枝野幸男代表記者会見(#政権取ってこれをやるVol.7)

2021年10月1日(金)13時00分~13時38分
発行/立憲民主党役員室

★会見の模様を以下のURLで配信しています。
https://youtu.be/0SJdGI_A_CY


■冒頭発言

■質疑


■冒頭発言

○「#政権取ってこれをやる」第7弾 自然エネルギー立国の実現

【代表】
 きょうは、「#政権取ってこれをやる」のバージョン7、「気候危機に歯止めをかける 自然エネルギー立国の実現」ということで発表させていただきます。まさにこれからの日本の成長分野であると同時に、気候変動という、人類と地球の生存のために欠かせない課題であると思っております。  まず一つ目は、供給側を中心とした話です。「原子力発電に依存しないカーボンニュートラル」を実現します。
 その前提として、原子力発電所の新増設は認めません。
 原子力発電所のない社会に向けた不可逆的な方針を政府として速やかに確立いたします。
 その方針のもと、自然エネルギーによる電力供給を2030年に50%、2050年には100%を目指します。
 2030年には温室効果ガスの排出を2013年比で55%以上削減いたします。
 自然エネルギーの電力供給をふやしていくためにはさまざまな施策を実施していかなければなりませんが、その大きな柱として、送電網の整備を国の直接かつ独自の事業として実施いたします。例えば風力一つとっても、なかなか近くに住宅等のある地域ではさまざまなご意見がありますが、そうではない地域に適地がたくさん残っておりますが、そうしたところには送電網が足りません。したがって、適地はあるにもかかわらず、こうしたポテンシャルが生かされておりません。かといって、既存の電力会社にこの送電網を整備しろというのは、これはさすがに不公正だと思います。他社製品を売るために設備投資をしろという、そういった無茶なことを既存の電力会社にさせるのはおかしい。したがって、国が整備するということに踏み切らざるを得ないと思っています。
 二つ目は、この「原発に依存しないカーボンニュートラル」を実現する上での一つの大きなポイントは、「エネルギー活用効率の最大化」をすることであります。
 省エネ機器の普及に加え、既に住宅政策としても発表いたしました住宅の断熱化推進のための大胆な補助制度の創設を行います。
 そして、電気自動車、ハイブリッド車の普及促進など、脱炭素化を進めるための基盤整備を推進してまいります。
 三つ目に、「自然エネルギー立国の実現」という観点からは、「多種多様な第1次産業を支える」ということ。これは「自然エネルギー立国の実現」をするという意味での大きな意味を持っていると考えています。これについては詳細を既に発表しております。競争力偏重の農政から脱却し、戸別所得補償制度を復活させるなど、単なる経済合理性に偏らない農業・林業等を推進することによって、自然環境における二酸化炭素の吸収などもしっかりと維持・充実させていくということを進めてまいります。
 私からの「気候危機に歯止めをかける 自然エネルギー立国の実現」ということについての発表は以上でありますが、自民党の総裁選挙を横目で見ております中で、我々に近い考え方の方が総裁になるのかなと、私はあまり期待しませんでしたが期待した方もいらっしゃるようですが、全くそれとは逆行する方向でありますので、やはり自民党では実現できない方向性であるということを確信を持って訴えてまいりたいと思っております。


■質疑

○「#政権取ってこれをやる第7弾」「自民新総裁・新執行部」について(1)

【日本経済新聞・中村記者】
 政権政策について2点伺いたい。まず1点目が、原発の再稼働について認めるのかどうかということ。
 もう一つが、エネルギーの固定価格買取制度によって現状兆円単位の国民負担が生じているが、自然エネルギー電力を2050年に100%にした場合、それが今の制度のままであると膨らむことが予想されるが、これについてふえるのはやむを得ないと考えるのか、それとも何かまた違うお考えをお持ちであるのか、その点について伺いたい。

【代表】
 1点目は、既に明言をしております。私たちは避難計画を含めて安全が確認されなければ再稼働はあり得ないということを既に明確にしておりますが、現状、安全な避難計画がつくられている地域はありませんし、当分つくられる見通しもありません。加えて、テロ対策なども含めると、安全が確認されるという状況は、今、全く見通せておりません。したがいまして、再稼働はできないということだということは明確であります。
 それから、FITなどの話であります。確かに、これはどんな技術でも、新技術を導入する際の導入については一定のコストがかかります。そうした意味でFITは一定の役割を果たしてきたと思っております。今後具体的にどうやって通常状態に戻していくのかということはありますが、例えば既に太陽光発電の発電単価は諸外国ではキロワットアワー(当たり)2円というレベルまで下がっております。したがって、これまでのご負担をお願いした分を十分取り戻せるほど、むしろ低廉な電力を供給できるというプロセスの中に着実に入っていると思っております。繰り返しますが、導入当初のコストについてどうやってそれを分かち合うかという問題は今後もありますが、これが定着すれば、むしろ原子力発電よりも安いし、もちろん化石燃料よりも安いということは世界的にも実証されていると思っています。

【日本経済新聞・中村記者】
 関連して、国民負担の件だが、FITの件、広義の国民負担を含めて考えても、技術革新等を織り込めば国民負担というのは生じない形で自然エネルギー電力100%が実現できるとお考えということでよろしいか。

【代表】
 既に、例えば原子力発電所は事故コストを合わせると火力よりも大幅に高いし、水力と比べると3倍以上、4倍以上という状況です。さらに申し上げると、先ほど申しましたように、太陽光は世界的にはもう2円とか3円キロワットアワーという状況ですので、国民経済全体としてのコストも、そういったもののウエートが膨らむので、当然世界の価格の水準に近づいていけば原子力よりも火力よりもずっと安く供給できるし、しかもそれは燃料代がかからないわけですから、もちろん更新コストは一定程度かかりますが、それはもう長期的に考えたら圧倒的に安いというのはもう間違いない明確な前提だと思います。

【NHK・佐久間記者】
 温室効果ガスの削減目標55%ということだが、政府も46%を掲げているが、これを55%とした数字の意味を教えていただきたい。
 それと、違う話になるが、自民党の甘利幹事長など党人事の骨格が明らかになった。午前中の野国では、国会追及すると、国会招致を目指していくということで一致しているが、今回の党役員人事、他党のこととはいえ、かつて検察の捜査も受けられた方が幹事長になることなどについて代表としてどうお考えになるか伺いたい。

【代表】
 まず1点目についてでございますが、政府以上に私どもは、省エネ、それから自然エネルギー導入等、温室効果ガスの排出(削減)についての具体的・積極的な提言を申し上げております。こうした中で、決して楽なことだとは思っておりませんが、目標として十分に達成可能な、ただ、もちろん高めの目標を掲げないとこういうことは実現していけません。そうした観点から13年比55%という数字を示させていただいております。楽ではありませんが実現は可能であると思っています。
 後者については、まだ正式に発表されていないのだと思いますので、あまり個別のことについて申し上げませんが、今伝えられているような状況を見るにつけ、おとといですか、新総裁決定のときに私は、この総裁選出のプロセスを見て、「自民党は変わらない、変われないということを改めて示した総裁選挙だった」と申し上げました。そのことがさらに明確になったプロセスを今歩んでいらっしゃるんだなと受けとめております。

【「フランス10」・及川記者】
 私が2004年にパリに住み始めたときに、もう当時パリ市長が自然エネルギーに向けて電気自動車に乗っていた。枝野さんご自身は自然エネルギーに向けて、例えば水素自動車あるいは電気自動車に乗るとか、自宅で太陽光を使うなど、ご自身で努力していることはあるか。
 もう一点が、国民民主党は大変原子力発電にはこだわりを持っている。「原子力発電のない社会に向けた」ということを明確にすると国民民主党との間での乖離が生じるのではないかと思うが、いかがか。

【代表】
 まず1点目ですが、私は節電はできるだけ意識しているつもりでありますが、これはもちろん個々人の努力も必要なことではありますが、何よりも大事なことは、制度的に、特に省エネ、蓄電、自然エネルギーの拡大、これをいかに実現するのかということでありますので、もちろん個々人にご協力いただいていくことも大事なことではありますが、そのことに過度に期待する気候危機対策というのはそもそも前提が違うのではないかと私は思っております。家屋の断熱化は個人的に進めていますというか、宿舎も含めてそういうところに住んでいるわけでありますが、それをどういった世帯の皆さんであっても、家計状況の皆さんであっても、その断熱化の進んだ、ある意味で快適かつ温暖化対策になる住宅に多くの皆さんに住んでいただけるようにするかどうかというのが政治の問題であると私は思っております。
 後者については、私の理解する限りでは、原子力発電所に依存しない社会を目指すというのは、連合の皆さんもそうしたことの政策をお持ちだと思っておりますし、国民民主党さんもそうした大きな目標については違っていないと理解をしております。あとは国民民主党さんに聞いてください。

【「フランス10」・及川記者】
 最後に、横浜市長選挙が8月にあり、きのう山中竹春市長が、関内駅のすぐ近くにある旧横浜市庁舎を7700万円で、星野リゾート、三井物産などのコングロマリットに売却することを決定した。これについてはどうお考えか。

【代表】
 横浜市政の問題でございますので、基本的には神奈川県連にお尋ねいただきませんと、私もさいたま市政のことを聞かれてもなかなか全部答えられるかという状況でございます。申しわけありません。

【共同通信・小野塚記者】
 公約の関係で2点伺いたい。まず、先ほどお話のあった再稼働について、認めないということだが、紙に書かれなかった理由というのは、国民や連合との足並みに配慮してここの中に入れていないのかということと、再稼働を認めないということについてはちゃんと公約には入ってくるのかという点を伺いたい。
 また、もう一点確認で、新増設は認めないということだが、これは新型モジュールとか次世代のものも含めて認めないということでよろしいか。

【代表】
 後者は全くそのとおりであります。
 前者は、すみません、当たり前の前提だし、安全性が確認されず地元の合意が得られない原子力発電所の稼働は認めないというのは、これは我が党の基本政策そのものでありますので、あえて申し上げるまでのことはないということであります。基本政策そのものも選挙公約です。

【朝日新聞・吉川記者】
 まず1点目が、「原子力発電所のない社会に向けた不可逆的な方針をすみやかに確立」ということだが、方針というのは、例えば具体的に何か法案を出すとか、どういったことを想定されているか。

【代表】
 これは野党であれば、今、現に原発ゼロ基本法を法案提出しているわけであります。政府であれば、エネルギー基本計画など、政府として決めなければならない基本方針があります。そのこと自体を制度上どうするかということも含めて、どういう形式をとれば一番不可逆的になるのかということを含めて、政府としての方針として決めたいと思っています。

【朝日新聞・吉川記者】
 もう一点、「原子力発電所のない社会」というのは、綱領にある「原発ゼロ社会」とは違うのか。「原発ゼロ社会」という言葉を使わなかった理由がもしあればお願いしたい。

【代表】
 それぞれの定義は人によって違うものですから気をつけて使っていきたいと思っておりますが、まず「原子力発電所のない社会」は、またこれを言うと一部の人からネガにとられるかな、おそらく100年単位の話です。廃炉決定しても、廃炉が終わるには何十年単位でかかります。特に福島第一原発について、何十年かかるか、全くまだ見通せていないのが現実だと思います。そういったものの廃炉が全部終わって初めて「原子力発電所のない社会」だと思います。
 一方で、「原発に依存しないカーボンニュートラル」、つまり原子力発電による発電がなくてもカーボンニュートラルを実現する、それから「原子力発電所のない社会に向けた不可逆的な方針」を決めて動き出すということは、もうあしたにでもやっていくということであります。
 「原発ゼロ」みたいな話というのはちょっと定義が人によって曖昧なものですから、今のように丁寧に説明させていただいているということです。

【IWJ・渡会記者】
 自民党・岸田新総裁の「新しい資本主義」について、ニューヨーク・タイムズが、野党が最初に打ち出した政策を採用する自民党のおなじみのテンプレートと評している。ニューヨーク・タイムズが岸田新総裁について好意的に評していないことは言うまでもない。平たく言うと、野党の政策を自民党がパクるというのは海外から見てもおなじみの光景だということだが、これをお聞きになって、どこがまねられている言葉だと思われるか。そもそもパクられていると思われるか。おそらくコロナ対策と弱者への再分配政策のところを特に指していると思われるが、似たような政策をやるといっても実際には自民党ではやらないで抜け道をつくるなどでごまかすが我々はきちんとやるという自負はあるか。その違いを具体的にお聞きしたい。
 先ほどの質問と被るが、副総裁に麻生現副総裁を再任させるという報道が入っているが、これでは安倍・菅政権と全く変わりがない。野党が勝って政権交代したら岸田政権と何がどう違うようになるのか具体的にお示しいただきたい。

【代表】
 すみません、後者については、まさに何がどう違うのかを毎回こうやって順次発表させていただいているので、それは「この間発表してきているとおり、全然違うではないですか」としかちょっと言いようがないし、きょう申し上げただけでも全然違うではないですかということですよね。どの切り口で違うのかといったら、ジェンダーの観点から違うことについて説明を求めている方もいるし、原子力に注目をする方もいるし、経済運営について注目の方もいるので、従来申し上げてきていること、それぞれ全部違いますねということです。
 前段については、全然パクれていないでしょう。言葉遣いをちょっと似たような言葉を使っているだけです。一番根本は、アベノミクスを否定できない、ということは経済運営は何も変わりません。やはりこれは間違いだった、少なくとも効果を呼ばなかったという前提に立って初めて何を変えるのかということがはっきりするので、アベノミクスを前提にしながら何をやっても基本は変わらないということです。
 もう一言だけ申し上げると、私たちは「分配なくして成長なし」です。「成長の果実を分配する」ではありません。あくまでも分配がないから成長していないということを明確に認められるのかどうか。さらに申し上げれば、富裕層や超大企業に対する増税を明確にお示しになれるのかどうか。このあたりが、これから所信表明で、どう、おそらく曖昧におっしゃる。その曖昧さというものを明確にさせていきたいと思っています。

【新潟日報・横山記者】
 原発の再稼働は事実上あり得ないというお話だが、その場合に、立地地域の将来像についてどのようにお考えか、具体的にお答えいただきたい。

【代表】
 これは、再稼働をするしないにかかわらず、原子力発電所は新増設しなければいずれにしろ地域からなくなっていくわけであります。したがって、これまで国策として立地を引き受けてきていただいた地域であります。おそらく地元としてはそれがこれから100年も200年も続くという前提でいろいろなものを受け入れてきていただいたということを考えれば、やはり当座の意向ということよりも、それにかわる地域の将来の希望を持てる展望をつくっていかなければならないと思っています。
 幸いなことに、原発立地地域には送電網は間違いなく充実しています。したがって、自然エネルギー、一般的には分散型の自然エネルギーがベースだというふうには思っておりますが、集約的にできる部分については、当然のことながら原子力発電所の立地地域に優先的に政策誘導していくということは国の責任で行ってまいります。
 加えて、やはり地域ごとにどういう産業をどう生かしていくのかということの事情が違いますので、しかし、原子力発電所を引き受けていただいたこと、あるいはそれに伴って今さまざまなお金が事実上地域に出ている、そのことは当面継続していくことを前提にしながら、その使い方を原子力発電所がない状況を踏まえたものに生かしていただくことをご相談しながら進めていく。ここは責任を持って進めてまいります。

【中国新聞・桑原記者】
 自民党の役員人事に関連して、総裁選で岸田さんと争った高市さんが政調会長に就任するという報道が出ている。総裁選の期間中に高市さんは、安倍首相が検討を促していた敵基地攻撃能力、ご本人は敵基地無力化とおっしゃっているが、これを検討したいということだった。ハト派の岸田総裁のもとで政策立案の責任者がこういった考えをお持ちという点について代表はどうお考えかということと、そういった安全保障について立憲の考え方との違いというのを改めて確認させていただきたい。

【代表】
 すみません、繰り返し申し上げておりますとおり、報道は承知しておりますが、この1日半の間でも報道機関も打ち間違いがあったように、確定していないことについて申し上げるのはちょっと避けさせていただきたいと思います。いずれにしても、自民党は変わらない、自民党は変われない。そのことを総裁選挙からきょうまでどんどんどんどん国民の皆さんに強くお伝えしているなと受けとめております。
 安全保障については過日整理して発表させていただきました。その際にもいわゆる敵基地攻撃の話が出ておりますが、まず、この問題については、電磁波とかいろいろなことをおっしゃっていますが、現実的に有効性のある安全保障の施策として現状ほとんどの専門家の皆さんがリアリティがないとおっしゃっていますし、我が国が独自でそういう能力を他の手段で持つにしてもそれはリアリティがないというのが専門家の現実的な対応であるという前提のもとに、どう安全(保障)をしっかりさせるのか。それはやはり日米同盟を強化していくことが重要だと思っています。

○衆院総選挙に向けて

【神戸新聞・今福記者】
 衆院選が近づいているので改めてお伺いしたいが、立憲民主党の幹部は民主党政権にかかわった方々が多く、有権者から違いが見えにくい部分があると思う。改めて、何がどう変わり、どう違うのか、代表の考えをお聞きしたい。

【代表】
 申しわけありませんが、まず、そのことを岸田政権が正式に発足したら、おそらくもっと、安倍・菅政権とどこがどう違うんですか、多くの人が被っていますよね、ということはお聞きいただきたいと同僚の方に強く申し上げてください。
 こちらは、実際に選挙で多くの仲間が落選し、そして約9年間、下野をして、その間には、4年前には戦後最少の最大野党というような大変厳しい時期を迎えました。そうした状況の中で、まさに何があのときうまくいかなかったのか。何が期待に応えられなかったのか。同時に、政権を経験したがゆえに、あのときは経験をしていなかったから備えることができなかったこと。そうしたことを含めて9年間準備をしています。全く9年前とは、むしろ同じ人間であるからこそ、この9年間の状況を経て全く中身が変わっているということは、この間、明確に示すことができていると思っています。
 経験をして、その教訓があるからということの一つのあらわれとして、まずは国会はねじれになるでしょうし、あるいは国会は、安倍さんが3分の2をとり衆参で安定多数を持っていても一番やりたい憲法改悪ができなかったように、簡単ではない。その中で、政権をとればこれは簡単にできますということを一番最初に今回は発表させていただきました。
 こうした経験を踏まえた教訓が我々にある。それは12年前と決定的に違うと、自信を持って有権者の皆さんにお訴えできます。

○「#政権取ってこれをやる第7弾」「自民新総裁・新執行部」について(2)

【フリーランス・横田記者】
 原発再稼働について、実効的な避難計画と最終処分場計画がない限り再稼働に反対する、認めないというのは変わらないのかということと、であれば事実上の原発稼働ゼロと等しいのではないかと思うが、その点が一点。
 あと、古い自民党が変わらない一例として、河井買収事件の自民党の説明の内容が十分かどうかということと、甘利明さんの口利き疑惑、当時すぐ入院して記者会見も不十分だったと記憶しているが、これが十分かどうかが2点目。
 先ほど出た横浜旧市庁舎の売却について、これは小川淳也さんが市長選の応援演説に行ったときに、横浜版モリカケ事件と言って、売却価格が安いと同時に賃貸料がべらぼうに格安だと。影の横浜市長と言われている菅さんの忖度幹部がいる中で進められた計画を追認するのはいかがなものかというような声が出ているが、どうお考えなのか伺いたい。

【代表】
 3点目は、小川議員に聞いてください。
 2点目については、従来から申し上げてきているとおりであります。
 1点目については、避難計画も含めた安全性とテロ対策ができていない。それから、周辺の住民の皆さんの合意ができていない。これがないと再稼働はできない。これは基本政策でありますので、そのことについては明確であり、それをどうお呼びになるかはそれぞれのご判断です。

【フリーランス・横田記者】
 甘利さんの疑惑は。

【代表】
 従来から申し上げているとおりです。

【フリーランス・横田記者】
 不十分だということか。

【代表】
 従来から申し上げているとおりです。

【フリーランス・宮崎記者】
 2点伺いたい。1点目は送電網に関して、2年前の令和元年台風15号、房総半島のほうが電力システム改革の関係もあってか東京電力の子会社という形になっているところがなかなか送電網を直すのに時間がかかり、あのときは菅官房長官が電源車を確か200台だったと思うが送って賞賛された。電力システム改革後の電力会社の子会社になっている送配電網の社員の人がやるという趣旨と受けとめていいのかが1点目。
 2点目は、新内閣ということで、たたき上げの菅総理が7年10カ月いた官邸から月曜日に去る。二階幹事長もたたき上げだが、自民党本部から5年ぶりに去る。そういったところで、岸田総裁が言っている正念場を迎えた自民党の正念場というのは一体何なのか。何か戦国武将のように聞いた苗字の人ばかり何か出てくるが、そういった中で、変われない自民党について今どうお考えか。また、菅さんは官邸をどのようにして去っていくべきとお考えか。

【代表】
 1点目については、そもそも千葉の停電、それから、その前の胆振東部地震の北海道のブラックアウト、これはやはり今の一極集中・大規模発電と送電というシステム自体が抱えている矛盾があらわれたのだと思っています。エネルギーも地産地消をしたほうが、一部地域で停電が生じても、その影響が広範に広がらないし、復旧も地域単位で順次進めていくことで、長期の影響を広い地域では小さくできる。したがって、システムそのものを分散化していくということを進めていきたいと思っています。
 それから、電力システム改革の中で、もちろん従来発電会社が持っていた送電網ですから、子会社という扱いにならざるを得ないのはわからないではない一方で、この送電網を(発電と)分離するということがシステム改革のミソだったはずでありますので、そこの送電事業は独立性をもうちょっと高めないといけないと思っています。ただし、それが今のような状況・構造のままでいいのかどうかは、私も経済産業大臣を外れて間もなく9年になりますので、政権をとったら新たな経済産業大臣のもとで、この9年間どれぐらいぼろぼろにされてきている実態にあるのかということを検証した上で、送電についてのシステムそのものをしっかりと見直す中でつくり上げていきたい。ただ、国が金を出して、送電網の足りない自然エネルギーの適地には送電網を引きますと、このことは明確にお約束をさせていただくということであります。
 自民党さんのことに私が何か申し上げるような話ではないかもしれませんが、我が党にとっては、私も含めて、たたき上げのほうが当たり前。もちろん、たまたま親御さんも国会議員であったという方もごく一部いらっしゃいますが、我々にとっては当たり前のことを何言っている、全然違うんだろうなと。その叩き上げが注目されていること自体が自民党と我々との決定的な違いですよねと。我々は逆に、いわゆるご関係者に国会議員がいる方のほうが、何かの役に就いたらむしろ注目されるのかなと。全く逆であるということを示しています。
 それから、何か若手の代表として、私より3歳よりしか下でない方が若手なんだと。けさも蓮舫さんと、「私も若手なんですね」と。「私も若手かな」と私も言っていたのですが、このあたりのところは何か明確な違いがいろいろあらわれて面白いなと思っています。

【共同通信・小野塚記者】
 先ほど出た経済政策の関係で確認だが、岸田氏は再配分というのを重視していて、1億円の壁を打破するということで、金融所得税制の見直しや介護職の賃上げを訴えている。このことは立民も同様のことを訴えていると思うが、重ねてになるが、差異化というのをどのように出していくか。今のお話だと、増税できるかどうかということだというお話をされたが、立民としては増税できると明確に言えるということが岸田氏との違いだということか。

【代表】
 まさに所信表明をこれから行うわけです。これまでおっしゃっていたことはあくまでも個人のつぶやきでしかないわけでして、あるいは自民党員に対する公約でしかないわけでして、おそらく今のお話だと8日になるのでしょうか、8日の所信表明演説でおっしゃったことが初めて岸田政権としての方針になるわけで、そこで金融課税を引き上げるということが含まれるのかどうか。あるいは、超大企業に対して増税するとおっしゃるのかどうか。おっしゃったときには初めてその具体的な中身について我々もさらに競い合わなければならないと思っていますが、私は簡単でないだろうなと見ておりますので、現時点ではまず、そういったことをちゃんと所信表明に入れるのかどうかを見極めたいと思っていますので、あえて申し上げれば、ちょっと皆さんのご質問が時期尚早なのですよね。所信表明演説が出て、自民党の公約が示されて、これで初めて違いはどこかということになる。あくまでも、これまでおっしゃってきたことは自民党員100万人に対する公約でしかないので、本当に1億3000万国民に対して何をおっしゃるのかということを楽しみに待ちたいと思っています。

【東京新聞・我那覇記者】
 一点だけ確認だが、先ほどエネルギー政策の関係で、自民党にはできないとおっしゃっていたが、自民党はこれまで活用するということが基本的な姿勢だったからそういうふうにおっしゃっていると思うが、とりわけ岸田自民党では実現できないと思っていらっしゃる理由というのを改めて確認させていただきたい。

【代表】
 きょうの話ですよね。だって、まず原子力発電所の新増設、リプレースするのでしょう。もう全然そこで決定的に違うではないですか。ほかのところを聞く以前、比べる以前の問題ですよね。もう明確に向かっている方向が180度違うので、もう全く、全然違っている。

【北海道新聞・袖山記者】
 きょうのエネルギー政策に関連して、今ある問題、北海道では高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場をめぐり、後志管内にある寿都町と神恵内村とが手挙げをしている。そのことをめぐり、自治体の中でも住民が分断され、周辺自治体との間でも意見が割れている。本来、核のごみは、これは国が主導してきた原子力発電だと思うので、そこまで国が責任を持つべきだと考えるが、今は手挙げをさせるという方法によって住民・自治体の分断を見ながら前に進めようとしているように思える。代表が次の衆院選で政権をとられた場合、今目の前にあるこの問題について、どのように対応していきたいとお考えか。

【代表】
 自治体との関係においても、行政の継続性というものは一定考慮しなければいけないと僕は思っています。したがって、この間、分断というマイナスも生みながら、政府が手挙げしろと言ったから手を挙げたという、その経緯は一定我々も引き継がなければいけないと思っています。ただ、あるべき論として、手挙げ方式ということを進めてきたこと自体が間違っていると私は思っておりますので、したがって、その継続性と、本来そういうやり方をすべきでないという、その姿勢を折り合いをつけながら、既に手を挙げているところの皆さんに二重三重にご迷惑をかけることにならないようにしながら、本来のあるべき国の責任で最も客観的・合理的な結論を得ていく。ただ、それには相当な時間がかかるということを、そのプロセスを始めていきたいと思っています。