衆院政治改革に関する特別委員会において、「政治資金規正法改正案(自民案、立・国・有案、維・教案)」「企業団体献金禁止法案(立憲案)」「政治資金パーティー禁止法案(立憲案)」に関する質疑が行われ、吉田はるみ議員が(1)企業団体献金(2)政策活動費(3)監査内容――等について質問しました。

 企業団体献金について、企業が5000ポンド以上献金をする場合、株主総会の議決が必要という法律があるイギリスの例に倣(なら)い、日本でも企業側に、「どの政党にいくら寄附をしているのか」公開を義務付けてはどうかと自民党に提案しました。自民党の鈴木馨祐議員が、「企業は株主を通じてガバナンスが効いている。各企業の対応になる」と答えたのに対し、吉田議員は「株主への説明責任、企業のステークホルダー(利害関係者)などを明らかにするべき」「これから入社する新卒の学生なども、その点は気にする」と指摘しました。

 吉田議員は、はじめに企業団体献金について質問をした理由として、来月から実施する定額減税で、政府が企業に対し給与明細に所得税の減税額を明記するよう義務づけたことで、現場が疲弊していると指摘しました。「社員が駆り出される時間とお金を定額減税の処理でなぜ使わなければならないのか」、自民党の党利党略のためではないか、といった声が上がっているとした一方で、企業団体献金をやめる方向で制度化された政党交付金において、国民1人当たり250円の負担額を「国民が負担しているといった事実を給与明細など何らかに明記しているのか」と問いました。「政党交付金は予算書を通じて国民に公開を果たしているとした認識」と述べた鈴木議員に対し、吉田議員は「記したほうがいい。国民が『自分たちはこれだけのお金を負担して政治活動を支えている』と認識すれば、国民の目が政治に向いていく。国民生活・国民感情を考えた政治にしていくべき」と訴えました。

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 政策活動費について、1回につき50万円までなら使途を公開せずに年間に何度も支出が可能とした自民党案について、「例えば名義を借りて、50万円を細切りに支出し、使途の公開義務がないとしたら、二階元幹事長が5年で50億円、1年で10億円支出したことと何が変わったのか。無税のまま残ることになるのでは」と問題視しました。また、吉田議員は、自民党案では政策活動費の項目と金額のみを計上し、領収書の添付が不要であることについて、「項目通りに使われたのかを国民が判断する材料がないのは明らか。これで政治の信頼回復はできない」と断じました。

 その上で、「政策活動費を使い切らず、残金が生じた場合は雑所得として課税所得になるが、自民党内での財務委員会で聞き取りを行いガバナンスが効いているため、不正はない」と主張する鈴木議員に、「ガバナンスが利いていないから裏金問題が生じた」と苦言を呈しました。吉田議員から立憲民主党の共同案の中身について説明を求められた落合議員は、立憲民主党が2年前に政策活動費を廃止し、この間支障がなかったとして、共同案では、「政策活動費を廃止」「政党から個人に対しての寄附を禁止」「渡しきりによる経費の支出を禁止」を明記。仮に政党から預かった資金を使った先から領収書を徴取し、政党がその使途を収支報告に記載する仕組みと説明しました。

 また、吉田議員は、デジタル庁がありDX化を進めている政府が、国民にはe-Tax(イータックス)による確定申告、インボイス制度、マイナー保険証など、電子化で相当負担をかけている一方で、「国会議員の収支報告書は紙のものをPDF化してオンラインに上げるだけ。検索して閲覧することができないのでは、国民は納得しない」と指摘し、スピード感をもって改革するよう求めました。さらに、1人の政治家がいくつもの政治団体を設けているが、同一人物の政治団体であっても政治団体ごとの収支報告で紐づけされていないため、その政治家の収入や支出の全体の使途・実態が分かりづらいと指摘しました。吉田議員は収支報告の一元化を検討するように求めた上で、立憲民主党の共同案では、自民党案にはない「検索可能なデータベースの構築」「国会議員関係政治団体に係る収支報告書の一元的公表に係る規定」を盛り込んでいると、長友議員から説明がありました。

 収支報告書の監査内容について、吉田議員は、自民案では監査項目に収入が入っていないことを取り上げました。銀行等への預貯金の方法での保管を義務づける等、預貯金の残高で収入を確認すると述べた自民党議員に、「入ってくるお金の監査がないから、裏金問題が起きた」と指摘しました。立憲民主党の共同案では収入の残高だけではなく、残高に至る1つひとつの収入のプロセスを監査するとした収入のすべてを監査事項とすることを明記。さらに、国会議員関係団体だけでなく政党本部、政治資金団体、派閥などの政策研究団体等にも外部監査を義務付けるとした内容で、立憲民主党はこれまでにも政党による自主監査だけでなく、外部監査も自主的に受けており、それを法律で明記していると落合議員が説明した上で、吉田議員は、「自分たちに厳しくいくことが信頼回復の道だ」と述べました。

 最後に吉田議員は、「本来、この(政治改革等)議論は野党主導で行わなければいけない議論。私たちの野党全党の意見を汲んで、議論していくことを約束してほしい」と求め、質問を締めくくりました。