衆院政治倫理審査会は12月17日、自民党の裏金問題について山岸一生、米山隆一、谷田川元各議員が質疑を行いました。
■稲田議員に対する山岸一生議員の質疑
山岸議員は、稲田議員は派閥からの還付金に加えて、事務所での中抜きという合わせ技になっていると指摘。これに対して稲田議員は、2022年に預かり金口座に中抜きとされる20万円があったことについては、パーティーの販売担当者が代わり、新任は預かり金口座の存在を知らず、使用せずにパーティー券の販売していたにもかかわらず、かつて案内していた口座に振り込まれたため知らなかったと説明。「会計責任者、会計実務者、販売担当者がそれぞれ違っていた。販売は2021年と2022年で担当が代わり、統一が取れていなかった。政治資金の取扱いについて緊張感をもって取り組んでいきたい」などと述べました。
山岸議員は、「秘書が秘書が、では通らない」と述べ、2022年5月に当時の安倍会長から還付金をやめるという話を聞いたあとも受け取り続けていた理由を尋ねました。稲田議員は「還付が違法だとは思っていなかったから。(安倍会長から)還付が違法だからやめるとは聞いていない」と主張。その後問題が発覚し違法であると分かったことから、安倍元総理がやめようとしたものがなぜ復活したのか、真実の解明が必要だと思ったと述べました。
山岸議員は最後に、稲田議員が毎年「道義大国を目指す会」を開催していることに触れ、「裏金は道義にかなったものではないし、本日の説明も道義にかなっていない」と断じ、質問を締めくくりました。
■加藤議員に対する山岸一生議員の質疑
山岸議員は、加藤議員が今年1月に国土交通大臣政務官などを辞職した際の「当時の安倍会長から(パーティー券の販売)ノルマを超えた分について派閥からの還付を停止する旨の指示があったこともあり、還付があることを認識しておりませんでした」との発言に言及。具体的にどのような指示があったのかとただしたところ、「初当選の翌年、令和4年(2022年)の2月か3月の派閥の総会で『チケットノルマ分だけ売ればいい』ということを言われたように思う。このことを言った」「安倍会長からではなく事務局長か事務総長からあった」などと答弁。山岸議員は、「事実関係を明らかにするのが政倫審。発言が二転三転している」と指摘しました。
また、今年3月の政倫審で自民党の西村議員は、安倍元総理から2022年4月、「現金での還付を行っているのをやめると言われた」と説明。それを受け幹部が手分けをして若手議員に連絡したと発言していることから、この点を確認しましたが、加藤議員は「私には連絡なかった」と答弁。この点も食い違うことから、さらに調査しなければいけないと述べました。
■小森議員に対する米山隆一議員の質疑
米山議員は小森議員に対し、派閥からの環流金の受け取りの経緯、そのことを議員本人が知っていたのか等を問いただしました。小森議員は、「秘書から事前の相談は無かった。派閥からの環流金を秘書が受け取ったことを数日後に聞いた。受け取った現金70万円の処置についての指示はしなかった。1年後に気が付けば不記載になっていた」などと答弁し、自身は知らなかったと答えました。
米山議員は、「小森議員の説明は率直に言ってあまりに不自然。小森議員が知らなかったということであれば、裁判中の松本氏の、『所属議員には伝達した』という証言は嘘ということになるのか?」と厳しく指摘しました。
■佐々木議員に対する谷田川元議員の質疑
谷田川議員は、「誠心誠意、嘘をついている」と佐々木議員の答弁の様子を表現し、これまでに政党支部と政治団体で集めた金額を問いました。佐々木議員は「具体的な数字が正確なのかどうか答えられないのが実際」と答えました。
西村議員から金銭を受け取ったことについても、佐々木議員は「どういうやりとりがあったかは覚えがない」「何の時に資金を頂いたのか、正直答えられない」と答えるだけでした。佐々木議員は、還付金の再開に関わることも「記憶はない」、谷田川議員に「いつ還付金を受領したか記載がない」と確認を求められると、「確認をする」と開き直りともとれる答弁に終始しました。