参院予算委員会で27日、2020年度第3次補正予算案の審議が行われ、「立憲民主・社民」の3番手として質問に立った白眞勲議員は、(1)第3次補正予算(2)日本銀行の上場投資信託(ETF)の買い入れ(3)防衛省関連予算(4)戦没者のご遺骨DNA鑑定(5)辺野古新基地に陸上自衛隊を常駐させる報道についての事実関係(6)外交関連(バイデン米大統領との首脳会談・北朝鮮問題・日韓関係・核兵器禁止条約など)――について取り上げ、菅総理はじめ政府の見解をただしました。

 まず、総額19兆1761億円の第3次補正予算案については、このうち新型コロナウイルス感染拡大防止対策費が4.4兆円と約2割に過ぎないことをあらためて問題視。3月末までの執行にもかかわらずGoToイート関連予算515億円が計上されていること、緊急事態宣言発令のわずか1カ月前まで飲食を推奨しておきながら一転、飲食による感染リスク高いから控えてくれというのはあまりにも見通しが甘く、矛盾しているのではないかと政府の対応を批判。時間短縮要請に応じていない店舗の公表についても、消費者保護のための公表とは異なるとして、慎重にすべきではないかと述べました。

 本予算、今般の補正予算が過去最大になっていることには、「困窮している個人や企業、命を救うための予算は必要であり、そのための財政出動はすべきだが、日本の財政大丈夫かと心配する声があるのも事実だ」と指摘。麻生財務大臣は、感染拡大の影響で経済、企業の業績が低下しているなか当初予算63.5兆円については約8.4兆円減額補正したと述べ、「2021年度の税収についても57兆円を見込んでいるが、日本だけでなく国際的なものに影響するので、確定的なことは言えない」「コロナ対策で大量に国債を発行したが、金利の暴騰や、円の暴落なくやれているのは、これまでの日本に対するマーケットの評価が高いおかげ。いまの状況で財政収支をきちんとやっていくという姿勢は維持していくことが大事。2025年までにプライマリーバランスゼロという思いでやってきたが、今回のことで厳しくなったとは思っているが、目標は掲げ続けていきたい」などと答えました。

 日銀によるETFの購入のめぐっては、「金持ちや海外の投資家の結局金持ちの損失を引き受ける形になるのではないか」と提起。日銀の黒田総裁は、「リスク・プレミアム(※)に働きかけて企業や家計の前向きな経済活動を支援していくことが目的。株価にポジティブな影響はあったと思うが、あくまでも経済、物価を好転させるための全体の金融政策の一環として行っている。日銀の買い入れによって、株式市場がゆがむような形になっているとは考えていない」などと答えましたが、白議員は「お金持ち優遇であり、やめるべき」「1日の売買高の1割以上を日銀が持っていることが問題だと言っている」と迫りました。「やや粗い試算でいくと約12兆円から13兆円の含み益がある」という黒田総裁の答弁を受け、白議員は「国民1人あたり一律給付金10万円の予算が12.8兆円だ。これを売れば配れるのではないか」と主張しました。

※リスク資産の期待収益率と安全資産のリターンの差のこと

 白議員はまた、3次補正予算に自衛隊の飛行機や潜水艦などの防衛装備品の安定購入経費として2816億円が含まれていることに、本予算に入れるべきものを前倒しすることで少なく見せていると批判。北朝鮮や中国などの新型ミサイルを人工衛星で監視する最新技術の調査研究を委託するために競争入札をしたところ、三菱電機が22円で落札、防衛省と三菱が調査研究事業の契約を結んだことには、「これではコンビニでコピーもできない。おかしいと思わないのか。安ければいいという考えではなく、入札制度を見直すべきではないか」と迫り、22円の内訳を尋ねました。岸防衛大臣は「確かに安値ではあるが契約の履行に問題がないということで、契約した。従来から契約の積算の内訳は公表していない。控えさせていただく。22円について問題があるとは考えなかった」などと答弁、白議員は「納得いかない」と理事会での協議を求めました。

 陸上自衛隊と米海兵隊が、辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊を常駐させることで2015年、極秘に合意していたとの報道をめぐっては、「合意はあったのか」とこの事実関係を確認。再三にわたって問いただした結果、岸防衛大臣は「政府としてそういう合意はない」、報道されている施設の計画図の存在については、存在は認めた上で「合意したという事項ではない」と答えました。白議員は「現場の指揮官同士でさまざまな意見交換をするのは当然だが、制服組のみでこのような重要なことを決まってしまっては文民統制上きわめて問題だ」と述べました。

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