立憲民主党は6月7日、「国家賠償法の一部を改正する法律案」を衆議院に提出しました。同法案は、国賠法に基づく求償権を適正かつ厳格に行使させるとともに、国賠訴訟の事案に係る国の説明責任を確保するものです。提出者は、階猛、末松義規、鎌田さゆり、櫻井周、伊藤俊輔、鈴木庸介の各議員です。
法案提出後の記者会見で、筆頭提出者の階議員はまず、本法案づくりのきっかけとなった学校法人森友学園をめぐる財務省の公文書改ざん問題について取り上げました。改ざん問題では、同省職員の赤木俊夫さんの妻雅子さんが国などに損害賠償を求める訴訟を起こしたのに対し、国は2021年12月、請求の認諾を行い、約1億700万円の賠償請求を受け入れたものの、改ざんを指示した佐川宣寿・元理財局長に対し求償権を行使していないため、国民の税金により賠償が行われることになりました。
赤木問題に引き続き階議員は、ウィシュマ・サンダマリさんが亡くなった事件で遺族が国に約1億5000万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、名古屋地裁で開かれることに触れ、「ひょっとするとこの赤木裁判と同じような形で、真相解明をうやむやにしたまま、請求を認諾し、かつ求償権を行使せずに、終わらせされてしまうかもしれない」と指摘しました。今回の議員立法によって「求償権の行使が基本的になされるという体制を作ることによって、公務員の不法行為の抑止効果が出てくる。行使しなければ説明責任を求めることによって、自分たちが賠償額を払わなくてはならないというプレッシャーがかかってくるので、今後は改ざんなど起きないことを目的としている」と法案の必要性を強調しました。
末松議員は会見で、「赤木裁判では認諾という訳の分からないことにして、結局賠償を国民の税金から負担した。これは納得がいかない」と厳しく批判しました。