衆院本会議で3月26日、「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」に対する趣旨説明が行われ、神谷裕議員が代表質問を行いました。

 冒頭、神谷議員は、「何より情けないのは、この農業の憲法とも言うべき大切な法律を、政治の信頼が大いに揺らいでいる中で審議しなければいけないこと」だと自民党の裏金問題の影響の大きさを指摘して質問を始めました。

 今回の基本法改正にあたり立憲民主党は「充実した論議に向けて、有識者、団体、農業者などから、現場にも出向いて広く意見を伺い、議論を重ねてきた」と党の取り組みを強調し、「与野党の総意による合意形成に向けて、精一杯尽力」すべきと政府与党に求めました。

 神谷議員は「わが国内外を巡るさまざまな状況の変化が、今回の改正の所以と言わるが、一部改正でお茶を濁し、既存の施策をこれまで同様続けていくだけでは今の農業・農村の情勢は改善しない」と指摘しました。岸田総理は「現行基本法の考え方を変えるものではないことから改正法とした」と答えました。

 神谷議員は、「今般の改正にあたり、現行基本法が求めるさまざまな目標が達成できなかった失敗を総括すべき」と述べ、「基本法が求める食料安定供給の確保に対する食料自給率の低下」「農業の有する多面的機能の発揮に対する耕作放棄地の拡大」「農村の振興に対する農家経営の減少と農村人口の減少」等、具体的な失敗例を挙げて「真剣な分析と評価」「政策の大胆な変更」が必要と述べました。

 神谷議員は、食料安全保障について「非常時の際の行動を平時に準備しておくことは理解するが、一足飛びに計画を出さなければ罰金」を科すことについては「農村現場からも怒りと反発の声が上がっている」と指摘しました。岸田総理は「実効性ある対策を講ずるため、事業者に計画の届出を求めている。届出しない事業者に罰金を規定。計画通りに生産を行わないことへの罰則ではなく、計画の届出自体を担保するため」と説明し事業者の理解を求めました。

 また、神谷議員は「食料の確保を輸入等、海外に過度に依存していく事は厳に慎むべき」と指摘し、「食料安全保障を実効ならしめるには、先ずは国内農業生産の増大が必要であり、そのためには基盤となるべき農地の確保、農業者の経営を維持・発展させる必要がある」と述べ、「既存の施策に加え、『適正価格の実現』が打ち出され、資材等の高騰で、価格の上昇が必要な生産者の『適正価格』と、家計の厳しい中で安価な食料品を求めている消費者の『適正価格』を、市場原理だけで解決することは極めて困難だからこそ、『価格は市場で、所得は政策で』という考え方が生まれ、『戸別所得補償政策』が必要」と理解を求めました。

 今回の施策を通じ、市場における適正な価格形成が実現したとしても、再生産を可能とする所得水準に見合う価格が実現する保証はないと指摘し、先行例であるフランスにおける「エガリム法」などは、農業経営支援策としては不十分との評価があること、直接所得補償が加わって、農業農村の維持が実現されているとの評価があること等を指摘し、「農業者戸別所得補償」などの直接支払いも併せて実施すべきと改めて提案しました。

 最後に神谷議員は「同じ安全保障でも、防衛予算は、大きく伸びているのに対し、食料安全保障に対する予算が伸び悩む様では政府の本気が問われることになる」と指摘し、「農林水産業は地方の基幹産業であり、農林水産予算は地方経済にとっても極めて重要な意味がある」と訴えました。

「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」神谷裕議員20240326.pdf

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