衆参両院の正副議長の主催する「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」が5月17日午後、衆議院議長公邸で行われ、13の政党・会派の代表者らが出席しました。立憲民主党からは、野田佳彦・党安定的な皇位継承に関する検討委員会委員長(党最高顧問)、馬淵澄夫・同委員会事務局長、田名部匡代・党参議院幹事長(党幹事長代理)が出席しました。野田国義・同委員会副委員長は参議院の公務のため欠席となりました。

 冒頭、額賀福志郎衆院議長から、今回の全体会議は「立法府の総意を取りまとめる第一歩」であり「慎重かつ丁寧に検討を進めていく必要がある」とした上で、「これ以上先送りすることが許されない喫緊の課題であり、今国会の取りまとめに力を尽くしていきたい」との希望が吐露されました。また、尾辻秀久参院議長から、各党・各会派による意見や論点の取りまとめの努力への謝意が述べられた上で、「ともに皇室のあり方の検討を深め、立法府としての総意を見出すことが肝要」との挨拶がありました。そして、林芳正内閣官房長官から政府有識者会議の経緯に触れた上で、立法府による総意について「議論の結果を踏まえて必要な対応を行ってまいりたい」との発言がありました。

 その後、各党・各会派からそれぞれの考え方の説明を行いました。

 立憲民主党は、3月12日に取りまとめた安定的な皇位継承に関する検討委員会「論点整理」に基づいて、馬淵事務局長が考え方の説明をしました。馬淵事務局長は、まず、根本的な考え方の整理をすべきだとして、退位特例法に対する附帯決議の要請の遵守、憲法の適合性、立法府としての責務、歴史と伝統の尊重の4つの視点からしっかり議論し総意を目指すべきであること、その上で政府の有識者会議報告書に関して、附帯決議の要請する、いわゆる安定的な皇位継承を確保するための諸課題、女性宮家の創設等に対する答えを十分に示しておらず、要請に十分に答えているとは言えないとの認識を示し、単に報告書の追認ではなく主体的な案の提示と合意が必要であると述べました。

 女性宮家等については、女性皇族が婚姻後も皇族として残るとした上で、その配偶者と子に関しては皇族の身分を付与しない案だけでなく、皇族の身分を付与する案についても、しっかりと議論すべきだと訴えました。また、旧11宮家の男系男子を養子に迎える案については、対象者となる方々の意思確認や、憲法14条1項の門地差別、平等原則に反するのではないかという憲法上の疑義を十分議論しなければならないと指摘しました。

 そして、今後の議論の進め方として、議論の経過をオープンに国民にしっかりと提示していくことや、国民世論の動向も踏まえるべきであることを表明し、有識者会議報告書を前提とするのではなく、立法府として主体的に論点を整理し建設的な議論を尽くすべきであると強調しました。

 今回は各党・各会派による意見開陳にとどまり、次回の全体会議から実質的議論となる見通しです。額賀衆院議長からは、議事録は作成するが公開は結論が出た後とすること、また毎週1回木曜日15時から会議を開催したい旨の提案がありました。

 終了後、野田委員長、馬淵事務局長が記者団に対し会議での発言内容を説明し、質問に答えました。会議のスケジュール感について、野田委員長は「自民党の考え方をまとめたのが一番遅かった」とした上で「なるべく早く合意ができるようになったらいいけれども、そう簡単ではない」「国家千年の計にかかわるものを拙速に、適当にやるべきではない」との認識を示しました。会議の進め方については、「会議の運び方、日程感、論点整理の仕方、あるいは議事録の公開の問題など、それこそ中身に入る前に、議論をもっとちゃんとやってほしい」と述べました。最後に「とにかく丁寧に、国民の総意を作っていくための議論にしなければいけない」との決意を表明しました。