枝野幸男代表は12日夕、訪問先の札幌市で記者団の取材に応じました。

■衆院北海道2区の補欠選挙

Q)松木けんこうさんに野党として一本化したことについての受け止めは。
 本当に幅広い皆さんが、松木さんの選挙を通じて政治の流れを変えて行こうということで結集していただいていることを私の立場からも感謝したいと思っている。議員としての経験もあるし、とにかくバイタリティと行動力のある松木さんですので、幅広い皆さんの支援をしっかりと結果につなげてくれる、そういう選挙をしてくれると思っている。

Q)補欠選挙が総選挙の前哨戦という見方もあるが、この選挙はどのくらい重要だと認識しているか。
 前哨戦と言うよりも、正直言ってこの1年余り、感染症対策で政治が停滞してしまっている、立ち止まってしまっていると。この政治を動かして行く、その起点にしなくてはいけないという意味では、本当に多くの皆さんが感染症の影響で厳しい状況にある中で、この状況を転換する大きな、大きなきっかけにしていきたいと思う。

Q)新型コロナの感染者数が増えて来た中で、有権者にどのように訴えていくか。
 今日の集会も人数を本来の規模からすると、おそらく10分の1でやらせていただいたり、マスクは当然だが、私たちも東京から来るにあたって、従来からやっていることだがPCR検査をした上で来ていたりと。とにかくできるだけ感染対策に万全を期した中でできることをやって行くしかないと思っている。たとえば街宣車から、流しの中でどうアピールして行くのかとか、人が集まらない形でのいわゆる辻立ちとか、感染を広げるリスクなく出来ることは少なからずあるし、電話掛けなどを通して、できるだけ知恵を絞った中で最大限のことをやって行くしかないと思っている。

Q) 松木さんは野党統一候補となったが今回の補選をきっかけに野党共闘調整に向けて与える影響、総選挙にどう波及していくか。
 補欠選挙の方が総選挙は参議院の通常選挙より幅広い皆さんが連携して一本化を図っていくのはむしろ難しいという中で、松木さんに事実上すべての野党が応援をしていただくという構造をつくれたのは大きな前進だと思っている。もちろん、総選挙に向けてはいろいろと難しい問題も残ってはいるが、みんなで力を合わせれば結果をだせるんだということをこの北海道だけでなく、この3つの選挙で出していくことが本選挙に向けての勢いになっていくのではないかと思っている。

Q)今後選挙戦を進めていく中で、共産党との関係をどのように進め、どのように連携して行きたいか。
 どの選挙についても、どの政治勢力、どういう市民団体、その他さまざまな人たちと連携していく中ではケースバイケース、いろいろな状況があり得るということだ。

■新型コロナウイルス感染症への対応

Q)今日からまん延防止等重点措置が(3都府県で)適用になったが、その受け止めと、あわせてワクチンも高齢者への接種が始まった。変異種への対応について今日、総理が衆院決算行政監視委員会で変異種の検査数を増やしていきたいと述べているが、政府の変異種への対応についてどう思うか。
 とにかく国民の皆さん、とくに飲食や観光をはじめとして一部の業種の皆さんにお願いをする一方で、特に昨年の暮れ以降の感染の第3波、そしてそれを止め切らないうちに今、第4波という中で政府がやるべきことをやっていないと。ここまで緊急事態宣言の遅れを指摘してきたが、宣言を出しても政府が何もしない、前に進まないという状況では、やる意味がないのではないかと思っている。これは1年にわたって、検査の拡大ということに向けて本格的な動きをしてこなかったから。これは国会でも私は指摘をしてきたが、役所の縦割りで感染症研究所(感染研)を軸にして、民間とか大学とか、それ以外のところが持っている力を最大限に活用しようという意思がない。それが変異種の問題を含めて調査の遅れ、検査の遅れということになり、検査ができないから国民にお願いするばかりという悪循環を呼んでいると思っている。所管省庁がまたがる問題なので、これは厚生労働省の問題というよりも、これも一貫して申し上げている通り、総理官邸がリーダーシップを発揮していない、役所任せ、自治体任せ、専門家任せという当事者意識がない、危機管理能力の前提を欠いている状況の中では同じことの繰り返しだと確信を持たざるを得ない。
 ワクチンについても、何故かとにかくワクチン接種のスタートだけを前倒しをさせて進んでいるかのように、やったふりをしていると。今日はそれがニュースで、やったふりの象徴だと言わざるを得ない。これではまだテストケースをやっているということに過ぎず、まだ医療従事者でさえ接種が終わっていないところが沢山あるし、高齢者の皆さんだけでもいつ終わるのかまったく見えない状況でスタートをさせているというのは、やったふりから始まったからだと言わざるを得ない。

Q) 今日知事会が政府に変異種への対応を求めているが、枝野代表として政府への変異種への対応で求めることは。
 まず変異種が、まずイギリスだったと思うが、初めに出た時からさっさと水際を強化しろと、これをやって来なかったことが今に至っていると。従って、まず徹底した水際対策、国外から入って来た人はせめて10日程度は隔離して、3回程度のPCR検査をやると。まず、これを徹底しないと、どんどんどんどん入って来る。これでは国内対策をやっても仕方がない。まず、これが必要だと思っている。それから、感染研頼みではなく、大学や民間機関を使って、そして最先端の技術、試薬を使えばPCR検査一体で変異株を把握できるということを、今日国会でもわれわれ指摘をした。こんなことは1カ月以上前から、われわれの間では常識だが、いまだに政府はやろうとしていない。これはもう、政府のリーダーシップの欠如と思っている。

■聖火リレーとオリンピックの開催

Q)医療従事者でワクチン接種を終えたのが2割に過ぎない。共同の世論調査でも6割が接種の全体状況に不満を感じているという状況だ。その背景から、4割近くが五輪開催を中止すべきだと考えて、聖火リレーの中止を求める声が多数出ている。感染拡大が続く中、ワクチンの接種状況も踏まえて聖火リレーと五輪開催の是非についての考えは。
 まず、聖火リレーこそ自治体の判断に委ねるべきだと思っている。何でも自治体のせいにして、何でも自治体に押し付けているが、感染拡大を防ぐということは国力を挙げてやらなくてはいけないことだが、地域ごとに感染状況が違うのだから、それぞれの地域の判断で聖火リレーをやれないところ、ということはそれこそ任せるべきだ。一時、島根県で知事からやらない方がいいんじゃないかという声があったのに対して、国が圧力をかけていた。あれはやっていることがあべこべであって、病床の確保のようなことこそ国が直接にやらなければならない。聖火リレーについては自治体に任せるべきだと思う。
 オリンピックそのものの開催については、入国管理がちゃんと出来るのか、ワクチン接種がある中で医療従事者を本当に確保出来るのか、このことをずっと問いただしているが、政府から十分な説明は一切なされていない。まず政府として、本当に入国のところで水際対策で何をするのか。そして、たとえば選手村などでクラスターが出る可能性があるし、(選手らに)選手村以外に出るなということをやるのかやらないのか、場合によってはそのことによってさらに国内での感染を広げる可能性があるわけだ。それをワクチン接種とセットできるのか。そういったことについて、政府としてまず説得力ある説明をすべきだと思っている。

■福島第一原発ALPS処理水の海洋放出

Q)明日にも政府が東京電力福島第一原発の処理水について海洋放出を決定する方針だが、このことについての考えは。
 すでに申し上げているとおり、海洋放出そのものが良い、悪いという前に、福島の皆さんを中心として水産業関係の皆さんからは、この話が持ち上がったところから危惧する声、反対する声があげられてきた。私も福島の漁業関係者の皆さんから直接その声を伺った。説明もなしに、とにかく結論ありきで言われているんだと。そして、その後なんの説明もないまま、また結論ありきで進めている。本当に当事者の皆さんを無視した、被災者なき災害対応、事故対応だと思っている。こうしたプロセスで結論を出すということは許されることではないと強く感じている。

Q)いま、良い悪いの前にと仰ったが、是非自体についてはどうかんがえているか。
 まず政府が、ちゃんと説明しないとわれわれも判断のしようがない。ただ安全だ、安全だと言っているだけで具体的な説明は政府からないので判断しようがない。判断の材料が出ていないということは、反対せざるを得ないということだ。