衆院本会議で4月19日、「デジタル社会形成基本法等改正案」が審議入りし、中谷一馬議員が河野太郎デジタル担当大臣に対し、代表質問を行いました。

 中谷議員は冒頭、立憲民主党は「誰ひとり取り残されないデジタル社会」というビジョンを掲げ、デジタル政策を推進するにあたっては、(1)政府による国民の監視手段にしない、(2)個人情報保護の徹底、(3)セキュリティの確保、(4)利便性の向上、(5)苦手な人も含め誰も取り残さず、使わない人が不利にならない――等、以上の「5原則」をもとにDXを推進すると表明しました。

 改正法案では、マイナンバーカードに係る機能のスマートフォンへの搭載のために必要な措置を規定していますが、電子証明書を搭載できるのはAndroid端末だけであり、iPhone端末に搭載できない問題を中谷議員は質問。日本ではスマートフォンユーザーのうち、iPhoneが50%、Androidが49.7%であり、改正法案が成立してもユーザー間格差が生じると指摘。さらに、2026年に導入予定の次期マイナンバーカードの発行時にも、搭載が間に合わない可能性があり得るのか河野大臣に質問しました。

 これに対し河野大臣は、「相手方のある交渉という性質上、回答を差し控えさせていただく」と答弁を避けました。さらに、「2026年を超える可能性を含め、実現時期を申し上げることは困難」とし、またしても答弁を避けました。

 他方、改正法案で、次期マイナンバーカードの導入にあたり券面記載事項から「性別」を削除する方針については、「ジェンダー・ニュートラルな発想で国際標準を捉えたデータの管理と身元証明書」だとして、中谷議員は評価しました。

 しかしながら、健康保険証を本年の12月に廃止し、「マイナ保険証」に無理に置き換えることについては「壮大な無駄」だと中谷議員は断罪。立憲民主党が昨年提出した「健康保険証の廃止を延期する法案」を踏まえ、「デジタルとアナログを併用しつつ丁寧にデジタル社会の形成を進めませんか」と河野大臣をただしました。

 これに対し河野大臣は、「マイナ保険証は医療の質の向上につながるものであり、その効果の早期発現のため、現行の健康保険証の発行を12月2日に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行することとしており、この方針に変更はありません」と強弁しました。

 中谷議員は、能登半島地震を受け、河野大臣が避難時にマイナンバーカードを持つよう呼びかけたことも問題視。災害リスク学専門の東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授も、「マイナカードを探している間に、津波が襲ったらどうするのか。河野氏の呼びかけは災害の危険を理解しておらず、誤ったメッセージになりかねない」と述べ、危険視していると指摘しました。

 また、中谷議員は、立憲民主党が提出している「インターネット投票法案」の早期実現を要求しましたが、河野大臣は「各党各会派のご議論を期待」と通り一遍の答弁に終始しました。

 最後に中谷議員は、「政権交代を実現して、真の政治改革、デジタル改革を皆様と共に進め、新時代を切り拓く」と力強く訴え、代表質問を終えました。

「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」趣旨説明質疑(2024年4月19日).pdf

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