枝野幸男代表は16日、菅政権の発足から1カ月経ったことを受け、国会内で記者団からの取材に応じました。枝野代表は、(1)1カ月経っても所信表明をしていないことは総理にとっても国民にとっても望ましいことではないため、早く所信表明質疑をしてほしい(2)断片的に政策が示されているが、どのような社会、日本を目指すか全体像を示されていない(3)学術会議の問題を見ても安倍政権以上に上から目線の政権になっている――ことを指摘し、早くに所信表明演説をおこなって議論することを求めました。

 今後、立憲民主党がどのように政策に力を入れていくかを質問されると、枝野代表は、医療、介護、子育て、教育に代表される「人が生きていくうえで必要なベーシックサービス」を急いで提示すべきと話しました。そのような支え合いを政治が提供すべきであり、支え合いが経済の安定的な成長に資することを打ち出していきたいと考えを示しました。政策を示すスピード感については、「合流した仲間はこの間も共闘して議論を積み重ねてきていて、パーツはかなり出そろっている。選挙の時に政権の選択肢として自信をもって示していければいい」と力を込めました。

 発信力強化の方法を問われると、「それぞれがそれぞれの選挙区で朝駅前に立つなり、地域の事情に応じて街頭活動やミニ集会するのが最大の発信力だ」と述べました。

 同日午後、菅総理が日本学術会議の梶田会長と会談すると報道されていることについて、期待していることを問われると、「なぜ任命しなかったのかという説明は当然必要だ」と述べ、学術会議の推薦候補を任命しなかったことは違法状態であると指摘し、推薦を拒否された6人を任命しないと違法状態が解消されないと説明しました。

 立憲民主党の結党から1カ月が経ったことについての受け止めは、「1カ月前の想定の3倍くらい順調にさまざまなことが整理されている」と述べました。そのうえで、「もちろん課題もたくさんある」とし、「強引に結論を出すより一定のプロセスを踏み、できるだけ納得感を持ちながら解決するのが重要だ」と丁寧に課題を解決していく姿勢を示しました。

 政府・自民党と将来の社会像をどのように論戦していくのかという質問に対しては、中曽根内閣以降の自民党について「新自由主義的方向性でアクセルを踏んできたのは否定できない」と説明。これに対し、医療、介護、教育等のベーシックサービスを中心に支え合いを強化し、こうした支え合いを政府が支えなければ「少子高齢社会のもとでは一定の経済成長を遂げた成熟経済は成り立っていかない」と強調しました。こうした大きな理念を「国民の皆さんに選択してほしい」と述べました。