岡田克也幹事長は3月19日、国会内で定例の記者会見を開き、(1)政治倫理審査会(2)裏金問題の議員への自民党の対応(3)宏池会の3千万円の不記載——などについて発言しました。

 衆院政倫審での下村博文議員の弁明について、「現在のところ、ほとんど何も進展が無かった、ゼロ回答が続いた。極めて残念なことだ」と指摘した上で、安倍派の幹部5人と池田佳隆議員、参院の政倫審に出席した3人について証人喚問を求めていく」と述べました。

 併せて、まだ政倫審に出席していない衆院議員らについても、「全員が出席してしっかりと弁明してもらいたい。自民党がそれを止めることがないように」と釘をさしました。

 (裏金議員への)処分について自民党大会で言及されたことについて、「ようやく出てきたが大変遅いという感が否めない。岸田総理は処分について、金額や役職など総合的に勘案するというが、最も大事な事実関係が分からないまま処分ということは、極めていい加減なものになるのではないか」と、突き放しました。

 さらに、宏池会の3千万円の不記載の件について、「会計責任者は3年から5年前までの不記載で立件されることになったが、では6,7年前はどうなっているのか。予算委員会や政倫審の質疑で岸田総理は確認できなかったというが、銀行では10年前まで遡って口座情報を調べることが出来る。岸田総理に(事実解明を)やる気がないということが自民党の不徹底な説明ぶりに表れている」と厳しく指摘しました。


岡田克也幹事長記者会見

2024年3月19日(火)16時00分~16時20分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/ZJ6lESr3DiY


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○裏金問題(1) 政倫審での弁明を受けて

【幹事長】
 私からは、冒頭2点。
 第一点は、政倫審。きのうの下村さんの発言も、弁明もありました。現在のところ、ほとんど何も進展はなかったということだと思います。そもそも政倫審は疑惑を持たれた人が自ら明らかにするために出てくるものだということですが、ほとんどゼロ回答のような答えが続きました。極めて残念なことだと思います。
 したがって、(野党4党)国対委員長間でも確認されたように、安倍派の幹部5名プラス池田議員、それから参議院の政倫審出席の3名については、証人喚問を求めていくということであります。
 あわせて、まだ政倫審に出てきていない衆議院の議員については、全員が政倫審に出てきてしっかりと弁明していただく必要があると思っております。おそらく若手の中にはやりたいという人もいるのだろうと思います。自民党がそれを止めるというふうなことのないように、しっかりと、事実を明らかにしたいという議員にはその場を与えるべきだと考えております。

○裏金問題(2) 自民党内の処分方針について

【幹事長】
 それから、もう一点は、自民党大会で、その処分の話が出ました。本来、話に聞いていたのは、党大会の前にという話もありましたが、一体いつになったら結果が出てくるのか。ようやく手続が示されて、幹事長に指示が出たということで、大変遅いなという感は否めないと思います。
 総理は、不記載の金額や程度、役職、それから説明責任のあり方などを総合的に勘案するというふうに言われました。しかし、最も大事なことは事実関係であります。その事実関係がわからないまま、例えば安倍派の5人の中で、キックバック取りやめを覆した、そういう人とそうでない人で当然処分のありようが変わってくるわけです。そういったことを党の責任でしっかり事実関係を明確に明らかにするということが欠けていて、それで処分というのは一体何なんだろうかと。所詮、極めていいかげんなものにならざるを得ないのではないかと思います。
 党の執行部がしっかりイニシアチブを取って、もう一度ヒアリングを重ねて、そして、そういう中で事実関係を少しでも明らかにする。例えば5人の幹部を集めて幹事長なり総理が直接その5人に対して説明を求めてもいいわけです。そういったこともせずに、事実関係が曖昧なままの処分というのは、一体何なんだろうかと。形だけなのかというふうに言われても仕方がないと思います。
 それに関して、ちょっと一言加えておきたいのですが、私が予算委員会で指摘をした、宏池会の3000万円の前の話ですね。会計責任者は5年前・4年前・3年前で3000万円の不記載が明らかになって立件されるということになりました。その後の2年間は人が替わっていたということであります。総理はこれは不注意とか単純ミスの積み重ねだというふうにおっしゃったのですが、私が予算委員会で申し上げたのは、では、6年前、7年前はどうなっているのかと。5年間というのは、これは刑事事件のその範囲の話であって、事実関係を明らかにするためには、その前に遡って調べるべきではないかと。不注意とか、あるいは振り込んだ原因が明らかでないものについて、別途取っておいて、それが3000万円になったという説明であれば、同じ人がやっているわけですから、6年前、7年前だって同じようなことが起きていた可能性は高いわけですね、岸田総理の説明を是とすれば。それをきちんと調べるべきだと私は申し上げました。
 この前の政倫審のときに、野田さんがこの問題を最後に取り上げてくれました。(予算委員会で)総理は私の質問に対して「確認できる範囲で最大限努力する」というふうに言われたわけです。それはどうなりましたかという野田さんの問いに対して、「6年以上前ということになりましたが、確認をいたしましたが、資料は確認できませんでした」と、資料がありませんでしたというのが総理の答弁だったわけです。通帳とかのチェックをしなかったのですかと野田さんが聞いたところ、「6年より前の部分については資料は確認できませんでした」と繰り返されました。
 通帳が仮になくても、銀行に行けば10年間は支店レベルでも遡ることはできます。本店ならもっとできるのだろうというふうに思います。だから、数字はあるはずなのですね。ですから、確認はできるはず。それをサボっているだけというふうに言われても仕方がない。
 どういう経緯で3000万円の不記載ということになってしまったのかということを過去に遡ってきちっと調べない限り、例えば安倍派のキックバックがいつから起きて、どういう経緯だったのかということも明らかにすることを求めることはできないわけで、私は総理自身がやる気がないということが今の自民党の不徹底な説明ぶりに表れてしまっているというふうに思います。
 改めて、総理にはきちんと説明することを求めたいと思います。それすらしないということであれば、これは重大な処分の対象に総理自身がなるということになるんだというふうに思っております。


■質疑

○日銀 マイナス金利政策の解除について

【日本経済新聞】
 日銀が本日の金融政策決定会合でマイナス金利の解除を決定した。こちらについての評価、受け止めについて伺いたい。

【幹事長】
 遅かったなというふうには思います。いろいろな弊害が出てきている中で、ずるずると続けてきてしまったということだと思います。
 日銀のほうとしては賃上げの状況を見極めるということを言われていて、大手については、既に連合が発表したとおり、予想を超えるような、そういう数字になりました。日銀のほうとしては、それプラス、全国の支店網を通じて、おそらく大手以外の中堅・中小企業の状況も把握をした上で今回の決定に至ったのだと思います。そういう意味では、遅過ぎたとはいえ、方向転換ができたことは私は評価できると思います。
 あとは、注意深く、これだけ長く続いたものですから、それを一挙に変えるということになるといろいろなところに弊害が更に出てくることになりかねませんので、丁寧に、注意深く、しかし、しっかりと物事を前に進めていく必要があると思います。
 あと、きょうの日銀の発表文で、ちょっと私、違和感を感じたのは、リスクが非常にあるんだということを強調したわけですね。「リスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い」というふうに最後に言っておられるのですね。その下で十分注意する必要があると。
 リスクが極めて高いと言われながら政策転換をしたのは、ちょっとこう、逃げ道を残すということだったのかもしれませんが、違和感を感じました。リスクはあっても、それを乗り越えるだけのしっかりとしたものがあるから政策転換したはずで、最後に「きわめて高い」というふうに言っているのは若干違和感を感じたところです。

○裏金問題について

【朝日新聞】
 証人喚問の件で伺いたい。野党4党からの証人喚問の要求に対して、きょう自民党の国対委員長は、なかなか証人喚問は高いハードルだというようなこともおっしゃっている。もし自民党側が応じないとなれば、これは今後の規正法改正に向けた与野党協議に入れるのか、入れないのか。その辺の考えを伺いたい。

【幹事長】
 あまり仮定の議論はしないほうがいいと思うのですね。自民党側が最終的にどういう判断をするのか。世論もあると思います。それから、公明党がどうするのか、きょうの(安住)国対委員長の話もありましたが、そこも見極めなければなりません。
 世論をしっかりと受け止めるということになれば、自民党だっていつまでも知らん顔はできないかもしれない。現に、今まで証人喚問で証人として出られた方々と比べて、今回の我々が求めている人たちはそれだけの重さがないのかといえば、私は、事件の重大さから見て、当然証人喚問で応じる、そういう責任があるということは明らかだと思います。

【朝日新聞】
 ただ、きょう、森喜朗元首相に関しては、共産党からは証人喚問をすべきだという提案があったが、野党全体としては結局見送ったというふうに理解している。その理由について、幹事長のお考えを伺いたい。

【幹事長】
 私は予算委員会で、2月の初めに岸田総理には、森さんから話を聞いたらどうかと、聞くべきではないかということを申し上げました。
 まず、順序からすると、やはり総理がきちんと責任を果たすということだと思うのですね。直接会って、よく話を聞く。で、そのことが明らかになる、中身が。その上で証人として呼ばなければいけないかどうかが決まるので、いきなり証人というよりは、まず総理が責任を果たしてくださいということだと思います。

【朝日新聞】
 今回、森さんも証人喚問の対象にしなかったことに関しては、安住さんと森さんとの関係を踏まえて、安住さんがやはり森さんに対して甘いのではないかという意見も出ているが、それについてはどうお考えか。

【幹事長】
 そういう意見がどこで出ているかわかりませんが、憶測の意見にいちいちコメントするつもりはありません。
 やはり物事は順序があって、政倫審に出てきて、そして不十分だから証人と、ほかの人はそうなっているわけですね。いきなり森さんに証人喚問というのは、ちょっと、まずその前にやることがあるのではないかと思います。

【朝日新聞】
 最後に、もう一度規正法改正のための与野党協議の話に戻るが、証人喚問は仮定の話かもしれないが、これまでずっとおっしゃっていたように、実態解明がなければ次の政治改革の協議には入らないと、その考えは変わりないということか。

【幹事長】
 基本的にはそういうことですね。
 ただ、いつ始まってもいいように、党の中ではしっかり準備は進めております。なるべく野党間でも意見交換をして、共通するものについては一緒にできないかということもしっかり目指していきたいと思います。野党間もいろいろなご議論があって、難しいことを言っているところもありますが、やはり、法改正を実現させるという観点に立てば、なるべく協力すべきだと思います。

【共同通信】
 今ほどの質問にちょっと関連するが、証人喚問について、自民党の浜田国対委員長、与党側としてはハードルが高いということを話されているが、あえてハードルが高いとされている証人喚問を要求する理由、狙いというのを改めて伺いたい。

【幹事長】
 ですから、何がハードルが高いのか、説明してもらいたいですね。
 政倫審に出てきて、きちんと話をするかと思ったら、全くそうではなかったと。しかも矛盾も出ているということですから、うそが言えない形にしてしっかり話してもらおうというのはハードルの問題ではないと思います。

【共同通信】
 何か引き延ばしのような、補選も控えており、そこの関連、ちょっと憶測になってしまうが、その辺で自民党としては何か考えているのかなとも思ったりするが、その辺りはいかがか。

【幹事長】
 どういう意味ですか。

【共同通信】
 補選が来月にあるので、何とかそこの前に党で処分をして、政倫審というか証人喚問をうやむやにするというか、そういうふうな狙いといいますか。

【幹事長】
 もし総理がそういうふうに考えておられるとしたら、それはとんでもない考え違いだと思います。墓穴を掘ることになると思います。

【共同通信】
 あと、補選について一点。来月補選があるわけだが、今回のいわゆる裏金の問題と補選との関係、この裏金問題で野党一致できると思うが、それをどう補選への協力につなげていかれるか。その辺りはいかがか。

【幹事長】
 今の自民党に対する批判は非常に強いと思います。各新聞社の調査などもありますが、私が体感しているのは、非常に厳しい、与党に対する、自民党に対する批判ですね。どこかの調査で、政権交代を望む声のほうが多いという結果も出ていましたが、私自身も今選挙をやればそういうことになるのではないかと思うくらいの風が吹いていると思います。
 それを与党もわかっているはずで、事実関係を明らかにする、その上で政治責任を取らせる、制度改革、これをやはりテンポよく進めていかないと与党にとって更に風は向かい風になって厳しくなると思います。
 我々としてはできるだけ協力して臨んでいきたいと考えています。

○野党連携について

【産経新聞】
 国民民主党との連携について伺いたい。けさ連合と国民民主党とのトップ懇談が行われ、その後の会見で玉木代表のほうから、立憲民主党との連携についてはエネルギーや安全保障など基本政策のすり合わせができなければ協議は行えないというようなお話があった。国民民主党との間でそういった協議を行う考えはあるか。

【幹事長】
 何のための協議なんですか。

【産経新聞】
 基本政策を一致させて、選挙に向けた連携への協議。

【幹事長】
 今までも国会の中では十分協力できているというふうに思いますし、選挙も、現職のところ、連合の推薦が出ているところは、なるべく、現職で連合推薦が出ているところについてはバッティングしないような、お互い工夫はしていると思います。
 基本政策もそんなに大きく違うとは私は思っていないのですが、なるべく多少の違いを乗り越えてお互い協力していくということは私は大事なことだと思っています。懐深く対応していきたいと思っています。

○川田議員に関する一部報道について

【産経新聞】
 別件で、一部報道で、川田龍平議員について、政治資金収支報告書に寄附金を不記載しているというような疑惑が報じられた。党で把握している事実関係と、今後調査を行うようなお考えはあるか。

【幹事長】
 これは、週刊誌が書かれたことについて、川田さんはブログなどでそれに対して説明をされています。場合によっては法的な対応もということもブログには書かれております。私としては当事者間のやり取りを少し見守りたいと思います。

○重要経済安保情報保護法案について

【読売新聞】
 セキュリティ・クリアランスの創設法案が審議入りをした。その受け止めと、今後懸念される課題だったり、そういったものがあれば教えていただきたい。

【幹事長】
 これから審議が始まりますので、我々いろいろな疑問はあるのです、法案について。それは審議の中で一つ一つ明らかにしていくということだと思います。

○憲法審査会について

【読売新聞】
 憲法審だが、今国会に入ってからまだ開かれていないという状況で、きょうも少し動きはあったが、憲法審の現状について幹事長としてどのように受け止めていらっしゃるか教えていただきたい。

【幹事長】
 もちろん当事者同士で話し合いながらやっている話ですから、それを私が外からどうだこうだと言うのは控えたいというふうに思います。よく話し合いながら、与野党でしっかりと納得ずくで進めてもらいたいと思っています。

(以上)