衆院本会議で3月8日、防衛省設置法等の一部を改正する法律案についての質疑が行われ、伊藤俊輔議員は(1)ロシアによるウクライナ侵攻(2)宇宙における安全保障(3)サイバーセキュリティについて(4)自衛隊による輸送対象者の範囲(5)台湾有事の際の邦人保護――等について質問しました。
■ロシアによるウクライナ侵攻
 「力による一方的な現状変更であり、明確な国際法違反で断じて許すことはできない。党としてもロシアに対し、強く抗議する。そのうえで、2014年のロシアによるクリミア半島併合時、当時の外務大臣は岸田総理だったが、その時は形ばかりの制裁でロシアへの抑止効果はないに等しいものだった」と伊藤議員は述べ、今回はより強い制裁が必要であり、政府に対し、今後の制裁の在り方を求めました。林外務大臣は、「ロシアの行動は断じて容認できない。断固として行動していく。暴挙には高い代償が伴うことを示していく」などと答えました。
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■宇宙における安全保障
 「宇宙システムの安全保障を強化することが必要」として、わが国での小型衛星網構築に対する、検討の進捗状況及び実現の見通し、また米国との調整状況も含めて政府に質問しました。岸防衛大臣は、「現在米国と検討を行っている。来年度予算案に経費を計上している。結論は得ていないが、引き続き検討を行っていく」と答えました。

■サイバーセキュリティについて
 「サイバー攻撃が頻繁に行われている中、対応できる体制の強化と専門的な人材がより多く必要になる。政府にある機関は政策立案や司令部機能で、システムを守るのは個々の対応になる」との認識に立ち、安全保障の観点から、国家的規模で、サイバーセキュリティのための権限を持つ組織をつくることへの見解を求めましたが、「政府としては、サイバー空間での脅威に対し、関係省庁が一体となり、すべての有効な手段と能力を活用する」と答えるにとどまりました。20220308_131003-.jpg
■自衛隊による輸送対象者の範囲
 人道的観点から、「支援活動の関係者、窮地に陥った避難民等も輸送できるようにしておいた方が現場の活動がやりやすくなると思う」として、輸送対象者の範囲を今後拡大していく考えはないのかとの質問に岸防衛大臣は、「今後、拡大した類型に属さない外国人のみの輸送が必要になる状況が生じる可能性は現時点で想定されない」と答弁。範囲の拡大には言及しませんでした。

■台湾有事の際の邦人保護
 「現地国の同意が必要であり、台湾の場合はどう認識しているのか。また非戦闘員の退避作戦は準備しておかないといけないが、政府内にはそういうオペレーションのシナリオが用意されているのか」との伊藤議員の問いに岸防衛大臣は、「個別の状況について、仮定の質問に答えることは差し控える。あらゆる事態に対応できるよう、不断に検討している」との答えを繰り返すのみでした。

 最後に伊藤議員は、立憲民主党は、専守防衛という概念をしっかりと守りながら、間違った戦争や紛争には参加しない。国際協調と現実的な安全保障、外交政策を推進していくと力を込め質問を終えました。