東日本大震災復興対策本部(本部長・玄葉光一郎衆院議員)は、間もなく発災から13年目を迎える3月4日、福島県双葉町、大熊町、浪江町の復興に向けた取り組みを視察。その後、福島市内で党所属議員らで構成する福島県議団と意見交換を行いました(写真上はJR双葉駅西側地区を視察する玄葉本部長ら)。

■JR双葉駅周辺を視察、町長らと意見交換(双葉町)

 町に帰還される方や町への移住・転入を希望される方のために整備が進むJR双葉駅西側地区の「駅西住宅」などを伊澤史朗町長の案内で視察。昨年10月から入居が始まっており、集会所や特徴的な大屋根の軒下、住民と駅利用者との導線を分けていることなどの説明を受けました。

 意見交換では、伊澤町長があいさつの冒頭、2022年8月30日に駅を中心とした特定復興再生拠点区域(※1)の避難指示が解除されたが、震災から11年5カ月かかったと語りました。県内の原発被災12市町村の中で一番最後の避難指示解除だったことから「復興のステージはスタートしたぐらいの話」だと強調。双葉町の復興等に向けた重点要望を受けました。

 重点要望では、帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域復興計画に含まれなかった地域について(1)避難指示解除に向けた取り組みの実施(2)残された土地・家屋に対する方針の明示(3)住民への生活支援の継続――を求めました。

 参加議員からは、道路や水などの生活インフラの状況、営農再開に向けた課題、商業の状況などについて質問がありました。

※1 福島復興再生特別措置法の改正(2017年5月)により、将来にわたって居住を制限するとされてきた帰還困難区域内に、避難指示を解除し、居住を可能とする「特定復興再生拠点区域」を定めることが可能となりました。

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要望書を受け取る玄葉本部長ら

■浅野撚糸株式会社双葉事業所を視察(双葉町)

 岐阜県に本社のある浅野撚糸株式会社は、現在の代表取締役社長が福島大学を卒業したこともあり、双葉町中野地区に新たに開設された産業団地に第2の生産拠点を設置。撚りをかけた糸「SUPER ZERO」を生産し、この糸を織ったタオルなども併設されたショップで販売しています。

 一行は、会社の歴史や双葉町に工場を設立した経緯などを聞き、実際に糸を撚る機械を見学しました。

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撚糸機の説明を受ける玄葉本部長ら
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施設のエントランスにて

■中間貯蔵施設を視察(大熊町・双葉町)

 中間貯蔵施設は、福島県内の除染に伴い発生した土壌や廃棄物等を最終処分までの間、貯蔵する施設です。東京電力福島第1原子力発電所を取り囲む形で、大熊町・双葉町に整備されており、全体の面積は約16平方キロメートルで、渋谷区よりも広い面積です。

 なお、中間貯蔵施設で保管されている除去土壌等は、中間貯蔵開始後30年以内(2045年3月まで)に福島県外で最終処分を完了させることが法律で定められています。

 一行は、分別した土壌を貯蔵する土壌貯蔵施設と、最終処分量を低減するための減容化施設(仮設償却施設・仮設灰処理施設)等を見学しました。

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回転式表面溶融炉を視察

■F-REI(福島国際研究教育機構)本施設予定地を視察(浪江町)

 F-REIは、福島をはじめ東北の復興を一層推進し、わが国の科学技術力・産業競争力の強化を牽引し、経済成長や国民生活の向上に貢献する「創造的復興の中核拠点」を目指し設立されたものです。

 研究分野として、(1)ロボット(2)農林水産業(3)エネルギー(4)放射線科学・創薬医療、放射線の産業利用(5)原子力災害に関するデータや知見の集積・発信――の5つをあげています。

 一行は、本施設予定地を視察した後、本部のある、ふれあい福祉センターで木村直人理事らと意見交換をしました。参加議員からは、研究者の誘致の状況や処遇、目玉となる研究はどういったものかなどについて質問がありました。

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本施設予定地を視察
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■福島県議団と意見交換(福島市)

 玄葉本部長はあいさつの中で、民主党政権下で復興の土台を作ったと振り返った上で、「言うまでも無いが、まだまだ重く大変な課題がたくさんある。私たちは復興の最終的な責任を負う覚悟で、しっかり向き合っていきたい」と語りました。その後、県議団会長の瓜生信一郎県議があいさつ、県議団政務調査会長の三村博隆県議が要望について説明しました。

 県議団からは、(1)中長期的対応による復興のさらなる加速化(2)避難地域の復興実現(3)避難者等の生活再建等(4)風評払拭・風化防止対策の強化(5)福島イノベーション・コースト構想の推進等(6)復興を支えるインフラ等の整備状況(7)原子力発電所の廃炉に伴う対応――について要望がありました。

 視察後記者団の取材に応じた玄葉本部長は視察を振り返り、「国会議員のやるべき仕事は大変多いと感じた」と語りました。記者から第2期復興・創生期間が2025年度で終了することを受け、その後の見通しについて問われると、民主党政権下で復興所得税を作り財源確保したことに触れ、「きちんと財源を確保したうえで期間を設定し、それに見合う仕組みを作り上げるのも当然国会議員の仕事」だと述べ、「財源確保は、責任をもって進めたい」と語りました。

 視察には、玄葉本部長の他に、副本部長の小熊慎司衆院議員、事務局長の金子恵美衆院議員、事務局長代理の岡本あき子、山崎誠両衆院議員、事務局次長の横沢高徳参院議員、櫻井周、鈴木庸介、馬場雄基、吉田はるみ各衆院議員が参加しました。

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東日本大震災復興対策本部のメンバー
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あいさつする瓜生会長と福島県議団