長妻昭政務調査会長は10月27日、国会内で記者会見を開き(1)子ども・若者応援本部の設置(2)政府の緊急経済対策(3)被害者救済法案の与野党協議――等について発言しました。

 長妻政調会長は、26日に本格始動した「子ども・若者応援本部」について、「この10年、日本の少子化対策は全く的外れでうまく機能していない現状に強い危機感を持っている。それを何とか、変えていきたい」と、党を挙げて取り組んでいく決意を表明しました。

 政府が28日閣議決定する新たな経済対策については、国費の一般会計歳出で29兆円を上回る規模になる見込みであることに、「補正予算は年度内に使い切るものだが、昨年12月の補正予算も30兆円を超えたものが使い切れずに持ち越してしまった。緊急経済対策であり、使い切る前提で組まなければいけない」と指摘。立憲民主党がすでに発表している経済対策について、「家計に直接届けることを主眼として、年度内に全部使い切る。そして、年度が終わったあと必要であればまた緊急経済対策をとる、という考え方にしている。見せ金のような形で、規模を増やすという一辺倒ではいけないと思っている」と述べました。

 その上で、政府の経済対策に来年1月から来年度前半にかけて標準世帯で1カ月電気代1820円程度、ガソリン900円程度引き下げる案や、出産・育児の「伴奏型相談支援」として妊娠中から子どもが2歳児の段階までの相談やサポートの体制整備、計10万円相当の支給などが盛り込まれているとことに、「結構なことではあるが、それで本当に足りるのか。(支援が)なぜ2歳で終わってしまうのかという疑問もある。わが党が考えるよう直接給付、現金支給を政府にお願いしたい」と発言。立憲民主党の経済対策を受け、省エネ投資への支援の強化も入っているとされていることには、「質と量を深めた形にしていただきたい」と求めました。

 同日第3回目が開かれる、旧統一教会被害者救済に向けた与野党協議については、25日の前回会議では与党側は基本的にゼロ回答だったと報告。「こちらの案への批判はいただくが、ではどのようにするのか、イメージの対案すらない。本当に間に合うのか、やる気があるのかなという疑問が出てきたところ」だと述べました。加えて、26日の衆院厚労委員会での質疑で、大串デジタル兼内閣府(消費者など担当)副大臣が旧統一教会の友好団体との、いわゆる「政策協定」に署名していたことが明らかになったことを受け、疑念を晴らすためにも有識者会議での責任者を交代した方がいいと指摘。自民党に対しては、政策協定について全議員に対し速やかに調査をすべきだと述べました。

 イギリスの新首相に、20世紀以降最年少となる保守党のスナク元財務相が選ばれたことに、「大変期待している。日本との信頼関係をさらに深めていくことを願っている」と述べました。

 また、厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)分科会が26日、給与をデジタルマネーで支払う制度の導入を盛り込んだ労働基準法の省令改正案を了承、省令は11月に公布し、2023年4月に施行されることに言及。デジタル化の推進自体は評価した上で、「調べると、先進国でもデジタル化が進んでいる国は、慎重にリスクをきちっと考え、それに対処した上で進めている。だから国民の理解も深まり、デジタル化が進んでいる。つまり、拙速に進めると、むしろデジタル化が遅れる。この典型例の1つではないか」と指摘しました。「銀行は信用保証で、預金保険機構があってリスクヘッジができる仕組がある。これがデジタル給与になると、資金移動業者が、例えば破綻してしまった場合や、不正があった場合にどのように保障していくのか。これを聞くと『業者に任せている』ということで、こんないい加減なことで来年4月解禁して大丈夫なのか、大きな疑問を持っている」と述べました。

 記者からは、各野党との政策テーマ別の共闘により一定の成果を出している一方で、政務調査会でまとめた法案が他党との協議の中で内容が変わるなど、臨時国会では国対の存在感が際立っている印象があるとして、そのバランスをどのように考えているのかとの質問があり、長妻政調会長は、「いくつかの段階に分けて考える必要がある。長期的な日本の社会のあるべき姿はしっかりと政調で議論していくが、直近のテーマについては、単独で各政党が案を出しても議員立法を提出したということで終わってしまう。通園バスの防止装置の国の全額国庫負担や、旧統一教会の被害者救済など、直近の今やらなければいけない問題は、幅広く連携をして、大きなかたまりになって合意事項として政府につきつけていく。政府を動かす力が必要になる政策分野と、わが党独自の中長期的なビジョンをきちっと法律化するものと、フェーズごとに政調の役割は変わってくるのではないか」と述べました。