参院政治倫理審査会は5月17日、自民党の裏金問題を受け関係議員29人の出席と説明を求めることを全会一致で議決しました。同審査会では、自民党議員ら32人が審査の対象となっていましたが、これまで出席した3人を除き29人が弁明を申し出ていないことから、本日この29人について議決しました。議決にあたっては同審査会幹事会の申し合わせにより同審査会長も表決に加わり、全員賛成の挙手を行い全会一致で出席と説明を求めることを決定しました(写真上は議決の様子。中央右が吉川沙織議員、左が野村哲郎審査会長)。

 申立人を代表して意見表明を行った吉川沙織議員は、「刑事的に不起訴とされたこと、党内で処分を受けたこと等と、政治的・道義的責任は別であり、これを免れることはない」と述べ、「問題の実態解明がない中で派閥の解消や党内処分が行われてもなお、国民の政治不信は解消されないばかりか、かえって深刻化しているように思われる」と指摘しました。

 3月14日の同審査会での弁明は、参院政治倫理審査会規程16条に基づくもので「(審査の)申立てをされた議員に対し、弁明の機会を与えなければならない」とされているものであるのに対し、今回は同17条「必要があるときは、審査の申立てをされた議員等の出席及び説明を求めることができる」という定めに基づくものであると説明し、29人の議員には「第16条と第17条の違いを強く認識していただく必要がある」と強調しました。

 また今回の議決後に、それぞれの議員に対し会長名で規定に基づく議決を正式に行った旨を公文書で通知することになっており、「ていねいに各会派の合意を重ねながら適正に手続きを踏んでいることの重みを、29名の議員の皆さまにはぜひとも理解いただきたい」と述べました。

 あわせて、「(参院議員は)選挙区選出、比例代表選出を問わず多くの有権者の方々から投票用紙にその名前を書いていただいている。こうした重みや責任に鑑み、『派閥事務局の指示だから』ではなく、議員として国会において説明責任を果たす必要がある」と述べました。

 さらに、議会は言論の府であり、1985年に規程が制定された際、弁明の方法として弁明書の提出で済ませる方法はあえて外された経緯があるとされていると述べ、「こうした議会の先人の思いに鑑み、やはり申し立て対象となった議員の皆さまには本審査会に出席をいただき説明を行っていただきたい」と語りました。

 また、「個々人についてあげつらうのではなく、冷静な審査を行うことで今回の問題の構造を明らかにし、二度とこうした事態を発生させないことにつなげたいとの思いはまったく変わっていない」と述べ、公開で行われることが出席をちゅうちょさせる要因になっているのであれば、「原則通り審査会は傍聴を許さず非公開で行うことで構わない」と述べました。

 これらの表明をした上で吉川議員は、それでもなお出席が得られないとなれば、「もはや事案に真摯に向き合うつもりがないと言わざるを得ない」と指摘しました。

 さらに、1985年の議院運営委員会理事会の申し合わせで、申し立てを行った委員がすべて委員でなくなった場合でも事案は存続するものとする旨が定められたことから、「事案が残り続けることは、今回の問題が解決せず国民の政治不信が継続することに他ならない」と指摘。国政の重要課題は山積しており、世論が分かれる課題にも取り組まなければならないなか、「国会が最終的に出した結論に対し、できる限り多くの国民の皆さまに納得していただくためには、その基盤として政治への信頼が欠かせない」と強調し、自浄作用を少しでも発揮し、国民の政治に対する信頼回復につなげるためにも、対象の議員には真摯な対応をしていただきたいと述べました。

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