枝野幸男代表は23日、訪問先の宮城県で記者団の取材に応じました。この日枝野代表は、岡本あき子衆院議員(宮城1区)、鎌田さゆり2区総支部長、大野そのこ3区総支部長らと県内各所で街頭演説をおこないました。また、重症心身障がい児入所施設の「仙台エコー医療療育センター」を視察しました。

 記者からの主な質問とその回答(要旨)は以下のとおりです。

Q:仙台来訪の受け止めを

 ここまでで3カ所、街頭演説をさせていただきました。お集まりいただいている方、そして周辺を歩かれている方も含めて、かなり総選挙モードというか、解散をした後のような、そういう感じは受けました。
 つまり、多くのみなさんが自民党総裁選挙が連日報道されてる中で、われわれ野党も含めて、つまり決勝戦まで含めて、政治を見ていただいていると。こういう状況だと改めて感じることができました。
 この後に行く、大野さん(宮城3区総支部長)も含めて、今日の3人には、本当に解散して選挙本番だという気持ちで、しっかりと活動量を増やしていけば、いわゆるメディアジャックに負けることなく戦っていけるのではないかと感じました。

 それから、鎌田さん(宮城3区総支部長)から、選挙が近いが、大事な現場だから是非見るようにと言われて、重度心身障がい児の皆さんの医療現場を見させていただきました。
 本当に大変厳しい状況の中、高齢者以上に感染した場合の命のリスクが高い中で、患者さん、お子さんたちには感染者を出さず、頑張ってきていただいていることに頭の下がる思いであります。
 急性期医療の進歩、これは良いことですが、命を取り留めて、長期にわたり重度心身障がいの状況の方も増えている。虐待などの影響もあり、こうした医療が必要な方々が増えているし、また保護者の方が高齢化しており、こうした療育(医療訓練教育福祉などで障がいを克服し、発達能力をできるだけ有効に育て、自立に向け育成すること)のできる施設は、非常にニーズが高まっているのですが、なかなか増えていかない。
 これは政治の大きな宿題をいただいたと思っていますので、鎌田さんには、(国政に)上がってきて、まずは自分が先頭に立って(やるように)という事を言いましたが、しっかり党としてもやっていきたいと思いました。

Q:街頭演説の中で、新型コロナウイルス対策について触れていたが、改めて宮城県の県民に訴えたいことは

 第6波というリバウンドの可能性がかなりある中で、根本的にリバウンドを起こさないレベルまでしっかりと水際対策や検査の拡大、そしてリバウンドに転じても、耐えられる医療体制の充実。これはまさにいまやらなければならないこと。これを誰がしっかりやれるのか見極めていただければと思っています。

Q:次の衆院選に出られる鎌田さんなどに期待すること

 岡本さんは1期生と言いながら、最初の3年間、会派組むまででも2年間、本当に中堅議員のような役割も担ってくれて、十分実績を積んできています。鎌田さんは、前回届かなかったことが不思議なぐらいパワフルに地元活動をやっていますし、すでに元職として国会での実績があります。
 2人とも国会に緊張感を取り戻すには不可欠な仲間であるし、2人とも、ここからの戦いで十分小選挙区で勝てると思っていますので、必ず勝ち抜いてきて欲しいと思っています。
 大野さんは新人で、決まってから時間がありませんが、かなり精力的に活動してくれていると報告を受けています。隣に女性の先輩、いい先輩が2人いますので、それを横で見ながら頑張ってくれていると思っています。この後、実際に本人の演説などがどれくらい力強くなっているか楽しみにしています。

Q:米価についてどうしていくのが良いと思うか

 まず足元の米価の急激な低落について、やはり過剰米を国家備蓄として一時的にしっかりと市場から隔離する。これは緊急対策として、やらざるを得ないし、やるべきだとわれわれは党として明確に方針を決め、すでに政府に対して申し入れをしています。
 これは早くしないと、いわゆる先渡し金、地域によって呼び方が違うようですが、これが低い水準で実際に動き出してしまっていますので、これで実際の米作り農家の皆さんの秋から冬にかけての消費動向、来年の作付け以降も、かなりそこで決まっていきますので、急いで余剰米を国家備蓄として確立する、その結論を出すべきだと強くさらに求めてまいります。

Q:東京電力福島第一原発の処理水について、政府は海洋放出を決定しましたが

 少なくとも、安全と安心が確認されなければいけない。風評被害を多くの皆さんが心配しているということは、安心でないということの証であると思っています。
 政府がこの方針を決めるプロセスの中で、関係者の皆さん、あるいは風評被害を防ぐための国民的な周知・広報・議論、そうしたものは間違いなくほとんどなされてこなかった。その結果、安心という状況にはまったくなっていない。したがって一度立ち止まって、もう一度本当に安全なのか、安全であるならば、それを本当に国民に理解をしていただき、風評などは生じない状況を作れるのか、もう一度ゼロベースで考えるべきだと思っています。

Q:菅総理が米国に出発。既に退陣が決まっている総理がこの時期に訪米をすることについて、改めて受け止めを

 この時期に行かれる以上は、辞められるのは決まっているわけですから、後任の人に迷惑をかけず、なおかつ税金を使って行くだけの意味のある成果を出していただけるのだろうなと思っております。

Q:来週、緊急事態宣言の取り扱いについて決定されます。どういった方向が望ましいか。また議院運営委員会の中での説明に、これまで菅総理があまり出席せず、本人からの説明がなかったですが、菅総理の出席については

 本当にご自身が責任者として決めてきたこと、最終的にどういう状況で引き継ぐことになるのか、最後はやはり出てこられるのは当然のことだ思っています。
 それから、緊急事態宣言を解除するのかしないのか、いろいろな意味で、そのものによるアナウンス効果が小さくなっています。むしろ、この感染が見かけ上減っている時に、リバウンドを防ぐ、あるいはリバウンドに備える、例えば医療体制の充実をさらに加速をする。
 われわれからすれば、水際を強化して、検査の体制を拡大する。こうしたことをしっかりやっているのか、それでリバウンドを防ぐ措置が十分であるのか、その説明が問われていると思っています。

Q:コロナ対策に関係し、行動緩和については、今のお話だと議論そのものが時期が早いという理解で良いか

 あまり抽象的な議論はすべきではない。昨日わが党の国土交通部会から、観光政策に関連して申し上げましたが、例えばお酒を出してはいけないというのが、1000人の宴会場でやる会も、4人ぐらいで家族で静かに食事をしながらというのと、全部一律にやっているということが、本当に正しいことなのかどうか。
 もっときめの細かい、感染のリスクの低いものはこれで、したがってこういうやり方までなら大丈夫だと、こうしたことをしっかりと出していくべきで、抽象的に一律に全体像の議論をすると、そのこと自体が間違ったメッセージなりかねないと心配してます。
 ただし本当にこれなら大丈夫だという部分を広げていかなければならない。広げるべきだとは思っています。

Q:演説で自民党総裁選の4人という言葉を使いコロナ対策を含め「4人にできますか」との問いかけが印象に残ったが、政策面でいろいろなことが出ていて、しかも支持も割れていて誰が総裁になっても大変だと思う。自民党総裁選で訴えている政策の実現性という意味ではどうでしょうか

 そもそも党内の選挙で政策を競い合っていること自体が、政党として成り立っていないのではないかと。基本的には大きな方向性が一緒だから同じ党であるはずなので、党内の党首選挙で、政策を競い合うというのは、こちら側でもよくそういう話がありますけれども、従来からちょっと意味が分からない。
 したがって、いま議論されていることは、ほとんど意味がなく、どなたが総裁になるにしろ、自民党としてどういう公約を出されるのか、その時初めてわれわれとの比較になるのだと思っています。
 「まさにいまその準備の調整をしているんでしょ」と、こういう位置づけなので、あまり重く受け止めてはいません。

Q:枝野政権になり、立憲民主党が政権をとり自民党から変わると、どうして立憲ならできるのか、自民党となぜ、どこか違うのか、有権者からすると気になると思うが

 そういう疑問に端的にお答えするという意味で、内閣さえ作れば閣議決定ですぐに結果を出せることを一番最初に示させていただきました。実はその後も、「これはできるよね」ということが実はどんどん追加されているのですが、私のノートには。こういうことは明確にあるし、そのことを示していく。
 合流してからも1年間積み重ね、党はこれで行くんだということを、政務調査会では5月6月ぐらいに固め、いま整理して皆さんにお伝えしています。
 そういう意味では、党内の意見、多様な意見の1つではなく、私の意見ではなく、党をあげて、その多くは、国民民主党とは連合との政策協定を通じて、他の野党の皆さんと市民連合との共通政策を通じて、まさに一致している。だから党内の調整や現在の野党内の調整などを要しない事を皆さんに訴えている。だからできます。

Q:街頭演説でも訴えた水際対策の関係で、入国者が国の施設で待機する日数が、10日間から3日間になり、3日間についてもワクチンの接種が証明できれば免除される方向で、かなり緩和が進められています。この現状をどのように見ているか

 まず、残念ながらワクチンを接種された方でも感染をしているし、そして症状が出てない方でも人にうつすという状況です。
 特に変異株を絶対に国内にこれ以上入れないという観点からは、ワクチンを2回接種しているからといって緩和をするのはまったくナンセンスだと思っていますし、演説でも言いましたが、そもそも3日間の制約をかける対象も特定感染地域に限られている。変異株はどこから出てくるかわからないから恐ろしいわけですから、まったくナンセンスだと。われわれは10日間、国の責任でしっかりとホテルで隔離・保護をさせていただくと。これをやらない限り、海外からの変異株の流入は止められない。これは何度も結果が出ていると思っています。

Q:感染の拡大があるなしにかかわらず、どの国・地域から来ても、ということか

 それは、たまたま出ていないかもしれない。変異株で感染が広がっていると分かったときには、その国で変異株に感染して日本に来てる人はもういる。過去もそうだったのではないでしょうか。
 ですから、その地域で変異株の感染が広がってると分かってからでは遅いんです。
 それは入国のところで一定、そこはこらえていただくということで、経済を考えても。もちろんその場合には、インバウンドに対する支援が必要ですが、国内での感染を大幅に減らす方が飲食や観光含めて経済も回っていく。これで回った経済で、インバウンド関係はしっかり支援する。この方が、いまは現実的だと思っています。