立憲民主党は2日夜、りっけんチャンネルで「 #20代で政治家になってみた 地方と日本の未来を語る」をテーマにして、来たる衆院総選挙に初挑戦する5人の20代の候補予定者と塩村あやか参院議員が率直に語り合いました。参加者は、荒井淳志(あらい・あつし)石川1区総支部長、今井るる(いまい・るる)岐阜5区総支部長、川本慧佑(かわもと・けいすけ)岐阜1区総支部長、杉山啓(すぎやま・けい)愛媛4区総支部長、馬場雄基(ばば・ゆうき)福島2区総支部長です。
荒井淳志(あらい・あつし)石川1区総支部長
石川県金沢市で生まれ育った荒井さんは現在27歳。大学で政治を勉強した後、地元の新聞社で働き、地域の暮らしを見る中で政治の世界に入りたいと決意したと言います。最近では、政治活動を支えてくれるボランティアチームが発足し、活動の幅が広がっていると自己紹介しました。
日々の活動で感じた同世代の政治への姿勢に関して、「政治に期待していない人が多いが、何とかしてほしい。ここが変わったらいい」という思いが若者の中にあると指摘。「政治や政治家がそういう人にきちんとアプローチ」すべきと訴え、「同じ目線に立って声を聞く活動をしていきたい」と語りました。
地元の金沢については、「自慢ではないが、本当に良いところ。住んでいて過ごしやすい」と紹介しつつも、「若い人が都会に出ていってしまう」ことが大きな課題だと報告しました。その原因として「都会の方がチャレンジする機会が多かったり、いろいろな人との出会いがあったり、チャンスが広がっているイメージがある」と分析。金沢にも「いろいろな人が入って来て、みんなで支え合って目標にチャレンジできるような新しい地域を創っていきたい」と意気込みを示しました。
来たる衆院選に向けては、「政治なんてどうせ変わらないと思っている人にこそ、ぜひ力を貸してもらいたい。選挙の結果を通じて、『政治は変わる』ことをみんなで一緒に経験をしたい」と呼びかけました。「これまで20代の総支部長5人でYouTubeの配信も使いながら聞いてきた1人ひとりの声を今度はしっかりといろいろな人に伝え、共感を広げて、社会を一緒に変えいく。その強い思いを持って前に進んでいきたい」と決意を訴えました。
今井るる(いまい・るる)岐阜5区総支部長
岐阜県の多治見市、土岐市、瑞浪市、恵那市、中津川市の5市を選挙区として活動している今井るるさんは、高校生の頃からずっと政治を志し、本年4月に25歳になり、被選挙権を得て、政治活動をスタート。「地域の皆さまに育てられたので、恩返しができるように精一杯がんばっている」と意気込みを示しました。
活動を始めた当初、出身の多治見市以外では人とのつながりが薄く、ハードルが高かったという今井さんだが、最近では手書きの応援メッセージや花をもらったりと、支援者の広がりを実感していると言います。自分自身に対して「知らないことがたくさんあることをしっかりと肝に据えて謙虚な姿勢で皆さんの話を聞く」ことを意識していると語りました。
同世代の若者との関わりについて、政治に関心がなかった友人から「私が幸せになりたいから、自分の幸せのために手段として政治に関わるというのもあるかもしれない」と言われ、それこそが若者に響くメッセージだと感じ、「みんなの幸せのための政治ではなくて、あなたの幸せのための政治、手段としての政治」と訴えていると語りました。
地域の課題をどのように解決していくかについて今井さんは、「選択肢がなければだめだ」と強調しました。「現状維持、先送りの政治を続けては絶対にいけない。いつか誰かが何とかしてくれるではなく、私たちの手で未来をつくる。今こそ、今から何ができるのか、今行動できることは何なのかを示して私たち自身も実行していく必要がある」と訴えました。
「小さな一歩が未来を変える」を合言葉に活動している今井さん。次期総選挙に向けて「あなたが踏み出したいと思う小さな一歩が何なのか。その小さな一歩を一緒に踏み出し、間違えても失敗しても何度でも挑戦できる」社会をつくることを目指し、皆さんと一緒に歩んでいきたいと決意を示しました。
川本慧佑(かわもと・けいすけ)岐阜1区総支部長
厳しい環境に身を置くことと、幅広い視野を持つことを自らに課し、海外留学や海外勤務を経て政治の世界に入った川本さん。これまで内外のさまざまな地域に居住し、「よそ者扱い」されることに慣れていても、岐阜1区で政治活動を始めて、地域に溶け込む難しさに直面したと言います。それでも「強い思いをもって逆境を跳ね返そうという人たちが増えて初めて社会は変わる」との信念から「一人ひとりとの対話を大切にしながら活動している。少しずつだが、応援してくれる人が増えている」と手ごたえを語りました。
経済や人口減少など日本が衰退している原因について川本さんは、「若い世代が十分に能力を発揮できない社会が続いてきた」からだと分析します。かつて勤務した外資系会社では、新人でも女性でも、声を挙げると上司がそれを受け止めてくれる環境があったと言います。日本では、国でも企業でも若い世代の力を引き出すことが遅れていると指摘しました。
このような環境で育った若者と交流する中で「変えられない」とあきらめている人や、そもそも何が問題かも分からない人が多いと説明します。「丁寧に対話を重ねていくことで、何がいけないのかをまず一緒に考えるところからスタートし、どうすればいいのかまで一緒にもっていき、そこからのステップも一緒にやっていくという3段階が必要だ」と説きました。
地域を回っていて、後継ぎや過疎化の実情に触れて驚いたという川本さんは、こうした課題を乗り越えていくため、「若い人が帰ってきたいという街づくりをする。自動運転とかオートメーションを進めていく必要がある」「人口が減った時にどうするかを考えおく」ことを提案しました。
5人の同志との対話を重ねる中、共通していると感じていることとして川本さんは、「みんなが実現したいのが、政治家のためではなく、政党のためでもない。本当に皆さんのための政治に変えたいという思いをもって、政治活動に励み、今生きている人たち、これから未来を生きていく人たち、全ての人が幸せだと思え、生きてて良かったと感じられる社会を作りたいとの思いだ」と語りました。5人だけでなく、若い世代、もっと幅広い世代と力を合わせて社会を変えていきたいと力を込めました。
杉山啓(すぎやま・けい)愛媛4区総支部長
地元の愛媛に戻ってくるまでは、マーケティングやサイエンスコミュニケーション、百人一首カルタ競技などに携わってきたという杉山さん。「世の中全体に人の力を理不尽に押さえ込むような空気が漂っている」と感じ、「それが特に目立つ政治の場を変えないと、世の中が変わらない」と決意し政治活動を始めたと自己紹介しました。
社会は一緒に変えるものであり、その中で政治家は調整役や旗振り役だと思い、地域を回っている杉山さんは、政治に対して「こういうもの」という固まった考えや「何してくれるの」「何をくれるの」と言われたりし、コミュニケーションの難しさを感じていると言います。
若い世代の政治への関心に関して、高校生を中心にアンケートをしたという杉山さんは、「政治と暮らしにつながりがある」と考える人が多かった報告しました。その一方で、「若者が政治に参加する経験が少ないので、政治参加の機会を増やしていきたい」と語りました。
過疎地域、超高齢地域、限界集落だらけという愛媛4区の実情に関して、住む人が減る中で、高齢者の見守り、通院の足など、どうやって暮らしの基盤を担保するのかを日々考えていると語りました。働く場所に関しては、「都会と職種が違うだけで、働くところはいっぱいある」と紹介しました。
国政の役割について杉山さんは、「いろいろな暮らしがあり、それぞれの暮らしの中に課題があり、それに日々向き合いながらしんどい思いや嬉しい思いをしている。それぞれの暮らしの現場で安心感をもってがんばろうと思えるような、前向きに生きようと思えるような環境を担保するのが国政の最大の役割だ」と訴えました。失われた30年をもたらした政治によって、「先を提示できず、将来不安を払拭できず、地域の力、人の力を発揮しにくくなってきた。そういう構造をしっかり変えていきたい」と決意を示しました。
馬場雄基(ばば・ゆうき)福島2区総支部長
福島県郡山市生まれ28歳の馬場さんは、10年前の東日本大震災時に高校生だったと言います。社会に出て銀行に務めていた際、県外避難をしている小学生と出会い、その子が原発事故で避難して以来、笑わなかったと聞き、「こんなことがあっていいんだろうか」との思いから銀行を辞め福島に生きる覚悟を決め、政治の世界に入ったことを明かしました。
総支部長になり、各地で演説していると、ある時は小学5年生が最後までずっと聞いてくれたり、ホームページに中学生から質問が来たりしている事例を紹介し「若者が政治に興味ないと一方的に言っているのは大人だけ」だと指摘しました。若年層が政治に参加しないのは、「安心して表現できる場がないからだ」と分析し、「私たちは環境を作るだけではなくて、環境作るから一緒にやろう」と繰り返し呼びかけていくことが必要だ」と訴えました。
地方と都市と分けて考えてしまうと課題の解決が難しいのではないかと言う馬場さんは、「大事なのは、そこに住む人たちがどれだけ豊かに幸せに感じて生きていられるかというところに立脚して考えていけば、(地方に)戻りたい方は戻るし、そこに住みたい方は住むし、移動したい方は移動する。その選択を自由にしていくことが最も大切だ」と強調しました。
総選挙に向けて馬場さんは、「今を変え未来を創る」と訴えました。そのメッセージに込めた思いについて「時代の変化の中でやはり変わってきたものがある。ひずみやゆがみが非常に多い。だからこそ社会は柔軟に変えていく仕組みが必要だ。政治のあり方、物事の決められ方、あるいは経済の動きに関しても、どこか不自然さがあるのが今の状況ではないか。だからこそ、これを打破していかない限り、明日も開かれないし未来もない」と訴え、「その道の先陣を切り開きたい」と強い覚悟を示しました。
塩村あやか参院議員
「 #20代で政治家になってみた 地方と日本の未来を語る」の司会を務めた塩村参院議員は、5人の総支部長との意見交換を終えて「先輩として非常に頼もしく思った。早く皆さんと一緒に仕事ができたらいい」とコメントしました。今の日本社会について「若いとか女性とか、セグメントで区切られてしまい、政治に対して温度差がある」と指摘し、この状況を一緒に変えていかなければいけない」と述べました。そして視聴者の皆さんに向けて「若い総支部長が地域で戦っている。ぜひ皆さんの声で若い総支部長を広めてもらいたい」と呼びかけました。