。参議院で具体的にこれを取り上げることになりましたので、同時並行してやっていくということになります。  新藤さんは閣僚だし、しっかり事実をただしていきたいと思います。しかも、大臣の態度が悪いからね。しっかりとそこはやっていかなければいけない。  ただ、裏金の問題がまずあって、これをしっかりやらなければいけないので、バランスは考えていかないと、そっちに弾が散ってしまうのもよくないと思います。まずは、この裏金の問題の事実解明。そして、政治責任。そういったことをやった上で、今回の茂木さん、新藤さんの問題を並行して取り上げていくということだと思います。

【読売新聞】
 現状では、法改正とかということまでは、もうちょっと議論が進んだ上でこれから考えていくという形になるか。

【幹事長】
 元々こういうことが起こり得るということで与野党で議論していた話が、結局、今の規定になって、やはりそれを悪用する人たちが出たということですから、制度改革を議論するときにはこの問題も合わせて議論するということになると思います。  ただ、まず、責任ある立場にあるお二人ですから、きちっと説明責任を果たしてもらいたいと思います。せっかく制度をつくっても、それを抜け穴を利用するような、そういう人たちが党の重要なポストにいたり閣僚にあったりするということは私は許されないことだと思います。

【朝日新聞】
 今の質問に関連するが、こうした仕組みは、野党の中というか、立憲民主党の中ではこういうことをやっている議員はいないということでよろしいか。

【幹事長】
 それは調べていません、まだ。これからちょっと調べたいと思います。
 一種の抜け穴、脱法的なことなので、違法ではないかもしれませんが、望ましくないことで、そういうことがあれば直ちに正したいと思いますが、現時点でまだ調べておりません。

【朝日新聞】
 つまり、党として今それをやめるように既に通達があったとか、そういうことではないということか。呼びかけをしたり、そういうことをしないようにと。

【幹事長】
 元々法律を改正したときの経緯からいうと、そういうことはやらないというのは前提ですよね。そういうことがもしあったとすると、それはやはり問題なので、確認したいと思っています。

【朝日新聞】
 きのう小泉法務大臣は、何か自分は間違ったことをしていないんだと強く答弁していて、実際本当にお金を集めた団体から後援会にお金を移して、そっちでお金を使っているんだから、正しいやり方をそのまま書いただけだという説明だが、それでも先ほどからの話ではやはり疑念を持たれかねないリスクがあるという、今の仕組みではそういうことだということか。

【幹事長】
 一方では、領収書は全て保存しなければいけない。言われたら出さなければいけないのですね。1円から明確にしなければいけないという規定がある中で、全然違う抜け穴的な、そういったことができるというのは問題だと思います。
 確かに政治家の中には、安倍さんも、これは亡くなったときに整理しましたが、幾つか団体を持っていましたよね。そういうことは私は避けるべきだと。基本的には、私の場合は政党支部と資金管理団体、この二つしかないのですね。それ以外にお金は行きませんので、それが本来法律の予定した姿だと私は思います。

○予算審議について

【朝日新聞】
 話は変わり、予算案の衆院通過の過程のことだが、立憲民主党としては予算委員長解任案や財務大臣不信任案を出し、2日の採決をすべきではないと主張されていたが、結局、深夜の段階で合意に至り、2日中の採決を合意した。改めて幹事長として、なぜ折れたのか。これでよかったのかどうか。世の中的には、立憲民主党が野党第1党としてあれだけ抵抗していたのに中途半端ではないかという指摘も出ているが、こうした指摘にどう答えるか。

【幹事長】
 メディアによっては、山井さんの3時間の演説も含めてやり過ぎだと、そういう批判をされたところもありますね。
 一方で、あそこまでやりながら、最後までやるべきではなかったかというご意見もあるということです。
 基本的には、要するに4日採決ということを私たちは目指したわけです。それはなぜかというと、やはり4日にすることによって、年度内の自動成立がなくなるわけです。そうすると、やはり緊張感のある審議が参院で可能になる。別に我々は年度をまたぐということを目指しているわけではないのです。だけど、その可能性を残すことで、より緊張感のある参議院における審議が確保できて、いろいろな譲歩も得ることができると。
 衆議院の場合も、最終的に政倫審が公開になったとか、あるいは政倫審そのものをやることになったとか、そういうことは、やはり採決日程との関係で我々がいわばカードを持っていたからできたことで、それがなければ実現しなかったかもしれないのです。
 そういうやり方は昭和のやり方だとか古臭いという意見がありますが、だけど、持っているカードは全て使って結果を得ていくというのは、私は野党第1党として必要なことだし、野党第1党の責任だと思います。ほかの野党の皆さんもその恩恵は受けられるわけですね。
 ぎりぎり頑張ったわけですが、そして、自民党の中からも、常識的な線で、やはり土曜日・日曜日は避けたほうがいいという意見もあったやに聞いています。でも、最終的にはそうはならなかった。あのままだと、それ以降も不信任案を次々に出しても、時間制限をかけられて、やはり日曜日全部をまたぐことは難しいという、そういう見通しの下で、同時に、野党が全体がそろって反対する、行動するということが確保できることも、参議院の審議を考えれば、それはそれで大きなメリットなので、全体を判断して、あそこで矛を収めたということです。

【朝日新聞】
 今の話だと、そうすると、これ以上の不信任案に関しては国民民主党や日本維新の会などが同調する見込みもないと。そういうところも一つの要素だったということか。

【幹事長】
 そうですね、はい。
 それともう一つは、何とか4日まで行きたかったのですが、ちょっとそれは難しい見通しだったと思います。時間制限をかけられたら、不信任案を次々に出しても限界がありますから。

【朝日新聞】
 あまりこの議論をあれするつもりはないが、ただ、それは1日の時点で読めるのではないか。4日まで引っ張ろうと思ったら、実質本当に、1日夜から2日、3日で、何日間か延ばし続けないと実質4日までの抵抗はできない。

【幹事長】
 ですから、2人長い演説をやる中で、相手を追い込もうとしたのですが、ある程度そういう成算もあったわけですが、最終的には、何といいますか、自分の考えを押し通した人が自民党のほうに約1名いたのではないかという感じですね。

○衆院東京15区補選に向けた取組について

【共同通信】
 三つの補選まで1カ月余りとなったが、特に東京15区の補選の擁立状況について、あるいは今考えられていることについて教えていただきたい。もう一点、関連するが、いつまでに擁立したいというか、そのデッドラインみたいなものを幹事長の中に想定があればお願いしたい。

【幹事長】
 なるべく早くです。
 いい人材、勝てる可能性がある人を擁立するということが必須ですので、誰でもいいということではないのです。そういう人材をぜひ擁立したいと考えていますが、現時点ではそこに至っていないということです。

【共同通信】
 特に期限というものを頭の中に考えていらっしゃるわけではないというか、あくまでも、できるだけ早くと。

【幹事長】
 特に、与党のほうもどうするか、まだ見えてきていませんので、自分で期限を切っていつまでにと言う必要はないと思います。

○裏金問題について(2)

【毎日新聞】
 政治改革のことだが、これまで国会で、まずは事実の究明が先であって、改革の話をするのはそれからだという姿勢でおられたかと思うが、衆院で予算案が通過したので、その段階が一つ次に進むのか。それとも、引き続き事実の究明が必要だとお考えなのか。その辺りを伺いたい。

【幹事長】
 まず、その二つではないのです、三つなのです。事実の解明。それから、政治責任を取るべき人が取る。その上で、制度改革。これは総理自身もそうおっしゃっているわけですね。
 参議院の予算委員会が始まったばかりなので、それから政倫審も衆参とも予定されている中で、事実の解明はまだまだ不十分。
 それから、政治責任。これはおそらく自民党の党大会の前までには何らかのものが示されるのではないかと思います。それで十分かどうかは今判断できませんが。
 だから、1段階も2段階もまだ途中なのですね。そういう段階ですから、制度改革の議論に移るのは早過ぎると。弾が散ってしまうと思います。
 もちろん党の中でいろいろな議論はしていますが、各党で協議するとか、そこに入るのは、おそらく4月に特別委員会ができるということになっていますので、それを目指してということになるのだろうと思います。