枝野幸男代表記者会見

2021年1月5日(火)14時00分~14時28分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/pYugdrz1HrE


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○新年に当たって

【代表】
 改めまして、旧年中は大変お世話になりました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
 年頭会見ですので、本来であれば心新たに新しい年の抱負などをお話ししたいところでありますが、ご承知のとおり、年末年始にかけてもCOVID-19新型感染症の拡大はとまりません。国民生活、そして医療の提供体制、「命と暮らしを守る」という観点から大変厳しい状況にあります。
 また、立憲民主党としても年末に大事な同志である羽田雄一郎参議院幹事長をCOVID-19で失いました。大変な悲しみであり衝撃であります。個人的にも、年齢も近いこともあって、羽田議員とは家族ぐるみでおつき合いをさせていただきました。羽田さんの急逝は公私にわたって本当に痛恨の極みであります。
 残念ながら新年をこうした厳しい、つらい環境で迎えることになりましたが、政治が立ちどまることは許されません。何よりもCOVID-19新型感染症の拡大を抑え国民生活の安定を図ることは政治の最大の、そして喫緊の課題であります。まずはこれに最優先で、全力で取り組んでまいりたいと思っております。

○新型コロナ感染拡大 「緊急事態宣言」「特措法改正」について

【代表】
 総理はようやく首都圏1都3県を対象に「緊急事態宣言」を発令するという方針に踏み切りました。あわせて、新型インフルエンザ等対策特別措置法(改正案)の通常国会提出も表明しました。政府の遅きに失した対策が招いた感染拡大と言わざるを得ない、そうした意味では現状は人災と言わざるを得ませんが、それでも一歩前進をしたことは評価をしたいと思います。
 ただ、もちろんもろ手を挙げて賛成というわけにはいきません。中身が重要であります。「緊急事態宣言」は、あさってにも議運等が開かれてそこでまた質疑の場があると伝えられております。まずは菅内閣として初めて「緊急事態宣言」に踏み切るということでありますし、また、昨年の「緊急事態宣言」も最初の判断は総理ご自身にご説明をいただいた。そして私自身も質疑に立たせていただきました。当然、この新たに一旦解除した「緊急事態宣言」を出すという局面ですので、総理がご説明をしていただけるものと、そして国民の皆さんに少しでも安心感を持っていただくべく先頭に立っていただけるものと期待をいたしているところであります。
 内容的にも、飲食店等の営業時間の短縮要請をするのであれば、十分な損失補償とセットでなければなりません。
 また、1都3県に限定すると伝えられておりますが、医療崩壊の懸念のある、そして感染者の数も高どまりしている地域はほかにも少なくありません。実際、昨年の「緊急事態宣言」も、最初に発令をした地域から実はなし崩し的に段階を踏んで全国に広げざるを得なかったという経験を私たちはしています。一気に全国とは私は思いませんが、大阪を初めとして医療の状況が崩壊状況にある。きょうも大阪の方から情報が入ってきていますが、救急車を呼んでも病院が受け入れられないという、まさに医療崩壊の現状にあるという状況を伝えられているところであります。こうした地域も対象にするべきではないだろうか。
 そして、安心できる学業機会の確保。特に受験シーズンを迎えております。受験機会の保障、そして、そこに向けた受験生の安心。これに向けた誠実な、そしてスピーディーな対応を求めていきたいと思っています。
 最後に、生活困窮者に対する速やかな支援についての十分な配慮も必要であります。
 その上で、十分な国会への説明を求めてまいりたいと思っています。
 新型インフルエンザ等対策特別措置法改正については、私どもは既に12月2日、臨時国会で議員立法を国会提出しています。国会を延長して議論を進めるべきだと申し上げてきたところであり、これが18日に通常国会が召集、そのときにようやく政府案が出てくるというのは大変遅きに失したと言わざるを得ません。一刻も早い改正の実現、そして改正法に基づく実効ある対策の実施が欠かせないと考えております。既に提出している改正案がありますので、ぜひこれをベースに我々柔軟な修正協議に応じたいということは従来から申し上げてきたところであります。いずれにしても、与野党で大枠の合意をしっかりと進めていく、そして実質的な議論をしっかりと国民の前で進めておくことが必要だと思っています。対決法案にするのではなく、こうした提出がどうしても遅れるのであるならば、それに先立って実質的な議論の機会を十分に確保し、円満な形で進めていくことを強く求めていきたいと思っております。

○東日本大震災・原発事故から10年を迎えるに当たって

【代表】
 最後に、COVID-19から離れますが、年頭ということで、ことしは3月で東日本大震災から10年を迎えます。津波被災地を中心にハード面での復興はかなり進んでいると受けとめております。一方で、昨年10月の時点で避難生活を送っていらっしゃる方々がいまだ4万3000人いらっしゃいます。被災前の生活を取り戻したとは到底言えません。特に福島などの原発被災地では廃炉計画にも遅れが出ております。また、いわゆる汚染水処理に当たって、政府と地元とのコミュニケーションが不十分である、被災地の不安が軽減されていないという実態も明らかになっております。
 発災当時、官房長官という危機管理のかなめ役を務めていた。また、その後、経済産業大臣という原子力政策の担当をしてきたこと。私にとって東日本大震災からの復興と原発事故からの復興が個人として最大の政治テーマであるというふうにも思っております。今後も責任を持って取り組んでいきたいと思っております。特にこの10年の区切りというものが、ソフト面、あるいはここまで不十分であった面、特に原発事故からの復旧復興、こうしたものを加速させるきっかけにしなければならない。間違っても風化をさせる区切りになってはいけないという強い思いで臨んでまいりたいと思っております。
 ちょうど12年前の丑年、政権交代がありました。政権運営の経験不足や、あるいは政権から下野した以降の力不足など、さまざまな反省点をしっかりと踏まえ、現状の残念ながら右往左往している政府にかわって「機能する政府」をしっかりとつくっていく政権の選択肢となり、このCOVID-19新型感染症による国家的な危機から社会を守るということに向けて、ことしも一年全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。


■質疑

○新型コロナ感染拡大 「緊急事態宣言」「特措法改正」について

【NHK・佐久間記者】
 先ほど、きょうの東京の感染者数が出て、1200人余りと非常に多くなっている。このことへの受けとめと、新型インフル特措法改正案、政府は通常国会提出に向けているが、給付金と罰則がセットの改正案だと総理はおっしゃっている。この法案に立憲民主党として賛成するようになるにはどのような条件があるのか伺いたい。

【代表】
 1点目については、年末年始、特に年始で検査の数あるいはそれに基づく報告が実質的には減っているのではないかと予想されていた時期の数字も大変高かったことから、一種覚悟はしておりましたが、やはり衝撃的な数字だと思っております。既に何度か申し上げてきていますが、この状況に対しては相当強いブレーキを踏みませんと、新規感染者の数を急速に減少させ、そのことによって医療の崩壊状況を立て直すことはできないと思っています。さらに強いブレーキで感染拡大を大幅に減らしていくことを求めてまいりたいと思っています。
 特措法についてですが、とにかく補償を十分に行うこと、これが何よりも重要なポイントであると思っております。いずれにしても特別措置法に基づく「緊急事態」ということになれば、現行法であっても事実上の強制力は大変強いと思っております。それだけに、十分な補償がない状況では、倒産・廃業か、それともその要請に従わないかという、究極の苦しい選択をこれまでも関係事業者の皆さんには迫ってきたということになっています。これは本来許されることではない。補償はセットと。その補償の水準というものがやはり一番の争点だと思っています。

【「フランス10」・及川記者】
 今のご発言に関連して。党としては現在、どのくらいの規模で、どの範囲まで補償することが求められているかということが一点。
 もう一点が、飲食店全般に関して20時前の閉店を1都3県においては要請すると聞いているが、そうすると一番打撃を被るのは、いわゆるファーストフードで夜勤、22時から例えば朝5時、6時まで働く人たちの雇用がゼロになってしまうと思うが、こういった人たちの雇用をどのようにすべきとお考えか伺いたい。

【代表】
 1点目ですが、事業の継続が可能な補償をしなければならない。つまり、営業短縮とか営業停止の要請に応じることで事業を継続できなくなるというようなことを迫ることはあってはならないのではないか。したがって、事業の継続を可能にする、少なくとも最低限以上のものが補償されなければならない。なお、これについては、直接営業の短縮などを求められる事業者だけではなく、そこに対する納入業者なども含めて対象にしなければならないと思っています。
 後者については、雇用の点については現状でもあります休業補償などを十分に行えば、そこの手当は本来できるはずであると、これについての運用が十分でないことが問題だと思っています。むしろ、確かに何人もで会食をする、特に酒を伴う会食をすることが感染を広げている要因の一つであるということは間違いないとは思うのですが、例えば仕事が遅くまでかかった方が一人で外食をされるというようなケースは、医療とか介護とか交通とか「緊急事態宣言」下でも必要なエッセンシャルサービスに従事されている方はたくさんいらっしゃるわけで、そうした方の夕食などの機会を全部一律でとめるということが本当にいいのか。一人で外食をされるというケースについて感染拡大の要因になっているエビデンスはないのではないか。そうしたところはきめの細かい具体的な対応を求めていきたいと思っています。

○通常国会に向けて

【共同通信・玉井記者】
 通常国会の開会が18日に控えるが、年頭会見ということで、改めて野党としてどのように臨まれるかお聞きしたい。

【代表】
 一つは、短期的には、足元のCOVID-19新型感染症に対する対応については、従来申し上げてきておりますとおり、前例にとらわれることなく、とにかく一歩でも二歩でも前進をさせることに向けて最大限の努力をしていきたいと思っています。まずはこの当面の課題に全力で100%取り組むというのが今の国家的な危機の状況における責任だと思っています。
 その上で、これを一定程度抑制できる状況ができてこなければいけないと思っていますし、できてきた状況においては、やはりこれは単に足元の問題だけではなく、例えば医療や介護などを中心として、ベーシックサービス、エッセンシャルワークを非常に切り捨ててきた、これまでの20年から30年にわたる日本の政治と社会のあり方そのものが今問われている。それから、貧困・困窮の問題も、非正規雇用に大きくシフトしてきた、この雇用のあり方そのものが問われている。私たちはやはりここを変えていく。ベーシックサービスを充実させ、安定的な雇用を取り戻す。そのことで社会を、支え合う、分かち合うというところに変えていく。このことがないとこうした危機に非常にもろいという、社会の本質的な問題をしっかりと論戦していきたいと思っています。

【共同通信・玉井記者】
 代表おっしゃったようにコロナ対応が軸になっていくかとは思うが、この間、相次いできた政治と金の問題についての野党の追及責任もあるかと思うが、その点についてはいかがか。

【代表】
 まずは、今の日本はまだ「緊急事態」そのものだと思っています。全ては、医療が地域によっては崩壊しているという状況を改善させ、「緊急事態」からは脱する。新型コロナウイルス感染症そのものとは当面向き合っていかなければならないと思っていますが、少なくとも今はこの「緊急事態」から脱出すること、それに徹底するべきだと思っています。

○つながる本部の取り組みについて

【共同通信・玉井記者】
 つながる本部の活動について伺いたい。都道府県連ごとに本部長を選任して地域での活動を展開する方針かと思うが、改めてこの活動の意義と、この一年どのようにつながる本部活動を展開していきたいか、抱負も含めて伺いたい。

【代表】
 現状でもいろいろな形で現場の声を、地方組織、そこを中心となって担っている自治体議員の皆さんが、このCOVID-19が問題になって以降も、例えば介護施設であるとか障がい者施設であるとか、あるいは看護師さんの現状であるとか、あるいは学生さんの状況であるとか、本当にいろいろな現場の皆さんとつながっていただいて、それを届けていただくことが我々の政策や国会論戦に大きな大きな力になってきています。こうした実態は従来からも自治体議員の皆さんを中心に存在しているわけですが、それをより組織的にしっかりと本部・国会議員のほうが受けとめられるような形をつくっていくことでさらに現場の声を受けとめるという役割を自治体議員の皆さんが効果的に果たしていけるという、こういう相乗効果をつくっていきたい。まずは、実は組織的にやっていくということよりも、当面は、とにかく今、国政に届いていない現場の声が山ほど自治体議員の皆さん中心に届いていると思っていますので、そこをしっかりと受けとめていかなければならないと思っています。

○中央省庁再編について

【北海道新聞・文記者】
 省庁再編についてお聞きしたい。あす6日で省庁再編から20年を迎える。省庁再編では厚労省も誕生し、菅首相は厚労省再編も主張しているわけだが、コロナ対応などを踏まえてどのような成果や課題が出てきているとお考えか。もう一点、内閣府の発足もあった。内閣府の発足で官邸主導が強化されたと政府は説明しているが、忖度(そんたく)なども指摘されている中で、どのような課題があると考えているかお聞きしたい。

【代表】
 まず冒頭申し上げておきたいのは、省庁の再編というのは「仕事をやっている」感を示す上では非常にいいテーマではあるのですが、政治的に非常に大きなエネルギーを要するし、行政的にも非常なエネルギーがとられるテーマであると思っています。したがって、あるべき論というのは幾らでも申し上げられますが、特に今、COVID-19新型感染症による国家的な危機という状況のもとで喫緊の課題ではないということは前提として申し上げておかなければならないと思っています。
 その上で、従来から言われてきましたし私も感じてまいりましたが、やはり厚生労働省は特に役割が大きくなっている中で、所掌範囲が大き過ぎて、例えば一人の大臣が全体を本当に見切れているのかということについては、政権をお預かりしているときから大変疑問に感じてきたところであります。
 また、内閣府も、担当大臣、特命大臣も経験させていただきました。プラス面もある一方で、本来の期待された役割を果たし切れていない。つまり各省を内閣府が調整してという実態になっていない部分が非常に多いというのは否定できないと思っています。  さらに申し上げれば、例えば経済企画庁という非常に大きな役割を果たしてきた大事な役所が、その再編の中で役所としてなくなりました。相応する部署はあるのですが、独立の省庁でなくなったことによって、従来のような存在感を示し切れていない、役割を果たし切れていないというところもあります。
 したがって、一長一短、よかった部分と悪かった部分と両面あるのかなと思っています。
 繰り返しますが、ただ、今の状況では、こうしたあるべき論を頭に入れながら、(新型)コロナを初めとする喫緊の課題、優先すべき課題がたくさんありますので、この問題に今は力を注ぐべきタイミングではないと思っています。

○次期衆院選について(1)

【読売新聞・田村記者】
 ことしの秋までには衆議院の解散・総選挙が行われる。現時点で、どのような態勢で臨みたいかとか、現時点で代表が考えていらっしゃる目標、抱負ということも含め衆院選にどう臨まれるかお聞きしたいのと、春先には二つの補選もある。この補選にもどのように臨まれるか。特に北海道2区では共産党と候補者の一本化に向けて現状話し合いがどうなっているかも含めて伺いたい。

【読売新聞・田村記者】
 従来から申し上げているとおりです。今、その問題についてコメントする時期ではないと思っています。

【読売新聞・田村記者】
 あわせて、きのう共産党の志位委員長がぶら下がり取材の中で、昨年志位さんが発表された五つの政策提案を立憲サイドにはもう伝えたという旨の発言をされていた。現状、その共産党の提案をどう評価されているかと、今後政策協議などをどのように進められるお考えか。

【代表】
 これも昨年来申し上げているとおりです。現状それについてコメントするべき社会状況ではないと思っています。

【読売新聞・田村記者】
 まずは新型コロナ最優先。

【代表】
 はい。

○党代表在任日数について

【西日本新聞・川口記者】
 今月7日に枝野代表は野党第1党として民主党系としては連続在任日数が最長となるが、その受けとめをお願いしたい。

【代表】
 すみません、特にありません。

○新型コロナ 特措法改正について(2)

【西日本新聞・川口記者】
 昨年末に社民党のお二人も加わり150人を超える規模となったが、例えば新型コロナの特措法でいえば、旧国民民主党は罰則つきの法案を考えていたり、党内には罰則に大変慎重な考えの議員さんもいらっしゃると思うが、そうした意見の違う150人規模の議員たちを今後どのようにまとめていくか。今後、特措法の改正、政府案によっては党内で改めて協議する必要も出てくると思うが、これにはどのように意見集約に臨みたいとお考えか。

【代表】
 きのうの特措法に対する私のぶら下がり会見に対する報道ぶりをどう受けとめられるのかというのも、反対から慎重から前向きまで分かれています。そういうものです。

【西日本新聞・川口記者】
 それをどう舵取りをしていきたいか。

【代表】
 そもそも前提となっている認識自体、いろいろな、同じ発言に対していろいろな受けとめ方がありますよねと。そういうことです。

【西日本新聞・川口記者】
 いろいろな意見があると思うが、それを代表として。

【代表】
 いろいろな意見があるかどうか自体ではなくて、同じ発言に対してもいろいろな受けとめがある。そういう性質のものです。あるいは、そういう段階のものです。

【西日本新聞・川口記者】
 つまり見え方、段階の問題であって、実際に150人規模の議員の意見は同じだとお考えだということか。

【代表】
 完全で同じであるかどうかも含めて、今、そういうことを申し上げる段階ではないと思います。少なくとも我が党として一致をして、今、国会に出している法案については合意をして提出している。これは客観的事実です。そして一方で、これについてどう考えるのかということについては、それは同じ発言であっても受けとめる立場によって賛成と受けとめたり反対と受けとめたりするぐらい微妙な問題ですし、あらゆる法律についての態度とはそういうものです。したがって、今それについて、ご質問そのものに対してはお答えできる状況ではありません。

○衆院選(2) 候補者擁立・調整について

【新潟日報・鈴木記者】
 衆院選の関連だが、現在、競合区が新潟6区だけになっているが、その現状に関しての認識をまず伺いたいのと、地元からは早く決めてほしいという声が強く上がっているわけだが、競合区の解消に向けてどういうふうに進めていくべきだとお考えか伺いたい。

【代表】
 けさも平野選対委員長・代表代行と話をしましたが、早急に結論を出すと。私のほうからも、昨年12月の半ば以降、できれば年内に結論を出してくれと。年内にならなかったけれども早急に結論を出すという報告を受けています。