衆院予算委員会で5月12日、集中審議(内外の諸課題)が行われ、立憲民主党から長妻昭、大西健介両議員が質疑に立ちました。
■長妻昭議員
(1)石破総理の献金疑惑に関連して、長妻議員は、元政治団体代表の発言として週刊誌に報道されている内容について確認しました。
石破総理は「政治資金パーティー券の販売を手伝ってもらった」と発言したことに対して、長妻議員は「パーティー券を20万円以上購入してもらった場合は斡旋者の名前を書かないといけないが、記入しているのか」と問いました。石破総理は「パーティー券の購入代金は石破事務所が直接受け取っている」と述べました。長妻議員は「斡旋の実態を問うている」と指摘しました。
また石破総理が元代表のビルを事務所として使っていたとの報道に関連して、長妻議員は使用料の支払い等について質問しました。石破総理は「一時的な作業場として厚意により短時間使った」「使用料は払っていない」と説明しました。長妻議員は「使用料を払っていないとしても便宜供与として報告書に記載すべき」と指摘しました。
長妻議員が、元代表が自民党の政調会長室を訪問したことがあるのか確認したところ、石破総理は「『記録にはございません』とは言いませんが、私には記憶にない」と答えました。

(2)今国会の重要広範議案である年金改革法案について、長妻議員は「政府は今月の中旬に提出すると言っていたが、3月の提出を延期、4月も延期、5月も延期とずるずる伸びている。明日の自民党の総務会で決めて、今週中に出さないと時間切れになってしまう。今週中に国会に提出できるか」確認しました。
石破総理は「党内の手続中だが、明日、党内手続きを経て国会に提出できるよう進めていきたい」と明言しませんでした。
長妻議員は「年金改革法案の最大のポイントは、年金の目減りをどうやって防ぐかだ」と指摘し「目減りの決定打が抜けている」と批判しました。
長妻議員は「直近5年間の賃金の増減を年代別に調べると、唯一減っているのが、50歳-54歳の就職氷河期。他の世代よりも伸びが低い。これでは年金も低くなってしまう」「年金額の目減りを減らさないと生活保護が増える。多くの研究者が2050年には生活保護受給者の倍増すると指摘している。財政負担も倍増する」と述べ、石破総理の認識を問いました。石破総理は「想定しうる」と答えました。長妻議員は参院立憲民主党就職氷河期対策委員会のとりまとめを紹介し、「我々としては、老後については年金改革をしないといけないと強い思いを持っている」と意気込みを語りました。
(3)自民党の西田議員のひめゆりの塔をめぐる発言について長妻議員は「謝罪をしたということだが、謝罪になっていない」と批判しました。石破総理は「発言については、認識を異にしている」と述べました。
大西健介議員は、(1)日米関税協議(2)ガソリン税(旧暫定税率)廃止(3)消費税減税等物価高対策――等について取り上げ、政府の見解をただしました。
日米関税協議をめぐっては、交渉における対象に両国でずれがあるのではないかと述べ、「相互関税の上乗せ部分のみ先行して暫定合意を求めてきた場合、自動車関税抜きの関税は断固拒否することでいいか」と確認。石破総理は、日本の方針として「そのようなことは飲めない」と明言しました。その上で、「赤澤大臣が協議で大豆・ともろこしの輸入拡大を提言した」「政府がミニマムアクセスの枠内でアメリカ産の米の輸入を拡大する案を検討している」との報道があることに、「相互関税の上乗せ部分のみのために農業で譲歩を迫られるようなことはないか」と政府の見解を尋ねました。石破総理は「自動車のために米や農業を犠牲にする考えは毛頭持っていない」と答えましたが、大西議員は、日米貿易協定の時に自動車の追加関税を回避するために米国産の牛肉や豚肉の関税引き下げで合意したにもかかわらず結果的に追加関税をかけられているとして、同様なことが起こらないようにしなければいけないとくぎを刺しました。
非関税措置の見直しをめぐり、トランプ米大統領が自身のSNSで関税以外の貿易上の不正行為非関税障壁の具体例として挙げている「保護的な技術企画ボーリングの球を使った日本のテスト」については、事実がないと問題視。アメリカ車が売れないのは、日本の市場ニーズに合っていないからだと述べました。

また、米英の通商協議の合意を受け、政府は速やかに情報収集をし、日本の交渉に活かせるところがあれば活かしてほしいと要請。英国はCPTPP加入していることから、赤澤大臣は16日に韓国で開催予定の閣僚会合に出席し、情報収集するとともに加盟国の連携、結束を呼び掛ける絶好の機会だとした上で、派遣しない理由を問いましたが、石破総理はCPTPP加盟国の連携、結束をわが国の意思として伝わるよう努力していくと述べるにとどまりました。
ガソリン税については、「自動車産業への支援、家計への支援という意味でも今こそガソリン税を下げるべき」だと主張。立憲民主党は、旧暫定税率の廃止をし、7月から25.1円ガソリン税を減税する議員立法をすでに国会に提出していることから、石破総理に賛同を求めるとともに、「野党がまとまれば衆院で可決することができる。他の野党も党利党略を抜きにして国民のためにご協力を」と呼びかけました。
食品価格の高騰により家計が圧迫されるなか「経済対策として消費税減税を本当に検討しないのか」と質問。「一番困窮している方々に手厚い措置ができるかを念頭に置きながらあらゆる可能性を議論はしている」などと答える石破総理に、大西議員は参院選挙では裏金金権政治の是非や、消費税減税の是非を国民に判断してもらうと述べました。