参院予算委員会で3月25日、集中審議が行われ、牧山ひろえ、勝部賢志、徳永エリ、石橋通宏各議員が質疑に立ちました。

■牧山ひろえ議員

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 牧山議員は(1)岸田総理「闇政治資金パーティー」疑惑、(2)茂木幹事長「政治資金付け替え」問題、(3)非正規雇用問題――等について、総理に質問しました。

 岸田総理の闇パーティー疑惑をめぐり、岸田総理の後援会会長が報道の取材で、渦中の「内閣総理大臣就任を祝う会」を岸田総理の秘書が仕切って行っていたと証言したことについて、岸田総理と後援会会長との発言が矛盾するとして、総理に説明を求めました。岸田総理が「事務所の人間が手伝いをしたことについては報告を受けている。少なくとも私の事務所が主催したものではない」と答えたことに対し、牧山議員は「どちらかが嘘をついているのでは」と指摘した上で、総理に事実関係を含め、闇パーティー疑惑について調査することを約束してほしいと求めました。

 次に、牧山議員は自民党の茂木幹事長が2009年から22年までに自身の資金管理団体から規制の緩い自身の政治団体に総額4億円以上の資金移動をし、支出全体の94%超が使途不明となっていることについて、「脱法行為によるあらたな裏金疑惑にしかみえない」と断じました。その上で、茂木幹事長の資金移動が意図的な潜脱であることが明らかになった場合、岸田総理の対処について問いました。岸田総理は「法律に基づいて資金移動が行われているのは事実。その上で指摘のような疑惑疑念が生じるとしたら、本人が説明責任をしっかり果たすことが重要」と答弁するに留めました。責任感のない岸田総理に対し、牧山議員は「みんながやり始めたらどうなる」「違法性がなければなんでもやってもいいと言っているように聞こえる」と問題視しました。

 また、牧山議員は、望まぬ非正規雇用の問題が、失われた30年による日本の低賃金の構図を生み出した要因であるとして、岸田総理に追及しました。自民党政権が、企業の労務コストを抑制しやすいように非正規雇用を全産業に拡大させる規制緩和を行ったことで、経済衰退・不景気を招いたとした指摘について、岸田総理は「派遣労働者の割合が全体の2.6%であり、これまでの賃金の低さや景気回復の遅れの原因を派遣労働に求めるのは必ずしも適当ではない」「デフレの悪循環が全体の賃上げを抑えてきたことが大きな要因」と否定しました。

■勝部賢志議員

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 勝部議員は、発覚して4カ月が経つ自民党の裏金問題について、「総理は説明責任が果たされたと考えるか」と問いました。岸田総理は「判断するのは国民の皆さん」と述べるだけでしたが、勝部議員が山口公明党代表の「ますます不信強める結果に」等の発言を挙げたところ、「説明責任を引き続き尽くしていかなければならない」と発言しました。

 また、岸田総理は「検察による捜査権がないなかで実態解明をしていかなければならない。道義的責任を果たさなければならない。党としても今週さらに聞き取り調査を行うことを予定。できる限りの実態解明を行った上で、政治責任、道義的責任を果たし、党としての方針を明らかにする」ことを明らかにしました。

 勝部議員は(1)1999年頃と言われているが、裏金をいつ誰が始めたのか(2)再開を相談したメンバー、決めた人は誰か(3)参議院選挙時には全額キックバック――等について明らかにすべきと指摘し、「何よりも全容解明が先。その後に処分」と述べました。

 岸田総理が「捜査権がないので、実態解明ができないこともあり得る。政治的な責任、道義的責任を明らかにしてけじめをつけるべき。そのために必要な実態把握に努める」と発言したことに対して、勝部議員は「党の実態解明の限界を認めた発言」と指摘し、「なので第三者機関を早期に設置。証人喚問で明らかにする方法もある」と提案しました。

 岸田総理は「今週も党としての追加の聴き取りを行う。国会での取り扱いについて、これまでの議論や日程等も勘案し判断する」と述べました。追加の聴き取り調査については「現執行部で行う。具体的方法は調整中。私も聞き取りを行うことを考えたい」と述べました。

 森元総理については「委員会の中で答弁しているが、自民党の聴き取り調査においても、森元総理に直接かかわるという発言がなかった」と改めて聞き取りを行わない方向を明らかにしました。

 勝部議員は、国民の「裏金をもらった人はずるい。脱税ではないか」との疑念について、岸田総理は「国民から納税すべきとの声があることは承知している。しかし、課税関係があるかどうか、個人に政治資金が移動したなら、法律違反であり、課税の問題も生じるが、検察の調査、自民党の聴き取り調査においても個人が受領した例は把握できていない」とこれまでの答弁を繰り返しました。

■徳永エリ議員

 徳永議員は、(1)統一教会に「弱み」を握られている盛山正仁文科大臣の政治姿勢、(2)銃刀法改正案による鳥獣被害対策への影響、(3)「2025年問題」と一人暮らしの高齢者支援――について質問しました。

 徳永議員は冒頭、裏金問題だけではなく、不倫疑惑、海外メディアにも取り上げられた「破廉恥な懇親会」、長谷川岳議員のカスタマーハラスメント問題など、国民の皆さんは「怒りを通り越して呆れている」と厳しく指摘しました。

 その上で、統一教会との「新たな接点」が次々と発覚する盛山文科大臣について、被害者からも「信頼できない」との声が上がっているとして、宗教法人法などを所管する文科大臣を辞任すべきと迫りました。

 また、閣議決定された銃刀法改正案について徳永議員は、クマ被害の多い北海道の猟友会などから、規制が強化されると鳥獣駆除の担い手やハンターが不足するとして反対の声が上がっていると指摘。政府は同法改正案で、ハーフライフル銃について条件付きの所持許可を「通達」で運用するとしていますが、徳永議員は、国会の審議がなく改廃できる「通達」では現場に混乱が生じると強調。市の要請を受けてヒグマをライフル銃で撃った男性が、銃刀法違反とされ、銃所持の許可を取り消されたため訴訟を起こし、現在も係争中である事例を紹介し、鳥獣保護管理法の改正も含め、現場に混乱が生じないよう政府に対応を求めました。

 最後に徳永議員は、「2025年問題」について質問。2025年に団塊の世代のすべてが75歳以上となり、国民の5人に1人が後期高齢者となる中で、「一人暮らしの高齢者」への支援は喫緊の課題だと強調。認知症の方の財産管理などには成年後見人制度がある一方で、身元保証人ではないため、賃貸住宅や介護施設への入居を断られるケースがあると指摘。また、民間の高齢者サポート事業者との契約トラブルなども相次いでいるとして、被害者を生まないよう「スピード感をもって所管省庁を決めるべき」と要求しました。

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■石橋通宏議員

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 石橋議員は質問で、(1)自民党の裏金政治の徹底的な問題究明と裏金議員の責任の所在と責任の取り方・厳正な処罰(2)岸田政権による「異次元の少子化対策」の実効性に対する疑問(3)「子ども・子育て支援金」を医療保険料とセットで徴収する政策の過ちと国民に対する説明責任――等について、岸田総理をはじめ関係大臣に質問しました。

 自民党の裏金問題について石橋議員は、「総理が丸投げでご自身の責任を全く果たそうとされていない姿勢が続き、国民の皆さんの不信感が募るばかり。4カ月以上経って、裏金問題の事実解明が全くなされていない」と指摘したうえで、徹底的に事実究明をするというのであれば裏金議員に証人喚問に出るよう指示してほしいと求めました。岸田総理は、「党として今週さらなる事実解明に向けて調査を行う」「証人喚問は国会において判断すべきことと考える」と逃げの答弁に終始。石橋議員は自民党の調査について岸田総理・茂木幹事長といった「いわば疑惑の当事者」が行うことについて疑問視し、実態解明にはつながらないとの認識を示し、第三者の調査を行うべきと指摘しました。

 自民党の二階元幹事長が次期衆院選に立候補しない意向を表明した件についても石橋議員は取り上げました。二階派は政治資金規正法違反事件をめぐり、二階元幹事長の秘書が略式起訴され、二階派の元会計責任者も在宅起訴されています。石橋議員は二階元幹事長が不出馬となることによって処分対象外となり、説明責任を果たさないことになってはならないと指摘しました。岸田総理は「今週また必要な調査をする。その上で党の手続きに基づいて処分等は判断してまいります。今の段階では何も決まっていない」と述べるにとどまりました。

 少子化の進展について石橋議員は、「極めて大きな問題である。ただ残念ながら岸田内閣の異次元の少子化対策は有識者の皆さんからも的外れだという指摘を受けている」との見方を示しました。また、10年前、いわゆるアベノミクス新3本の矢のひとつとして「合計特殊出生率の1.8への回復」をうたったが、結局、大失敗に終わったと言わざるを得ないと断じました。岸田総理が「失敗だとは思わない」旨を強弁するのに対し、石橋議員は検証が必要だと述べるとともに、少子化の要因のひとつに教育の問題があると指摘し、「大学の授業料の無償化をやりませんか」と岸田総理に求め、教育ローンを払い続けている若者に対しても無償化すべきだとして「これこそが異次元の少子化対策」だと述べました。