参院予算委員会で16日、総括質疑が行われ、立憲民主・社民の3番手として宮沢由佳議員が質問に立ちました。宮沢議員は、(1)安倍・菅・岸田政権が国会議論に消極的なこと(2)コロナ禍における自殺防止対策(3)学校での心のケア(4)GIGAスクール構想(5)学校での新型コロナ感染防止の取り組み(6)大学生等への支援(7)発達障がいを持つお子さんへの合理的配慮(8)保育士の処遇改善(9)ジェンダー平等、女性の活躍――等を取り上げました。

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■コロナ禍での心のケア

 宮沢議員はコロナ禍で、特に子ども、若者、女性の自殺が増えていること、うつの症状が出ている人が増えていることを取り上げ、カウンセラー、ソーシャルワーカー、精神福祉士などの活用により国を挙げてメンタルケアに取り組むべきだと訴えました。岸田総理は、コロナ禍で国民の6割がさまざまな不安を感じているとの調査結果に「心のケアが重要と認識している」とし、経済対策に盛り込んだ医師、専門家の支援、精神福祉センターの活用を進めていくと答えました。
 子どもの不登校が増えていること、スクールカウンセラーが2カ月に1回しか巡回してこない、中には相談を申し込んでも1年待ちになることさえあることを紹介し、子どもの命を守る観点から増員を求めました。岸田総理は「子どもが命を絶つことがあってはならない」「教職員定数、教育予算をそういった観点から考えていきたい」と答弁しました。

■GIGAスクール構想

 コロナ禍でオンライン授業が増える中、IT機器の不具合が発生し学びに支障が出ていることを挙げ、国による一斉点検を急ぎ、現場への支援をするよう求めました。文科省からは、補正予算に一斉点検費用を計上しているので、成立後に速やかに着手し、今年度内に学校で点検を行うとの説明がありました。宮沢議員は、高校でのICT環境の整備、ICT整備の地域間格差を是正する財政支援、ICT支援員の配置の継続についても政府に求めました。

■子どもの貧困調査

 宮沢議員は子どもの貧困に関する2020年度の実態調査の公表が当初予定の今年7月から遅れていることで、的確な支援策が打てないと懸念を示しました。野田こども政策担当大臣は「最終的な取りまとめを行っているところで、今月中に公表予定」と述べ、調査発表を待つことなく、現場の声を補正予算にも反映したと説明しました。

■保育士の処遇改善

 保育士として勤務していた宮沢議員は、政府による保育士給与を3%引き上げる措置について、保育料は公費で賄われているので時限的な財政措置であればその水準を維持することが難しいことや、民間事業者での賃上げの実効性についてただし、財政措置を恒久的に実施するよう求めました。山際経済再生担当大臣は、令和3(2021)年度補正予算で前倒しで賃上げし、令和4(2022)年度予算で賃上げを継続する予算を確保、その先については安定財源をどのように確保するか政府内で検討しているとし、12月中に中間整理をする予定だと説明しました。
 宮沢議員は、あわせて保育現場でのIT化による効率化など、職場環境の改善を求め、「ぜひ保育士体験をしてみてください」と総理に進言しました。

■ジェンダー平等、女性活躍

 岸田総理が女性閣僚を3人登用したことについて「北欧等諸外国に比べたら少ない。もっと登用すべきではないか」と指摘すると、総理は「各国に比べると女性活躍の姿が少ないとの指摘は謙虚に受け止める。適材適所で活躍してもらえるよう努力を続けたい」と述べました。また、2025年までに国政や地方選挙の候補者に占める女性を35%に高める「2535」をどのように実現するか尋ねると、野田女性活躍担当大臣は「有権者の52%が女性で、その意見を適切に反映するためにも女性候補者を増やすのは合理的」との認識を示し、女性候補者が立候補しやすい環境整備に取り組むと答えました。
 また、日本は子ども増えるごとに負担が増え、子育て世帯に厳しい「子育て罰(チャイルドペナルティ)」社会と言われているのに対し、北欧では子どもが生まれると支援が増えると紹介し、「日本も『子育てボーナス』の国となってほしい」と岸田総理に働きかけました。岸田総理は「未来に希望が持てるようにしていきたい」と応じました。宮沢議員は、そのためにも一層女性活躍の推進が必要だと訴え、質疑を終えました。

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