立憲民主党は6月16日、議員立法「児童扶養手当『所得制限の壁』引上げ法案」(正式名称:児童扶養手当法の一部を改正する等の法律案)を衆院に提出しました。

 本法案は、働き控えを招く児童扶養手当の支給に係る「所得制限の壁」を引き上げる(一部支給:現行385万円→590万円、全部支給:現行190万円→385万円まで引き上げることを想定)ことで、受給者の就労を促進し経済的な自立を促すとともに、児童扶養手当について、全部支給世帯か一部支給世帯かを問わず一律に、子ども1人当たり月額1万円を増額し、困窮子育て家庭に対する経済的支援の底上げを図るものです。

 低所得のひとり親家庭にとって最も切実な「壁」となっているものの1つに「所得制限の壁」があります。ひとり親家庭(2人世帯の場合)は、年収が385万円を超えると、児童扶養手当を受給できなくなるだけでなく、医療費の助成をはじめとする低所得のひとり親家庭を対象としたサービスを受けられなくなるため、受給者に就労の抑制をもたらしています。近年では物価高騰も続き、経済的にさらに困難な状況に置かれています。立憲民主党は、ひとり親家庭を支援する団体や当事者とのヒアリングを重ね、法案提出に至りました。

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 法案提出後の記者会見で、筆頭提出者である大西健介衆院議員(子ども・若者応援本部長)は、「今国会ではいわゆる『年収の壁』が大きなテーマの1つになった。児童扶養手当の壁があることで、就労制限が生じている。一生懸命働いても、児童扶養手当が打ち切られてしまうという状況だ」と指摘し、「1回限りの給付金では不十分で、恒久的な支援が必要だ。子どもの貧困対策推進議員連盟で政府に要請もしており、われわれとしても精一杯取り組んでいく」と決意を述べました。

 また、同席した高木真理参院議員(ネクスト子ども政策担当大臣)は、「昨年末に要請に行った時、総理から検討していく旨の回答を得たものの、予算に盛り込まれず制度化されていない。児童扶養手当はさまざまな制度に繋がる“パスポート”のような存在だ。各党協力して超党派での成立を目指したい」と強調しました。

 記者会見には、末冨芳さん(公益財団法人あすのば理事、日本大学教授)、小森雅子さん(特定非営利活動法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事)、渡辺由美子さん(NPO法人キッズドア・理事⻑)も同席し、本法案の成立に期待を寄せました。

 法案提出者は、大西健介(筆頭提出者)、山井和則、柚木道義、坂本祐之輔、早稲田ゆき、森田俊和、中谷一馬、池田真紀、堤かなめ、神津たけし、酒井なつみ、阿部祐美子、橋本慧悟各衆院議員です。なお、法案提出には高木真理、奥村政佳各参院議員も同席しました。

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(法案資料)児童扶養手当「所得制限の壁」引上げ法案.pdf

(説明ペーパー)児童扶養手当「所得制限の壁」引上げ法案.pdf