立憲民主党など野党は9月26日、旧統一教会問題に関する国対ヒアリングを実施。宗教法人法の解散命令請求の可能性について前川喜平元文部科学事務次官から話を聞きました。統一教会電話相談の現状、被害者の実態把握、霊感商法等の悪質商法への対策検討会、9月22日に発表された旧統一教会の改革の方向性については、消費者庁、警察庁、厚生労働省(児童虐待担当者)、法務省、文部科学省からそれぞれ話を聞きました。
冒頭、党旧統一教会被害対策本部の本部長を務める西村智奈美代表代行は、「旧統一教会に対する解散命令請求については、私はやるべきだし、できると考えている。私たちが目指しているのはとにかく、多大な影響を被っているご家族の皆さんも含む被害者の救済だ」とあいさつ。相談窓口の対応等についても、一人でも多くの方が救済されるように政府の皆さんには取り組みをお願いしたいと呼びかけました。
1997年の夏から98年の夏までの1年間、宗教法人を所管する文化庁の宗務課長を務めていた前川元文部科学事務次官は、当時はオウム真理教事件のあった2年後、宗教法人法の改正が行われた翌年だったと振り返りました。統一教会の解散命令請求の可能性については課の中で議論はあったものの、十分な根拠が得られる段階ではないと考えていたと述べました。「統一教会をめぐる訴訟等の動きを見ているが、解散命令の請求にあたるところまで至っているとは判断していない」と、国会で答弁(1998年4月衆院法務委員会)したことにも触れ、「気持ちとしては請求したいが、まだ十分な根拠がないとの認識だった。宗教法人法81条1項1号2号、当時は反社会的な行為をしたことを理由に解散命令請求した例がオウム真理教しかなかった。オウム真理教というのはまれに見る凶悪事件で、役人はどうしても前例に照らして考えるので、前例に照らすと、オウムと同じようなものだという判断まではできなかった。ではどこまでだったらできるかという結論がまだ出ていなかった」と説明。しかしながら、その後宗教法人が霊感商法、霊視商法が詐欺罪として立件されることによって解散命令に至る例が出てきた(「明覚寺」「法の華」)こと、統一教会に関する民事事件(28件)、刑事事件(11件)が積み上っていること、の2点を当時との変更点として挙げ、「(解散命令請求)できるし、すべき。すべきというより、10年前には材料が揃っており、本来であればその頃までに請求すべきだったと考える」と発言。オウム真理教に対しても、判決が確定する前どころか起訴する前に、解散命令請求をしていたとして、旧統一教会に対しても現段階での解散命令請求ができるとの考えを重ねて示しました。
前川元文科事務次官は、文科省が解散命令請求を行おうとしないことについて、「政治家に対する忖度と言うより、政治の力で『やれ』と言われていないから。『100%(解散命令が)出る』とは言えないが、勝算はある」などと発言。「今の政治状況では、解散命令請求に踏み切ることが岸田政権にとっても自民党にとってもよろしい判断なのではないか。反社会的な組織だと思うのであれば当然の成り行きではないか」との認識を述べました。
消費者庁が把握している統一教会関連団体による被害実態や被害件数の公表を求めていましたが、消費者庁は「個別の事業者・団体に係る消費生活相談の件数等については答えを差し控えさせていただきたい」と、これを拒否。統一教会電話相談の電話件数については、件数と簡単な相談内容の内訳を尋ねていましたが、法務省は、9月5日から同月21日までの間において受け付けた相談件数の速報値が合計1854件だったと回答、傾向としては金銭的なトラブルに関するものが多いとし、詳細については分析中だと述べるにとどまりました。