食料・農業・農村基本法改正案の成立にあたって(談話)
立憲民主党「次の内閣」ネクスト農林水産大臣 金子恵美
同 食料・農業・農村基本法検討WT座長(農林水産キャラバン隊長)田名部匡代
今国会の重要広範議案である食料・農業・農村基本法改正案が、本日、参議院本会議で成立しました。同法案の衆議院通過にあたって公表した談話でお示ししたとおり、今般の改正は同法制定以来25年ぶり、初めての改正となりますが、政府原案の内容は基本理念、基本的施策ともあいまいで不十分なものでした。そのため、立憲民主党は、衆議院において修正案を提出しましたが、政府・与党はこれを拒否し、我が党は政府原案に反対しました。
参議院における委員会審議では、立憲民主党は、よりよい改正となるよう、衆議院において提出した修正案を基本としつつ、項目の重点化を行うとともに、食料の供給能力について、その「維持」を「維持向上」に改め、障害者である農業者の活動の促進を追加することなどを盛り込んだ修正案を提出しました。修正案のとりまとめに際し、各党間の調整を行った結果、国民民主党・新緑風会との共同提案とすることができました。
しかしながら、政府・与党はこの修正案を拒否しました。こうした政府・与党に、現状に対する危機意識、施策推進に向けての熱意は感じられません。これでは、改正後の基本法に基づく具体的な施策の内容は、全く期待できないものとなります。
そのため、立憲民主党は責任ある政党として、衆議院と同様、参議院においても、政府原案には反対の立場をとらざるを得ませんでした。
立憲民主党は、次善の策として、附帯決議案のとりまとめに向け、与野党の調整を進めました。その結果、完全とは言えないまでも、参議院において立憲民主党が提出した修正案の考え方を附帯決議に反映させることができました。
参議院における委員会審議において、農業者や農地面積の減少という生産基盤の弱体化に立ち至った理由についての我が党議員の質疑に、坂本農林水産大臣は、農業生産基盤が弱体化したとは思っていないとして、当該質疑を決めつけであるとの答弁をしました。この耳を疑う答弁は、その後、坂本農林水産大臣自身によって撤回され、謝罪もありました。しかし、法律案提出の背景というべき現状を否定するという認識が示されたことは、今後の農政展開に大きな禍根を残すものというべきであります。
また、生産費を考慮した食料の価格形成の仕組みについて、農林水産省は、必ずしも再生産できるかどうかというところは保証するものではないと答弁しました。これは、政府が検討を進めている合理的な価格形成のための仕組みの法制化の限界を自ら認めるとともに、図らずも、立憲民主党がかねてより主張している農業者戸別所得補償制度をバージョンアップした新たな直接支払制度の必要性・有効性を宣言したに等しいものです。
立憲民主党は、基本法改正案の国会審議を基礎として、政府・与党による農政の動向を厳しく監視するとともに、今後とも、農家・農村にしっかりと寄り添い、生産現場の皆さんとともに、よりよい農政を構築していきます。
以上